第3節  「水面下の真実」


「遺体の回収は・・?」
「万事おっけ〜、骨だけだったけどいいかい?」
「それだけあれば十分だ・・・」
「しっかし、ほんとに蘇生なんてできるのかい?」
「人形を用意してある。後は地脈の集う場所さえわかれば・・・」
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・




「それで、ルザリアはどうだったんだ?」
小屋の中・・、セシルが帰ってきたので状況を聞くロカルノ。
クラークとキルケはまだのようだ・・
「まぁ、騎士団に墓荒らしについて調べてもらったこと以外特には・・・」
「?、何か声が変じゃないか・・?」
「実は・・・カクカクシカジカ・・・」
・・・
「・・・ふっ、ははははは!」
珍しく大声で笑うロカルノ、っというよりはじめてだ
「何よ!大声で笑わなくてもいいじゃない!!」
顔を赤らめて怒る・・
「悪い・・、まさか熱い珈琲を一気飲みする奴がいるとはな・・」
「もう!クラーク達には言わないでよね!!」
「わかったよ。とりあえず水でも飲め・・」
「もう目一杯飲んだわよ・・、それより、せっかく二人っきりなんだし・・・」
「教会には神父がいるぞ?」
「そうじゃなくて!!クラークとキルケもいないことだし・・・ね♪」
そう言いつつロカルノに後ろから抱きつくセシル・・
長い金髪はロカルノの肩を覆う。
この二人、他の目をはばかっては・・・・・・・・
「お前・・・、クラークの一大事という時に・・」
「欲求が満たさねば戦はできぬ!って言うじゃない?」
「勝手に格言を作るな・・・、そして勝手に服を脱ぐな」
「あ〜もう!なんでもいいじゃない!やるの!?やらないの!!?」
「まぁ、時間があればそれもいいんだが、どうやら二人が帰ってきたようだ」
外から馬の足音が聞こえる・・
「・・ちっ!!今回は大人しく諦めてあげる!次はこうはいかないわよ!!」
捨て台詞を言いながら高速で服を着るセシル・・
「わかったわかった・・・。全く・・」

そんなことがあったのを知らずクラークとキルケが小屋に戻ってきた
「ただいま〜、あっ、セシルさんももう帰ってきてたんですね」
「うん、意外に早く終わってね・・」
「・・?おいっ、セシル。なんか声がおかしくないか?」
「こ、声変わりよ!!」
「声変わりは男がするもんだぞ・・・・?」
ロカルノさんがつっこむ
「う・・、なんだっていいじゃない!!もぅ!!」
「???、まぁいい。それよりもそっちはどうだったんだ?」
椅子に座りつつ訪ねる。人数が多いのでキルケはベットに座った
「ああっ、私のほうでは怪しい集団の情報が入っていた」
「あらっ、あなたの方ではもう何かつかんだの?」
「まぁな。最近素行の怪しい騎士団がいるそうだ。神の降臨を唱えているらしい」
「神の降臨・・・。物騒な・・、でっ?その騎士団は?」
「『聖ヴァルハラ騎士団』。団長ヘルテイトをはじめとする少数編成の集団だ」
「!!?今何て言ったの!?」
急にセシルの目が変わる
「んっ?ヘルテイトのことか?」
「その前!!騎士団名よ!?」
「『聖ヴァルハラ騎士団』だ。確かルザリアに滞在していたそうだが・・」
「・・・・ええっ、ルザリア騎士団で情報をお願いしていたら知り合いの騎士が
「今日宗教騎士が泊まるから」って言っていたの・・、それが聖ヴァルハラ騎士団よ」
「そうだったのですか・・。じゃあルザリア近辺にその人達はいるのですね?」
「そうね・・、わかっているならルザリアにとどまってぶった斬ってやるべきだったわね・・」
爪を噛み悔しそうな顔をする・・
「・・仕方ないさ、じゃあここでよりその町で情報を集めた方がいいな。」
そう言いつつ席を立つクラーク・・
「そうだな。用意をしてすぐ向かった方がいい。」
一行はすぐさま貿易都市ルザリアに向かって発った・・・・




・・・・数日後・・・
貿易都市ルザリア・・
貧困の差が激しい町だが比較的栄えている
中央通りを歩くユトレヒト隊・・
「そういや、あんたの部下のクロムウェルもここに住んでいるわよ?
あんたによろしく言っておいてくれって・・・。言うの完全に忘れてたけど・・」
歩きながらセシルがクラークへ
「クロムウェルが?あいつ・・、こんなとこにいたのか・・」
懐かしそうな顔をする・・
「会いに行くか?」
「いやっ、よしておく。今はそんな時間はないしあいつのことだ・・。俺に勝てる自信が出るまで会う気はないだろう」
「え・・?」
「部隊にいた時からあいつは俺に何度も勝負を挑んできてな。別れる時も『今度会う時こそあなたに勝つ!!』って宣言して別れたんだ」
「へぇ・・、男らしい人なんですね。そのクロムウェルさんって・・」
キルケも感心気味・・
「まぁ変態だけどね」
セシルが注釈・・
「へ、変態なんですか!!?」
「・・・、まぁ普通じゃないな。セシルが認めているんだ。本物だ」
クラークが止めの一言
「はぁ・・・」
唖然とするキルケ
同時刻、町のオンボロ宿で昼寝していた金髪の男がくしゃみをしていた・・・・

ともあれ、詳しい状況を聞くためルザリア騎士団屋敷に向かう
4人もいるので応接室ではなく団長室に通された・・
「ユトレヒト隊でリーダーをやっているクラークだ」
「ルザリア騎士団団長のタイムだ。よろしく」
静かに握手をする・・
「貴方があの変態が尊敬する男か・・・」
興味深く見つめるタイム・・
「・・・・へっ?あんたクロムウェルの事知っているのか?」
「・・まぁな」
(クラーク、タイムはクロムウェルと付き合っているのよ・・)
耳元で囁くセシル・・
「ちっ、違うわよ!確かによくからんでいるけど・・、まだ正式には・・・!」
しっかり聞こえ思わず大声で反論するタイム団長・・
「・・まぁまぁ。ともかく、先日きた宗教騎士団と墓荒らしについて詳しく教えてくれないか?」
ロカルノが口を挟む。セシルとロカルノはタイムと面識があるので話しやすい
「そうだな、墓荒らしに関してはもうすぐ報告がくるだろう」

トントン

「そうこうしているうちに来たな。入ってくれ」
扉から入ってきたのは膝まで届こうかというぐらい長い白髪の獣人
キュピーンと目を輝かせるセシルをいち早くロカルノが槍でセシルを軽く突っつく・・
「タイム、頼まれた墓荒らしの件の結果が出た」
「そうか、ありがとうシトゥラ・・」
団長タイムが獣人・・シトゥラをねぎらう
「こちらは?」
「ある氷山から都会見物にきた白狐族の戦士シトゥラだ。ひょんなことで騎士団に
協力願っている」
「シトゥラだ。よろしく」
ペコリと頭を下げる・・、約1名、危険な眼差しで見つめているのが気にかかっているようなのだが・・
「こいつのことは気にしないでいい。それよりも結果を教えてくれ」
「ああっ、どうも妖しい盗賊が一組、ルザリアより少し離れた山に潜伏しているようだ。
そいつらがやったものだと想像できる」
「なるほど・・、ありがたい。詳しい情報を教えてくれ。私が行こう・・」
ロカルノが名乗りをあげる
「じゃあ・・・私もいきます」
作戦では珍しいロカルノ、キルケペア・・
彼らが墓荒らしのことを調べる事になった
そしてクラーク&セシルペアはタイムの情報を元に疑惑の騎士団追跡に・・・



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