第4節 ロカルノ編 「仮面の思惑」


「・・っというわけだ。なるべく詳細に調べてくれ」

私は墓地で待ち合わせしていた草(情報収集者)に説明をした。
待ち合わせにはやはり墓地に限る。人があまりこないし静かだ・・
「わかりました。なるべく早く結果をお知らせします、王子」
「草」が私に言う。
王子?・・私のことだが?私は某国の元王位継承者なんだよ。
まっ、王位に就く気は更々ないがな。

あんなもの気が滅入るだけだ。
面倒くさかったので王位は弟に譲ってとっとと出てきたわけさ。
それでも慕ってくれる仕官が数名してこうして手助けしてくれているわけなんだがな。
因みにあの二人にはこのことは説明してない。
する必要もないし私は王子ではなく仮面の戦士「ロカルノ」なのだ・・
まぁ・・、セシルはともかくクラークは私が王子だったことに感付いているようだ。
・・普段は抜けているが時々ひどく頭が切れる・・
「あの・・、ローディス様・・?」
ローディスとは私の本名だ。あまり好かない名だが・・な
「ロカルノだ・・、何だ?」
「宰相様からロー・・・、ロカルノさんにお伝えしておくようにとの情報がありまして・・」
「宰相が・・?」
「ええっ、まだ深いことまで掴めていないのですが
どうやらこの国の貴族の間で悪魔降ろしをしようとする者がいるようです」
「なに・・?」

悪魔降ろし・・
黒魔術の高等儀式で生贄と引き換えに
この世に魔界の高等悪魔を召還するヘドがでる術だ。
おそらく馬鹿な貴族が悪魔を従えようと企んでいる様だが悪魔というのは
我々が思っているよりはるかに強力でずる賢い。
もし降臨なんかしたら都市一つは滅んでしまうだろう・・
現に悪魔を降ろして町が滅んだなどの話は昔から耳にする

「・・・わかった。そのことについても詳しく情報を調べておいてくれ」
「わかりました」
「それと・・」
「はい?」
「今回の一件、私の思うところかなり危険なものになりそうだ。
くれぐれも気をつけて行動してくれ・・」
「承知しました。ではこれで・・」
あっという間に草が闇に消える・・・
「悪魔降ろしと異端者狩り・・か」
どうも別々の一件には思えない、確証はないんだが・・・
それにあのグレゴリウスの屋敷には黒魔術を連想させるような物が多々あった。
やはり関係はありそうだな・・
「ふっ・・」
知らず知らず微笑んでしまった
まったく、あいつといるとほとほと退屈しないな・・・

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