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終節  「リキニウスの女王」



リキニウス王が仕掛けた最後の仕掛け・・それは牛馬による自爆による広域破壊

本来ならばそれはシウォング領内で行われるはずであったのだが

クラーク達の迎撃により阻止されそれは平原の中で爆破された

自爆による衝撃は凄まじくその周囲にあるものは吹き飛び牛馬の巨体は完全に消滅・・

その一帯は土はむき出しな荒れ地と化していた

生身の人間がそれを受ければ無事で済むはずがない、

そんな中、平原に立ちつくす二つの機兵の姿が・・

後ろで伏せた者達を護るべく炎を真っ向に受けたのだ・・

いかに優秀な魔導機兵と言えどもこればかりは直撃を受けすぎたらしく、

爆破が止んだ後にもかかわらず防御の姿勢を取ったままその体は動こうとはしない

 

「・・ふぅ〜、肝が消えたな・・」

 

「え・・・ええ・・、すごいですね・・私達の周り以外全て吹き飛んでますよ」

 

その後方、安全を確認して立ち上がるクラーク達、

キルケは咄嗟に障壁を作りだしていたのだがそれには爆発の力は触れておらず

全て魔導機兵が受け止めて防いだようだ

そのために2機の足下からクラーク達が立つ付近だけ草が残っていた

「なんとかなったか・・って・・あいつらは・・?」

「・・何の反応も感じ取れません・・おそらくは・・」

立ちすくむ魔導機兵達

「人間で言うところの立ち往生と言う奴か・・。とりあえずは感謝しないとな」

「ええっ・・、ありがとうございます」

動かなくなった戦士達に礼をするクラークとキルケ

こうした仕草がぴったりなのも相思相愛が成せる技か・・

 

そして気付けば空も白み初め空気は冷たさを増していた

そこに・・

 

「お二人とも!ご無事でしたか!?」

 

空高くより舞い降りるディ、

流石に彼は安全範囲まで脱する事ができたようで傷一つない

翼を消し地に立ちながらも自身が造った機兵には見向きもしていない

「ああっ、なんとかな。ディも無事なようだな」

「ええっ・・爆風が予想以上に強くて少し飛ばされましたが何て事はありませんでした。

爆破範囲も意外でしたのでまぁよく持ったものです・・

流石は防護服(メタルジャケット)の魔導機兵、ブラボーでした」

そう言いながら機能停止した魔導機兵を見つめるディ・・

「がんばってくれました、ブラボーです。あの、もう・・使えないですか?」

「使い捨てではありませんよ。

確かに衝撃でだいぶやられましたが修復すれば元に戻れるでしょう」

「そっか・・。なら安心だ、そしてブラボーだ。

・・・って・・あ・・そういやセシルは・・」

「・・あ゛・・忘れていました!セシルさぁぁぁん!?」

周囲を見渡すクラークとキルケ、

そこには荒れ地しかなく人影など全く確認できない

「上空から見てもそれらしいモノはありませんでした・・、

彼女らしからぬ最後でしたね、地獄に堕ちた事を祈りましょう、

そして・・二度と人の世に現れない事を・・。

地獄にて永遠なる罰を受ける事を・・アーメン」

真剣に祈るディ・・セシルが見つからない事を寧ろ強く願っているようだ

しかし・・それで済むケダモノでは、ない

 

『ふ・・・・ふふふふふ・・・・』

 

不意に周囲に響く女性の笑い声・・

「こ、この声・・誰だ!?」

「・・ってかセシルさんしかいませんよね・・、どこですか〜?」

周辺を見渡しても彼女の姿は確認できない、

されど聞こえるセシルの笑い声

それだけでディの表情から余裕が消えてくる

 

『ここよ!とぅ!!』

 

勇ましい声とともに三人の近くの大地が突如盛り上がりそこより黄金髪の化け物・・

もといセシルが飛び上がってきた

「ようセシル・・よく無事だったなぁ・・」

「はははは!この私がそんな簡単にはくたばらないわよ!?」

土を払いながら高らかに笑うセシル、全然余裕のようでディはセシルに聞こえるように舌打ちをした

「で・・地中に潜ったのですか・・」

「あの状況よ?地面深く潜ってやり過ごすしかないじゃないのよ・・」

「やり過ごすしかないって・・普通思いつくかよ、んな事・・」

氷の魔剣があって事成せる業・・

あの瞬間セシルは咄嗟に氷狼刹を使い氷のドリルにて地中に潜りながら盾で蓋をして爆破に耐えた

その所業、正にサヴァイバー・・しぶとさはゴキブリ並である

「私以外ならまず生き延びれなかったわね♪

それはそうと・・ディィィィィィィィ!!!やってくれたわねぇぇぇぇぇ!!!」

「なっ、何をいきなり!あの場合は不可抗力じゃないか!?」

「そのブラボーな人形をもう一つ出せば済む話でしょうが!よくも見捨ててくれたわねぇ!?

以前はあんなに愛し合ったのに!!」

怒りながらのねちっこい視線を送るセシル・・

これはこれで強力な
重圧(プレッシャー)を与える

「冗談じゃない!そんな既成事実を言いふらすな!っというか潔く爆死していればよかったものの・・!」

「ふっ・・ディよ・・貴方とはくぐってきた修羅場の数が違う・・」

「・・いあ、修羅場の数どうこうで切り抜けられる状況じゃなかっただろうが・・」

冷静なツッコミのクラークさん、確かに修羅場の数で表れるような退避法ではない

その数で言えば彼女と同等とも思われるクラークでさえあの状況は防げなかったであろう

「そうですそうです、セシルさんがケダモノだからこそできたんですよ」

褒めているのか褒めていないのか・・

ともあれ合法的にセシル抹殺を行えるチャンスも結局は失敗に終わった・・が得る物もあった

 

「・・しかしあの状況で爆発を回避するとは・・。

ただただ広域破壊の法で仕留める訳にもいきませんね・・、

逃げ場所のない場所で地中深くまで効果があるモノを開発するか

いやっ、そもそもあのケダモノに対し倒したか倒せていないか分からない方法で仕留めるのは危険だ。

あり得ない方法で回避していてもおかしくはない。

やはり真っ向からルナやシエルさんと力を合わせて葬るしか・・」

 

セシルの行動について新しい情報を得たディ、

それにより対セシルの戦術構築がまた一歩進んだようである

「ふふふ・・何ブツブツ言っているかしらぁ?ディちゃん♪」

そんなディに後ろから抱きつくセシル・・

「うわ゛ぁ!離れろ!離れろぉ!」

「かかってくるならいつでもいらっしゃい♪

でもぉ・・ルナやシエルとセットならその分私も萌えちゃうか・も♪」

「ぐっ・・そうか・・このケダモノには無限供給に近い萌力があった・・そうなると・・」

「ふふふ〜、ディの尻穴・・美味しかったわぁ・・」

絶世の美女に後ろから抱きつかれ頬を指でなぞられる・・

男ならば誰でも興奮するシチュエーションだが、

その本当を知る者には悪夢以外の何物でもなく・・

「だぁぁぁ!離せ!このケダモノォ!」

「ディ〜、疲れたから食わせろ〜♪」

 

ゴチン!!

 

「ひでぶっ!」

悪ふざけが過ぎるセシルの後頭部に振り下ろされたは紫電雪花の鞘、

装飾品と思われる美しき黒鞘だが
それは実戦の武器としても使えるほどの逸品、

上質な金属で拵えている分威力は十分

加えてそれを振るうクラークには一切の遠慮はない・・

女には手を上げないのが心情なのだが目の前にいるのは女ではなくケダモノ・・

ディを茶化しているセシルはまともにそれを受け頭を抑えながら悶えだした

「セシルさん・・やっぱり女性が上げる悲鳴じゃないですよぉ・・」

「女性じゃないんですから気にしなくて良いですよ。さぁ・・終わったのならさっさと戻りましょう・・

僕は水を浴びて穢れを落としたいですしリキニウス国民も事の顛末を知らず不安がっていますからね」

不機嫌そうに言ってのけるディ・・

すると今まで動かなかった魔導機兵が軋みながら振り返った

「・・・・、機能は停止しているはず・・」

驚くディ、すると魔導機兵達はギコチない動きで敬礼をし

その瞬間に魔造の鍛体は弱い光を放ち傷だらけの魔石へと戻っていった

「帰還という言葉に反応してようやく役目を終えたか・・律儀な奴らだな、だが・・見事だ」

「・・ええっ、がんばってくれましたよ。さぁ、戻りましょう」

同じく敬礼をしてディはその魔石を回収する

 

「・・うぬ・・誰も心配してくれないなんてしどいわ・・」

 

結局誰一人とセシルの相手をせず肌寒さすら感じる暁の平原を後にするのであった

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

やがて日が昇り朝がやってきた

昨晩の戦闘などどこへやら、清い風が二つの国を駆け平穏が包み込まれる

そして一同が集まるはシウォング王が居城である屋敷。

その前にはリキニウスの騎士団が野営を取っており朝の空気の中でも疲れを隠せない

これから先どうするかもわからぬままであるが故にディ達が帰還しても余り反応を示さなかった

そして・・

 

「よう、ご苦労だったな・・でっかい花火が上がったような感じだったが無事だったか?」

 

居間にて珈琲片手に優雅なモーニング、

いつもと変わらぬ朝と言った感じだが一応は不眠。

「当然ですよ、若干一名無事であって欲しくなかった人もいましたが残念ながら無事でした」

「・・ディ〜♪覚えてなさいよ♪」

笑顔でギスギスと・・因縁はまだまだ止まらない

ディがセシルと対峙しても戦意を失っていないのはそれだけ彼女に植え付けられた『恐怖』が薄れてきた結果か

忌まわしき過去の清算を行う戦いは近い

「やはりまだ皆さん揃っていませんね・・」

周囲を見渡しキルケが呟く・・、

居間にはライを除きレイハ、シエル、ロカルノ

そして・・

 

「・・おい、メルフィ・・何泣いているんだよ?」

 

クラークが心配そうに見つめるは居間の隅で正座をし目に涙を溜めしゃくり上げているメルフィ・・

「ひっぐ・・えっぐ・・あみるが・・あみるがぁ・・」

威厳の欠片もなく泣きべそをかくメルフィ・・

日頃の偉そう面もすっかりと影を潜め、見た目相応に大粒の涙を零している

「先ほど還ってきてな。傷が深いのにアミルが怒って説教だ・・、

だが無理をするのも良くないので起きるまで正座という事で事なきを得た」

律儀に説明するロカルノ・・だが・・

「・・あれだけ怒っているアミルさんは初めてですね。傷も浅くはないというのに・・」

その現場を目撃していたレイハは苦笑い、どうやら相当な修羅場が展開されていたらしい

「・・でっ、何してたんだ?」

「夜間飛行で遊んでいたらしい、共犯のルーは仕事を終わらせてからオシオキって感じだな。

他の面々は自室で休んでいる。

クローディアもゆっくり眠っているから安心しろ」

ライがそう言いながら静かに笑う・、

なんだかんだ言っても妹が心配なクラークの心情を見透かしているようだ

「すまないな、ライ。・・じゃあ、アレス達やルナもお休み中か・・」

「おう、コーネリアとアルシアはルーと同行してミランダの治療中だ・・」

「人格の排除ですか・・大丈夫・・ですよね?」

「安心しろ、ルーの奴がやるんだからな・・

それにあいつも寧ろその後に待ち受けているオシオキの方が気になっているようだし・・な」

ウニャリと極悪な笑みを浮かべるライに対して

自分の事ではないのだがレイハとシエルは思わずゾクリと身震いをした

「まっ、これで一件落着ね〜。

でっ、リキニウス側には何も伝えなくていいの?何なら表でくたびれている連中動かせばいいじゃない」

「そう急くな・・すでに「草」とメイが大まかな事を伝えに言っている。

騎士達もどうしていいかわからない状況なのだからな」

「・・だな。それで・・ディ、王はどうした?」

目つきが鋭くなるライ、対しディは肩を竦める

「自害しました。最初から死ぬ気だったようですね・・

無理矢理蘇生させる手もありましたが、あの牛馬の始末を優先したのでそのままです。

どうしますか・・?」

「・・・・・、本来ならば無理にでも生き返らせてその罪を償わせてやるところだが・・実質的な死者もいない。

そこまでしてくれてやるのも面倒だからな。そのまま死なせてやるか」

「・・・、納得行かなさそうだな・・ライ」

ぴくりと耳を動かしながら静かにシエルは言う、

王の事など最初から興味はない・・がライの事になると話は違うのが猫娘ヴィジョン

「まぁな、だけどあれだけの規模の自爆装置を埋め込んだデカブツがこっちに来ていたんだ。

それを防ぐ方が優先度は高いだろう?」

「それもそうだな・・ディの魔導機兵の壁がなかったら俺達はモロ巻き込まれて重傷だっただろうし・・」

「巻き込まれる・・となるともしや三人は近距離であの爆発に遭ったのですか?」

目を丸くして驚くレイハ・・っというのもその爆発を遠くから確認し

その被害規模を計算していたからおおよそ人が近くにいて無事でいられる物ではない事を知っているのだ

「実質二人・・ですかね。起爆が開始されてから逃げましたけど全然距離が稼げませんでした。

そこでディさんが魔導機兵を召還して私とクラークさんを守ってくれたのです」

「おかげで貴重な魔導機兵が2機、しばらく使えなくなりましたよ。まぁそんな訳です・・

王の死よりも友の生と言うことで・・失態扱いにはしないでくださいね」

「そういう理由ならいいさ。

・・だが、お前の魔導機兵はクラークとキルケを守ったんだよな?

じゃあそこでぴんぴんしているケダモノは?」

 

「はっはっは!舐めんじゃないわよ馬鹿殿が!この私があの程度の爆発で死ぬ訳ないでしょうが!」

 

「・・そうだな。こいつの事だ、土竜宜しく地面に穴でも掘ってやり過ごしたのだろう」

ぴんぴんしているセシルに対しロカルノがピシャリとその理由を言い当ててみせる

伊達に保護者をやってはいない

「・・さ、流石はロカルノさん。よくわかりましたね・・」

「野生動物のような物だ、生存本能が働けばその行動パターンは読みやすい。

頭の中に666匹分の獣の因子でも入っているのだろうさ」

「ちょっと!ロカ!失礼ね!全く人を何だと思っているのよ!?」

 

「何だって・・芝居にも気付かず勝手に暴走した馬鹿ケダモノじゃないかよ」

 

真龍騎公、会心の口撃・・それはセシルにクリティカルヒット!

「うぐ・・」「ライさん、それ・・私にも少しイタイですぅ・・」

汗を流し反論できないセシルと、十二分にとばっちりを受けるキルケ・・

当人が気付かなかったのはそれだけライとクラークの決闘が本域で行われていた証拠でもあるのだが

そのフォローをしてくれる人は誰もいない

「まぁまぁ、終わりよければ全てよしだ。

とりあえずは報告はこんなところにしておいて、ミランダの治療が終わるのを待とうぜ?

まだかかりそうか?」

「さほど時間は掛からない・・っとルーさんは仰っていたいましたのでもうそろそろかと・・。

では、先に珈琲でも淹れましょうか?」

「流石は秘書令嬢、気が利くな・・じゃ濃いの3つ頼むよ」

「・・あっ、私は紅茶でお願いします」

「畏まりました」

朝からキビキビ動くレイハさん、秘書に朝も昼もない、夜は別なのはご愛敬・・

かくしてようやく一息ついて穏やかな朝を迎えるのであった

っとは言えども軽食などはない、まだこの一件は解決していないのだ

 

「・・お待たせしました。砂糖は幾つ入れますか?」

 

「・・あっ、俺は何もいれないんだよ。セシルにゃ凄惨カリウムでも入れておいてくれ」

 

「畏まりました」

 

「・・レイハ、冗談・・よね?」

 

あながち本気かもしれないのだが人数分の珈琲と紅茶を配り終え軽いティータイム

激務を終わらせた戦士達は安堵の息を漏らしながら熱い珈琲を口にして体を休める・・が、

 

隅でベソかいているメルフィをフォローする者は誰もいなかった

 

そうこうしている内、居間の扉が静かに開いた

そして入ってきたのはアルシアとルー、そしてコーネリア

三人とも顔に疲労の色が現れているのだが特にルーがすごい

見事なまでにカチコチに固まっているのだ

 

「おつかれ〜、でっ、どうだった?」

 

そんな三人に声を掛けるはライ、優しい問いかけなのだがそれにビクッと体を震わせる魔幼女

「ど、どうもこうも私がやったからには成功する以外ナイダロウ!何を言っているノダ!」

挙動不審ながら応えるのだが動きが実に機械的、それだけ身に色んな危険を感じているらしい

「安心して、ルーが言った通り第2人格は完全に除去したわぁ・・

他に異常がないか検診したけど真っ白も真っ白。膜も健在よぉ?」

ルーの隣でいらない事まで説明するアルシアなのだがそのためにコーネリアは顔を赤くする

・・っというのもミランダの事が心配故に検診に立ち会っていたから・・

彼女を見守るまではよかったもののアルシアの出番となってからは

何かと赤面を浮かべる機会も多く
かなり刺激的な体験となったそうな・・

「っともあれ、これで一件落着だな・・」

「まだですよ・・。コーネリア姫、よろしいですか?」

「えっと・・貴方は・・」

「失礼、極星が一、ディオールと申します。

この度の一件を画策した王を追い詰めた者・・っと言うことになります」

「・・父様の・・では・・」

「最後を看取りました、自決です」

無感情にそう伝えるディ・・対しコーネリアは動揺もせずに静かに目を閉じた

「・・ありがとうございます、それが知れただけでも嬉しいです」

「いえっ、やろうと思えば首だけ残してでも生き延びさせるつもりでしたが・・」

「・・・、いえっ、シウォングの皆様にはご迷惑をかけそうしたい気持ちも理解できますが・・

事件直前の父の様子は明らかに異常でした、

自ら死を選んだのであるならば・・それでいいと思います」

「・・・・」

コーネリアの言葉にディは静かに目を細めた

その表情は敵意に近く冷静に彼女を見つめている

「すみません・・・貴方達の感情を無視する事になるかもしれませんが・・。

父はこの一件を除けば誰からも信頼される良き王だったのです・・」

「・・わかりました、ですがその良き王が暴走したのは貴方達にも原因があるという事を知りなさい。

死んで済むだけでは教訓は生かされませんからね。

いいですか?こんな阿呆な戯れ事、一度でも十分です」

「・・・すみません・・」

きつい言葉に俯くコーネリア、今までそこまで強く言われた事がないのか

動揺を隠しきれないようだ

「はいはい、そこまで。余り苛めたらダメよぉ?彼女だって被害者なんだからぁ」

そんな中に仲裁に入るアルシアだがディは・・

「僕は真実を伝えたまでですよ」

っとさっぱりしている・・、彼の言う事も正しい

暴走をしたのであるならばそれに気づかなかった周りの責任もあるのだ

 

「やれやれ・・でっ、コーネリア姫・・これからどうするつもりだ?

とりあえずはロカルノの使いが国民に事の顛末を話している

・・が、ちゃんと関係者が言わないと混乱は納まらないぜ?」

話を切り替えてライがそう言う。

それにコーネリアは深く目を瞑りながら自分の手をギュッと握り締めた

「・・父の不始末は娘の私の責任でもあります・・。

私はその位を引き継ぎ父が残した汚点の精算と民を豊かにする使命を果たしたいと思います」

「・・・良い応えだ。ならば俺達にできる範囲ならば協力は惜しまない・・何なりと言ってくれたらいいさ」

「で、ですが貴方様にご迷惑をかけるのは・・」

「これも何かの縁だ、立て直す程度ならちょうどいいだろう?

軽い技術提供ぐらいしかやることなさそうだしな」

「わかりました・・、シウォングの支援・・ありがたく頂戴いたします。

このご恩はいずれ必ず・・」

深々と感謝の意を示し礼をする新しき王、

その振る舞いはすでに王位を継ぐ者としての気品に満ちていた

「よし、ならば俺達も軽く手伝いするか・・。

アミルもクローディアもしばらくは動けそうにないしなぁ」

大きく伸びをしながら協力を名乗り出るクラーク、

彼としてもこのまま帰るのは後味が良くないらしい

それに事実、アミルとクローディアの状態もすぐに回復するほど良い状態でもないのだ

「クラークさん・・ですが・・」

「気にするな。こちらとしても不覚を取ったが故に本来の流れから脱してしまったからな・・」

今度はロカルノ、彼としてもクラークと同意。

仮面を付けていても基本的にはいい人なのだ

「ロカルノさん・・ありがとうございます」

「そうと決まればまずはその事を国民に伝えないとな。

俺が馬を出して騎士団もろとも送ってやるよ・・アルシア、ミランダは目を醒ますのには時間がかかるだろう?」

内心は気を失っているクローディアが気に掛かるのだが

やはり一応リーダーとしてやることは終わらせないといけないわけで

クラークがそれを名乗り出た

「ええっ、そうねぇ・・もう一日ぐらいは寝続けると思うわ」

「なら、決まりだ。ライ・・馬一頭借りるぜ?」

「そんくらいお安い御用だ」

「んじゃ、私達は一区切りとして今日はゆっくりさせてもらおうかしらねぇ」

敵意むき出しであったセシルもようやく落ち着き珈琲を飲み干す

ライを殺すと息巻いていたはずなのだがそれも忘却の彼方へ・・

切り替えの速さは名人芸?

「てめぇと意見があうのは嬉かないがそれもそだな。じゃ、ルー♪覚悟はいいカネ?」

ワキャワキャと指を動かしライはルーをホールドする・・

彼を前にルーは身動き一つする事も出来ず

「覚えていたカ!?あの女の人格除去したらそれで帳消しでイイダロウ!!?ライ!?」

ジタバタともがくルーなのだがそうやればやるほどライのホールドはがっちりと決まっていく

それは彼女もわかっているのだが止められずにはいられない

「だ〜めだ、それは普通にお前の仕事だからやって当然、それを差し引いてもオシオキ征きは確実です

罰としてお腹破裂は確定な」

「うわぁぁぁん!トカゲ!助けろぉぉ!」

 

「う・・うぅ・・あ゛み゛る゛ぅ・・」

 

抱き上げられながら同盟者に助けを求めるも、

その相手であるメルフィには届くことなく・・

結局は激しくネッチョリとしたオシオキを受けるはめになりその日ルーの姿を見る事はなかった

 

・・・

 

そして翌日、王の急死に伴い第一王位継承者であるコーネリアがリキニウスの女王に就任し

今回の事件の顛末と王の不正を伝えた。

それに国民は言葉を失うも罪を償わんとするコーネリアに声援を送り

その国は本当の意味で一つになったという



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