終節 「木漏れ日の地」


数日後・・・

事件は明るみにでて貴族社会にも衝撃が走った・・
結果情報屋の親父が作った書類のおかげでキルケはその他面々の異端扱いは解消され
晴れて自由の身になった・・。
なおセルバンテスは原形をとどめていなかったので行方不明扱いになっており
殺ったセシルとロカルノはなんのおとがめもない・・

「全く。今回は流石に一瞬覚悟を決めたわよ。おまけに酒場も追い出されるし!!」
この一件が明るみに出た時、さすがにマスターも貴族に殴り込みという
一般市民にとっては恐れ多いことを仕出かした面々に愛想を尽かし、
出ていってくれと頼まれた(正確には泣きつかれた・・)
仕方なくツケを払い酒場を飛び出した面々だがキルケたっての願いもあり
例のロザリオがあった教会に厄介になっている。

ロザリオの持っていた力は全て失ったようでもはや普通の物と変わらない・・
しかし、キルケはそれを大事に持っていくことを決めた

あの一件で神父もユトレヒト同盟の面々を気にいっており喜んで迎えてくれた・・・
といってもキルケを除く全員が怪我を負っているので手伝いもできず寄生状態・・
今、キルケを除く面々は教会の邪魔にならないように外でくつろいでいる
「しかし丸く収まってよかったな・・」
胸にギブスをしたロカルノがつぶやく、いつもしている鎧をはずし、
ラフな格好・・でも仮面は外さないのはお約束・・
「じいさんの資料がかなり効いたんだろうな、
それに俺たちに恐れをなしたのかもな」
「・・そんだけボロボロになってよく大口叩けるわね・・」
クラークもセシルも包帯だらけ・・、特にクラークはロザリオを使った時魔力を吸われたのか
頬がこけている。まぁそれでも元気なのだが・・・
「だってあの牛の悪魔を倒したんだぜ?やっぱ俺って天才だ♪」
「ふんっ、そういえばクラーク・・お前屋敷で二手に分かれる時、
確か気になることを言っていたな・・?」
ふいにロカルノが質問する・・
「・・・そうよ!あんな化け物と戦ったから忘れてたけどあなた、
私たちより強いみたいなニュアンスのこと言ってたわね〜・・確か(ボキボキ)」
「・・なっ、なんのことでござんしょ・・?」
「とぼけるな、どっちが強いか、今確かめてやろうか・・・」
悪魔の笑みを浮べてロカルノ、仮面姿にその笑みは恐いです
「いいわね〜、ロカルノ。私も賛成♪」
「ばっ、ばか!俺は今怪我してるんだぞ!?」
予想外の展開にクラークもタジタジ・・・
「「(ニヤァ〜)・・ボキボキ」」
「おい・・、指をならしながらこっちにくるな・・、
あっ、あっ、あああああああぁぁぁぁぁ!」
・・・合掌・・・・・



「あっ、外からクラークさんの悲鳴が聞こえてきたんですけど何かあったのですか?」
教会に入ってきた二人にたいして中にいたキルケが不思議そうに訪ねる・・
「ああっ・・、日光浴をちょっと、な・・」
「日光浴・・ですか?」
「ええっ、よっぽど気持ちいいみたいでぐっすり眠っているわよ」
「そうですか・・、じゃあ起こしたら悪いですね」
「そうそう、それよりも教会の仕事はどうなの?」
「ええっ、大変ですけど楽しいです。」
今、キルケは神父の手伝いをしている・・
「ふっ、よかったな。普通の生活に戻れて・・」
「はい・・、あのっ、その事でお願いがあるのですが・・?」
「んっ、何だ?」
「これからも・・一緒にいさせてもらえませんか?」
「えっ・・!何言ってるの?やっと異端扱いが解けたんだから何もこんな商売しなくても・・」
「そうですけれど、今回のことでもっともっと世の中のことを学びたいと思いましたし・・・
みなさんと、別れたくない・・」
「・・・、私は別にかまわない。だが、それは自分で決めたことだ。後悔はしないか?」
「・・はい!後悔はしません!」
「・・私もいいわよ。正直キルケと別れるのは寂しいしね」
「セシルさん・・、ありがとうございます・・後はクラークさんですね・・」
「ああっ、いいわよ?今のあいつに発言権はないから」
笑いながらセシルが言う・・が目は笑ってない・・・
「わかりました。神父様・・、ごめんなさい。わがままいって」
まとまったところでキルケが神父に言う・・
「ふふっ構いませんよ、あなたが決めた道です。目一杯がんばりなさい。
それと・・、行く所がなかったらこれからもここを拠点にするといいでしょう」
「!・・いいのか?」
意外な申し出に驚くロカルノ
「ええっ、実は最近参拝の信者も少なくなって孤独だったとこなんですよ。
にぎやかなのは大歓迎です」
「・・変わった神父さんね〜、それじゃあこれからもよろしくおねがいするわ!」
リーダーが気絶している間にユトレヒト同盟の新しい拠点が決まった。
そして・・・・・新しい仲間も・・・・・

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