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第五話  「騎士の資格」


マー坊の面倒を見だして一週間が経過した

議会の書類も俺と総務の活躍により見事に済ますことができた

タイムも休暇を取ってから調子も戻りがんばって職務に就いている

あれ以降議会側も仕事を押しつけてくる事もなくとりあえずは落ち着き騎士団としても

普段と変わらない状況になった

厄介者なマー坊も俺が面倒を見ている訳で表立った問題も解決している

マー坊の世話をしている事で何だかねぎらいの言葉をかけてくる奴もいた

・・たった二日で俺以上に嫌われるとはぁ、奴もなかなかやるもんだぜ

 

「ようし、基本的な訓練はここまでだ。今日から次の段階にいくぜ〜」

 

いつもの如くな訓練場にて動きやすい服装に着替えさせたマー坊に対して言う

シゴキにシゴイてとりあえずは最低限の体力は確保できた、後は訓練と共に継続していけば良い

・・まぁ吐いた量はすごかったけどなぁ・・よく異臭騒ぎにならなかったもんだぜ

「次の段階って何だよ?馬鹿みたいに体鍛えさせやがって」

減らず口を叩くマー坊だが逃げようとはしない、非番の時になんかあったのか訓練にも以前よりも

抵抗の素振りは少なくなったもんだ

「基本だ、基本。んな事何度も言わせるな・・、戦闘中にバテたらグサっていかれるぞ?」

「わ・・わかってらぁ・・でっ!何すんだよ!」

「何って、今日からてめぇの得物を決めようと思ってな・・マー坊、武術の心得は?

べねでぃくと家べねでぃくと家抜かしている以上軽剣ぐらい使えるんだろうな?」

貴族社会では何だか知らねぇが軽剣術が流行っているんだとよ

使うレイピアもまぁこれでもかってぐらいの儀礼用、

見た目は良いが性能はダメ・・ってか先端が丸まっているのがほとんど、

剣術としても儀礼的でスローテンポ。

実戦闘ではそのままじゃお世辞にも使えない、・・まぁないよりマシなんだけど

「・・・習ってねぇよ・・」

「────はぁ・・」

「ため息つくなよ!習おうとは思っていたんだ!」

「んなもん言い訳だ。んじゃ、とりあえずは一般的な訓練用の得物を持ってきてやったから選びな」

朝の訓練に使う刃を潰した武器を持ってきて地べたに並べてやる

用意したのは女性騎士が使用するに一般的な軽剣、レイピア

オーソドックスで使いやすい片手剣、ワンハンドソード

少々使いにくいが信頼できる長剣、ロングソード

男性騎士の中で使用者が多く、片手でも運搬でき使いやすいように柄がやや短く軽い槍、ワンハンドランス

後は護身用とも言えるけど使い様によっては扱いやすい短剣、ライトエッジ

・・まぁ、タイプとしてはこんなところだ

「選べって言われてもよ・・」

「それ用の教本だってある、用意ぐらいしてやるよ。要はお前が使いやすい得物かどうかだって事だ」

「扱いやすい・・ねぇ・・」

「まぁどれも嫌なら素手ってのもあるぜ♪」

「んなもんするかよ!・・そうだな・・片手剣にするよ。これだと使いやすいだろ?盾だってもてるだろうし」

・・まぁ、妥当か。

「んっ、まぁそんなもんだな。剣術に関しては俺は素人だ、基本的な教本と講師は俺が手配してやる・・

とりあえずはそれでがむばれ」

「あぁ!?どういう事だよそれ!得物持たすだけ持たしておいて後は放置か!」

「あぁ?じゃあ強制的に格闘家としてのカリキュラム組むぞゴラァ!?

あの程度の準備(ウォーム)運動(アップ)で吐いていやがるから気を使っている俺の気持ちがわからんのか!」

「う、うるせぇ!大体てめぇは無責任なんだよ!!」

「あ〜!俺は無責任だ!ってかてめぇが言うな!用意するまで素振りでもしてろ!!

その間刃物持って逃げたから確実に殺すからな!」

「誰が逃げるか!!こうなったらトコトン素振りしてやるよ!」

どこまでも減らず口を!!

まぁいい・・、ともあれタイムと相談しないとなぁ・・・

 

─────

 

「・・でっ、片手剣で鍛える訳ね」

 

団長室にてタイムにその経緯を説明する

仕事に追われていたタイムにとってはマー坊がまだここにいる事が意外だった

・・ってか知らなかったらしく驚いていたのだがいるならいるで対処しなければならず

その綺麗な顔立ちの眉間に皺も寄っている

「まぁな、とりあえずは素振りをやらしているがどうしたらいいものやら」

「問題・・ねぇ・・てっきりクロがもう殺して埋めたかと思っていたばかりだったし・・」

ううむ、この発言のみだと何だか俺が殺し屋みたいですねぇ

「泣いて許しを乞うかと思いきや意外にしぶとくてよぉ・・、

まぁアンジェリカさんの首輪のせいもあって逃げる事も適わないからな。

使い物になるならなるでいいんじゃねぇか?」

「でも、剣術指南はどうするのよ?私としてはクロ以外に彼が言う事を聞くとは思えないと思うのだけど・・」

そらなぁ・・他の連中とは隔離させてきたけど

今でも普通に『ベネディクト家のおんぞーしだ!』ってふんぞり返ってもおかしくないし

「そこだよなぁ・・まぁ、しばらくは俺の監視の元にやらせるつもりだけど・・」

それでいけるのかどうか・・

 

コンコン

 

っと、来客か。

「開いている、どうぞ」

瞬時にタイムが騎士団長の顔に変わる・・、

この態度の変化こそが公私混同をしない証拠とも言えよう

「失礼します。団長、調査書をお持ちしました。認め印をお願いします」

入ってくるは肩幅で揃えた金髪が清楚感抜群の美女・・ってか美少女?

成人してまだ間がないばかりなのだが制服の着こなしもピッチリしているルザリア騎士団のホープ、ニクス

ルザリアの貴族出身ながらも実にしっかりとしており状況判断も新米ながら優れている

まっ、とどのつまりはマー坊と対局の位置にいる訳ですね

「うむっ、書類を君に任せるとは・・スクイード君からの信頼も厚いようだな」

「いえ・・私なんてまだまだです。ではっ、こちらをお渡ししますね」

謙遜しながら書類提出するニクス、うむ・・しっかりしとるなぁ

「よっ、早くも頭角を現してきたってところかぁ?」

「クロムウェルさん、この程度は当然の任務です」

っと言いながらもどこか誇らしげなニクス、うむ・・清楚だ。

因みにニクスは俺の中では最後の希望。

金髪女性にイタイのが多い中唯一欠点らしいところがない清楚さを保っている稀少人物なのだ

まぁ諸君もお馴染みなような金髪女性って何故か一癖あるんだよ、

サリーさんとか、我が愚妹とか・・極めつけはあの化け物セシルとか・・

「いやっ、ルザリアに着任して日が浅いのにここまで働いているのは異例とも言える。

それに状況の判断能力も高い・・いずれは小隊を纏める事もできそうだ」

「そ、そんな・・私なんて・・」

照れてる照れてる、スクイードに憧れているらしいけどタイムにも同じ視線を送っている

まぁスクイードは尊敬されるに値しない器だろうがタイムは全女騎士の憧れだからなぁ

 

「・・・そういやニクス、お前軽剣術得意だよな?もうちょい重い剣も使えるか?」

 

「えっ?ええ・・、騎士団に入る前にも習っていましたし

学校でも相応に習いましたので片手剣程度なら大丈夫ですが・・」

ふむっ、良いこと聞いた!

「クロムウェル・・嫌な予感がするのだが・・」

「ならばその予感的中だ、タイム・・マー坊をテント群に配属させろ」

「────正気か?あの貴族意識丸出しの出来損ないに難民の相手をさせるつもりか?」

「それはあいつの心一つだ。ニクス・・ちょいと頼まれてくれないか?」

「はぁ・・私でよろしければ・・」

何が何だかわからない様子のニクス、新人で忙しい分マー坊の事は余り知らない感じだよな

「今マー坊って厄介者が来ているのは知っているよな?」

「・・え〜っと、ああっ、そういえば肩で風を切っている子がいましたよね」

子・・ね、まぁ精神年齢としちゃそんなものだよな

「それだ、そいつが剣を使って訓練するんだけどさ。

講師がいないんだよ・・ニクスが一般的な剣術を習得しているんなら教えてやってくれないか?

他に頼める奴いないだろうし・・」

他の連中はまず首を縦に振らない、

テント群の奴らにしても素人鍛えるには適任者はいないからな・・スクイードぐらい?

でもタイムが嫌っている程なんだ、

あの直情馬鹿なら殺意抱いていてもおかしくないかもしれないしな

「いいですよ♪でもそんなに立派じゃないですよ?」

「ニッ、ニクス君・・正気か?」

タイムが目を丸くしてら〜、信じられないんでしょうなぁ

「ええっ、教えるのは余り得意ではありませんが一通り習得している事ですし・・」

「そりゃありがたい・・でもあんなボンボン苦手じゃないか?」

「・・えっ?ああっ、大丈夫ですよ♪

家にいた頃はお父様に良くああいう子との縁談を勝手に組まされて相手をしていたのですよ。

最初は嫌でしたけどどれもこれも言っている事は同じでしたので段々慣れて、軽くあしらってやってましたし」

笑顔でサラっと・・ううむ・・貴族出身なれど逞しいものよ・・

「なるほどなぁ・・。んじゃ、本当に任せてもいいんだな?」

「ええっ、でも私が教えられるのは基本程度ですよ?

それ以上を望むならキースさんにお願いしたほうがいいと思います」

・・ありゃ訓練の虫だからな・・

「ん〜、まぁそれで十分だよ。とりあえずは訓練に耐えられるだけの気力があるか確かめる程度だ。

辞めさせるつもりだったんだが意地になっているらしくてよ・・存分に扱いていいぜ?

なんなら東国伝統のシャイニングバンブーソードを君に授ける」

どこらへんがシャイニングだって?

刀身に『ねおじゃぽん』って書いてあるんだよ・・俺の字で

「・・??は・・はぁ、貰えるものでしたら貰いますが・・」

「ははは・・、っという事だ。

とりあえずあいつの関係者が怪しまないようにテント群担当課に所属させてその上で合法的にシゴキを行う

・・そんでいいか?」

「・・そう・・だな・・。

余り資格があるとは思えないがクロムウェルの訓練に一週間耐えたところ
見所はあると思う・・

騎士になりたいと言ってルザリアに赴き基礎体力訓練に耐えたとなれば相応の対応をせざるを得ないか

よし、スクイード君には報告しておく。仮所属として配属させよう」

歯切れが悪いが妥当だな

意外にしぶとい以上ステップアップさせていくしかない。

剣術訓練でダメならとっておきの難民相手の業務・・マー坊にゃ耐えられないだろう

・・もし耐えたら・・考えないとな・・

ってかその場合はあいつに本当に騎士の資格があるって訳か・・


・・・認めたくないなぁ・・

「よし、そんじゃ早速始動だ。ニクス・・今は暇か?」

「え〜っと、この書類提出したら後はテント群の戸籍ファイルの整理を行う予定ですが・・」

「んじゃ、それ却下で得物持って訓練場に来てくれ。俺も付き合う」

「はっ、はい・・では用意してきます!」

敬礼して出て行くニクス・・予想外の展開に呆気に取られながらも行動に移している

若いのに適応能力は素晴らしいものだ

「・・そんな訳だ、俺は様子見てくるからテント群の調整よろしくな?」

「わかったわ。でも・・ちゃんと諦めさせてよ?」

「あいつに本当に騎士でやっていく覚悟があればそれはしょうがないけどな・・。

シゴキに耐えている以上は機会はやらないといけないもんさ」

「そこが今ひとつ信じられなかったりするんだけどね」

「テント群で働かせれば真偽はすぐにわかるさ・・ガチガチの貴族馬鹿だと一日として耐えられないだろうしよ」

「そうね・・、まぁ・・無理はしないで」

「わかっているさ」

軽くタイムにキスをしてもう一度マー坊の面倒を見に行くために団長室を後にする

・・なんか〜、色々面倒臭いな・・・

そろそろ団長室でタイムと交わりたくなってきたもんだが、それはまた今度にしますか

 

 

────

しばらくして・・

 

「ほっ!ほっ!はっ!」

 

「はい、良い感じですよ〜。もうちょっと踏み込んでもいいです」

 

 

訓練場にて丁寧に訓練をするニクス・・

意外なほどの才能というべきかマー坊を丸め込んでそのまま剣の訓練を始めている

状況分析とその対処に優れていると評価があるニクスだがほんと指揮力もあるな

これでマー坊が仮にテント群として働く事にでもなりゃ計6人。

2チーム小隊に分けて任務に就く事もできる、そうなりゃニクスを小隊長として指揮させるのもありだな・・

さしずめ、スクイード、シトゥラ、キースで1チーム。

ニクス、カチュア、マー坊で1チーム。

スクイードチームは実力者揃い故に実働部隊、

ニクスチームは実戦闘よりも分析や情報収集などを得意としているから偵察などの支援ってか

それだとバランスが取れているもんだな。

まぁ・・若手が指揮するにゃ何か反対する年上の奴も多いのだろうがテント群は完全例外だろうしなぁ・・

シトゥラはそういうの拘らないしキースもカチュアも指揮者向きではない・・ってか現場専門だろうし

ううむ・・将来が楽しみだな・・清楚だし

 

「よっ!たぁ!こ・・こんなんでよくなるのかよ!?」

 

「はいはい、口答えしてはいけません。

剣術の基本は素振りです、それがきちんとできていないと全ての動作がバラバラになるんですよ」

 

せ、説得力がある・・

二人とも同じくらいの歳だろうが教える側と教えられる側としてはっきりと差が見えるな

因みにさっきからやっているのは基本的な上段斬りの練習

両手で握りをしっかりと掴み振り上げて切る、

ニクスはそれを自分の剣で受け止めながら姿勢のズレを注意する

後はそれの繰り返し、一つの動作の繰り返しはマー坊にとっちゃかなり退屈らしいのだが

少しでも気を抜いたりするとニクスに注意されるのでその分体力の消耗も激しい

「はっ!はっ!はっ!」

「スピード落ちてきています、一撃には常に最速を心がけないと弾かれてしまいますよ」

「わ、わかっていら!こうだろ!!」

「そうです、一撃一撃に魂を込めるつもりで振ってください!」

・・う〜ん、マー坊もしつこいっちゃしつこいなぁ・・

逃げ出す素振りも見せずにニクスの言う事を聞いている・・

なんでこんな女に従わなければいけないんだ!・・ぐらい文句を言いそうだけどなぁ・・

 

「・・あらあら、まだがんばっているみたいね・・」

 

・・ん・・?この声はアンジェリカさんですか・・

講義室に篭もる事が多いのに最近では色々とうろつくものだなぁ。

確か中庭にハーブを植えているんだったっけな・・その世話をしているのはよく見かけるんだけど・・

「よう、アンジェリカ。

意外に意地になっているようでよ・・いつまでも体力作りじゃ飽きてきたから剣術指南をしてるんだ」

「ふぅん・・。涙流して許しを乞いにくるかと思ったけど・・ほんと意外ねぇ」

「誰も予想してなかっただろうなぁ・・。まぁ使い物になるかどうかはまだわかんねぇけど」

「ふふふ・・それは誰にもわからないんじゃない?隣、いいかしら?」

返答を待たずして俺の隣に座るアンジェリカさん。

いつもミニなスカートを履いているから座ると結構危険ですよ

俺からは見えないんだけどな

「おうよ。・・でっ、アンジェリカさんの眼鏡に適う成長は見せていますかね?」

「一般的な騎士のレベルで言うならまだまだまだよ、第一魔術関係はさっぱりでしょう?」

「そこらは目を瞑ってやれよ・・大体道楽息子が魔術なんて習っていたならそれは完全犯罪用だろうしな」

「違いないわね。でも体力的には流石クロムウェル教官と言ったところかしらね?筋肉の付き様がよくわかるわ」

「辞めさせるためのシゴキとは言えオーバーワークをさせるつもりはなかったからなぁ・・

っても、俺レベルでのオーバーワークだから一般的にゃ完全レッドゾーンか」

吐きまくっていたからなぁ、まぁそれでもついてきたのは評価はできるか

「ふふふ・・この一週間窓は開けっ放しだったから・・気持ちの良い悲鳴が良く聞けたわ」


サドですね、魔女ですし

「怖い怖い、まぁ・・問題行動を起こせばアンジェリカの方に世話をさせれば問題ないか」

「あら、いいの?遠慮無く解体するわよ?」

「相応の事をしでかした場合はそれも仕方ねぇよ・・。

まぁ・・ニクスに任せた後あいつがどうなるかは俺もわからんがな・・」

「少なくとも貴方よりも指導力はありそうね。マーロウ君も真剣そうじゃない」

それは俺もよくわかる・・ってかどうせ俺は指導下手だよ!

「才能ってところか」

「拗ねない拗ねない、貴方も拷問やらせたら一流じゃない。

あれだけ気持ちの良い悲鳴を奏でられるんだから・・惚れ惚れするわ」

「褒められても嬉しくねぇな・・」

拷問好きって変なのが多いですからね。

「ふふふっ、まぁ・・ニクスにとっては良い経験ね・・貴方の役割ももう終わったんじゃないかしら?」

「そら嬉しいもんだ。ようやくタイムの処でイチャイチャできるってもんだ」

この一週間、タイムも忙しかったし俺もマー坊の相手で色々あったからなぁ・・

そろそろご無沙汰?流石に忙しかったら悶々とする暇もないようだけど

「あら羨ましい、私なんか見向きもしないのにねぇ?私で良ければ鎮めてあげたのに・・」

「・・ご冗談を、この状況でそんな事してみろ。俺が斬殺されるだけで済むかよ」

「あれだけ騎士団長としての資質を持ってそれをこなしているのに私生活では独占欲が強いモノね・・」

「それがあいつらしさだよ。まっ、そんな訳だ・・いつぞやみたいな夜ばいは勘弁してくれよ?

あんな恐怖はこりごりだ」

以前疲れて眠っていた時にアンジェリカさんから夜這い(襲撃)に遭った事がある

性欲を抑えきれず俺だときっと相手にしてくれると思い寝込みを襲ったんだ

それで事が済めばよかったんだけど運悪くタイムさんが帰ってきて鉢合わせ・・

あの時の空気はすごかった・・

何といいますか・・心臓に冷たいモノが突き刺さった感じがしましたよ

ほんと・・

「天下のスタンピートがだらしがないわね?」

「──寧ろ俺だから生き残れた。普通は心臓発作起こしていてもおかしくはない」

もしくは二人に殺されていたかだ・・。

「大げさね・・。

まぁ邪魔をするつもりはないから安心して・・もっとも・・タイムさんの仕事が落ち着けば・・だけど。

表立ってはいないけど徐々に波紋は広がっているそうじゃない・・領主ギーグの失踪」

「・・逆に表立たない事の方がすごいと思うけどな、それだけ私腹肥やすのに懸命だったんだろうさ。

・・代わりはまだ決まらないのか?」

これ以上余計な仕事を持ち込まれても困るんですがね・・

「お飾りな分成りたい人も多いんじゃないかしらね、

でもまだ何も動きはないようよ。おかげで議会は大激怒だけど」

「そらな・・そんじゃ、もうしばらくはタイムは安心して休めないわけ・・か。

しゃあねぇ、また手伝ってやっか」

印鑑押すだけだからねぇ

「貴方が事務をするとは驚きね。でもちゃんとこなしたみたいじゃない」

「ったりめぇだ。妙な計算する訳じゃないんだ、上がってきた議案の是非ぐらいわかるっての」

収支とかの計算とかでもある程度は大丈夫だけどなぁ・・

何に使うは今ひとつわかんねぇ面積や容積を求めるのはパス

専門的なのはそれ相応の教育が必要だからな

 

「はい、そこまで!10分間休憩入ります」

 

「はぁ・・!はぁ・・!やっとか・・」

 

・・っと、そろそろ休憩か

自分の体のみを動かすのに比べて剣を持っての訓練ってのは疲れもでかい

肩で息を切らしてマー坊はその場にへたれこんだ

「がんばっているわね、ニクスさん」

「あっ、アンジェリカ教官!いらっしゃったのですか?」

アンジェリカを見るなり敬礼するニクス、礼儀正しいものですねぇ・・

対しマー坊はアンジェリカの顔を見るなり後ずさっている。恐怖よなぁ・・

機嫌損ねさせたらその瞬間に爆破されかねないし

「ええっ、夢中で教えていたようなので声をかけなかったけどね。その歳で見事な教えようね」

「いえいえ、私なんてまだまだですよ。

それにクロムウェルさんの指導の甲斐あってマーロウ君の体力がここまで持ったみたいなものですし」

「そ、そうなのかよ・・」

マー坊の奴驚いてら

「言っただろう、基礎だってよ。

あれがあったからこそ今日の訓練ができるんだ・・それにまだまだいけそうだろ?」

「・・ん・・そうだな・・。息は切れるけどまだやれそうだ」

「よろしい、その息が切れている分は煙草のせいだな。いい加減止めろよ、くせぇんだからよ」

吸っている奴は全く気にならないらしいんだが吸わない奴には気になって仕方ない

そこら、考えないといけないよ?ほんと。

煙草自体は目に見えるけどその臭いってのは目に見えず防げないものなんだからな

「うるせぇ、そんな簡単に止められないモノだって事はお前だってわかるだろ?」

「知るか、俺は煙草を飲んだ事はねぇからな。

大体中毒性があるとはいえ止められないのは一重に意志の弱さだ」

「・・うぐ・・」

「ふふふ・・、まぁ紫煙の中毒性は深刻だそうからね。

じゃあ・・煙草を止められるように私がもっと夢中になるオクスリを上げましょうか?

打ったら最後、最高に良い気分を味わえるわよ?」

「こらこらこらこらこらこらこら、またやばい事をしようとする。

おいマー坊、その誘いは受けるんじゃねぇぞ?

アンジェリカさんの甘いお誘いは必ず危険を伴う、

そのクスリだって絶対副作用で腫瘍ができるとかそんなのが付きものだ」

「あら、違うわよ。ただ脳はめちゃくちゃになって幻惑作用で暴走する可能性は高いかもね」

普通にやばいクスリじゃねぇか・・

「んなもん誰が乗るかよ・・!」

「懸命だ・・」

「そんな事よりも・・ニクス、これだけ練習したんだ。クロムウェルを叩きのめすぐらいはできるだろ?」

「・・えっ?教官を?」

──なるほど、真剣に打ち込んでいると思いきやそんな理由があったんだな・・

「アホか、たかだか一日剣を持っただけで勝てると思うな。なんなら実力の差を改めて教えてやろうか?」

「そうよ、マーロウ君。実際クロムウェル教官に勝てる人なんてルザリアにはいないんだもの。

いつか倒すって息巻いているスクイードさんでもまともに一撃が入った事ないんだし」

「ありゃ一撃が単調だからな。でも俺でも勝てない奴はいるんだ、不可能じゃないぜ」

そう言っておかないと俺もクラークさんを倒す事が不可能って決めてしまう気がするしな

「マジかよ!?クロムウェルが適わない相手がいるのかよ!!」

「──そいつに金振りまいて俺を殺そうと頼んでも無駄だぜ?あの人は俺以上に変人だし金で動きはしない」

クラークさんが金で動くなんてあり得ないだろうしなぁ・・

っても、ユトレヒト隊の名前は有名だし訪ねる度に館が豪華になっていくところすごく儲けているような気もする

まぁクラークさんのみでも解決できない事件はないだろうし、

それにキレ者のロカルノとブチギレ者のセシルもいるんだ

依頼なんて幾らでも来るだろうしな

・・そう考えたら騎士団に比べてかなり裕福な暮らしなのかも・・

「・・ちっ・・せっかく良いこと聞いたのに・・」

「何時までも他力本願でいるんじゃねぇよ。剣持ってんなら自分の力で切り開きな」

「わ〜ってるよ!ほらっ、ニクス!休憩終了だ!さっさと続きをしてくれ!」

──別の事で気合い入ってんなぁ・・

「えっ?あっ、もういいの?じゃあ次行きましょうか・・。じゃあ今度は切り返しね・・」

親切丁寧なニクスにより訓練再開、うむ・・目つきが変わったな

 

「・・ふふっ、良い気迫じゃない。ひょっとしたら化けるかもね」

 

「それならそれでいいんだけど・・まっ、憎まれ役ぐらいにはなってやってもいいんだが〜」

 

後は本気であいつにその資格があれば・・だな

きっかけはなんでもいいんだよ、結局は。

ともあれ・・これからどうなるか、だな・・




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