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第四節  「呪われた騎士」


メデューサの一件が解決し村は喜びの包まれた
一部犠牲になった娘の親達は涙を隠し無事生還した者達を眺めていた
一方、見当違いな捜査をしていた騎士団は悪びれた感じもなくこの結果を導いた
者達に賛辞の言葉を送るなどと言い出したが当の三人はそれ所ではなく・・

「はぁ・・はぁはぁ・・」
宿の2階、ロカルノが泊まっている部屋から聞こえる荒い息
その主は意識が戻らないセシル・・。
鎧はすでにロカルノが脱がせており蒼い戦闘スーツ姿のままで顔は汗でびっしょりだ
「・・・、どう見ても普通じゃないな。何かあったのか?」
「私も心当たりは無い。とは言え持病かもしれんし・・、何とも言えんな」
「まぁ言っても初対面だもんな・・、村に滞在している医者はもう来るんだって?」
「ああ・・だが・・、病気・・というわけでもなさそうな気がする」
「じゃあ何だよ?」
「それがわかれば苦労はしない。ともかく、専門外だ。その筋の人間に任せるのがいいだろう
・・・・事件が解決して旅立つ予定だったが・・、少々痛いな」
「急ぎの旅でもないだろう?何しているかわかんないけどさ」
「・・そう言うのを偏見というんだ、憶えておけ」
呆れ口調のロカルノだが気兼ねなく話してくるクラークに軽く口元を緩めている

「ごめんください、病人はこちらですか?」

そうこうしている内に髭だるまのような医者が入ってくる
どうやら滞在医らしく村の言葉のなまりのようなものはない
「ああっ、症状は・・見ての通りだ。私達ではわからん・・頼んだぞ?」
そう言うとロカルノはさっさと出ていく
クラークもここにいても無駄とわかり頭を掻きながら出ていった。

宿の廊下・・、てっきり村の中の散策にでもでかけたかと思っていたロカルノが壁にもたれていた
「へぇ、セシルが気になっているのか?」
「・・・・、まぁ、あれほど急に苦しみだしたなら・・な」
「急にって〜、何かやったのか?」
その場にいなかった故にクラークも状況が全くわからないようだ
「そうだな・・、魔剣を使用した後に苦しみだした・・っといえども普段から少し苦しがっていたが・・」
「魔剣を使用って事は〜、魔力を消費したわけか。
その分身体の抵抗力が薄くなるし・・、それが原因?」
「だが元凶が見えん。こればかりは・・な」
「このまま放っておくわけにもいかないし・・、メデューサの一件以上に厄介だな・・ったく」
頭を掻きながら唸るクラーク・・ロカルノも黙ってただ医者の診察を待っている

そんな重苦しい時間が流れること30分・・
医者は部屋から出てきた・・しかしあまり浮かない表情で肩も落としている
「どうだ・・?」
「普通の病気じゃ・・ないですね。私の知る限りの病気には当てはまらない症状です」
「医者でも知らない病気・・か」
「どうも・・病気とは違った・・感じですかね。
身体に黒い斑点は浮んでいるんですがどれも不規則ですしまるで・・」
「まるで?」
「・・医者の私が言うのもなんですが、何かの呪いのような・・」
「「・・・・・」」
「いやっ、失礼。今のは忘れてください。では私はこれで・・」
「ああっ、すまないな」
ロカルノは何枚か金貨を布に包んで医者に渡す、
医者は申し訳なさそうに一礼して宿を去っていった
「・・・、少し様子でも見るか。本人から何か聞ければいいけど・・」
「そうだな・・。しかし・・」
「??」
「呪い・・か」
「・・・」
『呪い』の言葉に少し戸惑いの表情を浮かべる二人・・、
しかしともあれ中に入り当人の様子を見に入った


セシルは医者に診たおかげかどうか、少しは落ち着いているようで
呼吸も正常だった・・。意識も取り戻しており静かに外を見ている
「気分はどうだ・・?」
とにかく、クラークが何気に声をかけてみた
「・・・、いいわけないでしょ?」
疲れきったセシルがぼそっと呟く
「そりゃもっともだけど・・さ」
「遠まわしなのは止めよう。お前、その症状に心当たりはあるのか?」
「・・・・、あるわよ。でもそれを貴方達に話でどうなるわけでもないわ。
事件も終わったみたいだしこれ以上私に関わらない方が良いわよ」
「それが一番賢明なのはわかっているが・・
私としてもこのまま放っておくのは寝覚めが悪いのでな」
「俺も右と同じく。確かにそんなに親しくはないが同じ事件を解決した仲だろ?」
「・・・・、はぁ。馬鹿ばっかね」
ロカルノとクラークの言葉に静かに笑うセシル・・
やがて決心したようでゆっくりと話し出す
「私は・・、簡単に言うと呪われているのよ。騎士団時代に厄介な悪魔が現れてね。
それを退治した際に返り血を浴びたの・・・それに呪詛が込められていたのか、
定期的に染みが浮きあがり身体中に激痛が走るようになったってわけ」
「・・そこまでわかっているのならばなぜ治そうとしない?」
「まっ、普通の呪いとは次元が違うレベルらしいからね。
それに・・その一件で私は・・私を慕ってくれていた子を守ってあげられなかった。
それで生き恥さらすのもどうかと思っていたから・・」
「・・・、何だと・・?」
セシルのその言葉に声色を変えるロカルノ・・
「いつも私の後ろについてくる子が・・強がっちゃってね。
なんだか私が生きているのが申し訳な・・・(パァン!)痛っ・・ロカルノ・・」
しゃべっている途中でセシルの頬へ平手打ちするロカルノ
「甘い事を言うな・・。この世には生きたくても死ななければならない人間なんぞいくらでもいる・・」
「・・あ・・貴方に何がわかるって言うの!」
「何もわからんさ。
だが・・お前を慕っていた奴はお前の死を望んでなどいないという事ははっきりわかる」
「・・・あ・・」
ロカルノの言葉に思わず泣きそうになるセシル・・
「お前がそいつの事を想っているのなら・・、そいつの期待に応えるために生き延びる。
それが残った者の使命ではないのか?」
「そう・・ね・・。失った悲しみで立ち止まっちゃ・・駄目よね」
「・・わかればいい。ではっ、その呪いを解く手がかりを探すとしよう」
ロカルノの突然の提案に二人とも驚く
「ロカルノ・・、でも・・」
「乗りかかった船というやつだ。お前は大人しく寝ていろ。・・クラーク、お前はどうする?」
「断る・・っとでも思ったか?付き合うぜ。どうやら・・お前もやかましい身内を失ったようだしな」
「・・・・・ふっ・・」
感情的になっていた事にようやく気付くロカルノ、それをクラークは冷静に見ていたようだ
「じゃあお願いするわ。でも報酬なんてないわよ、さっさと・・助けてちょうだい・・」
「へいへい、口の減らない騎士様だな。とりあえず調べて動いてくらぁ・・行こうぜ、ロカルノ」
「ああっ、わかった」
そう言うと二人は静かに部屋を出ていった
一人部屋に残ったセシル・・
「・・負けちゃ駄目よね、クリス」
亡くなった者の名をつぶやき知らぬ間に気を失っていった




「さて、調べてみるとは言ったものの〜・・実際どうよ?そう言う話題?」
宿を出たところで早速の作戦会議・・、どうしていいか検討もつかないようだ
そんな二人を道行く人々はジロジロ見ている。
まだ昼間であり人も多くすでにメデューサの一件で話題の人間を見ようとしているのだろう
「全くないな。退魔士(エクソシスト)でもいればわかるものだが・・、
その手の人間は大きな教会に一人いればいいぐらいの貴重な職だ」
「ああっ、司祭の中でもとりわけ素質がなければなれないって奴らだろう?
普通の身分の俺は無理だな」
「・・・・・、そうだな。とにかくどこか呪いについて調べる方がいいだろう。
・・所詮身位の高い人間なぞそうそう協力するはずもないだろうしな」
「おっけ〜、でも・・調べるったって・・どこでやるものか・・」

「あっ!ここにいた!」

困っている二人に突如声をかける蒼髪の娘
それはあの夜、メデューサに襲われ寸での所でクラークに助けられた村長の娘
「・・・、ああっ、あの時の女の子か!どうしたんだ?」
「どうしたって・・、助けてもらったお礼を言いたくて・・」
まるで何事もなかったように接するクラークに娘も唖然とする
「ああっ、そんな事か。気にしなくていいよ、大変だっただろうしな」
「で・・でも、事件の解決してくださったお礼をしろと
パパ・・じゃなかった村長から言われておりますので・・」
「村長・・、君は村長の娘か」
娘の話にロカルノがピクリと反応を示す
「はい・・、あの・・どちら様ですか?」
「ああっ、こいつはロカルノ。
あの一件の解決するために手を組んだ奴だ。・・何か引っかかるのか?」
「いや、村長宅ぐらいならば呪いに関する書物も多いだろうと思ってな」
「え・・・、呪い?」
話が今一つ飲み込めない娘・・
「ああっ、もう一人協力者がいてな。そいつが厄介な呪いにかかっているんだってよ。
それを治すためにドタバタしていたんだ」
「そ・・それでしたら是非うちの書庫を利用してください!!」
「・・・、自信があるようだが・・」
「ええっ、私のひいおじいさんが立派な魔術師で
その書物が家の書庫にまだ保管されているはずです!」
「そうか!でも・・いいのか?」
「ええっ!貴方達は私や村民の命の恩人です!ささっ、どうぞ!!」
クラークの腕を引っ張って歩き出す娘、
ロカルノは口元に手を当て何かを考える様に二人の後についていった


村長宅、愛娘の命を救ってくれたというだけに厚い歓迎を受けた
・・しかし二人もそうこうしてもいられないので適度なところで本題に移り書庫へと向かう
「・・ここです。どうぞ好きなだけ使ってください!」
「ああっ、ありがと。しばらく篭らせてもらうぜ?」
「はい!」
嬉しそうに応える娘・・、やたらとクラークに対して熱っぽい目で見ている
・・結婚間近のクセして・・
それをクラークは全くに気付かずに軽く礼を言ってそびえ立つ本棚を観覧し出した
「・・本に関しては全くわかんね〜、ロカルノ、どうよ?」
「魔術関係の書物が多い。タイトルで調べれば手がかりがあるかもしれんな。
解読は私がする。お前はそれらしい本を探ってくれ」
「はいはい。でも・・、こんな分厚い本を何冊も持っていいのか?俺だと数年かかるぞ?」
棚に並んでいるのはどれもまさしく凶器にもなりうるほどの分厚さ・・。
しかも字がびっしりと詰まっている代物だ・・。
「安心しろ、これでも速読技術を持っている。一冊読むのにそう時間もかかるまい」
「・・何でもできるんだな・・」
「ふっ・・、それよりもさっさと持って来い。遅くなるとあいつがうるさいぞ?」
「違いない・・・じゃあ・・どれからいくか」
ロカルノは書庫の隅にあるテーブルに腰かけ、
クラークは書庫の怪しい本を片っ端から取り出した・・


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