終節  「貴女の晴れ舞台」


数日後
ダンケルクの城で王ヤスパールとリンディスとの結婚パーティーが豪勢に行われた
ユトレヒト隊の面々も隅の方で出席している
クラークはキルケが選んだタキシードを着ておりかなりお堅い感じ、
いつもつけている丸眼鏡も外している
その姿に貴婦人達も数人ちらちらクラークを見ている・・
ロカルノも同じくタキシード、本来なら親族として振舞ってもいいのだが
1度国を捨てているのであえて拒否している、
従って彼の正体を知る者は一部の人間以外いない・・

セシルといえば煌びやかな蒼のイブニングドレスをきており
速攻ボンボン貴族に声をかけられている。
といっても声をかけられるたび隅につれていき「落としている」ようだ
キルケは赤いドレスを着ていつもよりも大人びた雰囲気だ。
しかしパーティーに出たことがないのか周りをキョロキョロ見ており
クラークの隣を離れようとしない・・・
「さすが国王の結婚パーティー、豪華の限りを尽くしているな〜」
テーブルから料理をあさってきたクラークが言う
「このくらいは普通だろ?むしろ地味なくらいさ」
「さいですか・・」
ロカルノの冷静なつっこみに身分の違いを感じたクラークであった・・
「それよりもセシルさんはどこに行ったんでしょう?」
「セシルか?あそこだ」
ロカルノが指をさした、そこには男を誘惑するように暗い場所に
連れていくセシルの姿が・・・
「・・あれで何人目だ?」
「すくなくとも10人は葬っただろうな」
「・・・ご愁傷様だ、あっ、右ボディが決まった。もう少し見えないとこでやれよ」
よく見るとところどころの暗闇で男性の足だけ・・、見えている・・・・
「・・・、それよりもリンディスさん綺麗ですよね?」
「そうだな、黙っているから中身の悪さは露出してないようだ!」
おしとやかなふりをしているリンディスを見て笑いが止まらないクラーク・・・
「ふっ、ヤスも苦労しそうだな」
「結婚前から尻に引かれていたからな〜、まぁいいんじゃないか?
幸せそうな顔しているし宰相も泣き崩れているし」
「でもほんと綺麗、あんなの憧れちゃうな〜(ウットリ)」
「ん?じゃあもっと近くで見たら?ここだとそんな見れないだろう」
「えっ?あっ・・それじゃあ・・クラークさんもきてくれます?」
「?、ああっそうか。言い寄る男を振り切るのはキルケにはまだ早いもんな。
いいぜっ、行こう。そんじゃあな、ロカルノ」
「ああっ、楽しんで来い」
会場の人ごみの中を進むクラークとキルケ。
いきなりキルケに腕を組まれクラークはかなり慌てている様子だ
・・・・・・・・・・・
そんな二人を尻目にセシルがロカルノの元へやってきた
「もう!やんなっちゃう!ゆっくりできやしないわ!」
「何人気絶さしたんだ、セシル?」
「計14人、普通にパーティーを楽しめないのかっつーの!・・それよりあの二人は?」
「リンディスを見に行ったぞ、キルケがクラークを誘って・・な」
少し口元を上げてにやける・・
「ふぅん、キルケもずいぶん積極的ね」
「当のあいつはまるで気がついてないようだがな」
「ははっ、あいつは恋愛にうといからね。キルケも大変ね〜」
「手を貸してやらないのか?」
「冗談!そんな野暮なことしないわよ!」
「ほぅ、お前にしては珍しいな。いつもならもっとおせっかいなのに・・」
「ほっといて」
頬を膨らまして怒るセシル
「ふっ、それよりもセシル・・」
「??、何?」
「クラーク達が変装してアジトに入ったあの日、犬人の娘が何人か襲われたらしいんだ。
みんな口をそろえて金髪の女性に襲われたって言っている・・」
「なっ、なんのことかしら〜?」
あきらかに動揺している・・・
「・・・・手を出したな?」
「うっ・・、しょうがないじゃない!私だけ待機なのよ!?
知らない国で時間なんて潰せるかっちゅーねん!」
興奮してしゃべり方が変になるセシル
「落ち着け、何も捕まえようとしているわけじゃないさ。ただ真相を知っておきたいだけだ」
「ふぅん、ならいいんだけど・・」
「仮にお前を捕まえてしまったら私達の立場が危うくなるだろう」
「あっ・・、それもそうね」
「だがほどほどにしとけよ、お前はやり過ぎるところがいけない」
「・・あなたって仮面とっても説教くさいところは変わらないわね・・」
「私は何も変わらないさ・・」
やや自嘲気味に笑う・・・
「ねえロカルノ・・、私達はもう教会に帰るけどあなたはどうするの?
国に戻ってきたんだし・・」
「私がいなかったら誰がお前達の暴走を止めるんだ?それに私達はチーム、なんだろ?」
「ふふっ、そう言うと思ったわ。・・まぁあなたがいなかったら私も調子でないし・・ね」
そう言いながらロカルノに寄りかかる
「お前は調子に乗りすぎた。もう少し大人しくなれ」
「うるさいわね!余計なお世話よ!せっかくラブコメ調に持っていこうと思ったのに!!」
雰囲気ぶち壊してチョークスリーパーをかます!
「男を14人も張り倒しているお前にラブコメは無理だ」
あっさりスリーパーをほどき駄目出しの発言
「・・・ちっ」
「お前、そういうのが好きなのか?」
「私だって女なんだから、たまには・・ね」
ブーたれつつも懇願の目・・
「ふっ、今回はがんばってくれたしな。いいだろう」
「いいだろうって?わっ!」
急にセシルを抱き寄せるロカルノ、鮮やかな手つきで抱きしめる・・
「これでいいかな?マドモアゼル?」
「・・・悪くは無いわね・・」
頬を染めて嬉しいそうに言う・・。普段の彼女からは想像できない・・
「お褒め頂き光栄の限り・・・」
キザなセリフを言いつつ口付けを交わす・・
「んっ・・」
美男美女の接吻シーンに周りも唖然・・
クラーク達は気づいていないようだが・・
「さっ、ショウタイムは終わりだ。」
「・・もうちょっとこうしていたいんだけど・・・・」
「・・断る。周りが見ているのでな」
「・・・もう!普段そんなこと気にしないくせに!!」
「こういうことは他人に見せるもんじゃないさ。
周囲に誰もいなかったら付き合ってやる。それでいいな?」
「・・そうね、それで許してあげる!全く、このキザ男!!」
わき腹を強くつっつく。
「ふんっ、そんなことより飲め、飲まないなら食え。まだまだたくさんあるからな」
「・・そうね、そんじゃせいぜい飲ませてもらおうかしら!
ロカルノ!とことん付き合いなさいよ!」
「うっ!?(しまった・・・)」
こうして二人は朝まで飲み続けた・・・・。正確には一人は飲まされたわけだが・・
一行の出発は遅れたのは言うまでもない・・・・・・・・・・


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