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第4節  「城塞都市侵攻阻止」


商業地区の十字路・・
もはや日は暮れており、街灯が灯っている
その一角に黒髪の女性セリアが言っていた宿屋があった。
小さなラウンジもあるようで酒を飲んでいる客も数人いた・・・・
カランカラン・・・・
「おぉ!!、あっ鈴か・・」
入り口を開けると鈴の音がなる・・、それにびっくりするアル・・・・・
「いらっしゃーい、あっ、アルさん!!」
ウェイトレス姿のセリアが明るく声をかけてきた・・
どうやら彼女一人でこの店のウェイトレスをしているらしい・・
「やぁ、用事が長引いてしまってここに泊めてもらおうと思ってね・・、部屋、空いている?」
「あっ、空いてますよ!ちょうど朝日が差し込むとこが空いていますので・・!」
営業スマイルか・・、にっこり笑うセリア。
この笑顔を見るために店にくる客もいそうなくらいまぶしいものだ・・・
ラウンジの客も熱っぽい目で見ている人もちらほら・・・
「ありがとう、あっ、それと・・」
「えっ?」
「ほらっ、君が探していた猟犬・・だよ」
アルの後ろからサブノックが入ってくる、それを見てセリアが目を丸くする・・・・・
「あっ、ほんと・・・・、アルさん・・。ありがとうございます!」
サブノックは一般人もいる手前なので無言のままだ・・
「ああっ、それじゃあ部屋を案内してよ?猟犬は後で会いにきてくれたらいいから・・」
「はいっ、わかりました!ではっこちらです!」
部屋を案内するセリア、興奮して少し落ちつかないようだ・・

2階の突き当たり、出窓があり中々広い一部屋だ。
「ここです!」
扉を開けて中を見せる・・、どうやらこの宿屋で一番良い部屋のようだ・・
「・・・これはちょっと高そうな部屋だね・・・・」
頭を掻きながら困惑するアル・・、短弓のパーツを購入したのでいささか
財布の中身が心もとないからだ・・・・
「大丈夫です、私のお願いを聞いてくれましたし猟犬さんも連れてきてくれたので
割安にしておきますよ。はいっ、これが鍵です」
笑顔のまま部屋の鍵をアルに預ける・・
「ああっ、ありがとう・・」
「まだ仕事がありますので・・、終わったら猟犬さんに会いにきますね!じゃあごゆっくり!」
パタパタ音をたてながら去っていくセリア・・、どうやら今忙しいようだ・・
「あの娘は・・、先日助けた・・・」
サブノックがセリアを見て思い出す・・
「その通り、彼女がお礼を言いたくて僕達に探してほしいってお願いしていたんだよ・・」
「さようでしたか・・・」
「まっ、それは良いとして彼女がくるまでの間に弓の手入れしとかないとね・・・」
道具入れから武器屋で買ったパーツを色々取り出す。
金属の筒やら赤い石やら・・
「これは・・、炎晶石?」
サブノックが興味深そうに赤い石を見る
「そうだよ?武器屋の親父のとっておきだったみたい。
通りすがりの錬金術士から買いつけたものだって・・・」
親父の長話を思い出しつつ説明する・・・

炎晶石とは炎を結晶化した錬金術でのみ作成できる魔石。
力ある者が使用すれば自在に炎を操れる。まぁ回数に限りはあるのだが・・・
因みにかなり希少なもので値段も高価・・しかしその価値がわかる者はそういなく
大抵のものはただの赤い石としか思わない。
(武器屋の親父はその価値はわかっていたけどアルの弓がいたく気に入ったようなので
ほぼ無料で譲ってくれた・・・)

「これをその弓に組みこもうと?」
「そう、矢の威力ももっと増したいと思っていてね、これでお手軽に炎の矢が出せるわけさ」
獲物の強化するというのは使い手にとっては嬉しいもの、アルもホクホク顔だ・・
それに彼は傭兵出身ということもあり獲物のメンテやカスタマイズは得意なのだ・・・
・・・・・・・
他にも軽くて丈夫なミスリルを木の短弓を保護するように装着、
多少重みは増したが弓が斬られ、破壊される可能性は下がった
そして親父オススメの弦・・、この説明が一番長かったんだが・・・・・
特殊な金属繊維を織り込んだ最新のモノだとか・・、そのため弓の弦にしては色がやや青い
それをつけて張りを調整・・・・・
こうして見た目はみすぼらしかった短弓は、ミスリルの銀色が映え、
中心には真紅に輝く炎晶石という凛々しい魔弓となった
「パーツのみでもここまでできるものですね・・・」
完成した魔弓を見てレイブンも驚く
「ほんとっ、でもここまで立派になるとは思わなかったな〜。この際何か名前つけようか?」
アルは物に名前をつけることをあまりしない・・、
だから業物の仕込み刀、斬鉄剣も
名前がわからないからということで「無銘」のままだ・・
「アルはネームセンスが悪いですから・・ね・・」
「そ、そんなことないよ!・・・そうだな〜、『ズバットあろ〜』・・なんてどう?」
「「・・・・・・」」
天使と悪魔が閉口・・・
「・・駄目?」
「そうですね・・、この都市で作成したのですから『カストロススター』などは?」
アルの命名をあえて無視しサブノックが提案する
「私はそれに賛成です・・」
「あらっ・・、じゃあカストロススターに決定ということで・・!」
汗かきながらアル・・・・

コンコン・・!
「あっ、どうぞ〜」
「失礼します〜」
そんなことしているうちにセリアが入ってきた。
ウェイトレス姿じゃなくて私服だ・・・・、若干服装が乱れているのは急いできたから・・か
「おつかれさま。あっ、どうぞどうぞ。」
さっと椅子を差し出す。
「ありがとう、それでこの猟犬さんが・・・」
「どうやらご無事でしたね、お嬢さん」
静かに答えるサブノック
「その声はやっぱりあの時の・・、その節はほんとありがとうございます!」
丁寧にお礼を言うセリア、サブノックもなんだか照れくさそうだ・・・・
二人(?)はしばしお礼まじりの話をしだす・・・・
・・・・・・・・・
会話に入れないのでアルとレイブンは窓から外を見ることにした・・
「あれっ、雨か・・・。昼間はあんなに晴れていたのに・・・」
知らないうちに雨が降っているのに気づくアル。弓の手入れに夢中になっていたようだ・・
「そうですね・・、これは随分降りそうな感じですね・・」
大粒の水滴が窓に打ちつけている・・・・・・
・・・・・・・・・
「!!?」
ふぃにサブノックが窓を見やる・・・
「?どうしたのですか?サブノック様」
事情を聞いて「様」づけするセリア・・
「アル殿、どうやら魔物どもが動き出したようです・・」
「・・意外に早いね・・」
「雨だから人間には動きづらいと思っているのでしょうね・・・」
さすがは数々の修羅場をくぐり抜けた者であっていささかも動じない・・
「あ、あの・・?」
なんのことだがわからないセリアさん・・、頭に「?」マークが浮んでいる
「ああっ、この街を魔物が襲おうとしているんだよ」
アルが世間話でもするような感じのしゃべり方で説明・・、全然緊張感がない
「えっ、ええ!!??」
目を丸くして驚く・・
「セリア殿、今日はここにいたほうがいい。街が戦場にならない保障はない・・」
「そうだね。今から外出するのは・・ね」
「わかりました・・、あなた方は?」
「僕達は魔物どもを迎え撃つ、そのためにここにとどまったようなものだしね」
弓を持ち、戦闘の準備をしつつアル
「そうですか・・、ご武運を・・」
「心遣い感謝します、さて、少しまぶしいですが辛抱してください」
「「「?」」」
サブノックが気になることを言った途端、まばゆい光が発せられた・・・
「うっ、・・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・
光が消えるとそこには漆黒の翼を持つ禍禍しい鎧姿の者が・・・
顔は兜で全く見えず目の部分が赤く光っている・・
「ふぅ、これが小生の本当の姿です・・」
鎧・・、いやサブノックが言った
「すごい・・、魔力ですね。『壁』を通りぬけたのも納得がいきます・・」
その力に圧倒されるレイブン・・
「ほんと、すごい闘気だ。普段もそのままでいいんじゃない?」
「一般の方が怯えますし、この姿は夜の闇の力を持ってなれるので
いつもこの姿は不可能です」
静かに答える・・、声は猟犬の時のままなので何故か違和感ある・・
「なるほど〜、確かに普通の人じゃ驚くね・・・。
よしっ!そんじゃあ夜の散歩と行こうか!」
窓を開けそこから飛び降りるアル、
「ではっ、小生はこれにて。ごめんくだされ」
セリアに一礼して窓を飛び去るサブノック、礼儀正しい悪魔だ・・
一人になったセリアはしばし呆然・・
「変わった・・人達・・・」

城塞都市入り口・・
雨で街灯が少し擦れて見えるがそれでも視界は悪い・・
そこに立つ者が二人・・
「アル殿、この雨・・、見とおしが悪いですが大丈夫ですか?」
「心配無用、悪魔の君にはわからないだろうけど一流の傭兵は一流の眼があるもんなんだよ
それにレイブンがいる。彼女のサポートがあれば目を瞑っていても戦えるよ」
雨にぬれるのが嫌で防水頭巾を被っているレイブンを軽く叩きながら応える
羊のぬいぐるみは彼女の宝なので汚したくはないのだ
「なるほど・・、いらぬ心配でしたな・・・」
「話はそこまでです。熱源、左に3、右に5、さらに後方多数・・」
物静かに注意を促すレイブン。例え雨であっても熱を感知する感覚は鈍らない
アルが信用するだけのことはある
「街には一歩たりともいれさせん!!」
気合い声とともに空高く舞いあがるサブノック
「さぁ、このカストロススターの初陣だ。進攻は阻止して見せる!!」
弓を構えるアル・・、降りしきる雨の中、戦いが始まった・・!!


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