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第十三節  「見えかける真相」


シュッツバルケル軍の前衛部隊が里への襲撃を開始したのだがその成果が見えず連絡が取れない
そのためについに本隊は前衛の連絡を待たずして中継軍地に移動を開始した
御大ミネルバを含め彼女に忠実な兵士達がゾロゾロと山道を進み何の妨害もなくあっさりと
中継軍地へと到達・・
しかしそこで待っていたのは思いもがけない状況だった

・・・・・・・

「前衛のケイオス、サラ、イオは消息を絶ちメイガスは死亡・・それだけの状況なのにお前達は何の行動も起こさぬのか・・」
出迎えた先発隊の報告を受けミネルバは静かにそう言いやる
冷徹な眼差し・・、確かに軍の実力者がほぼ機能しない状態にまでなっているのだ
それで部下は出向かず基地におり、さらにはメイガスが殺害されたのに彼を仕留めたクラークを追撃すらしていない
これは軍法会議になっても致し方ない行為だ
「・・・は・・申し訳なく・・」
責任者として一歩前に出たのはクラークを見逃したあの老騎士
臆することなく御大の言葉に耳を傾ける
「言い訳はせんのか・・?」
「・・ありません。ただ・・」
「・・何だ?申してみよ?」
反論する老騎士に目を細めるミネルバ・・、彼が反論をしたことなど今まで一度たりともないのだ
「・・・・・、今回の作戦。我らは納得が行くものではありませぬ。
ましてはメイガスなどという怪しげな者を従え人道を外した手段をとるのは・・軍人としてもふさわしくありませぬ
是が非でも・・見直していただけませぬか」
その場にいた全員が同じ眼差しでミネルバを見つめる
「・・・たかが一兵士が私に意見をするというのか・・」
「・・・はい・・」
「・・ふっ・・」

ザク・・

次の瞬間、老騎士の肩に深々と刃が食い込んでいた・・
「貴様達は駒だ・・。駒は主に逆らってはいけない・・そうだろう・・?」
返り血を浴びながら不適に笑うミネルバ、流石にこの仕打ちには先発隊が反発する
「ミ・・ミネルバ様!」
深手の老騎士をかばいながら若い騎士数人が前にでる
「・・うるさい駒だ・・駒は・・駒・・ら・・しく・・」
急にミネルバの口調がおかしくなる・・見れば彼女の肌に何が蠢く物が・・・
それはどす黒い血管のような触手、肌の内側を不気味に這っている・・それはまるで何かの根のよう・・
「・・ミ・・ミネルバ・・様?」

”やれやれ・・あの男に感化されてはいけませんね・・せっかく面白くなってきたのですから・・”

豹変するミネルバに呆気を取られる騎士達・・だが、不意に響く男の声に正気を取り戻した
「この声・・ま・・さか!」
”やはり、使えませんね・・貴方達は・・”
狂気に満ちた声が響き・・ミネルバはゆっくりと槍を振りかざし・・
・・・・一方的な殺戮が始まった・・・


一方里では・・
「やれやれ、お前達でも手傷を負ったか」
作戦会議な場として活用しているアミルの家、そこであぐらかいて座っているクラークがセシルとロカルノを見て笑う
「・・はん!あんたと違ってこちとら現場主義な戦士と戦ったのよ!」
「・・そうだな、激情して敵地に単身で突撃する馬鹿にとやかく言われたくない」
仲良く反論するセシル&ロカルノ、どちらかと言えばロカルノのほうが深手なのだが全くそんな感じは伺えない
敵を出迎えたユトレヒト隊だったが敵の動きがなくなったので一旦里に戻ったのだ
とはいえ油断大敵ということでメルフィは自分から言い出して様子を見に行ったようだ
故に今アミルの家にいるのは当人とユトレヒト隊+α、ステアに意識不明のイオ
そして・・
「・・生きているのか?団長さん・・」
黒薔薇師団団長サラ・・、セシルの一撃にて未だ混沌しているものの・・
「まぁ重傷だけど命には別状ない程度にしていたわ。・・こいつ、何か知っているようだしね」
セシルが土壇場で手加減をし彼女を連れてきたのだ
「・・・、何か・・か。まぁそれは目覚めてからだな。ステア・・説得はできるか・・?」
クラークの言葉にステアは少し顔を俯くが・・
「・・はい、団長は・・軍務には厳しい方ですが本当は優しい人です・・。イオ隊長があんなことになったのだったら・・
きっと・・」
隣で未だ目を覚まさないイオを見るステア・・、不気味な生物こそへばりついていなく状態からして眠ったままでいるようだ
「・・、キルケ。イオさんは・・どうなんですか?」
一番心配なイオの姿・・、それは面々も同じようでクローディアがキルケに尋ねる
「・・・、魔法生物の憑依による体力の消耗・・だと思います。人体実験にされたのがその話にあった憑依だけでしたら・・
自然に目が醒めるはずです。私とミィで回復魔法を施しましたので後は安静にしておけば・・」
「ミィ・・このひと・・だいじょうぶ」
イオの隣で座るミィが元気に応える・・、目が見えない分独特の感性を持っているためにその言葉は信用できたり・・
「そう、なんとかなるといいんだけどね。・・・どしたの?アミル?」
至って楽観的なセシル・・だが、何か押し黙っているアミルに気づき声を・・
「・・いえっ、皆さんが傷つきながら戦っていらっしゃるのに・・私は・・」
お役に立てていない・・っと
それにロカルノが少し口元を上げ・・
「気にするな。君の出番はいずれくるさ」
「ロカルノさん・・」
「今は私達が戦い番・・ただそれだけさ」
「・・・ありがとうございます」
ロカルノの優しい言葉に微笑むアミル、何げに女性を落ち着かせるのが得意だったり・・
しかしそれを見逃さないのが・・セシル
「ちょいロカ。いやにアミルに優しいじゃないの・・」
「ふっ、まぁ共に特訓をした仲だからな。落ち込んでいて放ってはおけまい」
「そんなの言い訳よ!浮気したらしばく!しばき倒ぉぉっす!!」
ムキーっと怒り出すセシル、それに面々呆れ返り・・
「その態度はやばいんじゃないのか?アミルにフレイアか・・、どちらもロカルノにお似合いじゃないかぁ♪」
「こらっ!ハベラシ眼鏡!言って良いことと悪い事があるわよ!!」
「・・何言っているんだよ、誰を自分の女にするかはロカルノが決めることだろ?お前素行が悪いからマイナス要素が高いし♪」
「・・死ぬか?」
キランっと光る瞳は明確な殺意・・そりゃあもう、サラ戦よりも鋭く・・
「あ・・あの、私は・・ロカルノさんに・・そんな感情は・・(オロオロ)」
慌てるアミル・・、本当に殺劇がここで起きそうな感じなので怖くてたまらないようだ
そんな中、サラが呻きながら目を醒ます・・
「う・・あ・・ここ・・・は・・」
「あっ!まだ動いちゃ駄目ですよ!腕が完全に折れているんですから!」
起き出そうとするサラをキルケが押さえつける
当の彼女は全く状況が把握できていない・・
「っう!!」
「ほらっ、大人しくしてくださいね。重傷には違いないんですから」
痛みを堪えるサラを介抱してやる・・、キルケにもたれてなんとか安定したのだが目の前にいたのは・・
「ステア・・!?」
自分を心配そうに見つめる水色の髪の女性ステア・・、それを見て全てを悟った
「生か死かの戦いに手を抜いたのか!セシル!!」
ステアが目の前にいるということは彼女により捕まったということ・・、真剣勝負のはずがこのようなことになっているので
サラは激怒している・・のだが、怒りの対象は明後日の方向を見てピーピー口笛を吹きしらばっくれている・・
「仕留め損なったんだから仕方ないじゃなぁ〜い?」
「・・くっ!今すぐ再開しろ!今度こそ貴様を!!ぐわっ!」
無理やり体を起こそうとするのだが体を走る激痛に思わず唸ってしまう
「駄目です!戦闘できる体じゃないんですから!」
「く・・ぅ!この・・ような生き恥を晒すとは・・!!」
「・・団長、落ち着いてください・・」
荒れるサラにステアは静かに言う・・、裏切った者だが彼女のサラに対する態度は以前と変わらぬ態度・・
「ステア・・、お前・・」
「セシルさんは隊長に聞きたい事があったからこそ隊長を助けたのです・・」
「・・・・」
「私は・・隊長や、国を裏切った者です。それで隊長に切り捨てられても仕方ありません。
ですが・・・シュッツバルケルが良い方向に向かう機会なのかもしれないのです・・・」
「・・ステア・・、そそのかされた・・っと言うわけではないようだな・・」
「・・はい、私は・・自分の意思でここにいます」
「・・・・・・、なら、何も言うまい・・。
いいだろう、・・私に何が聞きたいのだ?」
観念したと言った表情のサラ、ステアの言葉によりどこか吹っ切れたようだ
「そうだな・・、ミネルバの竜人捕獲の本当の訳・・っとでも言うか。飛竜を捕らえ洗脳をし自軍の兵力とする・・
簡単に言うがそれを実行するのは並大抵ではない。洗脳役にはクラークが切り捨てたというメイガスという魔術師が絡んでいたと
聞いていたのだが・・詳しいところはどうなのだ?」
「・・メイガスを・・お前が・・・?」
「・・まぁな、お前の部下のイオが奴の玩具にされて瀕死になったんだ・・その報いをくれてやったのさ」
「剣聖帝・・貴様・・」
「そんな目で見るなよ、気に入らなかったから切り捨てただけだ。・・それと昔の通り名はいい加減やめてくれ」
「・・ふっ、わかった。・・私が知る限りでメイガスの正体はわからん。
ある日突然ミネルバ様が奴を傍に置き色々と自由にさせるようになったんだ。
・・思えば、あのお方が国を鎮めたのもメイガスが現れてから・・だな」
「何者なのですか?そのメーガスという者は?」
「私にもわからん。ただ異常者には違いない。・・色々と外道な事をしていたから・・な」
はき捨てるように言うサラ・・それだけメイガスの事を嫌っていたのがわかる

「・・・・、ならば・・そのメイガスと言う男が・・黒幕なのかもしれませんね」

重くゆっくりとマーチスが口を開く、いつの間にか彼の膝元で遊んでいたミィも「何?」っと見上げている
「マーチス様・・?」
「・・、私はミネルバの快進撃は国のため・・そして私を忘れるためにと思っていました。・・だが、その男が関係しているとなると
寧ろ彼女が操られていた・・っと見るほうが自然かもしれません。ミネルバは優秀な騎士でカリスマもありましたが・・よほどのことがない限り
部下を見捨てるなどという無茶はしませんからね」
「・・・・、私も、そう思っていました。メイガスが姿を現してから・・ミネルバ様はどこか冷徹に徹するようになってしまわれた
それも国の治安再建のためと思っていたのだが・・そうでなかったら・・」
「だが、黒幕とやらも全身の血を全て抜き取って死に絶えたんだ。そいつの思惑通りにはならないさ」
「兄上・・、アレをやったのですか?」
クラークの説明でどのような技で仕留めたのか理解したクローディア、
それは外道のみに許される禁じ手・・、彼自身が使用を封印していた技を放ったのだ
「まぁな。喉は切らずにしておいてから叫びながら死んでいったよ」
「まぁ悪趣味♪」
「うるせぇ、セシル。俺は斬って殺すがお前のは圧死ほとんどじゃねぇか。このグロケダモノ騎士モドキ」
「な・・なんですってぇぇ!!」

ゴン!

「・・落ち着け、セシル。的確に的を突かれたかと言ってここで話の腰を折るな」
「・・て・・的確って・・」
ロカさんのとどめの一撃にセシル・・轟沈・・
「・・ふっ、この状況にしてこれだけ砕けるか・・、私がかなうわけもないか」
「・・サラさん、そこは・・感心するところじゃ・・」
真面目さんなサラにキルケも汗がたらりと
「だけど、そのメイガスって奴もクラークが殺したんでしょ?そうなったらミネルバがおかしくなってもならなくても結局は一緒じゃないの?」
「そうだなぁ・・何されたかわからないだろうし・・」
「どの道、私が敗れたともなれば全軍で押し寄せる。結果は同じかもしれないな・・。お前達はどうするんだ・・、シュッツバルケル勢
数で来られてはどんな豪傑だろうが限界はあろう」
「ううん・・御大の首を刎ねて終わりにしたいんだが・・な。操られているとなるとどうも気がのらねぇ・・
どうする?皆?」
「どうしようもないでしょ?来るなら来る・・ってわけで」
至って軽いセシル・・深く考えてないだろう・・っと周りは白い眼をする
しかしそこに巫女姿のメルフィが慌てて入ってきた
「た・・大変じゃ!」
見るからにアタフタなメルフィ・・、ジェスチャーで伝えようとしているのだが・・はっきりいってわからない
「・・???どした?」
「だから!大変なのじゃ!!」
「メルフィ様、その理由を説明してもらわないと・・」
流石のアミルにも見当がつかないが異常事態だということは誰でもわかる
「と・・とにかく来い!!こっちじゃ!!」
アミルをひっぱり急いで外に連れ出すメルフィ・・
ユトレヒト隊も得物を手に揃って外へと飛び出した

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