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十九章  「暁の光」


グラディウスと公社領を隔てる山脈
普段はグラディウス兵が関所を築き、公社との交流を制限しているのだが
今はそれがない・・関所が燃えているのだ
それだけではなく山の所々で火の手が上がっており赤い山となっている

「・・ジャンヌ達がやったのか?」
山が見えてくるなりクラークが驚く・・。撹乱してくれと言ったが・・ここまでやる事もない
「さあな。誰がやろうともこれでは双方に目立つ。異常を知らせるにはちょうどいいのかもしれんな」
「フロス副隊長!でも山火事ですよ!山の精が怒ります!」
流石はエルフの血を引くだけ合って中々それらしいことを言うアル
「アル、総師やグラディウスを放っておけばもっと酷い事になるんだ。
・・あの山村の光景、忘れたのか?」
「クロムウェルさん・・わかりました。」
「とにかく、これじゃあ直に山中に火の手が広がって昇れやしない・・。
馬での移動もここまでみたいだし・・どうする?」
四方を火に囲まれ山を上るのは正しく自殺行為だ。
空気でさえ火傷をおう熱さとなり喉が焼けることもままある
「・・要は昇ればいいんだ・・。私が道を作ろう・・」
そういうとフロスは馬から下りチョークで魔方陣を書く・・。
「・・・・・、風の陣・・・」
その模様を見てシグマが頭を巡らせた
「えっ・・副隊長そんなことまでできるのか?」
「軍師というのはどの道もそれなりに精通しておかなければなれないものだ・・。
私がここで風を作り、旧山道に強風を放つ。
お前達は風の道を沿って駆けろ」
「・・おい、フロス・・んなことやってお前の魔力は持つのか?ものの数分で昇れる高さでもないぞ?」
「だからこうして方陣を描いたんだ。
外気を利用してなるべく長く持たせる・・。時間がない・・いけ」
「副隊長・・でもその間に敵が現れたら・・」
「私を誰だと思っているのだ?傭兵公社が最高の軍師フロスティだ。
そのくらいなんとかしてみせる・・早くしろ!」
「フロス・・わかったよ、後の指示は魔法で・・ってことで」
「ふん、ファラやナタリーがいなくなった今、どう作戦を立てていいかもはや私にはわからない
・・後は自分の力で進め・・。」
苦笑いのフロス・・。規則的な行動や計算高かった彼が始めて口にする言葉に周りは圧倒されるが・・
「わかった、じゃあいくぞ!恐らくはグラディウス側まで総師は進んでいる・・
兵士なんぞ構わず突きぬけるぞ!」
クラークの気合い声、それと共にフロスが方陣の中央に立ち呪文を唱和する。
それに応えるように方陣は光りだし風が生まれ、フロスのマントをはためかせる・・
「・・ケリをつけてこい・・!!」
そうさけぶと力強く腕を振り風の流れを山道へ・・。
獣道付近の火は消し飛び一本綺麗に道ができている、上昇風による風の道だ
「もちろん!夜明けまでには戻ってきてやるよ!」
憎まれ口を叩きながら送り風に乗り山道へ一直線へ駆ける四人・・
フロスはそれを静かに見守った




炎に包まれた山道を走る四人
足元の獣道は先ほどまで炎上していただけに墨のようになっている
「・・・、しかし妙だと思いませんか?」
追い風を受けながら警戒に進む中シグマが言う
「何がだ?」
「この山火事、ジャンヌ一味が起こしたようには思えないのです」
「えっ・・?どういう事です?」
「あの羽根十字が印した方角に総師がいてグラディウスを攻めるとなると
ここを多数の人間が通ったことになる。
それをジャンヌ一味が撹乱に火を放ったとなると・・」
「山道に焼死体の一つや二つあるはず・・ってことか」
辺りには草木が燃えているだけでそれらしいものは一つもない
「じゃあ・・、これも総師がしたこと・・?」
「・・十分考えられるな。だが・・退く訳にもいかないだろう・・。突っ切るぞ!」
勢いに任せて山道を走る・・
そして山の頂上に差しかかった時・・

フッ・・

ある一線を越えた時点で火の海はぷつりと消えている・・
背後には山火事、眼下には全く無事な山林・・
そして平地に見えるは松明の明かりと兵士達の戦闘・・
「結界・・か!」
瞬時にそれを理解し叫ぶクロムウェル・・
「山火事は俺達の道を抑えるため・・もしくは・・」
「・・・・、最後の戦場へ向かうための試練・・ですか」
「・・だろうな。総師の行動が全て俺の覚醒とやらに繋がっているのなら・・行動は読める・・」
「だがどうするんです?もう戦争は始まってますよ!?これじゃあ総師を探すのは・・」
「いやっ・・、あいつは必ず俺を誘ってくる・・。ここからは俺一人で行く・・」
「ク・・クラークさん!」
「ナタリーの仇を討ちたいのはわかる。だが・・これは俺の一件だ。
俺がケリをつけなければ意味がない・・そうだろう?」
「ぐ・・・。ったく!美味しいところばかり持って行きやがって!
わかったよ!じゃあ俺達はどうすればいいんだ!?」
「どの道、襲ってくる連中はいくらでもいるだろう?」

ドス!!

クラークが言う手前に突き刺さる大木
見れば林に隠れて動いているいくつもの奇妙な影・・。
総師により奇形した兵士達のようだ
「・・いいでしょう。ならば私達がこいつらを引き連れます・・。始末した後は・・」
「元より公社は敵、グラディウスも俺達のことなんか公社の一員としてしかみないだろうからな。
・・だが、グラディウスの民を非難している奴らとは俺が話をつけている・・はずだ。
彼らと合流すればいい・・後は各自任せるよ・・」
「・・隊長・・御武運を!」
「任せとけって・・。じゃあまたな!派手に暴れてやれよ!!」
炎の明かりが差す中、クラークが不敵に笑い、一足先に跳躍し山を下っていく・・
「やれやれ、あの人にはかなわねぇな・・・。
じゃあこの怪物達で、沈めてもらおうか・・俺の怒りをな!!」
「クロムウェルさん・・そうですね!これで最後!暴れましょう!」
「・・・ふっ・・・、ぬおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
焔が照らす3人の影は闇へと消え、辺りには肉が斬れる音と血の臭いが立ちこめた





もはや夜明けに近い闇の山道をクラークは一心不乱に駆け下りていく
道中公社の兵が待ち構えていたがそれは頭上を飛び越えて相手にせず・・
いちいち相手にしていたら切りがないのだ
「・・・・ちっ、ぞろぞろいやがる・・!」
それでも眼前にグラディウスと公社の衝突が近づくにつれて兵の数も増えてくる
それも総師に命令されているのか網を張るように・・
「これ以上は逃げまわるのもきついか・・、いくぜ!!」
兵士達に向かって背中に背負っているブレードを勢いよく投げ飛ばす!!
以前シグマが武技会にて使用した技で巨大な刃の弾とかしたブレードは兵達をなぎ払って道を作る!

そのままクラークは山道を下り、グラディウス領の平原とへ降り立った
投げ放ったブレードが回転しながらクラークの足元へ突き刺さる・・
「・・・・・・・、前線に立たなくて良いのか・・、総師・・」
平原に一人立つ老剣士・・傭兵公社総師・・。どうやら最初から待ち構えていたらしく
周りには誰もいない、そして山道からの追っ手も全く降りてくる気配がないようだ
「・・、前線は我が最強の兵達がいる・・。余計な心配はしなくてもいい・・」
「心配・・?へっ・・、公社の勝ち負けなんてどうでもいいんだよ・・。お前の命さえ取れればな・・」
「・・・ふふっ・・、ファラやナタリーが殺されたことがよほど頭にきたようだな・・」
顔につけている丸眼鏡、そして腰に下げている刀を見てニヤリと総師が笑う
「・・・・、お前の思惑通りな・・。俺が超人種だかなんだかは関係ない・・。
お前には罪を償ってもらうぞ・・、死を持ってな!」
一気に刀を抜き突進!
「いいだろう、最終の出来を確認させてもらうぞ・・」
対し真っ向から待ちうける総師!得物は悪魔の翼のような鍔の特大ブレード、
大きさからして身長代であり斬馬刀のようだ。
公社の長である装飾がなされた軍服をなびかせゆっくりとブレードを振りかぶる・・


キィィィィィン!!!!

振りかぶりから思いもかけない速度で襲う刃をクラークは二刀で十字受けする・・・
「ぐ・・、な・・んだと!?」
「わしをひ弱な老人と見ていたのか・・?クラーク=ユトレヒト・・」
確かに逞しいとはいえない体躯の総師、長い白髪を揺らしている所はどこかひ弱そうな
印象を与えてきた・・。しかしあまりある眼光のするどさで全てを威圧し、
またその体躯で自分の身長を超える剣をかるがる振りまわしているのだ・・、
意外といわざるをえない
「化け物が・・、だが・・、そのくらいの覚悟は出来ている!!」
十字受けしながら前に駆け出す!
ブレードを防御しながら必殺の距離まで近づこうとする気だ
「・・ふっ、その意気はいいだろう。それでなければ面白みも湧かん・・。しかし・・」
スッとクラークに押し付けたブレードを引っ込める
それを好機と見たかクラーク、一気に総師へ迫り・・
「うおおっ!」
「片腹痛いわ!」
刀を振る前にクラークの顔を掴み、持ち上げる!
「ぐ・・馬鹿な・・」
「失望させるな・・、それが超人種としての力か・・・?」
片手で大の男を持ち上げる・・、異常な光景だ
「ぐ・・、なめるな!」
何とか抵抗するクラーク、総師の顔面に蹴りを入れアイアンクロー状態から脱出・・
そのまま・・

斬!

鋭い一撃を総師に放つ!
しかし、総師は鋭い剣風を物ともせず半歩下がり刃は空を斬る・・
「まだまだぁ!」
「・・ふん・・」

キィン!キィン!キィン!!

『雪月花』と『紫電』の連撃も特大ブレードの異常なまでの早い動きに防がれる・・
「・・、つまらん・・。もっと本気をだせ!」
攻撃の一瞬の隙に総師が強烈な蹴りを放ち、
それをまともに受けたクラークは地を滑らせながら飛ばされる
「はぁはぁ・・。まさか・・これほど力量が離れているとはな・・」
「公社を引き連れた者として当然といえば当然だ」
攻撃が全て弾かれ、その隙にキツイ一撃を受けているクラーク、流石に息が上がってきている
・・並のものならすでに死んでいるだろう
「なら、なんで超人種やら怪物を作る・・。お前が強ければそれで満足じゃないのか?」
「・・わしは理想の戦士を見てみたいだけだ。グラディウスの犬になったのもそのため・・。
どんな攻撃にも耐え起死回生ともなる一撃を放てる最強の戦士・・、
それを見るのがわしの行動理念だ」
「理想だぁ?・・貴様自身がすでにその域に達しているんだろ?」
「・・ふっ・・見ろ」
おもむろにブレードを地に刺し、服を引き千切る
そこにあったのは傷だらけの肉体、以上に不気味なのは肌がどす黒く腕の筋肉あたりは
立派なものだが人間のものではない肉質になっている・・
「・・・!!」
それを見たクラークは総師の強さをすぐに理解できた
「戦いに有効な薬物なら全て打った。さらには力を維持するために魔物の筋繊維を取り入れた
・・。結果確かに素晴らしい力を持つが・・直に滅びる。
そのような者をどうして理想の戦士といえよう?」
「・・・狂っている・・」
「ふん、今更何を言う・・。
貴様がわしの追い求めた超人種となればわしの理想の戦士ともなれると思ったが・・。
どうやら見当外れだったらしい・・。失望したよ」
「そりゃあどうも・・。んな事でグラディウスを乗っ取って・・。俺の後にまた超人種を探すのか?」
「そこまでわしの命は持たん。ならば・・世界を傭兵達の天国とし、
理想の戦士が溢れる世界にする・・それも一つの目的だ。
まぁ・・、先ほどまではお前をおびき寄せるための演出だったのだがな・・」
「・・・・、もはや・・何も言う事もない・・。ならばアイゼン流が皆伝者クラーク・・。
我が剣を持ってお前を仕留める」
そういうと『紫電』をしまい、『雪月花』のみを構える
一刀を操るクラーク本来のスタイルへ・・
「・・いいだろう。貴様がどれだけやれるか・・。次の一撃で見極める・・。」
特大ブレードを持ち静かに構える、上半身裸で防具は一切ない・・
それでもまるで楽しんでいるかのような瞳をしている
「ちっ・・、おおおおおおおっ!!!」
決死の特攻・・、2重に身体強化をし揺らめくように駆ける!
アイゼン流剣術にての戦歩術『霧足』だ。残像を残しつつ正しく疾風となりて突進する!
「・・・・、ふん・・・」
対し総師はつまらなさそうに息を放ちブレードを構える

斬!斬!!

『雪月花』の刃が総師の肩を浅く斬ったところで止まる・・
「致命傷は避けた・・か」
不敵に笑う総師・・
「ぐ・・・・く・・そ・・っ」
苦悶の表情のクラーク、見ればわき腹をブレードがかすめ、腹から血が出ている・・。
「咄嗟に腰を振って回避したか。・・だがその出血・・、もはや勝負は見えたな・・」
そういい、血が噴き出る腹を狙いクラークを蹴り飛ばす・・
「がは・・、くっ・・」
吹き飛ばされて土にまみれるクラーク、そこら一帯に血がたまっていく
致命傷は裂けどもかなりの深手のようでクラークは血が出ないように強く脇を押えている
「さらば・・、貴様も所詮は出来そこないだったか・・」
起き上がることすらままならぬ状態だが一切の容赦をしない。
特大ブレードを振り下ろし引導を渡すつもりだ

(・・ちっ・・、駄目・・か。すまないファラ・・ナタリー・・仇は取れないようだ・・)

回避に間に合わず覚悟を決めるクラーク・・・

”何やっているの!がんばりなさい!!”

「!!!」
不意にファラの声が頭に響く・・。
それと同時に目をカッと見開き起き上がる!
それにより間一髪でブレードから逃れることができた・・
「・・ほう・・まだあがくか・・」

「はぁはぁ・・ったく・・・死んでも俺に喝を入れるのか・・?ファラよ・・。
・・・そうだな、お前の気持ちに・・応えてやらないとな・・」
今まで怒りに満ちていた瞳が静かになっていく・・
曇りのない一点の心・・明鏡止水といわれる心地だ
「・・・、あがくか・・。それもいいだろう」
止めに今度は身体を回転して横なぎにクラークを斬りつける
「・・・・・!!」

ジュッ・・

高速に襲い来るブレードをクラークは素手で掴み、そのまま刃を溶かした・・
「・・、報告にはない技・・だな・・」
得物が半分駄目になったのに総師は冷静そのものだ
「不浄を払う破滅の光・・極光さ」
刃を溶かした右手を広げて見せる、そこにはファラ並ではないがきらきら輝く物が揺らめいている・・
「ほう、ファラ=ハミルトンが開発したという超難位の魔導か。まさかお前が学んでいたとはな」
「忘れていたよ・・今の今までな・・、いくぜ!」
先ほどまでとは違い緩やかに走り出す。
腹から流れる血もそのままに・・
「ほう・・ついに覚醒したか・・。ならば!」
刃が途中で溶けたブレードを遠慮なく振りまわす
「・・!見える!」
先ほどまでなす術もなく受けてきた攻撃が手に取るように見え華麗に避ける
そのまま総師へ肉迫し・・
「いけぇ!」
右手に閃く極光を腹に押しつけ消滅させる!
「・・!!・・まだだ!」
総師の左の脇腹が瞬時に溶けぽっかりと穴ができている・・。
しかしそれでも総師は冷静に反撃を・・

バキィ!!

「うわっ・・・、腹が吹っ飛んだのにまだこの攻撃・・だが・・俺も退けない!!」
鋭い痛みを堪えクラークはなんとか体勢を立てなおす!
「うおおおおおおおおおおおお!!!!」

斬!斬!!斬!!

両手に全ての力を込めて総師を斬る!斬る!斬る!!
異常に固い手応えの中それでも総師を仕留めるがために力を発する
「ぐぬぅ・・調子に・・乗るな!!」

バキ!ドゴ!ガス!ドン!!ドン!!

鋭い斬撃に耐え、そのまま素手にて反撃!
身体の急所を強打し、殴り飛ばす・・!!
「ふ・・、わしをここまで追いこむとはな・・だが・・それでもまだ力が足りん・・」
「あ・・ぐ・・、あばらが三本・・腕も・・、へっ・・目まで霞んできやがった・・」
何とか立っているといったクラーク、足元には血溜まりができている
「よくやったとは褒めてやろう・・貴様は紛れもなく公社では最強だった・・。利口ではなかったがな」
「・・へっ、俺は束縛されるのが嫌でな・・。それと・・過去形にするな。まだ勝負はここからだぜ?」
「それだけ血を流し、もはや刀もろくに掴めない身体で何ができる・・?
あの極光も出せないところ、魔力も底をつきかけたのだろう・・?」
「血を流しているのはあんたも一緒だ。・・まぁ、色々やっているだろうから死にはしないだろうがな」
「・・ふん、ならば死を享受するがいい。そろそろこの余興も飽きてきたのでな」
「へっ、ならば俺も終わりにするぜ・・」
そのまま無言になる二人
かたや完成された肉体で相手を叩き殺そうとする総師
かたや満身創痍のまま『雪月花』を持つクラーク
遠くでは戦いの叫び声も少なくなってきており地平線の彼方から日が昇りはじめた
「・・(ナタリー、ファラ・・。1度だけでいい。俺に力をくれ・・)」
全ての力を刀身に込める・・
二人の魂もそれに応えたかどうか、雪月花が蒼く光出す
「・・何をするか知らんが、いい加減悪あがきもやめろ・・」
「どうせ1度の人生だ・・最後まであがいてやるよ!!」
最後の力を込めて総師に向かって駆けるクラーク!
大きく振りかぶりなぎ倒す!
「愚か!!」

ドス!!

振りかぶったクラークの胸に総師の手刀がはいる・・
クラークは強く痙攣したかと思いきや動きが止まってしまった
「・・・・、この手応え・・首飾り・・?」
心臓を貫くつもりだったが皮膚を突き刺すすんでで感触が変わった
見ればクラークの心臓を守るようにぶら下がった
あの蒼いネックレスと赤いネックレスが総師の突きを止めたようだ
「ぐ・・・これ・・・で・・!!」
それでも身体を襲った衝撃に耐え、クラークは宙へ・・
「終わりだ!!!」
気合い声とともに雪月花が蒼く光出す!!
「魔力の暴走!?貴様!これを・・・」
暴走した刃を白羽取りしようとする総師!
しかし

斬!

総師の人外の身体を切り裂き刃は身体に食いこんだ・・
「終・・刃・・破!!」
渾身に力を込め、魔力を刃へ・・、雪月花からは光りが溢れ辺りを包み込む

「ぐあああああああ・・わ・・わしが・・敗れるというのかぁ!!」

「罪を償え・・地獄でな・・」
一面真っ白な空間となったがクラークは静かに応える

「ぬぅ・・ふふっ・・だが・・これでわしの念願はかなった・・クラーク=ユトレヒト・・いや・・
超人種よ・・。貴様の行く末、地獄で見ているぞ・・・ははは!はははははは!!!!」

狂気の笑いを放ち総師は光にの中に消滅していった。
閃光が終わった時、そこには刃が真っ二つに折れた『雪月花』と
それを抱え、地面へ倒れているクラーク
暁の光が彼を照らし始めた時・・、戦いは終焉を迎えた・・




クラーク・・クラーク・・

(ファラ・・、なんとか勝てたぜ。俺もボロボロだけどな・・)

全く・・、人の得物を使ってその程度・・?

(ナタリー、そう言うな。これでも精一杯なんだからさ・・。ははっ・・、身体が沈む。俺も・・
お前達の所へ・・)

駄目よ・・、貴方は生きて・・

(・・、だが・・、俺はお前を失った・・。これからどうしていいのか・・)

馬鹿、死んだ者に応えるのが生きている者の役割でしょ?

(じゃあ・・俺はどうすればいい?お前達も守れず、仇を討つのも精一杯な俺が・・)

答えは、自分で探しなさい。私の刀、貴方は上げるわ・・

・・クラーク、貴方は生きて・・前を見て・・きっと貴方を待っている人がいる・・

(・・・・・、わかった・・ナタリー、ファラ・・ありがとう・・)







・・・・
・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・・
「うう・・ん・・、ここは・・」
長い間意識がなかったが不意に目を醒ますクラーク・・
辺りは総師と戦っていた平原ではなくどこかの一室
窓から見える風景からしてどうやら山の中のようだ
「俺は・・生きている・・?」
何が何だか解らない状態のクラーク・・

ガチャ・・

不意に質素な扉が開き、傷だらけのアルが入ってきた
「た・・隊長!目が醒めたんですか!!」
「あ・・ああ。アル・・ここは・・」
「クラークさん!よかった〜!!」
声を遮るようにアルがクラークの手を握る・・
それに続く様に地響きがしたかと思うとシグマ、クロムウェル、フロスが駆けてきた!
「クラークさん!ようやく起きたか!」
「全く・・、よく生きていたものだ」
「・・・、それは我々全員ですが・・」
全員包帯だらけだ・・、フロスでさえ腕にギブスを捲いている
「お前等・・、あの、事態がわかんないんだけど・・」
「お前は戦場の真中で伸びていたんだよ。
そこをジャンヌ達が見つけてこのアジトまで連れてこられたいうわけだ」
「・・・、そ、そうか・・俺、あのまま気を失ったんだな・・」
「結局、総師はどうなったんだ?お前しかわからないようだ」
「あいつは・・、肉の一欠けらも残らず消滅させたよ。」
「じゃ・・じゃあ!」
「ああっ、俺達の勝ちだ・・それよりも詳しい経過を教えてくれよ?
俺が伸びていたのはわかったんだけどさ」

「あんたが伸びている間に公社とグラディウス勢の衝突が激化、
双方弱ったところでグラディウス軍の一部、ダグラスを提督とする軍勢が現れて事態を
収集させたってわけ。
今はそのダグラス軍がグラディウスを暫定的に支配しているわ・・、
王も何者かによって死亡、公社総師も行方不明だし・・ね」

説明しながら部屋に入ってくるは金髪のお色気姉さん、ジャンヌ
盆に食事を乗せて届けてくれたのだ
「あいつらが・・か。グラディウス市民の被害は?」
「ゼロ。あらかじめ民を非難させてからダグラス軍はドンパチ始めたみたいね。
幸い、公社の化け物達はそこの三人が片付けてくれたからすんなり制圧したみたいだけど・・」
「簡単に言うなよ。こちとら何度死ぬと思ったことか・・」
腕にギブスをしているクロムウェルが腕を広げておどけてみせる
「ははっ、でもクロムウェルさんが一番先陣を切っていたじゃないですか、
ナタリーさんも喜んでいますよ」
「・・・、そうだな・・」
今は亡き斬りこみ隊長の意思を受け継いだ彼を二人も認めてくれているようだ
「お前ら三人は化け物退治の後にダグラス勢と合流したってわけか・・、じゃあフロスも?」

「私はジャンヌに助けられた。お前達が山を駆け上った後に公社兵にばれてな。
しばらく戦闘したのに・・だ」
「軍師が敵に囲まれても雄々しく戦っているんだからねぇ。
見上げたもんだよ。あっ、いっておくけどあの山火事あたい達の仕業じゃないよ」
「それは俺達も思っていたところだ。じゃあ終わったんだな・・」
「そうです。グラディウスもダグラス王子は王制を破棄して
サマルカンドに自治を依頼するって先ほど発表したそうです。
自分はもはや国とは関係ない。双方、民を危険にさらした故に国を治める資格はないって」
「ラファイエット達にか・・、どんな返答するか見物だな。」
「・・・・・、それと、ダグラス勢の人間から貴方に伝言が・・」
「???」
「・・・協力感謝する。貴方達こそ真の英雄だと・・、ダグラス王子が・・」
「へっ、こんな傷まみれの男が英雄?面白い冗談だ!」
「やれやれ・・でっ、どうするんだ?これから・・」
「傷が治ってから考えるよ。お前等もまだ満足に動けないんだろう?
ジャンヌ。もう少し厄介になっていいか?」
「あたい達は構わないよ。でも・・あの二人の遺体はどうするんだ?」
どうやらナタリーとファラの冷凍された遺体もここに安置されているらしい。
その話題になると全員の顔が曇った
「・・・ファラは・・俺がどこか綺麗なところに埋めてやるよ。
ナタリーは髪を少し切って火葬してくれ。・・俺達の国ではそれが一般だったから・・」
「わかった・・。立ち会うかい・・?」
「そんな勇気ねぇよ・・。クロムウェル・・見届けてやってくれ」
「・・・、わかった・・」
クラークはナタリーだけでなくファラも葬らなければならない。
その心情から
クロムウェルも静かに応えてやった。

クラークが目覚めた事で一同安堵の息をつきつつも負傷している故に
やがて個室へと戻っていく面々・・
それより少し経ってから窓からの風景に静かに昇る煙が見えた
それを見たクラークは堪えきれず声を押し殺し目から熱いモノが零れた


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