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第四節  「女の園」


ロカルノ達がソシエの大豪邸に滞在するようになって数日が経過した
クラーク達も一度行ったらしばらくは滞在するであろうと思っているために
特に心配もせず

「クローディア・・お・・そこそこ・・」
「気持ちいいですか?・・あっ、大きいのが取れましたよ」
「耳掃除はやっぱキルケよりもクローディアのほうが上手だな」
「その分お菓子で巻き返しますよ〜♪」
「ははっ、そうか。そんじゃお茶にしようかな」
「準備しますねぇ・・、それで、今晩は・・また一緒に・・」
「・・・(モジモジ)」
「わかっているって。どうせロカルノ達もいないんだ
おもっ・・・きり愛してやる」
「兄上・・」「クラークさん〜♪」
「・・なんというか・・・妾が入り込み辛いオーラが出ておるな・・」

っとほのぼの生活を満喫していたり・・


一方

「・・・・(ギリギリ)」
歯切りしながら大豪邸の居間のテーブルにグデ〜っとだらしなくつっぷしているセシル
ロカルノはウィンクと呼び出しを受けた『草』とで情報を本格的に集めに行って不在
数十人の獣人メイド達はそれに見合うだけの広大な屋敷の中で忙しく働いている・・
客室一つたりとて掃除の手を抜かないメイド長ウィンクの教育の賜物といっても過言ではない
だから今彼女の周りにいるのは・・
「「・・・(ガタガタブルブル))」」
ウサミミとポチのおとぼけコンビ
シーラの身の回りの世話も一段落したということもありもう一つの仕事(セシルの監視)に従事しているわけである
二人にとってはむしろこちらのほうが本番・・なのかもしれない
「・・・暇ねぇ・・(ジトーーー)」
ドロンとして目で獲物を見つめるセシル
「「ひぃ!!」」
蛇に睨めたら蛙そのものなメイドコンビ
「・・よし、ポチちゃん」
「は・・はい!」
硬く目を瞑って返事をするポチ・・
「暇だから芸をしなさい」
「え・・ええ!?」
「面白いのをね・・」
「ぼ・・僕・・芸なんて・・」
オドオドし目でウサミミで助けを求めるポチ、しかしウサミミもどうしたらいいのかわからず目が泳いでおり
二人の視線が合わさらない・・・
「芸がないって・・ダメなメイドねぇ。よし!私が教えてあげるわ!」
「あ・・ありがとうございます」
「まずは脱ぎなさい!」
「・ふぇ!!?」
「全裸になるの!」
「・・セ・・セシル様ぁ・・こんなところで・・僕・・」
「まずは己の全てをさらけ出すこと!これこそ芸の第一歩よ!」
腕を組み力説するセシル
「えええええ・・・?」
「わからないの!?基本は裸踊り!それからは腹ダンス!服を着た芸をするなんて百年早いわ!」
泣きそうなポチに詰め寄るセシル
しかしその背後にはド鋭い殺気を放つ戦の神が・・

「阿呆なことやってんじゃないよ!!!」

バコォ!!!
「ぐへぇぇぇぇぇ!!!」

背後から強烈なストレート!あまりの衝撃にセシルの頭は弾丸と貸し巨大なテーブルに直撃・・
そして一つの巨大なテーブルは二つにパックリと割れてしまった
「うう・・娘の頭を殴るなんて・・」
普通なら即死は間違いなし、だが親が親なら子も子・・
悶絶しながらも何とか生存している
「ショック療法だよ、ったく・・昔はほんと素直で良い子なのになんでこんな馬鹿になっちまったんだろうねぇ・・」
「ママの子だからか・・(グリ!)おぐぇ!」
口答えする娘にストンピング
その凄まじさにウサミミとポチ、失禁しかけ・・
「ったく!暇があるならアミルちゃんと一緒にシーラの面倒でも見てきな!」
「・・へ〜い・・」
「その前に、このテーブル捨てて新しいの発注しなよ」
「ええっ!?そんなのメイドに・・」
「壊した本人が片付けるのが筋だろう?」
「・・・壊したの・・ママ・・」

ギロォ・・

たとえドラゴンでも逃げ出しかねない強烈な睨みにセシルはなくなく従はざるをえなかった

・・・・

結局本当に豪華なテーブル一式はセシル持ちとなり発注書にサインされた
対ソシエ用の回復薬などももろもろに含めてセシル、財布が凍りつききった感じ
因みに回復薬の残量も半分を切っており傷が治りきる前にまた新しい傷をもらうために
もはや持ってきた意味もなくなってきたり・・
「うう・・早く家に帰りたい・・」
かつてないほどのホームシック感・・っというよりも自由への渇望
逃げ出したいけど逃げられないもどかしさが彼女を苛む
「・・・・、こうなったのも全てその海賊のせいよ・・。生き地獄程度じゃすませられないわ!」
憎悪の炎を額に灯しつつ向かうはシーラの部屋
なんだかんだあってセシルが彼女と会うのは実は今日がはじめてなのだ
「入るわね〜♪」
軽くノックをして中に入るセシル、瞬時に顔つきを変える技術はプロ顔負け
いっぺんして清楚なお姉さん降臨・・
そして中では
「・・へぇ・・」
思わず呆然とする光景が・・
部屋一帯に淡い光を放つ粒子がゆらゆらと飛んでいるのだ
水色と赤色の綺麗な灯り、その中にアミルとシーラはいた
「あっ、セシルさん」
転寝しかけているシーラの肩を優しく撫でてあげているアミル、その姿は正しく母性の象徴ともいえる
「アミル・・これ、何?」
「ああっ、これは光コケを真似して作った物です。癒しの効果があるだけで危険ではありませんので」
「・・へぇ・・、変わった物あるわねぇ」
確かに触れてみると熱くもなく冷たくもない
「見ていると安らぐので良くメルフィ様をあやすのに使いました」
懐かしげに笑うアミル・・それにセシルは顔をしかめつつも
「・・あのジャジャ馬の相手を・・皆でアミル一人に押し付けたんじゃ・・」
「あはは、私の家は代々族長の家に仕えていたので・・」
苦笑いのアミル、実は族長と彼女以外の高位飛竜族の人間ではメルフィを押さえ込むことなど
到底不可能であったりもする
そんな和やかな雰囲気の中、不意にシーラの可愛らしい兎耳がピクっと動く
「う・・・あ・・」
「あら、起こしちゃったかしら・・」
「あ・・私・・寝てましたか」
眠気眼なシーラ、ウサミミとは違いおしとやかさが漂うその風貌は実はセシル好み
・・まぁ、最強にして最悪の門番が屋敷にいるしシーラ自身の状況を感じるとそれどころではない
「ごめんなさいね、起こしちゃって・・」
「いえ・・あの・・貴方は・・?」
「ああっ、私はセシル。ロカルノやアミルと同じ協力者よ」
「セシルさん・・ですか。あの・・後頭部がすごく腫れ上がってますけど・・大丈夫ですか?」
「ここはつっこまないでおいて♪」
何気にまだジンジン頭に響いているソシエの一撃
常人ならば・・・
「はい、でも・・凄く落ち着きます・・」
部屋に舞う二色の光に見惚れるシーラ、その姿がどこか弱弱しい
「そういってもらえると嬉しいです。メルフィ様は・・面白みがないといつも・・(ヨヨヨヨ・・)」
アミルの辛い過去を垣間見た
「それよりもどう?ここでの暮らしには少しは慣れた?」
「ええっ、お世話になりっぱなしで申し訳ないです・・」
「いいのよ、別に。メイドなんてめちゃくちゃいるしねぇ。・・そうだ、せっかくだから
もう少し良くなったらウサミミとかと一緒にメイドの仕事でもしたら?」
「え・・?」
「まぁ気晴らしにはいいでしょ♪毎日部屋の中っていうのも滅入るでしょうし」
「私みたいな者に・・よろしいのですか?」
「じぇんじぇん♪私の一声で全てが決まるもの♪」
・・セシル胸を堂々と張る・・っというかこんなところでしか胸を張れないので
精一杯の虚勢・・
元々、この案はソシエの耳にまで届いており許可はおりているのだ
「そうですか、・・では・・お願いします」
深々と頭を下げるシーラ、その姿にセシルも満足そうだ
「よし!そうと決まれば善は急げ!ほらっ!いくわよ!」
「あ・・あの・・・セシルさん・・」
強引にシーラに腕を取り走り出すセシル、咄嗟の出来事にシーラも唖然としているが・・
アミルはとめようとはしない
「・・なんだか、セシルさんとメルフィ様って似てますね」
メルフィ二人分の面倒なんて私は見られません、
っと硬く心に誓いながら後についていくアミルだった

・・・・・・

急いで通された先は屋敷の一室にある何の変哲もない客室
そこにシーラはウサミミ達と同じ黒いメイド服を着て周りをキョロキョロしている
「あの・・変じゃないですか?」
流石に離島暮らしの原住民なだけにふりふりなスカート初体験なシーラ
かなり恥ずかしいらしい
「大丈夫ですよ♪この服は皆最初は恥ずかしいですし♪」
丁寧にシーラの服装を整えてあげるウサミミ、こうしてみると二人は姉妹のようにも見える
「それじゃあ僕達が親切丁寧に教えますね!」
ポチも嬉しそうに尻尾を振りながら接している
「うむ、似合ってるわねぇ」
二人に教えられながら掃除をはじめるシーラの姿にセシルも頷きながらそう呟く
「それにしても・・、人間は皆家事を行うのにあのような服を着ているのですね」
しきりに感心するアミル、流石に高山の秘境に住んでいただけに
メイド服などはじめてみるのだろうが
「皆?・・・ああっ、キルケね。あの子のは趣味よ・・」
「趣味・・ですか?」
「クラークに尽すために色々と衣装を揃えちゃっているからねぇ・・今では立派なコスプレイヤーになっているわけ
アミルも何か作ってもらったら?
いつもその黒ドレスじゃつまんないでしょ?」
胸元こそ大きく開いているがシックな黒ドレスを着ているアミル、彼女には良く似合っているのだが
事実、彼女が着ているのはそれ一着なのだ
「わ・・私が・・メイド服ですか?」
「まぁメイド服じゃなくてもいいんだけど・・・キルケのことだからきっと一癖ある服にはなるでしょうねぇ」
「・・考えさせてもらいます・・」
結局彼女にはいつものドレスが一番似合っているようで・・
二人が雑談をしているうちにメイド達はてきぱきと仕事をこなしていく
シーラもこうしたことがはじめてではないようでウサミミ達の教えを見る見る吸収しているようだ

「うん、私達はお邪魔みたいね。ウサミミ、ここの仕事が終わったら他のメイドにも顔を合わしてあげなさいよ」
「あっ、は〜い!ここが終わるぐらいに合同休憩時間なのでその時皆に紹介しますね♪」
「・・・なんか・・・綿密なスケジュールみたいね・・」
「ウィンク様は偉大です!」
目を輝かせるウサミミとポチ、ここのメイド達はソシエとウィンクに特別な感情を持っていることは
間違いない
「ははは・・まぁ任せるわ。私達もお茶にしましょ?
今晩辺りにロカルノが帰ってくると思うからそれから忙しくなりそうだしね」
「そうですね。休める時に休んでおけ・・っとは良く言いますからね」
「アミル、なんかどこかで聞いたことがある台詞だけど・・」
「ロカルノさんからよくアドバイスをもらっておりますので」
ロカルノを心から頼りにしているアミル、その姿にセシルの心には少しだけ対抗心が灯りだしていった

・・・その夜・・

メイド職には適正があったのかシーラは難なく仕事をこなし、他の獣人メイド達とも軽い会話をするぐらいにもなった
だが慣れない事をしたために夕食後にはもう眠りこけていた
屋敷内のメイド達も2交代制を取っているために大抵のメイドは夕食前後に交代をして休むことになっており
その日はウサミミとポチの三人で川の字になっているとか
それはさておき、夕食が終わった頃にロカルノ達が帰ってきており
ソシエと極少数の人間で結果の報告をするために客室の一つに集まり出した
「ご苦労だったね、ウィンクが出向いてこれほど時間がかかったのははじめてだよ」
椅子に腰掛けまずは労をねぎらうソシエ、白いネグリジェ姿なのだがそれが全然だらしなく見えるのが
すごいところ
「今回は流石に裏の情報でもありますので少し骨が折れました。
ですがロカルノ様のお連れ様が非常に優秀な御方でしたので時間の短縮することに成功しました」
キビっと起立しながら報告するウィンク
彼女からは私生活というものを感じることはほとんど不可能・・
「恐れ入ります」
同じく姿勢良く一礼するはロカルノ直属の諜報員、『草』ことアゼフ
身なりこそ一般市民の服装だがその身のこなしは正しくダンケルク一の諜報員にふさわしいものがある
「・・なるほどぉ、ロカルノ君。良い部下を持っているじゃあないかい」
「色々助けてもらっております」
「・・恐縮です」
「これでどうして女の好みが悪いのかねぇ・・」
「さて、血筋か何かか・・どうしようもありませんよ」
流石に慣れてきたのか、ロカルノもソシエ相手に冗談を出すようになってきた
まぁ
「悪かったわね!ったく!」
っと言われている本人にとっては不愉快な事には違いないのだが・・
「まぁまぁ、それよりもロカルノさん。有力な情報をつかめたのですか?」
「ああっ、海賊達に地図を撒いていた海賊がつかめた
『アンザルサン』という海賊が黒幕らしい」
「ふぅん・・でっ、具体的には?」
「具体的なことはわからん」
スパッとロカルノが言う、それにセシル、大いに肩透かしを食らった・・
「ロカルノぉ!真面目にやったの!!?」
「待ちなよ馬鹿娘、ウィンクと共に行動しても名前までしかわからなかった・・って訳だね」
「はい、そのアンザルサンという人物は海賊の中でも謎に包まれた人物のようで儲け話を持ちかける際は
幾度も連絡係を経由して伝えるために誰一人としてその正体がわからないのです」
「ましてやその島の情報は一つの海賊団ではなく大多数に流れている。こうもなれば出元を特定するのは不可能だ」
仮面を少し上げて静かに言うロカルノ
「つまりはそこまで用意周到な野郎ってわけねぇ・・」
「ふぅん。名前だけの黒幕か・・その様子じゃアンザルサンって名前も偽名の可能性が高いわね」
「ある種のコードネームのような可能性もあります」
「・・・なるほどねぇ・・」
アゼフの一言にソシエは口元をさすりながら唸る
「あの・・コードネームとは・・」
対し流石に会話についていけないアミル・・
「海賊などの犯罪集団などでは珍しいことではない。つまりは全員が『アンザルサン』の可能性があるわけだ」
「全員・・?」
「指導者をわからなくするための偽名として複数存在させる。この場合は全ての海賊団の団長が「アンザルサン」という
もう一つの名前を隠し持っている可能性があるということだ」
「・・なるほど・・」
「姑息な手を使うだけあってそんなことやりかねないわねぇ・・でもそれじゃどうするの?
相手がわからないんだったら狩りようがないわよ?」
「結論を先急ぐな。まずは情報を纏めることだ」
「ですが・・他の情報となるとシーラさんからの目撃情報しか・・」
「・・、そこだな。今日の様子はどうだった?」
もはやロカルノの問いかけはアミル中心、それにセシルがすかさず
「今日はメイドの仕事もやったわよ?ここのメイドととも少しずつ仲良くなっているみたい」
割ってはいる。
いつも好き勝手やっていてもきちんとジェラシーを感じるセシルであった
「・・そうかい、回復していると言えども・・余り無理強いもできない状況だね」
ソシエがそう呟いたその時

”いえ・・お話します・・”

扉の向こうからシーラの声がゆっくり、静かに響くのであった・・

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