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第十五話  「ブラックダイヤは砕けない」





領主ギーグの屋敷

それは貴族地区の中でも一際目立つ建築物だった。

なんせそこは歴代の領主が執務を勤めてきた屋敷、

来賓用の部屋なども含めるとかなりの規模であり広大なルザリアの中でも一番の大きさとも言われてきた。

因みにギーグは以前の一件で倒壊した別荘に元々住んでいたらしく

領主になったのを機に屋敷に住みだしたんだとか・・

しかし、それも今までの話・・

今では法王の一撃により絢爛豪華な屋敷は無惨な残骸と成り果てた

屋敷はほぼ全壊、最後に起こった爆風により火災も発生しており火の手があちらこちらから上がっている

これじゃ、どこで転送をしていたのかもまるでわからないな

なんせ瓦礫の平原みたいになっているんだからな・・

 

だがここまでは作戦通り、結界は潰れ騎士団は作戦を開始した

アンジェリカとフィートの予想通り、崩壊した結界からはMVが迎撃に出てきており戦闘が開始されていた

俺もここにくる途中に襲われたのだがそれはセシルが乱入して引き受けてくれた

やはりケダモノ相手では流石のMVも相手にはならないらしくそのまま任せておいた

他でもすでに戦闘が行われているが極力屋敷よりかは離れている

そんな訳で作戦通り屋敷領域内に到着できたのは俺一人となった

そして足場の悪い瓦礫の中、静かに立つ奴の姿が・・

 

「意外に早かったな・・・」

 

雄々しく仁王立ちをし俺を見つめるは最強のホムンクルス、ヘキサ

その様子はこの間の戦闘などなかったかのように傷一つなく元気そう・・

まぁ、俺も全快だから当然なんだけどさ

「俺としては一刻も早くルザリアの救出をしたかったからな。てめぇらの下らない実験も終わりだ」

「そのようだ。もっとも・・ルザリア制圧など私には関係のない事・・

どうなろうが知った事ではない」

「へっ、お前の興味は俺一人って訳か」

「そう言ったはずだ。他の連中の考えなど私には関係がない」

はっきりと言う・・がそういうところはさっぱりしているもんだぜ

「なるほどな。で・・ギーグの野郎はどこに行った?」

「すでに撤退をしている・・が、奴の役割はもう終えた。

結界が崩れるまでに都市を制圧できなかった以上生きている意味などあるまい」

作戦失敗は死を持って償え・・か、裏の組織っぽいな

「ふぅん・・、でも奴が捕まってお前達の情報が漏れるのはまずいんじゃないのか?」

「さてな、そんな事は私にはどうでもいいことだ。

それに捕食者(イーター)がいる限り、奴が生きてこの都市を出る事など最初から不可能だ」

捕食者・・確か・・スレイブに対してそんな事を言っていたな。

確かにどこにでもすっ飛んでいけるのなら逃げようがないか

・・ってか、ベアトリーチェの裏方に回るってのはこの事・・か?

「──まっ、いいか。あの様子じゃ最初から捨て駒にされているのは理解できているようだからな。

そんじゃ・・始めるか?」

「いいだろう、今度こそ貴様を殺す」

静かに言いながら構えるヘキサ、相も変わらず軽く構えただけでそれが鉄壁に見えてくるな

「全く・・顔立ち整っているのに物騒なもんだ」

そう言いながらこちらも構える、

腕には新しい得物である『()崩す戦(タン)()()()

拳速が落ちるが奴が相手ならば攻めのみに重点を置くわけにはいかない

「・・ふん、得物を変えようとて同じこと・・いくぞ」

そう言い火の粉散るガレキを蹴りヘキサの体が跳躍する

流れるような動作にて飛びかかりそのまま手刀で瓦割り、

鋭い一撃だが俺はそれをギリギリの距離で回避して次に備える

予想通りヘキサは間髪入れず繋げてくる、

大振りの右手刀が不発に終わったと同時に動作を変え左の突き、

そのまま体を流して右のローキック

どれもずば抜けて鋭い・・が最初にやり合った時にも見た分それに慣れてはいる

ただしとんでもなく速いだけに最小限の動作で回避しないと奴の攻撃についていけなくなる

しかし改めて眼が慣れてきた

次の攻撃で!

「はぁ!」

高速のストレート!ここだ!

「でぇい!」

ヘキサの拳を見切りそれを掴み取る、その刹那に奴の鳩尾に突き上げ掌底を打ち込む!

掴んだ腕はそのまま引き、奴のストレートを放つために前方に傾いた重心をさらに傾ける

そしてそれにタイミングを合わせるように掌底にてその体を上に持ち上げるようにすれば・・!

「・・っな!」

ヘキサの体は宙に舞い俺の頭上を通過してそのまま頭から地面に激突する

ベアハンティング、

相手の打撃を利用しての返し投げ。

重心を利用する高度な投げは東国の合気道をモチーフにしたらしいのだが

合気と違い攻撃途中の拳を掴むのはベイトオリジナル

その分タイミングは難しい

流石に今回習得した中で一番難しかっただけの事はあるぜ・・

まぁ、成功したのはヘキサの動きが綺麗過ぎるせいでもあるんだけどな

ほとんど人間と言えどもやはりホムンクルス、

習得した攻撃方法に癖ってのが出ない分それは基本に忠実、故に読みやすい

ともあれこのままで逃がす訳にもいかない、ここでさらに関節の一つや二つ破壊しておけば!

「ちっ!させるか!」

うわっと!強引に俺の手をふりほどきそのまま体を回転させて蹴りを放ってきやがった!

油断も隙もありゃしない!

「くそっ、叩きつけた程度じゃびくともしねぇな!」

オマケに起き上がり反撃するまでの速さが半端じゃない、敏捷性の高さは流石だな

「舐めるな!クロムウェル=ハット!」

こちらの牽制で距離を開けるもそのままクイックダッシュ、

姿勢を低くして突っ込もうとするヘキサ。

だが奴の動きは予想できる、

バックステップで距離を開けると見せかけ、スイッチでダッシュをかける・・

俺のスタイルを参考にしただけの事はありタイミングがよくわかる

だからこそ身体能力では分が悪いが先手は打てるんだ

「舐めてねぇよ!だが手加減もできねぇ!」

ダッシュとともに奴は大振りの突きを放つ、まともに受ければ骨をやられ吹き飛ばされるが

それをかいくぐりヘキサの懐に迫る

そして、刃の付いた拳にて高速のボディブローを3発!

ラビットピストン・・流石に綺麗には決まらないがその分確実に奴の腹に拳がめり込む!!

「っぐぅぅ!」

重心移動をしながら勢いを付けてのブローだ、

威力は高いしオマケに角手甲装備、奴の腹にブラックダイヤの角が鋭く突き刺さしまくる!

3発目のブローにてヘキサの体は吹き飛びガレキの中に激突したのだが

もう殴り飛ばすというよりかは突き飛ばしたような感じだ

人間ならば当然・・ハティだろうがブロンズゴーレムだろうが致命傷は与えられた感触だ

だが、相手はそれ以上・・

内臓は角と打撃でメチャクチャになっているだろうが戦闘には支障はないだろう

「実戦使用は初めてだが・・何とかなったか・・」

軽く息をついて構え直す、当然この程度じゃヘキサは倒せない

案の定ガレキの中から奴は何事もなく飛び起きた

「高速の連続ブロー・・、データにない技だ」

「俺はお前と違って常に成長しているんでな

それに・・データばかりに頼っていたら勝てないぜ?」

「それは理解している。だが・・それでもこれは防げまい」

そう言うと右手に風が集まり白い球体を造り出す

白風(ホワイトソニック)・・、いよいよ本番だな

「へっ、そいつは・・どうかな?こいよ」

すぐさま蒼雷(ブルーレイ)を出せば奴も警戒する、危険だが引き寄せた状態で打つしかない

「いいだろう・・!」

そう言いものすごい速度で迫り来る、

奴も暖まってきたようで身のこなしにさらに鋭さがかかっているな・・

このままじゃ避けきれない。

多少出すのが早いが・・

「チャリオッツ(弱)」

身体強化にて迎え撃つ、その刹那に白風の拳が飛び込んできた

当たれば大ダメージ・・通常ならば回避しきれないのだが身体強化して敏捷性も絶好調

何とかヘキサの一撃を回避しつつ次の攻撃に備える

白風は左手にもかけられており強力無比な攻撃を繋げてきた

だけどドンピシャリ、警戒していなければ直撃を受けていたが備えていれば回避することはできる

そしてその瞬間こそがチャンス、鋭い左の白風の拳をくぐり抜け懐へ接近!

ここで!

 

「ブルーライトニングブレイカー!」

 

速攻で蒼雷を発動させてそのまま叩きつける!

 

ドォン!!

 

 

「っ何!?これは・・!!」

 

強烈な衝撃音と共にまともに腹へ直撃を受けたヘキサは地を滑らしながらも何とか堪えやがった・・

角で突き刺しまくっている腹部へ叩きつけたのにな・・、

俺とした事が蒼雷の発動でタイミングがずれてしまい威力を半減させてしまったようだ

だが、回路(サーキット)破壊(ブレイク)は成功。

ヘキサの手には白風がなくなっていた

「──魔導回路に異常・・なるほどな」

「へへっ、てめぇの白風は厄介だからな。封じさせてもらったぜ?」

「それが私の能力に対する対策か。しかし・・甘いな、クロムウェル=ハット」

不敵に笑ってみせるヘキサ

ハッタリじゃ・・ないよな、そこまで器用な奴でもないか

「どういう事だ?」

「それが人間相手ならば有効な手だろう、しかし、私はホムンクルス。

戦闘に特化された存在・・故にこの体は自身の傷を癒す力が強い」

そう言いわざと白服をめくり腹を見せる・・

手甲の角により内蔵がグチャグチャにされていてもおかしくないはずのそこは

何事もなかったように白くくびれた美形を保っている

凄まじい自然治癒・・・って事は・・

「まさか・・」

「その通りだ、回路(サーキット)破壊(ブレイク)と言えども回路を完全には破壊はできない。

確かに貴様の技は私の魔術行使の妨害としてはいい手だ。白風も使用できなくなった、

しかしそれも・・直に使えるようになる。これがその証拠だ!」

そう言いながらその場で拳を突き出す、

何をするのかと目を見張った瞬間・・

 

ドォン!

 

体に凄まじい衝撃が伝わり体が宙を浮く!

「・・ならぁ!!!」

意識が一瞬飛んだが何とか堪えた

・・が見えない衝撃、そしてこの威力・・。

こいつはフィートやアンジェリカが使う『狂風』と同じだ

「わかったようだな。

白風のみが私の能力ではない、法王の戦闘データを元に攻撃に適した風術の行使も可能だ」

ちっ・・こいつは予想外だ!

蒼雷を受けていながら術を行使できるって事はもう回路の修復が行われている

その分だとすぐに白風を使えるようになってしまう!

しかしこちとら魔術に関してはそこまで長けていない・・

蒼雷の発動も全力で後3回がいいところだ

長引かせると不利になるな・・

「くそっ、超人ってのに偽りはねぇな。少しはハンデを与えろってんだ」

思わず愚痴ってしまう、

おまけに火の周りが思ったよりも速く足場は次第に悪くなっていく

・・なんだよ、やばくねぇか・・これ・・?

「ふん。残念ながらそれはできない、同条件でないのは私も不服だが、

それ以上に貴様を殺す事が全てだからな。

さぁ・・いくぞ!」

来る!

こうなるとかなり不利だ、だが・・今の状態では奴は未だ白風は使えない

つまり破壊されている事には違いはない。

ならこの状態でまた蒼雷を食らわせば!

「いいだろう!勝負だ!」

攻撃に特化させるために素早く剣手甲を脱ぎ捨てこちらから突っ込む!

角の分威力が下がるが刺突だけでは奴には効果がないし防御なんて悠長な事もしてられない・・

寧ろ拳速を高める方が肝心だ

そのままチャリオッツを強め一気に距離を縮める

迎撃にとヘキサは素振りのように拳を突き出すが、これが奴の『狂風』・・

見れば拳より空気の歪みが放たれてそれが凄まじい速度で俺に向かって飛んでくる

軌道なんてのはほとんど確認できないが俺もフィートの相棒として活動してきている

狂風の回避はそれなりに自信があるのさ。

あの術は目で確認できない分軌道の変化はつきにくい、

つまりは最初に受けた感覚さえわかればどんな速度で来るかわかり

拳の角度で弾道は読める!

「っ!この!っと!!」

見えない弾丸が風を切る、

最初に手の内を見せなかったらやばかったが・・そこがこいつらしい

だが・・なんとか回避できたもそれが弾幕のようになり思うように踏む込めない!

その間にヘキサが先に踏み込んできやがった

ちぃ、チャリオッツの反応よりも速いとは!

「ソニック・・スラッシュ!」

勢いを付けてヘキサの足が動く・・まずい・・!!

 

 

閃!

 

その蹴りはまるで斬撃・・空を切断するかのような鋭さに寒気すら感じる!

野生の勘で咄嗟に飛び退いたが、

回避しきれず服がスッパリ斬れており
胸が斬れているのが感覚でわかる・・

身体強化故に痛みは感じられないが感覚的にかなりやばい!

おまけにヘキサはそのままもう一斬今のと同じ蹴りをしようとしてやがる・・!

「これで終わりだ!クロムウェル=ハット!」

もう一斬・・、風切る蹴りが走る・・今度は回避しきれない!

「ちぃ!!チャリオッツ!」

身体強化を極限まで高める

その瞬間にヘキサのソニックスラッシュが俺の体を切り裂いた・・

しかし

「何・・これは・・」

その体が霧のように消える

・・分身・・

忍術の代名詞とも言える術で俺も教わった事があるが本家と比べてどうにも上手くいかずに一時は挫折していた

がっ、俺なりにアレンジを加えて何とかそれに似たような真似ができるようになった

とは言えどもそれはどちらかと言えばシトゥラが使うような幻影、

最大限まで高めた身体強化時にようやく騙せる程度だ

元々その手の事は素人だからな。

数秒、自身の残像を写せる程度・・だがそれでもヘキサの動揺を誘う事ができる

そこで、踏み込む!

「ラビットピストン!」

「甘いぞ!」

幻影を仕掛けた後に時間差で深く踏み込むがそれに合わすようにヘキサは拳を突き出す!

先を読んでいやがった!

おまけにラビットピストンの軌道を完璧に見切っていやがる・・!

しかぁし!

 

スッ

 

ヘキサの拳は俺の額をすり抜ける・・ビンゴ・・!

「てめぇもな!!」

正確過ぎるのがヘキサの弱点!

ラビットピストンのモーションにドンピシャリと合わせたのならばそれはまたとない隙となる!

二段仕込みの幻影、それが消えた瞬間にヘキサの懐に潜り込んだ!

「フェイク・・!?」

気付いた時にはもう遅い・・!

「音速拳・・千手観音!!」

振るうは音を超える高速拳!!

 

パン!パパパパパパパパパパ・・・・・・!!!

 

乾いた音とともに限界を超えた拳の雨をヘキサにたたき込む!!

一発一発が凄まじい衝撃を持つ音速拳、それをこれでもかと言うぐらい殴りつける!

「うぐ・・!うあああああ!」

血を吐きながらその体を宙に浮かせるヘキサ・・

ブラックダイヤの拳での一撃はただでさえ強力だ、

いくらこいつでもダメージは相当ある!

しかし・・それは俺も言えている

この技は正直なところ両刃の剣。

ミーシャが筋肉を削いで習得しただけあって筋肉が軋んで悲鳴を上げているのが良くわかる、

多用すれば腕が使い物にならなくなるのは間違いない・・

使っておいてなんだが・・・・・んなもん、教えるなよな

まぁ今はそれが役立っている、

乱打にヘキサの体は宙に浮き俺が下から殴り続ける格好となり一気にたたき込めている

そして止めに一発渾身の力で蹴り上げる!

「うおおおおおおお!!」

打ち上げて叩き落とす亡霊の蹴り!

それが・・ゲシュペンスト!

蹴り上げと同時に俺も飛び上がりそのままヘキサの後頭部目掛け踵落とし!

 

ドォン!

 

地面に叩きつけるように体重を乗せて蹴り倒す!

・・決まった・・

流石にこれ以上繋げられず距離を置いて呼吸を整える

「はぁ・・はぁ・・流石に、きついな・・」

息が切れて仕方がない、それに両腕が重く感じる妙な違和感が・・

千手観音の後遺症だ

・・後は・・胸の傷か。

結構血が溢れてら・・

まず・・このままチャリオッツが切れたらそのまま終わっちまうな・・

っと・・

「ぐっ、ここまでやるとは・・」

体を震わせながら起き上がるヘキサ、

流石に無傷って訳にもいかないらしく動きがぎこちない

痛覚がないが身体機能が損失しているがために起こる不気味な動き・・

ホムンクルス独特の動きらしい

MVと戦った時も似たような動きをしていたな

「へ・・へへへ、流石にきついようだな」

こっちも大概なんですけどね

「流石だ、クロムウェル=ハット。だが・・貴様は・・私が殺す」

「ま〜だそんな事言ってやがんのか?美女の相手は一人で間に合ってんだよ

他の独身野郎を当たってくれ」

2人でも結構です・・青かった頃にゃハーレムなんてものにも憧れたんだが実際は怖いよ、ほんと

「戯れ言を。私はホムンクルスだ、造られた理由は貴様を殺すため・・それだけだ」

「けっ、その融通の利かなさはすでに立派な人間だっての」

「ふん・・何とでも言え。次で・・確実に殺す」

此方を睨み呼吸を整える、

すると奴の手には白い風が集まる

・・・白風(ホワイトソニック)

「復活しやがったか・・」

本来ならば戦闘中に回復するはずもないが流石ホムンクルス

そういう特典、魅力的だぜ

「こちらの身体能力も低下している

ならば小細工など無しで
貴様の一撃と私の一撃・・どちらが勝っているか・・勝負だ」

そう言いながら右手に集う白風はドンドン大きくなっていく

こいつは嘘は言わない。真っ向から蒼雷と対抗する気だ

「いいだろう、俺の蒼雷が・・てめぇの白風をぶっ飛ばす!」

呼吸を整え右手に力を込める

雷と圧縮・・それにより具現される蒼い光・・

奴が切り札を出してきている以上はこちらも出し惜しみはできない

最大出力で勝負だ!

 

「ソニック・・!!」

駆け進むは白き旋風球の拳を振るう最強のホムンクルス

 

「ブルーライトニング・・・!!」

迎え撃つは魔を砕く蒼き雷光拳!

今度は・・勝つ!!

 

「「ブレイカァァァァ!!!」」

 

 

轟!!

 

 

拳がぶつかった瞬間に凄まじい衝撃波が発生し周囲の炎を全て消し去った

白風と蒼雷は真っ向からぶつかりその威力は拮抗している!

だが・・

「ぐぅ・・!!」

手傷としてはヘキサが不利、

回復能力を持っていようともこれだけ傷ついていれば早々回復はできない

そして俺の蒼雷が奴の白風を破壊していく!

「貫け!俺の蒼雷!!」

最大出力!蒼い光はヘキサの白風を完全に吹き飛ばし

そのままヘキサの拳へと叩きつける!!

刹那、俺のブラックダイヤが奴のダイヤモンドナックルを粉々に粉砕しその拳を破壊する!!

この間とは真逆だ!

奴の白風は完全に崩壊し、その拳は使い物にはならないはず・・

「まだだ!クロムウェル=ハット!!!」

ちっ、白風も右手も潰されたのにソニックスラッシュを放とうとしやがる!

こっちも限界に近い・・ここで倒すしか勝ち目はない!

「こっちもまだだぜ!ヘキサ!!」

高速の蹴りが放たれるよりも早くさらに奴の懐に踏み込む・・

これで決める!!

 

「音速拳!!蒼雷千手!!!」

 

蒼雷を纏った拳による千手観音!!

音速を超える雷は閃光となり

ヘキサの体を殴る!殴る!殴る!殴る!殴る!殴る!殴る!殴る!殴る!!

 

「ぬぅおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

身体強化をしていてでも腕が引きちぎれるような激痛に襲われる!

雷、圧縮、身体強化を使用してさらに音速拳を出しているんだ!

どう考えも体が持たない・・が、やるしかない!

「ぐぅあああああ!!!」

蒼白く光りながら打撃を受け絶叫を上げるヘキサ、

絶え間なく打ち続ける蒼雷の乱打・・それは正しく回路(サーキット)完全(フル)破壊(ブレイク)

回路を破壊しつくしその体が雷で焼かれる

「これでぇ!終わりだぁぁぁぁぁぁ!!」

止めのブルーライトニングブレイカー!!!

 

バキィ!!!

 

渾身の一撃が奴の頬にぶち込み、

その体は放電をしながらガレキに激突

タイミングを含めて完璧な一撃・・倒れるヘキサはピクリとも動かない

それも当然か、白い軍服は雷に焼かれ全裸に近くその体は見るも無惨

流石のホムンクルスも動けるはずがない・・

しかし、俺も無事では済まない・・やはり千手観音の多用はいけなかった・・

腕の感覚が全くないしズボンがびっしょり濡れているのがわかる、

胸からの出血で染みこんでいるんだろう

もう身体強化も切れるし、しばらくはまともに動けないだろうな・・

「ぐはぁ・・はぁ・・はぁ・・。へへっ、今まで一番の強敵だったぜ・・?

っぐぅぅぅ!!」

時間切れ、その瞬間にショック死しかねないぐらいの苦痛が駆けめぐる

これだから・・身体強化ってちょっと嫌だったりするんだよな・・っう・・

 

『見事だよ〜、クロムウェル』

 

ん・・?この声は・・ベアトリーチェ?

 

カッ!

 

疑問に思った瞬間にヘキサのすぐ傍に閃光が走り風が吹き荒れる

そこから表れるはやっぱりベアトリーチェ、そしてスレイブとファミリア

・・そうか、結界が崩壊した以上空間(ゲート)飛翔(ジャンプ)できるんだったな

「・・なんだ?観戦でもしていたのかよ?」

「いや〜、裏方に回っていた分全部は見ていないよ〜。

まぁ加勢するつもりはなかったんだけどねぇ」

・・そのようだな・・

っと、ダメだ。立っていられない・・もう大丈夫そうだし、座らせてもらうか・・

「損傷度、かなりのものです。ただちに治療を行ったほうがよろしいですよ」

「んな事わかっているよ・・でっ、ギーグはお前達が捕らえたのか?」

「あぁ、ばっちりねぇ・・でも最初から覚悟していたのか抵抗はしなかったよ。

騎士団屋敷に送り込んだから安心しておくれ」

「その件はな。でも・・こっちはかなりやばかったんだぜ?加勢してくれてもよかったのによ」

「ははは、加勢しないと切り抜けないようじゃ、

これから先に起こるであろう災いにゃ到底切り抜けられないよ〜クロムウェル?」

・・???

「思わせぶりな事言いやがって・・。まぁいいさ、ともかく・・ヘキサに止めを刺さないと・・」

「お前さんにそれができるのかい?」

「やりたかねぇが、こいつの事だからな・・」

放っておいたら再生するだろうし説得のしようもなさそうだし・・

「ん〜、まぁそうだねぇ・・。とりあえず、こいつは私達が預かるよ。

ちょいと聞きたいことがあってねぇ」

「・・おいおい・・」

「安心しな、別にお前さん達を利用した訳じゃない。

気になるなら体を休めた後にプラハ郊外にある私の家まで来ると良い

ヘキサに会わせてやるよ」

・・・・そこまで言うならば・・

「・・わかった。で・・ギーグの方はいいのかよ?」

「あ〜、奴は元々使い捨てだからね。

大した情報も持っていないよ。

それでも拷問しても吐こうとはしないだろう。

転送召還での貿易都市制圧が失敗した時から死ぬ覚悟だったようだしねぇ」

あっさりとした引き際・・だな。

察するに失敗してもレイヤードに消される宿命だったんだろうな

まぁそれはどうでもいいか

「了解した、まぁ犯人が確保できりゃ騎士団も顔が立てられるから・・それでいいさ・・」

「そう言ってくれると助かるよ・・んじゃ、裏方は裏方らしく消えるとするよぉ」

そう言い瀕死のヘキサを抱き上げるファミリア、

気絶をしているのかヘキサはピクリとも動かない

死んでは・・いないか・・

「おう、協力感謝するぜ・・」

「こちらこそ・・」

意味深に笑いながらもその瞬間に閃光が包み込み四人の姿は跡形もなく消え去る

便利な術だぜ・・ほんと・・

「・・ってかさ〜、応急手当ぐらいしてくれてもよかったんだけどなぁ・・」

腕動かないしドクドク血が流れているしチャリオッツの後遺症出ているし・・

このまま放置だと俺死んじゃうよ・・?

 

「クロォ!」

 

んぁ・・・・遠くから聞こえてくるはタイムの声・・

あ〜いかん、意識まで遠くなってきた

けど・・何とか間に合ったか・・

「タイム〜、ここだ」

心配そうに駆け寄ってくるタイムだが・・なんだよ、あっちこっち傷だらけじゃねぇか・・

「酷い傷・・!!クロ、大丈夫!?」

慌てるタイム、まぁ深傷なのは俺もわかっているんだけど俺としてはタイムの方が心配だ

「何とかな、タイムの方こそ大丈夫かよ?MV相手に苦戦したか?」

「え・・ええ、斬っても斬っても起き上がってくるし攻撃は異常に速かったから・・って、私の事はいいの!

と、とりあえず立てる!?」

「自力じゃ無理だな・・。意識も遠のいている気が・・する・・、

とりあえず・・ヘキサは倒したから・・任務終了って事で、後、頼むわ・・」

「クロ!クロォ!」

震えた声のタイムだがそれに応える事もなく意識は闇へと沈んでいった

・・あ〜、今回がんばったよ、俺・・

 

 

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