第8節  「露払い」

一方
クラーク達は城へと向かって全力で駆けている・・
所々何事かと城のほうを見て立ち止まる者がいるがその間をすり抜け
広い大通りを一直線に進む・・

「・・あの爆発、やっぱりファラがやっているの?」
走りながらセシルがクラークに・・
「わからない。彼女の力ならあの規模の爆発はかえって難しいからな」
「とりあえず彼女に対する勝算はあるのか・・?」
走りながら仮面をつけるロカルノが聞く
「・・なんとかやってみる。あいつの相手は俺しかない」
「クラークさん・・」
「・・すまないな。露払いは頼むぜ!」

やがて城の正門にたどり着く。
堀に架けられた橋の上に正門を守護していた兵士が倒れていた。
そこに立つ一人の男性。
軽量騎士鎧姿で両手に固定された両刃の刃・・
兜をしておらず白いバンダナをしているところスピードファイターのようだ
「聖ヴァルハラ騎士団か?」
「いかにも。俺は聖ヴァルハラ騎士団が一人ロヴァル。貴様らはここで骸になってもらう・・」
「・・ふっ、では早速露払いさせてもらおうか・・」
一人颯爽とロヴァルの前に立つロカルノ・
「貴様から死にたいか?」
「・・先に行け。私はこの雑魚で我慢してやろう」
ロヴァルの発言を完全無視してクラークを先導させる
「わかった!頼む!」
クラーク達もおかまいなしと先に進む・・
「貴様ら!!」
「おっと・・、貴様の相手はこの私だ・・」
槍で牽制しながらロカルノ
「・・ふんっ、いいだろう!重装戦士如き俺にかなわない事を思い知れ!」
「よくしゃべる奴だ・・。下らん前口上はそのくらいにしてさっさとこい」
「・・貴様ぁ!」
余裕のロカルノに怒りをあらわにするロヴァル・・
そんなことおかまいなしに愛用の槍『戦女』をかまえるロカルノ
瞬間、ロヴァルが視界から消える
「その身のこなし・・、アサシン・・か」

”・・そうだ、この刃には即効性の毒薬が仕込んである。貴様は俺の姿を見ることなく死ぬのだ”

「ふんっ、アサシンのくせによくしゃべる・・。どんな毒だろうが当たらなければ意味はない」

”・・よく言った!!”

瞬時ロカルノの背後に現れるロヴァル・・、毒を仕込んだ刃がロカルノの延髄を狙う・・・

キィン!!

瞬時ロカルノが動いたかと思うと次の瞬間にはロヴァルの両手の得物が真っ二つに切断
せれていた・・

「・・ばっ、馬鹿な・・・」
「例え背後からであろうと中途半端な攻撃をこの構えにすれば武器が破壊される・・」
以前隻眼の女剣士クローディアにも使用した破刃の構え『枯牙方陣』
その構えをロカルノはしていた・・
「貴様は騎士ではない。ただの薄汚れた暗殺者だ。騎士とは己の意思に従い信念を貫く者・・」
「ぐっ・・、おのれェェェェ!!」

ドス

「・・っとアイツなら言うだろうな」
鋭い刃を持つ槍『戦女』がロヴァルの額を寸分の狂いもなく貫く。
驚きと恐怖の表情を浮べる暗殺者はそのまま静かに堀に落下していった・・・・
「さてっ、アイツを止めに行くとするか・・・」
おそらくは派手に暴れている相棒を止めるため城の中に駆け込むロカルノ・・
彼女の行動は手に取るようにわかる・・、だからこそ冷たく接することができ、
フォローに周ることもできるのだ・・

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