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終節  「そして僕は旅に出る」


その後レイブンの迅速な行動とアルの応急処置のおかげで
キースは回復の兆しを見せている
意識はしっかりしていたがかなりの重傷だったそうだ・・
現に救助隊がガレキに埋まったアルとキースを救ったときには
止血をしていたとはいえかなりの出血があったのだ。
因みにあの突き当たりの天井にあった穴は地上の井戸に
続いておりそこから救助隊は二人を救出したのだった・・・・

救助後、詳しく空家について調べたら意外な事実がわかった。
以前この家に住んでいた男性が実験中に事故で死んでいたということ・・
そして
その男性が死ぬ前に飲んでいた秘薬で生き返ったらしい。
これはその男性自身の手記に記されていたことだ。
死んだことにより世間の目をかいくぐれているので
彼が実験を続けるのには好都合だったのだ
その実験とは合成獣の作成・・、「最強のペットが欲しい」と書いてある・・
そしてこの日、その手記には恐ろしいことが・・
「ようやく完成、明日から早速狩りの訓練を開始する・・」
後1日遅かったらキメラによる被害者が出ていたところだったのだ・・・


数日後
「いや、すっかり世話をかけたね」
フロスが面目なさそうに言う。さすがのフロスにもこの事態には予測できなかったようだ
「いいですよ、僕も良い勉強させてもらいまし・・・」
二人は今船着場にいる・・、さすがにいつまでも厄介になるわけにも行かず
アルは旅を続けることにしたのだ。
「それよりもキースの容態はどうなんです?」
レイブンがフロスに訪ねる。いつもの羊のぬいぐるみ姿だ。
あれから彼女は何事もなかったように振舞っている・・
「ああっ、すっかり回復しているよ。アルを見送るんだ!
って言い張って医者に怒られたとこさ」
「・・あの性格は、治りそうもないですね・・」
「まっ、それがあいつのウリだからな」
苦笑いする二人・・。当の本人がここにいたならきっと怒っていただろう・・
「それじゃあ彼に伝えておいてください、強くなったらまた戦ろうって」
「ふっ、それを聞いたらまたがむしゃらに鍛錬するだろうな。わかった、伝えておく・・」
「アル、そろそろ船が出ますよ」
船員が急かしているのにレイブンが気づき、アルに注意する。
「わかった、それじゃあ副隊長!またこの町に着たら顔をみせます!」
「ああっ、いつでも歓迎するよ。またな!」
急いで船に乗りこむアルにフロスが手をふり叫んだ。
やがて船はゆっくりと出航した・・・・
船が港から出たとき船着場に包帯姿のキースが医者に追われてつつ
こちらに手を振っているのがかすかに確認できた・・・・。



「う、うぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
絶好の快晴、潮風が心地よいのだが今のアルにそんな余裕はなかった・・・、
船酔いだ・・・・
生まれてはじめて船に乗ったので彼にはその症状が何なのかわからない・・
「大丈夫ですか?」
レイブンが背中をさすってやる・・、っというよりぬいぐるみが
背中を滑っているようにしか見えない・・
「な、何なんだろ、この気持ち悪さ・・」
「船酔いですよ・・・」
「・・・何なの、それ?」
「説明すると長くなるのでしばらく横になって下さい、それが一番です」
レイブンに言われたとおり甲板で横になるアル・・、少しはマシになったようだ・・
「ところでレイブン・・?」
「なんですか?」
「最近なんか機嫌よさそうだけど・・どうしたの?」
「・・なんでもないですよ・・」
晴れ渡った空を見ながらレイブンが呟く・・、その様子に怪訝な顔をしたアルだったが
また気持ち悪さがぶり返したようでダウンした・・・
その時、空を見たままだったレイブンがなにか呟いた・・、
しかしアルにはそれを聞き取ることはできなかった・・・
こうして彼らの旅は続く・・・

余談だがこれより数年後、この港町で一人の戦士が有名になる。
猪突猛進で豪快な性格だが仲間を思いやる男だ
男は胸に大きな傷跡を持ち、短い赤毛の戦士・・しかしそれはまた別の話・・・

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