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終節  「あるべき形へ・・」


数日後
意識不明の重体だったロカルノもキルケやハイデルベルクの司祭達の介護のおかげで
意識を取り戻した
神殿があった島はユトレヒト隊が船で出発したのと
同時に大爆発が起こり一切を消滅させた・・
その後にハイデルベルク騎士団の調査団が派遣されたが
骸旅団が完全に壊滅したかの手がかりすらもわからない状態だったそうだ

そして
ハイデルベルク城の客室。
大国故に宿泊用の客室だけあって床は高そうな絨毯、ベットもなかなかの材質でできている。
しかしそれ以上の贅沢はされておらず小さな机とクローゼットが置かれているだけだ
ロカルノの傷を癒すためにその一室を借りて彼は治療に専念していた
数日経って傷も治りかけており激しい運動以外は支障はない状態になっていた

コンコン

「開いている・・」
夕暮れ時になり、ふとその部屋の扉からノック音が・・
ロカルノはそれが誰なのかわかっているようで静かに応えた

ガチャ・・

「兄さん・・、大丈夫・・?」
入ってきたのはスーツ姿のフレイア・・。不安そうにベットに寝転ぶ彼を見つめる
「ああっ、訓練は無理だが傷は治った。やかましいのが外にいるからな・・余計な運動をしなくて済む」
少し微笑みながらロカルノが応える
彼以外のユトレヒト隊はあまり表立って王の世話になるのが嫌なので
以前滞在した宿をまた借りてそこでロカルノの回復を待っているようだ
キルケとセシルは王に願い出て正式にハイデルベルク関係者との手を切り
ユトレヒト隊の一員として復帰・・
だがセシルに関しては有名過ぎるので姿を見られるのを嫌がってどこかへ姿を眩ませたのだ
「そう、あの・・兄さん。聞きたいことがあるんだけど・・」
「ああ・・、わかった。ともかくかけろ」
ベットの横の椅子にフレイアを招く・・
「「・・・・・」」
しばし支配する沈黙・・夕日の黄昏色が部屋を満たしている
「兄さん・・、私は・・兄さんが過去に行ったことで産まれた存在・・なの・・?」
「!・・お前・・」
「あの連中が言っていたの。私は本当は存在しない人間だと」
「そうか・・わかった、説明しよう・・。
確かにお前は私とセシルが過去に向い歴史を変えたことによって産まれた」
静かに説明するロカルノ、その表情に浮ぶは罪の意識かまたは・・
「・・どうして?」
「お前が産まれなかったにしてもミュンさんは私のために死んでしまった。
そしてその事を私はずっと悔やんでいた。
そのまま月日が経ったある日私とセシルは偶然過去へと時空転移してしまったのだ。
今思えばあれはミュンさんの魔導具だったのだろう。
そしてそこで若かりしミュンさんと出会った・・。
そして二人と話をするうちにミュンさんは子供のころに受けた傷により
子供ができない体だと知ったんだ。
そして1度でいいから自分で子供を産みたい・・っと」
「・・・・・」
フレイアはロカルノの言葉をただうつむき聞いている
「だから、私はミュンさんへ治療する方法を教えた。
それが私のできる唯一の恩返しだと思ったからな。・・・・そして歴史は変わった。
お前が産まれてミュンさんは幸せな生活を送れたんだ。
・・結局は私のせいで命を落としたことになるのだが・・」
「そう・・だったの・・」
「だがその事でお前を危険な目に合わせてしまった。つくづく、迷惑な男だな・・私は・・」
「そんなことない!」
「フレイア・・」
目に涙を浮かべて叫ぶフレイア・・、それを見てロカルノも思わず声を失ってしまう
「私も・・行き場のない怒りで兄さんを恨んでいた・・
けれども・・そんなことがあったことが知らなくて・・兄さんの気持ちも考えなくて・・」
「・・・・」
「ごめんなさい・・にいさん。でも・・私は兄さんがいてくれてよかったと今なら素直に思える・・」
「フレイア・・、ありがとう」
「兄さん・・」
見つめ合う二人・・、だがフレイアが潤んだ瞳で口付けを交わそうと近づく・・・
そして

パァン!

「おい、へッポコ女。何、人の男にキスしようとしてくれちゃってんだ?」
天井からセシル登場・・、ハリセン片手にフレイアの額を直撃させた・・
足を天井裏に引っ掛け実に器用だ
「く・・う・・何よ!?兄妹水入らずに割りこんで!!野蛮騎士!」
「セシル・・そんなところで何をやっている・・?」
「監視♪この城の道は頭に叩きこんだからね!
・・っうかフレイア、義姉さんにむかって野蛮騎士って失礼ね?」
すばやく天井裏から飛び降り、板をはめ込みながら偉そうにセシル
「えっ!?兄さん!まさかこんな奴を・・!?」
「まだ婚約はしていない・・」
眉間を抑えながら唸るロカルノ・・傷口が開きそうな予感・・
「何言っているの、もう相思相愛の仲じゃない♪」
「馬鹿言わないで!私のほうが兄さんのことを知っているわ!」
「はん!いくら身内でも肉体関係がなかったら駄目よ!片腹痛いわ!!」
「く・・、兄さん!何とか言ってよ!」
「言っても無駄よ♪さあさあさあさあ!!お姉さんと言いなさい!」
「きー!」

「お前達、怪我人のいる部屋で暴れるな!」
「「少し黙っていて!」」

ドン!

フレイアとセシルの手が同時にロカルノの肩を押した
「ぬ・・ぐぅぅぅぅぅ・・」
・・・結局傷口は開き、完治するまで二人は入室禁止になったとか・・


さらに数日の日が経ちロカルノの傷は完全に治った。
・・これも迷惑に暴れた二人が外に出たおかげともいえる。
そしてユトレヒト隊が家に帰るということなので
カーディナル王は一般市民風に変装して彼らが泊まっている宿へと向っていた
そこは以前と同じ貸切状態なので人目を気にする必要がないのだ
「王様が城下町を散策していいのかよ?」
一階のラウンジにてカーディナルに酒を渡しながらクラークが呆れる
「何、自ら赴いて世を見るのも大事なことだ。
報告だけで世の動きがわかるような人間はいないもんだぞ」
「ふ〜ん、暴れん坊ジェネラルみたいなものね?」
対して面白くなさそうに酒のつまみを食べるセシル・・
ライバル出現以来やたらとロカルノにベタベタとくっ付いている
「まぁそう言うな。例えばお前だって国民からしてみれば美人と騎士の鏡のような存在だが
実際は・・言わずもかなだろう?実際目で見なければわからんこともあるのだ」
「まぁ、引きこもりな王様よりかは信用はなるけどな。っうか警備とか力入れておけよ?
俺達がいなかったらまたやばかったんだし・・」
「いやっ、その点の改善は急務だな。
聖騎士の巡回は城内に集中させておこう。フレイアも警備に手を回してもらおうか」
「わかりました・・」
王の隣でピチッと黒スーツを着て応対するフレイア
・・ユトレヒト隊はタメ口だが流石に彼女はそうもいかない
「では、情報部からはアリーさんとフレイアさんの交代で見回ったらどうですか・・?」
今まで静かに話を聞いていたクローディアが声をかける
そう、フレイアの隣には制服姿のアリーも同席しており静かに座っていた
「おおっ、そうだな。アリーはフレイアを助けるために単身あの島に乗り込んだと聞いている
その心があるならばうまくもやっていけるだろう」
「ありがたきお言葉・・」
申し訳なさそうに頷くアリー、ちらっとクローディアと目が合ったが彼女はただ静かに頷くだけだ
「でも、結局城に眠り粉捲いたの誰だったのかしら・・?」
内通者がいると推測して以来その正体が掴めず終い故にセシルも歯切れの悪い言い方だ
・・犯人は目の前にいる・・が彼女はもう犯人ではない
「そのことはもういいでしょう。
これからはフレイアさんとアリーさんの警備で力をいれたらいいですしね」
クローディアがさらっとはぐらかす・・。
「ふぅん・・そうね」
セシルもそもそもは他人事なのでそれ以上は言う気もなく
酒をグビリと飲んで疑問は終わったようだ
「ですけど〜、やっと自由に〜なりましたよ〜♪」
唯一酔っ払っているキルケ・・顔をほんのり染めてフラフラしている
それでも飲んでいるのは店で一番アルコールの弱いものなのだが・・
「キルケ・・酒飲んで大丈夫なのか?」
「私だって〜大人なんですよ〜、ヒック!」
セシル以上にベタベタとクラークに寄り添っている
「・・どうやら貞操帯が剥がされたことがよっぽど嬉しいみたいねぇ・・、この子が飲むなんて珍しいし」
「ほう、君達さえその気ならば居場所を作ったままでもよかったのだが・・」
「結構です〜!!」「遠慮するわ!!」
同時に拒否・・、どちらかと言えばキルケのほうが強く嫌がっている
「やれやれ・・、しかし王、今回も世話になった」
一人酒も飲まずに礼を言うロカルノ。肩の傷も治りもういつもと変わらず仮面も復活している
「よい。結局はこちらも助けられたものだからな・・・。まぁ何かあったら訪ねてくればいい。」
ニヤリと笑って酒を飲むカーディナル、気さくなおっちゃんそうに見えて中々貫禄がある
「そうか・・。それとフレイア・・」
「はい」
人前では凛々しいフレイアさん、ロカルノの言うことに素直に返事をした
「父さんは今、ルザリアのテント郡で暮らしている。
落ちついたら顔を出してやれ。今回の一件、一応は報告はしてある」
「あ・・・はい・・。あの、兄さんも一緒で・・いいですか?」
「ああっ、いいとも」
少し微笑むロカルノ・・だがそこに割りこむは・・
「ちょい待ち!フレイアが行くならば私も同行するわ!!」
「・・セ・・・セシル!これは家族の問題よ!」
「家族と関係あるんだもの〜♪
っうか手前と私のロカルノが二人っきりだと何しでかすかわかったもんじゃないからね〜」
嫌〜な笑顔のセシルさん・・
「何言ってるんだが・・、普段、獣人襲っているのはロカルノに対する浮気に当たらないのかっての・・」
「うるせぇ!妖怪眼鏡侍!!」
「ホベッ!?」
突っ込むクラークに裏拳一閃!!直撃のようでテーブルにダウンした
「へっ、ドサンピンが!」
「仲間を殴り倒してその態度!?兄さん!
今すぐこんな野蛮な女と別れるべきです!母さんも泣いてますよ!」
フレイアも必死に抗議をする・・、っうかそれを口実にしているにしか思えないのだが・・
「はんっ!手のひら返したように妹ぶってんじゃないわよ!」
「何ですって!?」
「何よ!!」
口喧嘩をはじめる二人・・、双方その性格故に火花がすでにバチバチと・・
・・・・・
「・・、心配事が一つ、増えましたか?」
険悪な空気で火花を散らす二人を余所にクローディアがロカルノに言う
「・・・・、まぁ想像に任せる」
一つため息をつき微笑むロカルノ・・
そんな光景を余所にフレイアとセシルの口喧嘩はヒートアップ・・
「上等だぁ!私こそがロカルノを飼う者に相応しいということを教えてやる!」
「兄さんがこれ以上不幸にならないように私がこの悪魔を倒してやる!!」

スタンドアップ&ファイティングポ−ズ

「これこれ、聖騎士の者達がそのようなことで暴力を・・」
それに年長者が仲裁に入ろうと割って入るが・・
「!?王!危ない!」

バキ!バキ!!

フレイアとセシルの一撃をまともに受けたカーディナル・・
鈍い音が鳴って、立ったまま気絶・・
「隊長・・、こ、これって・・謀反じゃあ・・」
「アリー!?どうしよう!モロ入っちゃった・・。そ、そうだ!貴方が悪いのよ!」
モロ慌てるフレイア・・、アリーも白い目で見ている・・
そして責任はセシルのほうに
「はんっ!お互い様じゃい!ッうか現役の騎士の貴方じゃ責任重いわよ〜?
もう辞めるしかないんじゃない!?」
「うるさい!この野蛮騎士!」
「何よ!暴力諜報員!!」
もう誰も止められない・・・・・
「これで・・よかったのでしょうか?」
「まぁあるべき形に戻ったという点では・・・よかったのか・・」
「クローディアさんにロカルノさん・・ど、どうすれば・・」
とばっちりを受けてはかなわないとアリーが避難してくる・・
「双方倒れるまで放っておくしかない。
馬鹿女に見えてもどちらも国を代表するくらいの力量を持つ女達だ。
下手に静止すると私でも危ない」
「そ・・そうですか・・」
「こいつが良い例だ」
混沌しているクラークを顎で示すロカルノ・・、見事なまでの説得力・・・
因みにその隣ではキルケが酔い潰れて酒瓶を抱いたまま寄り添って寝ている
「それよりも、どうですか?この生活に戻れそうですか・・?」
途端、真剣な顔つきになるアリー
「はい、私は情報部副隊長のアリーです。・・もうそれ以上でもそれ以下でもありません」
「・・わかりました。がんばってください」
「ありがとうございます、この首の傷を教訓にがんばります」
深く礼をするアリー、首筋には髪で隠れていたがまだ治りきっていない切り傷が見えた
それは薄く皮を切ったくらいのものだが曲を描いて首に刻まれている
「大変・・だろうがな。なんと言ってもフレイアはあのセイレーズの身のこなしを引き継ぎ・・
あのミュンさんの性格を引き継いだんだ・・」
「セシルさんと一緒じゃなかったら大人しいもんですよ。ふふふ・・」
静かに笑うアリー、ちょうどその時フレイアとセシルの女の戦いは
両者のクロスカウンターにての相打ちに終わった。

・・後日、フレイアは王により3日間の自室謹慎が言い渡された
誘拐された責任ということもあったのだが何よりも殴られたことの腹いせだったらしい・・


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