第2節  セシル編 「聖ヴァルハラ騎士団」


全く・・、あいつの過去にそんな過去があったなんてね〜・・
そういやあいつの部下のクロムウェルが
恋人の形見に丸眼鏡を持っているだなんて言っていたわね・・・。
まぁこれからそのクロムウェルがいる町に向かうんだけど・・・・
行く理由はただ一つ、同期の女騎士、タイムに情報を求めるため。
時間があればクロムウェルと一戦ぶちかましたいけど今回はね〜・・・

全く・・あのシグマって無愛想男が声かけてきた時は驚いたけどよもや
こうした展開になるとは・・、世の中わからないわね。
まぁ結局暴れられたらそんでいいけど・・
ともかく、彼女がいる町。貿易都市ルザリアに到着する。
ここは貿易がさかんで結構大きな町・・、普段人気のないとこにいるから余計そう感じるわ・・

その中にある騎士団屋敷・・、随分と立派な建物で先日タイムはここの主になった
あの若さで団長・・・。いやいや我が同期ながらあっぱれなことよ!
私みたいな落ちぶれた騎士とは大違いね〜・・・・・
・・・・・・・・・
・・はぁ、いいのよ。自分で決めた道だもん。さぁ行きましょ〜。

屋敷の中にすんなり通され応接室に通された。
ここは2度目ね。よく使用するみたいでソファがすこし色焦せている・・
まったくもって位の違いを感じるわ〜・・とほほ・・
ガチャ・・
そうこうしていると扉が開き女性が入ってきた・・
長めの赤髪をまとめ、片目を隠している・・。
さらに地味なスーツで統一したキャリアなレディ・・、タイムだ
「久しぶり、セシル」
「久しぶり〜・・って、前ほどでもないでしょ?」
以前仕事がなかったので彼女に助けを求めたことがあるのよ・・
「そうね・・。また仕事?」
「いんや、ちょい調べてもらいたいことがあるの。」
「・・大事なのかしら?」
その一言に表情が引き締まるタイム・・
まぁ昔から私がこんなことお願いするのは滅多にないからね〜・・
「・・そうなりそうね。ここらで墓荒ししてそうな連中っていない?」
「墓・・荒し?」
何の事だ?っと言いたげ・・
「まぁ、とある優秀な魔術師の遺体を回収して無理やり復活させようとしている
輩がいるのよ。」
「なるほど・・、しかしその墓はどの辺にあるの?あまりに離れていたら
いくら私でもわからないわよ?」
「ここからそう遠くないはず・・、確か西にちょっと行ったとこにある海岸に建てられたんだって」
「海岸線沿いか・・、その程度ならここの管轄だな。わかった。調べてみよう。
わかったらそっちに使いをやるわ。」
使いというと・・、以前会ったスクイードって純情少年のことね。
あの子熱いのよね〜、タイムにベタ惚れだし・・
ドタバタ・・!
んっ?なんか外が騒々しいわね・・
「お願いするわ。なんか外が騒がしいけど、あなたの彼氏?」
タイムと例のクロムウェルはびみょ〜な関係みたいだから茶化してみる・・
ケケケケ・・♪
「ばっ、ばか!なんでクロムウェルと私が付き合っているのよ!」
「私、クロムウェルって言ってないんだけど・・・」
「うっ!!!」
墓穴を掘るタイムなんてはじめて・・、昔から恋愛沙汰は苦手だったしね〜
「・・おっ、おほん!ともかく!あの変態のことじゃなくて今日神殿の騎士が
ここで泊まることになっているの。その準備よ」
「神殿騎士〜?遠方への参拝か何か?」
「・・みたいね、詳しいことは上の決定なのでわからないけど・・」
「ふぅん、神殿騎士なら知り合いもいるかしら?」
私も昔、神殿騎士団に所属していた時期があるのよ
「いいや、今日来るのは別の宗教騎士だ」
「・・へぇ〜、何て言うの?」
「『聖ヴァルハラ騎士団』だそうよ。あまり聞かないけどね・・」
「ふぅん、わからないからいいや。じゃあそのバルなんとか騎士団の対応に忙しくなりそうね?
邪魔しちゃ悪いからお暇するわ」
「そうね・・、もうすぐ到着するみたいだから・・。ごめんなさいね」
「いいのよ。それじゃあお願いね」
軽く握手し屋敷を後にする。

屋敷から出て教会に戻るんだけど・・・、せっかく町に着たんだから
何かしないと勿体無いような・・・。でもそんなに有り金ないし・・
くそっ!タイミングが悪いわね!
仕方ないので露天で珈琲を買い一息つける程度にした。
露天があるは町の中央通りなのでベンチもある・・、
立ったまま物を飲むなんてお行儀が悪いしね・・。
・・・・・
しばし町の様子を見る・・、平和そのもののようだが実は貧富の差が激しい。
彼女もそのことには懸念しているようだったけど・・、なかなか難しい問題だわ・・
「へい、彼女〜!今暇?」
!!、いきなり声をかける金髪男・・、何?男なのにやたらと髪が長い・・・・
「珈琲飲むのに必死なの・・・!!」
「おおっ、恐っ。じゃあ僕も珈琲を・・」
ゴクゴクゴクゴク・・・!!
「ごちそうさま・・!」
「ありゃ・・、熱いのによく一気飲みできるね・・」
「こうやって飲むのが好きなの・・」
嘘よっ、喉が!!喉が焼けるぅぅぅぅぅ!!
「ふぅん、さすがはブレイブハーツの一本、『氷狼刹』を持つだけあるね」
「!!」
こいつ・・、なんで王国騎士団関係しか知らない5本の聖剣「ブレイブハーツ」のことを
知っているの・・・?おまけに剣をしまっているのに言い当てるなんて・・
「あなた・・、何者?」
「見ての通りの男前さ!」
「・・・さようなら」
阿呆なことを・・!!
「冗談だよ!冗談!僕も魔剣使いさ、同じ魔剣使いに興味がわいたってわけ」
「あっそ、じゃあこれで・・・」
「えっ、もういっちゃうの?仕方ない。また会おうハニー!!」
・・・殺るか・・?
ちっ、時間がもったいないわ。全く!時間かけてきたのにいいこと無しね〜・・・

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