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第十四話  「赤と青」


ケムセラウト〜リレルラエル間の森での戦闘はその後も続けられた

意外に数が多いのと異常に気付いた帝国側が増員をしたからだ

アンジェリカとは定期的に連絡を入れつつ戦闘を続けている内に日はもう傾きはじめやがった

結構時間が掛かっている・・

ペースとしては悪くはないがやはり数は予想以上だ。

俺は〜・・30人ぐらいまで倒したのを覚えていたが後は数えるのを忘れた

まぁスタミナにゃ自信があるが永久機関なわけじゃない

長期戦になればそれだけ消耗してくるのだから・・このままの状況が続くのは勘弁願いたいところだな

「ぐあぁ・・ああ・・・」

ふぅ、これで何人目だろう・・

眉間に一点集中で突いて気絶させた青スピリットを見下ろしながら軽く息をつく

・・流石にへバってきた・・

黄昏色に染まる森の中、街道から外れて少し開けた空間でまとめて相手をしてきたのだ

周囲には気絶したスピリット達が静かに眠っている

”クロムウェル・・無事?”

念波を送ってくるアンジェリカの声にも疲労が感じられた。

一度合流してスピリットを迎え撃ったのだがそのうちまた別々に相手をした

合流している時にゃ強がっていて全然大丈夫そうなんだけどな・・・

”へっ、まだまだ大丈夫だぜ?何箇所か手傷負ったけどな・・”

流石にこれだけの数のスピリット相手だと無傷では済まされない

切り傷を数箇所、後は赤スピリットの神剣魔法を回避しきれず火傷を少々・・

”そう、こちらはもう迎撃するのが精一杯ね・・”

っというか魔法使いでこれだけ長時間の戦闘をしているだけでもすごいんだけどな

”わかった・・俺が動いて注意を引きつけるよ。っても・・もうそんなに数もいないだろう?”

”後・・6人程度かしらね・・そっちに少し手強そうなのが近づいているわ”

・・何時の間にか即興で敵の位置を把握できる結界を張ったらしい

確かに、アンジェリカが言うように強い気配を感じる・・。

”了解した・・、俺が相手をしておくから休んでおけよ”

”頼むわ・・”

ここは俺が踏ん張らないとな・・まぁいい・・

気配は街道の方から感じる、そこまで出向いてやるか・・

・・・・・・・

再び街道に出たのはいいが・・どうやら何時の間にか相当森の中まで進んでいたらしい

ど真ん中なのかな?周囲を見ても道と木々しか目に入らない

だが・・

「お〜い、木の上から偵察か?」

気配でわかる、潜んでいるのがな・・

それに無言で応えるように俊敏に飛び降りるスピリット達・・

三人とも赤スピリット・・見ない編成だな・・

だが力はそこそこある。

「奇襲をかけるつもりでしたが見破るとは見事です」

先頭に立つ赤スピリットその一が静かに言う、長い髪を先端で括っておりすっきりしているが・・

中々良い剣気を放っている・・攻撃担当だな

「褒めても何もでないぜ?まぁそれよりもそろそろ増援出し切って貰わないとへばってきてたまらんよ」

「私達が出た限りもはや増援は必要ないわよ!」

ツンツン髪の赤スピリットその二

なんというか血気盛んっぽいね、赤らしい赤だ

「随分な自信だ。・・っていうか自信あるんだったら奇襲なんて考えるなよ?」

「それは・・、相手がどんな人なのかわからなかったからお姉ちゃんが様子を見て確かめようって言ったからです・・」

軽く髪を後ろで結っている赤スピリット少女・・

少しオドオドして余り戦闘向きじゃなさそうだな

「ティート!そんなこと敵に説明しなくてもいいの!」

「えっ・・あ・・ごめんなさぁい・・」

「まぁ・・親切なのはいいことだ」

にしても『お姉ちゃん』ねぇ・・確かヨーティアに聞いたところによるとスピリットにはそういう血のつながりとか家族みたいな

概念はないってことらしいのだが〜・・ただ仲がいいのだろうかな?

「・・こほん、それよりも神剣を持たぬ者が何故戦線に立つのですか?スピリットも率いずに・・」

他二名の会話を流した・・この長髪の姉ちゃん、冷静だな・・

「一応は軍属じゃないからな、それに俺は単独行動が好きなんだよ」

「神剣を持たないのに・・スピリットを倒す力を持つ・・姉さん、どういうこと?」

ツンツン頭が長髪の姉ちゃんに声をかける

構図的には長髪が長女、ツンツンが次女、後ろ髪軽く結いが三女・・ってか?

「わからない・・けど、相当な力量よ・・。偵察隊の神剣の反応が感じられないのも頷けるわ」

「あれだけの人数を・・みんなこいつが殺したの?」

「お姉ちゃん・・あの人・・怖い・・」

・・いやぁ・・剣に飲まれて無言なのもイヤだけどこうしてしゃべられるのも複雑だよな・・

「俺一人じゃない・・もう一人いるぜ。それに誰一人殺していないさ」

「殺して・・いない?」

「ああっ、そうだ。加減はしたんだからな・・そのためにこんな日が傾くぐらいまで戦闘やってんだけど」

「・・信じられないね。威張るだけで何もできない人間の言うことなんて!」

ツンツンが叫ぶ、やはり・・スピリットからして人間は許せない存在なのかもな

「まっ、信じる信じないはおたくらの勝手だ。ともかくさっさとおっぱじめようぜ?

いい加減腹が減ってきた」

「・・、わかりました・・我らはサーギオス上級兵部隊。

私は『紅蓮』のエスメラルダ、彼女は『焦燥』のヴェロニカ、あの子は『無垢』のティートです。

戦う前に貴方の名を教えていただきたい」

自分から名乗るエスメラルダ・・変わった奴だ

にしても、ツンツン頭のヴェロニカが焦燥って・・、気が短そうなところは頷けるか

「俺はクロムウェル・・、大層な肩書きはない不審人物さ・・。

あっ、いや・・あったな・・どうでもいいのが・・」

『スタンピート』、牛の暴走って意味の俺の通り名だ

・・不名誉ですがねぇ〜・・俺ってもっと上品ですし

「変わった方ですね。クロムウェル・・ですか・・参ります!」

チャキっと剣を鳴らし構えるエスメラルダ

こりゃ・・中々やるな・・

だが赤の怖いところは直接攻撃よりも寧ろ神剣魔法のほうだ

剣を構えた以上エスメラルダが神剣魔法を詠唱しだすとは考えにくい

っとなるとサポートに回り真っ先に詠唱してくるのは他の二人

役割的に考えれば一番危険の少ない小柄なティートだな・・

「はぁぁぁぁぁ!!」

っと!仕掛けてきた!

鋭い踏み込み・・青スピリットや黒スピリットとは違い飛びはしないが中々素早い

だがお前の相手は後だ・・!

「よいしょぉ!!」

ブゥン!

「・・やりますね!」

鋭い一撃だが一発目で回避させてもらう!

ダブルセイバーってのは一発の威力は重さが乗せにくいからさほどなんだけど振り回すだけで攻撃が繋がるからな

初手で避けるのが吉だ!

「お前の相手は後だ!先に・・いただく!」

狙うは・・ティート!

「マナよ、『無垢』の主として命ずる・・」

何?真っ直ぐに突っ込んできているのに詠唱をはじめるだと!?

俺の一撃が速いか発動するのが速いかの勝負ってか・・

こんなガキがそんな度胸のいるようなことをやるとは考えにくいが・・無防備すぎるぜ!

「もらった!」

気絶しない程度に吹き飛ばしてやるよ!

「ティートはやらせはしないわよ!」

キィン!


俺とティートの間に割って入り神剣の腹で俺の一撃受け止めるヴェロニカ・・

俊敏な割には防御がしっかりしている、それなりに力を込めたのに真正面から受け止めるとは・・な

「ならばお前から気絶してもらおうかな!」

「遠慮しておくわよ!カウンターハイロゥ!」

何・・?防御の姿勢から神剣魔法か!?

瞬間、ヴェロニカの周囲を浮遊する二つのスフィアハリロゥが赤く輝き出す!

・・何か・・まずいぞ!?

「いけぇ!」

轟!轟!

ハイロゥから発射される炎の光線!

スピリット自身が攻撃を受けてその間にハイロゥで反撃するって寸法か!

「・・それにゃ当たってやれないぜ!」

二つのハイロゥは正確に俺を捉え高速で炎光線を放つがそれよりも一瞬早くバク転で回避できた

まともに受けていたら致命傷とまではいかないが結構効くだろうな・・

「避けた・・!?やるわね!」

「物騒な技だぜ!赤らしくない!」

「ふん!これが私達の戦いよ!・・それに・・まだよ!」

ニヤリと笑うヴェロニカ・・


「・・炎の槍となりて敵を貫け!」


なるほど・・、詠唱中でしたね・・

「フレイムレーザー!」

や・・べぇ・・!

ティートから放たれる炎の槍、ピタリと俺を狙っていらぁ・・

「まともに当たったら死ねるのっての!」

瞬間地を思いっきり蹴って上空へと逃げる!!

これまた何とか間に合った・・、放たれる熱で足がちょっと熱いけどね・・

フレイムレーザーはそのまま街道沿いの木を吹き飛ばして焼き払った

ほんと・・神剣魔法ってのは怖いね・・

むっ!?

「貰いましたよ!クロムウェル!」

ちっ!上を取られた!

俺が上空に飛びあがるのと同時にエスメラルダも飛んでいたのか!

この姿勢じゃ回避しきれない・・

くそっ、こうなったらライトニングブレイカーを使って受け止めるしかない!

「はぁ!」

「・・こなくそ!」

斬!

力任せの斬撃が俺を襲う・・なんとかライトニングブレイカーを使い腕を十字にしてそれを受け止める

・・だが、流石に雷で全て受けきれなく衝撃がそのままかかり急落下!

ドン!

ぐへ・・!!

不安定な状態だから地面に背中からまともに叩きつけられた・・。

こりゃ・・効いたぜ・・

「これで止め!」

ちっ・・まだ追撃か、こいつらの息・・ぴったりと合ってやがるな!

倒れる俺に合わせてヴェロニカが神剣で首を掻っ切ろうとする・・

だが、んな事させられるか!

「やらせねぇよ!こんにゃろぉ!」

剣を振り上げた瞬間に体を反転させ、超低空の足払いを放つ!

倒れたからってそれが決定的なチャンスになるとは限らない

瞬時に起き上がり隙を突く戦法もあるんだ!

「キャ・・!」

俺の足払いは的確にヴェロニカの足を捉え体勢を崩す

その隙は逃せないなぁ・・!

「さっきのお返しだ!吹っ飛べ!」

足払いから体をしゃがませガラ開きの腹目掛け体のバネを乗せた肘打ちだぁ!

ドゴ・・!

「ぐぁ・・くっ・・!」

わき腹に深く肘が突き刺さる!

骨の2,3本はもらった、それでもヴェロニカはわき腹を抑えながら後ろに飛びのく

俺の一撃をまともに受けてまだ元気だ

この女・・並の緑スピリットよりもタフなんじぇねぇか・・?

長引かせたら厄介だ、息が合っているから一度攻撃されたら逃げ回らないといけないしな

「サンダーショット×3!」

とりあえずは三人に向けて雷撃で牽制!

「何っ!?姉さん!」

「わかっている!ティート、下がりなさい!」

「は・・はい!」

一番射程が近いヴェロニカはそのまま防御姿勢、

少し離れたエスメラルダはサンダーショットが放たれた瞬間に駆け出す・・

避けると同時にティートを庇つもりか

やはりティートの守りはかなり脆いと見ていい

だがエスメラルダとティートの距離は離れている

・・最後に放った雷撃はその間にもティートに向かって突き進む

このままだとティートに直撃するだろうな・・

死にはしないけど・・

「や・・らせない!」

バチィ!!

っと、決死のダイブでティートを押し飛ばし自分の背中に雷撃を受けやがった・・

「姉さん!」「お姉ちゃん!」

「くぅぅ・・!!」

なんとかこらえるエスメラルダ・・まともに食らったんだから少なくとも体に痺れは走っているだろう・・

その隙は逃がさない!

「ちっ・・痛くしねぇから大人しく倒れておきな!」

「あ・・ぐ・・体が・・うまく動かない・・?」

「姉さん!っう・・」

「お・・お姉ちゃん!?」

ヴェロニカは脇腹の一撃が効いて俊敏に動けない、

ティートは目の前で姉が傷ついているのに萎縮している

3人のコンビネーションが合っている分一人欠けたらやりやすいからな・・悪いがここで決めるぜ!

「ライトニングブレイカー!!!」

纏う雷の拳!威力は抑えているが・・、気絶してもらうぜぇ・・!

「お・・お姉ちゃんをやらせない!」

な・・何!?

「「ティート!!」」

捨て身でエスメラルダを庇いやがった!それも神剣の力も使わず両手を広げて・・

・・くっ・・!

「・・・・止まれぇ!!」

咄嗟に踏み込みを深くし足でブレーキをかける!

砂煙を立ち上らせ地を抉りながらも何とか減速開始!

固く目を瞑り恐怖に耐えるティートの目前で何とか止まることができた・・

靴が・・熱いです・・

「・・っはぁ・・危ねぇ・・」

「え・・どう・・して・・?」

震えながら目を開けるティート・・、今にも倒れこんでしまいそうだな・・

「こいつをお前がまともに受けたら死んでしまいかねないからな・・」

「な・・情けをかける気なの!?」

脇腹を押さえながらエスメラルダの元に向うヴェロニカ、俺を睨みながら怒ってら

「そんなんじゃねぇよ」

「じゃあ・・一体何故・・?」

ゆっくりと起き上がるエスメラルダ、体からまだパチパチ放電しておりうまく動かせていない

「俺は別にスピリットを殺すためにここにいるわけじゃない。最初にも言ったろう?殺していないって」

「で・・でも、どうして・・?」

「ラキオスと帝国の戦争はラキオスの勝利に終わる・・。だからもうこれ以上の被害は出したくないんだよ。

それに・・戦争が終わったらラキオス女王のレスティーナはスピリットに謝罪するとともにその生活を保障すると言っている」

「・・権力者の戯言に決まっている!」

「実際会って話せばそれが嘘なのかどうなのかなんてわかるさ。

それに・・それを信じているからこそ命張って俺はここにいるんだぜ?」

「「「・・・・・・」」」

黙り込む三人・・まぁ、今まで否定したものをすぐに信じろっていわれてもな・・

うん・・?

なんだ・・森の奥のほうから何か空に向って上がっている・・

ド・・・ン・・

何かの狼煙みたいなものか・・?炎が弾けた・・

「撤退命令・・ね」

なるほど、そういう伝達方法は変わらないもんなんだな・・

「森を放棄して守りを固めるつもりか?」

「・・おそらくわね、貴方という敵がわからない以上は守りに徹して待ち構えた方がいいと判断したのでしょう」

ここはいくらでも隠れる場所があるからな・・

「わかった・・。そんじゃいきなよ」

「見逃す気・・?」

「あ〜、このまま寝てもらおうと思ったが・・、興冷めてしまった。

それに・・これ以上の戦闘は俺もしんどいからな」

「・・、わかりました。今日は退きましょう・・ですが次は・・」

「俺が勝つ。ちょいと眠ってもらってもらうさ」

宣言はさせてもらおう・・、ふふふ・・

「やれるものならやってみなさい。私はそれでもあんたを信じないわ」

ヴェロニカが憎まれ口を叩くが・・戸惑いが感じられる

まぁ、好きで帝国についているわけでもなさそうだ

「・・行きましょう、二人とも・・」

対しジッと俺を見つめながらエスメラルダは静かに踵を換えた

「ああっ、と!それと・・ティート!」

「え・・な・・に?」

「お前は無理して前に出るな、心臓に悪い!」

幼女にまともに雷撃かませられるかよ・・

「え・・っと・・ごめんなさい・・」

「ティート!謝らなくていいの!」

「えっ、あ・・ごめんなさい・・」

謝ってばかりだな・・・、まぁいいや。

しばらく俺を警戒していたけど三人は街道沿いに帝国領へと戻っていった

・・・・・

これで、とりあえず今日の戦闘はないか・・

夜間に奇襲ぐらいするかもしれないが、これだけ戦力削ったらそうそう手を出せないか・・な?

「ふへぇ・・疲れた。

さっさとアンジェリカと合流して夜営の準備でもするか・・んっ!?」

なんだ・・?何か近づいてくる・・

ケムセラウト方面からだ・・、これは・・空か!

フッ・・

「ん・・・?」

音もなく俺の目の前に着地するは・・青スピリット・・

ウィングハイロゥで飛んできたのだが着ている物はラキオスのスピリットの物だ・・

だが手から肩にかけて篭手を付けているし手に持っている神剣は普通の青スピリットの物とは少し違い大きい

長い流し髪は美しいのだが〜・・なんかこれって・・まずくないか?

「は・・はろぉ・・?」

とりあえず声をかけてみるがこの青少女は無反応、俺の服をジロジロ見ながら何か考えているようだ

・・ラキオスのスピリットでは見ない奴だが・・

こいつ、相当できるぜ・・

「敵・・?それなら・・倒すだけ・・」

ジャキン!

う・・うそぉ・・構えちゃったよ・・

っというか俺のどこから敵と判断しやがった!?

「違う!断じて違うぞ!青少女よ!」

「てぃやぁぁぁぁぁ!!」

問答無用デスカ!?

ハイロゥを展開させて鋭く切りかかる青少女!

踏み込み速度がハンパじゃねぇ!これじゃ黒スピリットばりじゃねぇか!

「ひえぇぇぇぇ!!!」

轟!

凄まじい剣の風圧を感じながら何とか紙一重で回避する!

小柄な体なのになんつぅ一撃だ!

「・・逃がさない・・」

ちっ、さらに斬りかかって来る・・!

おまけに防御無視な捨て身に近い!

こっちはもうバテているってのによ!・・逃げているだけじゃいずれ捉えられる

ならば!

「やぁ!たぁぁぁ!」

横から力任せに剣を振るう・・

スピードとかはとんでもないが軌道は単純!

こうなったら一か八かだ!

バチバチバチ!

手に集中する雷・・網をイメージして奴の軌道を見切る!

そこだ!

「・・!?」

青少女の一撃にあわせ刃と手のひらの雷の網を叩きつける!

「ディフレクト!」

パァン!


「っく・・!?何・・?」

放電の衝撃と共に奴の剣が大きく弾かれる・・成功だ!

得物がでかい分隙もでかくなる・・

だけど・・ラキオスに属している以上手がだせないのねん!!

しょうがない・・とりあえずはタックルで距離をあけるしかない!

「ごめんよ!」

ダメージがないように装甲がある肩に俺の肩をぶつける!

「くっ・・、でも・・まだやれる・・」

衝撃でよろめいたにも関わらずまったく動じない少女・・

この程度じゃ怯ませる事もできないか・・

難儀な事だぜ・・

「あ〜、お嬢ちゃん?いきなり襲い掛かっているけど実は俺、ラキオスの協力者・・」「てぃやぁぁぁぁ!」



話聞けや!!!



再びウィングハイロゥを広げて飛びかかってくる青少女

話し合いは無理っぽいしなんだかさっきより踏み込み早くなっているし!!!

こうなったら・・見切る!


パァン!


俺の頭上に振り下ろされる青少女の刃、対し俺はその軌道、速度をしっかりと把握して

両手でその刃の腹を叩いて受け止める

徒手空拳数ある技の中で剣に対する守りの最大の奥義・・『真剣白刃取り』

・・いやっ、『神剣白刃取り』だな・・こりゃ

因みにパァンって音は派手に手を叩いて音です・・。

じ〜んときてる

「へ・・へへ・・剣を止められたら攻撃できないだろう?とりあえず話を・・」「・・ん・・!」

ググ・・

うお・・、白刃取りからさらに力込めてやがる!!

力ずくで俺の頭かち割る気か!?

っというか・・・




話聞けや!!!!




くそ・・なんて馬鹿力だ・・俺が圧されている・・?

このままじゃ・・まずいぜ・・

「アセリア!」

何・・?さらに増援か!?

このお嬢ちゃんにかまっていて気付かなかったが・・ありゃ、ラキオススピリット隊じゃねぇか!

・・追いつかれたのか・・

「ん・・?」

「そっ、その御方は敵ではありません!」

慌てて注意するはいつぞやのメイド姉ちゃん・・。この状態に目を白黒されていらぁ・・

「ん・・そうなの・・か?」

キョトンとした顔で俺に聞いてくるアセリアって名前の青少女・・

「さっきから言っているだろが!」

「・・そうか・・すまない・・」

あっさりと剣を引くアセリア・・、命拾いしたぜ・・

「アセリア!どうしていきなり襲い掛かったんだ!?」

先頭に立つは『求め』のユート、俺の姿を確認する前にまずはアセリアに注意する

・・そりゃあな・・

「服が・・黒かったから・・」

・・・・、それで、サーギオス軍勢と間違えた・・っと・・。

・・俺、白いスーツにして『シロムウェル』に改名しようかなぁ・・

「はっははは・・まぁ・・サーギオスの服も黒いけど・・な」

とりあえずは一行から奇異の眼差しで見つめられる俺・・

まぁ、その場に座り込んでいるからな

とりあえず・・、アセリアに対する説教が続いているうちに連絡だ

”アンジェリカ、聞こえるか?”

”・・ええっ、遭遇しちゃったんでしょう?”

・・ああっ、結界張っていたんだよな・・

”わかっているなら早く教えておいてくれよ!”

”こちらも魔力回復させるのに休憩していたからね・・その間結界の様子は不確かになるのよ”

”・・わかったよ、とりあえずこっちに来てくれ・・”

”はいはい・・”

呆れた物言いな・・、まぁいい・・とりあえずこいつらの説得だな

何やらスピリット達の大半は警戒しているし

「わ・・悪かったな、アセリアは時々こうした事を起こしてな」

「別にいいよ・・。ははは・・」

「とにかく無事でよかった、それで・・あんたは確か城下町で・・」

軽く顔を見知ったからな・・金髪も珍しいんだし気付いて当然か・・


「あ〜!!!」



んがっ・・

ユートの声を掻き消すように大声を出すは・・

漆黒の翼ことウルカの隣で様子を見ていたあの赤ツインテール幼女だ

「思い出した!!エスペリアお姉ちゃん!あの時のお兄ちゃんだよ!」

「え・・あの時・・?」

メイド服の姉ちゃん・・エスペリアか。

首を捻っているところを見ると覚えていないらしい

まぁ俺の情報が伝わっているということは部隊の中でもかなりの地位なんだろう

確かレスティーナの保護もしていたし

「ほらぁ!城下町でぶつかってネネの実をぶつけちゃったあのお兄ちゃん!そうだよね!?」

元気に俺に聞いてくるツインテール少女・・戦場には似つかわしくないテンションだね

「ああっ、そうだよ。あの後甘い匂いが中々落ちなかってなぁ・・」

「ほらぁ!」

「・・オ・・オルファ、失礼な事をしたんですからあまりそういう事を再び言ってはいけません」

「まぁまぁ、いいじゃねぇかよ。エスペリアちゃん」

「そんな事よりも、どういうことなんだよ・・ほんとにあんたがレスティーナが言っていた助っ人なのか?」

ツインテール少女オルファとエスペリアとは違いユートは警戒を解いていない

まっ、街中で会ったことあるからな・・

「そういう事。できれば合流せずに影で動いていたかったが・・

思った以上に時間がかかったのとおたくらの移動が早いので予定が狂ってしまったらしい」

なんとも間抜けなことだぜ・・

「じゃあ、道中見かけた気絶しているスピリット達は・・全部あんたが?」

ん・・?初めて見る奴だ。

背の高く飄々とした男・・だが目つきに隙はないな、お馬鹿な男を演じながら周囲を良く観察するタイプか

服装はユートと同じだということからエトランジェ・・

っもなると・・

「ああっそうだ。っというか・・あんたが『コウイン』か!?」

「あ・・ああっ、そうだぜ?何だ・・俺ってそんなに有名か?」

「あんたも悪さばっかりやっているから〜、悪名だけが広まっているんじゃないの?」

隣で笑うは・・キョウコ・・

無邪気に笑っているが、俺には悪魔の微笑にも見える・・

「よくぞ無事だった・・、お前の生還を心から祝福させてもらうよ・・」

「・・?・・ああ、よくわからんが・・ありがとう」

訳のわからん顔のコウイン・・、

話を聞くだけでも悲惨な目に合っているのに思い当たらないなんて・・

こいつは本物だぜ・・!

「でもっ、貴方神剣持ってないわね・・アセリアに吹き飛ばされたの?」

キョウコが普通に俺に接する・・どうやら・・俺があの事件の犯人とは気付いていないらしい

これは好都合・・

「いやっ、最初からそんなものは持ち合わせていないぜ?」

その一言に一同驚いている・・

っというか半数は信じていなさそうだな

「神剣を持たないであれだけの数を相手にしたのか・・?」

「俺一人じゃないさ。もう一人いてこっちに向っているよ」

「それでも二人であの数を・・。失礼ですが・・私にはとても信じられません・・」

礼儀正しくエスペリアが言う。まぁこっちの常識ではそう思うのが普通だものな

「ん・・でも・・神剣なくても・・強い・・」

「アセリア殿の一撃を素手で受け止めるその技術からして、手前には不可能な事には思えませぬ。

それに・・、気絶していたスピリット達に切り傷はありませんでした」

アセリアに同意するウルカ

当たり前だ、殴って落としたんだから

「まぁ信じる信じないはそちらのご自由だが・・敵じゃないってことだけわかってくれたらいいさ。

これからリレルラエルに侵攻するのか?」

「いやっ、もう日が落ちる。今日はここで一夜を明かそうかと相談していたところさ

いつ奇襲があるかわからないけどな」

「見張りを立てる必要がありますね」

「とりあえずは心配なさそうだぜ?この森の偵察隊のほとんどは俺達が倒したし残った増援は体裁立て直すために

後退して待ち構えるつもりなんだってよ」

まぁアンジェリカの結界が森を覆っているんだ。襲ってきたとしてもすぐに気付くだろうがな

「ちょっと待った、あんた〜・・そんな情報、どこで仕入れたんだ?」

戦友、ことコウイン君・・中々鋭い質問だな

「撤退させたサーギオススピリットから」

「・・無理やり吐かせたとかか?」

「んなわけあるかい、撤退の合図だからそうなるだろうって奴さんが言ったからさ」

「・・それを信じているの?貴方・・」

「ああっ、そうだけど・・?」

コウイン&キョウコさんが何やら唸っている・・

「敵の言う事をすんなり信じるのは・・危険と思うのですが・・」

「・・ああっ、そう言う事か。

エスペリアちゃん、俺は誰の言う事でも信じるわけじゃないさ。

そいつの目を見て信じるに値するかどうか決める・・敵味方って基準で判断はしないんだよ」

だから味方だろうが信じない奴は信じない

「なるほど・・立派な考えです」

素直に感心するウルカ・・漆黒の翼ってえらい異名を持つ割には意外と純朴なんだな・・

「お待たせさま、・・どうやら話が弾んでいるみたいね」

おっと、森の中からアンジェリカさんが姿を現す

俺と違って外傷はないらしい・・流石というかんなんというか・・

「なんとか理解はしてもらえたよ。俺の・・相棒のアンジェリカだ」

「よろしくね。全く・・トロトロしているからこんなことになるのよ?」

「俺のせいかよ!?まったくもってキツイぜ・・・」



「アンジェリカさん・・ね。

なっ、なんか・・私達の世界で言う『魔法使い』にそっくりね・・」

「ああっ・・良くああいうコスプレしているのは見かけるけどな・・」

「・・ちょっ、ちょっと!光陰!あんたどこでそんな事を・・!」

「いや・・ははは・・それは〜・・ほらっ、学園祭とかで着ている子・・いただろ?」

「そんな際どいネタを学校側が許すわけないじゃないの!」

「そうだったかな〜?」

「こっ、こら!さては私の知らないところで変な店に行ったんじゃないでしょうね!?」

「お・・おい!変な店とは失礼だな!ちゃんと需要と供給が釣り合っているからこそ成り立っているんだぞ?」

「・・何コスプレ擁護な発言しているのよ?こらっ、白状しなさい!」

「おいおい!今はそんな話題で盛り上がっている場合じゃないだろう!」



・・アンジェリカの服装でなんかこの二人盛り上がりだした・・

なるほど、狩る者と狩られる者以外にも男と女の関係なんだな。

「・・・珍しい衣装だってよ?アンジェリカさん」

「まっ、そんなに普及していないからこそ着る意味があるのよ・・。それよりも話はちゃんとしておいたの?」

「俺達がラキオスの協力者であること・・ぐらいかな」

「・・はぁ・・とりあえずは代表者は『求め』のユート君でいいわね?」

「え・・ああ、そうだ・・けど・・」

しゃべりはじめると同時にアンジェリカさんの雰囲気に全員飲み込まれている。

まぁ講師職している分、周りを制する力はずば抜けているからな

「レスティーナさんから余り詳しい情報はいっていないはずよ。

こうなったら貴方達にも私達が動いている理由を説明しておいたほうがいいわ。

ゆっくりと話がしたいのだけど・・よろしいかしら?」

「ああ・・頼むよ。どの道今日は進むのを止めるところだったんだ。

夜営の準備ができたらエスペリアと一緒に聞かせてもらうよ」

「・・話が早くて助かるわ。クロムウェルだとどうせ脱線ばかりしていたでしょうしね」

「・・わかっているなら言うな・・」

「ふふっ、ああっ・・そういえばあのこともちゃんと説明したの?」

ん・・あの事・・?

「何だよ?俺が説明するよりかはお前がやったほうがいいだろう?」

「・・じゃあ、言っておくわね。

貴方達の間でも少し騒動になったことでしょうけど・・マナ結晶体を狙っていたのは私達なの。

それで・・この子が第2詰め所で迷惑かけたらしいわね?」

!!!!!!

時は・・止まる・・

けど、スピリット達の中から凄まじい殺気があふれ出してきている

そして時は動き出す・・

「アンジェリカさぁぁぁん!それは言っちゃだめだぁ!!」

「ふふふっ、師曰く『覆水盆に還らず』・・ね」

氷の冷笑ってやつですね♪

ってふざけている場合じゃねぇ!

今まで凝視していたスピリット達の中からヒミカとセリアが前に出てきた!

「ふ・・ふふ・・、まさかこんなところで会えるとは思わなかったわね・・」

「ほんと・・声で怪しいとは思っていたけどやはり・・ね」

炎と氷の二段構え・・受けきれるか・・!?

パチ・・パチパチ・・

「・・・・・・なるほどぉ・・、じゃああんたがヒミカ達に悪戯した後に私と対峙した不審兵だったのねぇ・・」

こ・・こいつを忘れていた・・

・・絶体絶命だ・・。炎&氷&雷なんて僕には受けきれないよ!

「アンジェリカ!俺はこれより帝国に向って特攻を行う!後の事は任せたぜよ!」

帝国のスピリットの相手していたほうがまだマシだ!

さらば!!

ズゥン!

なぬ!?・・体が動かない!!?

「この効果は・・グランプレス!?

・・計ったな!アンジェリカさん!」

「正体明かした時点でわかりきっていることでしょうが・・大人しく制裁を受けなさい。まずはそれからよ・・」

「制裁じゃなくて処刑だ!こんちくしょう!」

「それで死んでも本望でしょう?

被害者は三人ね・・、動きを封じたから・・焼くなり焦がすなり冷凍処理するなり好きにして?」

好きにしちゃヤダ!

「感謝しま〜す♪」

明るく返事をするキョウコ・・そして俺の回りに3人の処刑執行人が立つ・・

「待て!話せばわかる!人類皆兄弟!罪を憎んで人を憎まずだ!」

「聞く耳持たないわね!乙女に辱めを与える輩は・・成敗すべし!ヒミカ!セリア!フォーメーションよ!」

「「了解!」」

何・・?あの紙を何度も折った玩具を二人に渡した・・?

ならば神剣で直の攻撃じゃないのか・・

まだ望みがある!

「いくわよ!踏み込みのタイミングを合わせて!」

そう言いながら紙の凶器に雷を纏わせるキョウコ

「任せて!この恨み・・晴らさずに置くべきか!」

同じくヒミカさん、こちらは燃え盛っている・・けど紙は燃えてない・・

「この日のための訓練の成果・・今こそ見せる!」

セリアさんのは凶器の周りにキラキラ結晶が出来てます・・

まずい・・実にまずい!

タイム!助けてくれぇぇぇぇぇ!!!

「ライトニング・・!」「ファイアエンチャント・・!」「ヘヴンズスウォード・・!」


「「「ハリセン!!!」」」

バチコォォォォォォォォン!!!

「あんぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・!!!」

同時に打ち込まれる凶器、体をかける3属性の嵐・・

力は渦となり上空に吹っ飛ばされながら俺の意識は強引にもぎ取られた・・

意識が途切れる瞬間、キョウコの野郎が呟くように

「空虚に散りなさい」

っという決めセリフが何故か耳に残った・・

・・異世界編・・完・・!?


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