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第6節  「鬼神剣『九骸皇』」


女鍛冶師ミョルキルの言われた場所に確かに祠の入り口があった・・
コケまみれで古ぼけた洞穴と行った感じだ・・・
「さぁ、何がでるやら・・」
キルケを待たせている分あまり遅くなるわけにもいかない・・・か。

紫電が直せたらそれでよかったんだけど思った通りの結果だったしな〜・・
あの武器破壊技『終刃破』は過去にも数回使った事があるが
そのどれもが完全に破壊してしまった・・
紫電のような強力な魔剣でも刃が真っ二つに折れてしまったんだ・・
やっぱ無理ある技・・だな・・。
・・・・・・・
・・・・・・・
洞穴内の壁は淡い光を放つ蛍光石でできているようで弱い蒼光で満ちている・・・・
神秘的な風景だがそれよりも奥から漂ってくる気配が気になる・・
殺気でもないし怒気でもない
感情というものではないザラッとした気配・・・・・
それが次第に大きくなるのを感じつつ奥へと進む・・・・
・・・・・・
しばらく進むと突き当たりに出た
そこに蒼い光の中黒い台に座る即身仏が・・
金の法衣をまとい印を切ったままミイラと化した即身仏・・
おそらく生前はかなり高位の術師だったんだろう・・
「・・・、これが・・」
そして即身仏の前に置かれている一振りの剣
黒漆の鞘に収められそれが見えなくなるくらいの赤い札が貼られている・・

”何用だ・・?”

!?
突如声が聞こえる・・・、心に直接響いている・・?
「・・・即身仏がしゃべっているの・・か?」

”さよう、質問に答えよ小僧”

「・・・その祭っている剣を取りにきたんだが・・」

”・・・この御剣は太古より魔を退けし鬼の剣。貴様如きが持つ物ではない
 早々に去るがよい・・”

「・・・残念ながらそれで帰れる状態でもないんだ。その剣、是が非でも頂きたい」

”愚者が・・、ならばこの「九骸皇」の刃の錆になるがよい”

突如、鞘が燃えて消え剣が宙を舞い真紅の刃を見せる・・。
なにか術的な要素で遠隔操作しているようだな・・
こちらはフルメタルの篭手以外は丸腰・・
・・・・・・・・・・・

「愚者でもいい、大罪人でもいい・・俺には力が必要だ・・」

ピッ!

宙を舞う剣が俺の頬を切る・・

”ならば問おう、貴様は何故この剣を求む?”
「・・大事な者を守るため、そして大事な者を救うためだ」
”・・・この剣を持つならば、貴様は人としての領域を越える事になる・・”
「所詮は血塗られた宿命!覚悟はできている!」
あいつのためならそのくらい・・!!

”・・・・・いいだろう、ならばその覚悟、見せてもらおう・・”

音もなく俺の前に突き刺さる剣・・

”取るがいい、貴様がその剣に相応しいかどうかはこの剣が決める・・”
「・・剣が・・?」
”この剣は太古より雄なる者を狩ってきた剣。その者たちがこの剣に宿っているのだ
 英霊が貴様を認めなかった場合、骨も残らず消え去るだろう・・”

・・剣に宿る英霊・・か。そんなものがいるなら確かに普通では手に負えない代物だ・・

・・そっと剣を抜きとる・・。が、重さはまるでない・・

「我が名はクラーク、我を持ち手に選ぶならこの声に応えよ!鬼神の剣!!」

天にかざしそう叫ぶ・・・・
・・・・・・・
それに対し剣からはうめき声にような声が響き、急に剣が幾つもの赤い光と化し
俺の右手に集まった・・

「剣が・・消えた?」
さっきまで持っていたのに光と共に剣が消滅した・・・、うそ・・
”九骸皇は貴様を持ち手と選んだのだ。安心せよ”
「だが・・、その剣が消えちゃったんだけど?」
よく見てみると右手には赤く『鬼』という字のようなあざができている・・
”それが剣の仮の姿だ。剣を念じ手を振ってみよ”
「・・こうか・・?ふんっ!」
ボッ!
右手から赤い炎が発しあの真紅の刃の剣が現れた・・
「おおっ、こいつは便利だ・・」
”直すときは鞘に収める事を念ずればいい。”
「・・ありがとう、ミイラのおっさん」
”ふんっ、我は何もしておらぬ・・。だが、小僧・・貴様に興味が沸いた・・
我もここより貴様の生き様見届けさせてもらおう・・、
それと、貴様の心が弱ったときその剣は容赦なく貴様の魂を食らう、心しておけ”
「わかった。鬼神剣『九骸皇』確かに受け取った」
そういうと即身仏を後に洞穴を戻っていった・・・・
来るときに感じたあのザラっとした感じは今は感じられない・・
この剣の仕業だったようだ

・・・・この剣で・・・

・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・
・・・

祠から出てミョルキルの小屋へ戻る・・
小屋の前でキルケ眠りこけていた。結構時間がかかったみたいで
空はもう赤く染まっている・・
「キルケ・・、キルケ・・」
頬をペチペチ叩き起こす・・
「う・・ん、あっ、クラークさん・・」
「お待たせ。ずっと待っていたのか?」
「ええっ・・、心配だったので・・」
「それでも寝てるじゃないか」
ちょいと毒づいてやる・・
「こ、これは・・、その・・」
「ははっ、まぁいいさ」
「それでどうだったのですか?その剣って?」
「ああっ、ほらっ!!」
早速振って九骸皇を見せる・・
出てくる最中に練習したからもう剣の呼び出しは完璧だ・・
「・・すごい・・!この剣・・・・、・・妖気が凄まじい・・」
「う〜ん、まっ、幾つもの血を吸ってきたそうだからな。」

「・・ほう、やはり取ってきおったか・・」
何時の間にかミョルキルが小屋から出ていた
「・・なんだよ?ばーさん。俺の事が気になっていたのか?」
「貴様のことだ、必ず取ってくると思ったよ。それよりも・・・」
マジマジと真紅の刃を見つめる
「おい、お嬢さん。こいつに攻撃魔法を放ってくれ」
「えっ?」
「いいから・・」
「わかりました・・、えい!」
意図がわからないようでもすばやく魔法を唱える

光の矢が数本俺に向かって飛んできた

「クラーク、その剣で矢を斬れ」
「?、わかった・・」
魔法の矢を剣で斬れるのかどうか・・、
ともかく斬ってみる・・

パァン!

乾いた音が響き光の矢は消滅した・・・・
これが・・、この剣の効果・・?
「やはりな・・」
「・・どういう事なんですか?」
「この剣を包む妖気は魔を分解する効果がある。つまり魔法殺しの剣ということだ
もっとも、それはおまけで本当の能力は他にありそうだが・・・」
「魔法殺し・・か、これはいい!ちょうど相手が魔術師だからな!」
「・・まっ、これでここの用はなくなっただろ?一泊泊めてやるからさっさと帰れ」
「・・つれないな〜、ば〜さん」
「仕事でもないのに人がいられたら気が散るのでな・・」
「はいはい・・わかりました・・」





何だかんだ言ってミョルキルばーさんに飯を頂き一息ついた・・
ばーさんはもうさっさと寝ており俺とキルケは小屋の屋根に登り
星を見ている・・
辺りは祠にもあった蛍光石があるようで淡く光っている・・
星の光と蛍光石の光で溢れ幻想的な風景がそこにあった・・・
「・・クラークさん・・」
「んっ?」
「クラークさんが昔いた『13部隊』ってどんな人がいたのですか?」
「・・ああっ、俺がナンチャッテな隊長で副隊長に切れ者のフロス。
斬り込み役にクローディアの姉である女剣士ナタリー、
同じく斬り込み役の拳闘士クロムウェル、
援護に弓使いアル、力作業にシグマってな感じだ。
そして臨時要員として魔女ファラ・・。これが13部隊の面々さ」
「・・そうなんですか・・、少数なんですね」
「俺達は俗にいう問題児の寄せ集めのような感じだったからな。元々少数編成だが13部隊は
特に少数だったんだ。・・どうしてそんなことを聞くんだ?」
「・・私、クラークさんの事何も知らない・・」
「・・・・・・・」
「私、あなたの力になりたい、そして・・もっとあなたのことを知りたい・・」
「キルケ・・、大丈夫だよ。キルケは俺の力になっている・・」
「・・・・・」
「・・・・俺は今までキルケの気持ちに気づかないフリをしてきた・・」
「・・ええっ、ロカルノさんもそう言ってました」
・・・ロカルノにはお見通しか・・・
「ならあいつも言ったかな・・?こういう職だからこそ大切な者を作れないと」
「・・はい」
「・・・作ったらそれを奪われる。ファラが良い例だ。俺なんかに付き合っていたため
命を落としてしまった・・。そして俺はアイツを救ってやれなかった」
「・・クラークさん・・」
「・・・・・正直俺には人を愛する資格はない・・それでも・・、キルケは必要だと思う」
「・・・・・・」
うつむくキルケ・・・、だが言わなければならない・・・
「・・すまないな。こんな事言って・・」
「私・・、クラークさんが好きです。誰よりも・・」
「・・キルケ・・」
「どんなことがあってもあなたの傍を離れません・・」
「・・ありがとう、今ならキルケの気持ちに応えれると思うよ・・。
俺は君を守る・・何があっても・・そして君を愛するよ・・」
「クラークさん・・」
「キルケ・・」
蛍光石の明かりと満天の星空の中、俺はキルケを抱きしめキスをした・・
儚く一瞬の事だけど永遠だ・・・・
彼女だけは・・、何があっても俺の全てをかけてでも守って見せる・・・・・・・


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