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第十二話  「天崩す戦牛の角」




新しい武器を造る・・

よくよく考えてみれば俺は自分の得物というものに余り拘りなんて持たなかった分なんだか新鮮だ

元々のグローブも姉御から貰った奴だし崩天にしてもそれにブラックダイヤを加工した物を

ルザリアの鍛冶屋で
頼んで造った奴だったからな・・

因みに崩天ってのは元々のグローブの名前、改造した時に正式に付けたんだ。

まぁそんな訳で一応新しいグローブについても崩天をパーツに組んで欲しいとは言っておいた

後は〜、何も注文できないなぁ・・

材質なんて物は俺は専門外だし

 

「なるほど、中々良い工房ですね」

 

到着した鍛冶屋にてリュートが一言、

流石に街の異常なんてのには動じず特に問題もなく商業地区の通りに構えている馴染みの鍛冶屋に到着した

・・当然、店主は避難済み

一応鍵はしていたけど〜、ポキっ・・とね。

仕方ないという事で目を瞑ってクダサイ

一応、襲撃に遭わないようにスレイブが入り口に立ち周囲を警戒しており

工房には俺、リュート、シャンにベアトリーチェの四人となった

鍛冶設備については俺はよくわからんが・・充実しているんだと思う。

リュートも不満そうじゃない。

まぁ・・炉みたいなのもあるし冷却水もそのまま

完成したと思われる盾とかも置かれているからな

「流石は貿易都市と言ったところかね・・、まぁこれだったら安心して作業できるねぇ。

リュート、襲撃については心配しないでいいよ〜、スレイブたんが皆倒してくれるだろうからね」

確かに・・、ここに到着するまでに遭遇した魔物群についてはスレイブが瞬殺した

どういう理屈なのかわからないんだが・・

襲いかかるハティ達の体が突然爆発していったんだ

それも連続して・・。

何が起こったのかわからなかったのだがベアトリーチェがスレイブがやったと説明したので間違いはないだろう

非戦闘員と思わせる華奢な体つきだがその実力はバケモノらしい・・

まぁ手負いとはいえヘキサを退かせたんだからな。

スレイブが戦ったら一番てっとり早い気がするのだが・・

ベアトリーチェの物言いからして必要以上に協力する気はないらしい

つまりは敵情報と対策、そして必要な物の製造のみを協力して実際の戦闘についてはノータッチって事だ。

疑問が残るんだが・・まぁそこは触れない約束だからな

「・・でっ、どんなナックルグローブにするんだよ?プランがあるんだろ?」

「ああっ、とりあえずはグローブの材質は崩天を引き継いでブラックダイヤを新しくする。

それ以外にも・・ちと強化プランがあるんだよ。設計図があるからリュートも見てくれ」

そう言い懐から図面を取り出すのだが・・、

何時の間に用意したんだよ?

まぁいいや・・

「って・・なんじゃこら?」

「ナックルというよりかは・・爪や拳闘用のスティンガーに近いですね」

リュートも驚く・・俺も驚きだ。

ベアトリーチェの図面はナックルグローブというよりかは手甲、

金属篭手のような物が手首を守り拳の間からは短剣ほどの角が二つ付けられている

構造からして・・カタールとかパタに近いな

「その通り、まぁ一応は打撃強化用の手甲さ」

「・・お〜い、俺は剣術とかの類は使えないぞ?」

まぁ角だから斬ったりはできないだろうが・・

「話は最後まで聴くもんさね、こいつは換装だ。本来のナックルグローブはこっちだね」

そう言いもう一つの図面を見せる・・見た目としては崩天とほぼ同じ・・だな

「・・なるほど、打撃面での弱点を換装パーツで補おうという訳ですね」

「その通り!流石はリュート、ハイデルベルク一の鍛冶野郎だ!」

鍛冶野郎って何?

「え〜、説明、プリーズ」

「そう来ると思ったよ。つまりは通常戦闘は今まで通りナックルで戦えば良い・・

しかし打撃のみでは効きにくい相手だっているだろう?

異常な装甲を持つ敵だったりさ・・

さらに言うならばグローブだけじゃ防具にはならない、

格闘家ってのは避けるのが普通だがヘキサレベルの相手をすると回避はまず無理だ、

そうともなると相手の猛攻によるダメージを最小限に留めるような装備が必要なわけさ」

・・確かに・・、あのブロンズゴーレムだって得物によっちゃもうちょい楽に勝てただろうし

ヘキサとの戦いだって回避できない一撃はモロでダメージを貰ったからな・・

「・・だけどよ、そんなの装備したら拳速が落ちるぜ?」

俺が崩天を愛用するのもそこなんだけど・・

「だからこそ状況に応じて使いこなせるようにしたんだよ。

この角手甲はナックルグローブに合わせている

つまりはナックルグローブの上から装着が可能なんだ・・

後は状況に応じて装着したり外したりできるって寸法さ」

・・・なるほど・・だから換装か・・

それなら便利だな。

崩天で戦いつつ硬そうな奴が出てきたら拳速が落ちるものの角手甲を装備すれば威力は倍増だ。

殴るんじゃなくて刺す事になりそうだが俺の拳の威力が上乗せされるんだからな・・

並の刺突とは比べものにならない貫通性を発揮できるわけだな

「・・でもよ、外している時その角手甲はどうするんだよ?

突起の部分に鞘付けてぶら下げればいいのか?」

「それが無難だけど〜、なんなら肩アーマーとして使えるように変更しようかい?かっこいいよ♪」

「俺はどこぞの馬鹿丸出しな悪役かよ!」

肩にトゲトゲなんて世紀末の殺られ役じゃねぇか・・

「良いツッコミだ♪まぁ・・ベルトにぶら下げれる程度に加工はしておくよ?それでいいかい?」

「・・ああっ、そうしてくれるとありがたい」

「後は名称だが〜、クロムウェル。あんた確か『スタンピート』って通り名だったよねぇ?」

・・また不本意な・・

「ああっ、牛の暴走なんて不名誉な名前は好かないんだがな」

「それだけ派手なものなのさね・・

そんじゃ、このナックルは崩天を元にしている事だし『()崩す(タン)戦牛()()()』って事でいいかね?」

・・大胆な解釈ですね。でも・・

「その角が牛の角ってか?中々洒落た名前だな?」

「センスは良い方だと自負しているからねぇ♪

でもそう考えたら悪い通り名じゃなく聞こえるだろう?」

「強引な・・まぁでもいいぜ。それで・・」

「了解した・・そんじゃあ〜、後は材料だねぇ・・

とりあえずはナックルグローブのナックルと鋲部分はアークトゥクスのブラックダイヤを使用する

こいつは私特製だから世界最高度となるだろうねぇ・・そんでもってそのダイヤを手甲の角も使用する」

・・・ダイヤの角か・・すんごい贅沢・・

「そんでもってグローブ部分は崩天の材質が優秀な分そのまま使えるだろう、

後は手甲部分だけど
こいつには私オリジナルのレアメタルを使用する。

衝撃吸収と硬度が高く格闘に適したレアメタル『BM(ボクサーメタル)3』を用意したから・・

リュート、後は任せるよん♪」

「わかりました、採寸も終わっていますので早速取りかかります

・・けど、ブラックダイヤの加工が少々手間なので若干遅れるかもしれませんが・・」

・・そういや、崩天のブラックダイヤ加工も結構時間が掛かっていたな・・

まぁ硬いって事は加工しにくいわけだしな・・

「あ〜、できるだけ早くしてくれると助かる。まぁシャンもいるんだし・・な?」

「・・わかりました!リュートの尻に火をつけさしますので、ご安心を♪」

気合い十分なシャン・・うむ、ナイスコンビだなぁ・・

「頼むぜ、二人とも。そんじゃ・・ベアトリーチェ、製造で手伝えるのここまでか?」

「ああ、そうさね・・。細かい指示は私がやるから次の段階に移行しようか・・

お前さんはひとまず先に屋敷に戻ってくれ、

講義室あたりがちょうどいいかねぇ・・あのメイドさん達も集めておいておくれ」

・・技術(スキル)複製(コピー)か・・なんか緊張するな

「わかった、そんじゃ一足先に戻っておくぜ・・。

まぁ、俺がどうこう言えたものでもないけど・・がんばってくれよ」

軽く激励をしながら退室・・もう大分体の調子も戻ってきたから

屋敷までは何て事もないだろう。

完成が待ち遠しいが〜、今までと違う武器な分難しそうだな・・。

まぁ慣らすしかないか

 

・・・・・・・・・・

 

それよりさっさと屋敷に戻りベイト達を集めて講義室へと向かった。

屋敷のロビーや休憩室などにはガキなどが不安そうな顔を浮かべているのだがここはまずやられはしない

タイムとアンジェリカのツートップがいるのに加えてベイト達もここで待機しているんだからな

こんな状況でもベイト達は全く動じずいつも通りに職務をこなしている。

ある意味すごいです、

周りが避難とか行っているのに庭掃除とかしているんだからなぁ・・

でもそれだけじゃない。避難民の食事の用意からその世話までも完璧にこなしている

普通のメイドならまずここまで対処できねぇぞ・・すごいんだな・・ベイト達・・

まぁなんでそんなに動じないかと訊くと「坊ちゃんの相手に比べたら大して事がない」って口を揃えているんですがね

褒め言葉と受け止めていいのでしょうか?

 

 

「・・ですが、にわかには信じられませんね。私達の技を魔術にて習得するなどと・・」

 

俺達以外は誰もいない講義室、

夜になるとここで避難民を就寝させているようであちらこちらでシーツが積まれている

そんな中アイヴォリーが腕を組みながらそう言う

まぁ・・反応としては他の3人も同様だ。俺だって半信半疑なんだし・・

「っとは言え、嘘って訳でもなさそうなんだよ。

まぁ・・すまないが協力してくれ、悪いようにはならない・・はずだから」

「私達は魔術については疎いですからね。でも坊ちゃんの手助けというならば喜んで協力します」

ニコリと笑うジョアンナ、そう言ってくれると助かるぜ

「まぁ、本来ならば坊ちゃんがきちんと修行をしていれば習得していたのですがね」

「・・ははは・・ベイト・・言葉が痛いよ」

「でも〜、他の皆さんのはまだしも私のは独特なんですけど大丈夫ですか〜?」

・・確かに、ベイトやジョアンナ、アイヴォリーなどの技術は俺も真似しているから

何となく出来そうなんだけど
ミーシャの体術は独特過ぎる・・

魔術で複製できても俺に扱えるかどうかは疑問なんだよな

ミーシャ自身もそれを学ぶために筋肉を犠牲にしたわけだからな・・

「まぁ・・それは・・やってみなきゃわからんって事かな。本当にできるかどうかもわからないんだし」

 

『それは体験しない限りは半信半疑だろうからね〜』

 

おっと、間抜けな声を出しながらベアトリーチェが到着した

あれっ?ってかスレイブがいないな・・

「護衛なしでここまでこれたのか?」

街には魔物がウヨウヨいるっていうのに良く無事だったもんだな

「ああっ、スレイブたんはリュートの護衛に集中させているよ。

この程度なら私一人でも出歩けるしねぇ」

ふぅん・・まぁそれなりに護身術を心がけているのか

「ベアトリーチェ様・・ですね。

大まかな事は坊ちゃんより聞いているのですが私達は具体的にどのような事をすればいいのでしょうか?」

「何、そんな難しい事は要求しない。

ただクロムウェルと向かい合って座ってくれるだけで後は私がやるよ。

それと・・四人ともクロムウェルに伝授する技を決めてそれを頭に思い浮かべておいてくれ

出来れば技名なんてのがあると良い」

「へぇ・・技名なんてのがあるといいのか・・」

意外だな、そう言うのはノリとかでやるもんだろうと思っていたんだが・・

「こういう場合はね、モーションのみだと技のイメージってのは曖昧になるんだよ。

それに対して技名として区切るとそのイメージってのははっきりするのさ。

曖昧な状態で技は上手く伝わらないからねぇ」

なるほどなぁ・・確かに技ってのは一連のモーションを区切ったものだからな

「わかりました。

では・・早速始めましょう、どの技を坊ちゃんに伝えるかは皆前々から考えていましたからね」

・・ジョアンナがそう言うところ、体に教え込むつもりだったようですね

ジョアンナとアイヴォリーは中々体育系なところがあるので教え方も荒っぽいんだよ・・

ミーシャはのほほんとして自分から教えようとはしないし

ベイトは〜、
・・・オシオキ代わりに学ばさせていただいております・・

「あいよ。まぁはっきりイメージしていたらすぐに終わるから・・

後クロムウェル、お前さんはただリラックスして座っているだけでいいから。

そんじゃ・・早速始めるよ〜」

意気揚々なベアトリーチェさん・・ううむ、ほんとに大丈夫なのやら・・

まぁともあれやってみましょうか・・




 

・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・




 

すぐに終わるとベアトリーチェが言ったけど・・ほんとすぐに終わった。

俺の席の前に一人座って大体2,3分で終了

やる事と言ったらリラックスして座るだけ、

それはベイト達も同じで間にベアトリーチェが立ち俺とベイト達の頭に軽く手を添えて術を行使するのみ

派手な事は何一つなく何かのおまじないのようにも見えたのだが・・効果はあった。

ベアトリーチェが技術複製を行う度に俺の頭の中に技のイメージがはっきりと浮かび上がった

それがまた不思議な感覚だこと・・

技の詳細がまるで以前から知っていたかのような感じで体の運びやタイミング、コツなどがわかる

ただ、実際にそれを使ったことがない・・

故に体にはそのタイミングやコツはまだ覚えていない

だから今それを使っても頭にイメージした通りの技は出ないだろう

その違和感ははっきりと感じる

「・・どうだい?」

「・・ああっ、はっきりと伝わったよ」

半信半疑だったが・・すごいな。

伝わった技は四種

 

ベイトからは投げ技『ベアハンティング』

合気や護身術をベースにした返し投げ技、

相手の攻撃を受けたり回避した時にすかさず投げ飛ばせるように

腕や足などを掴み相手の力の流れを利用して投げるという超難易度の投げだ

・・普通なら相当訓練を積まないとできない技だろうが・・

こりゃ技術(スキル)複製(コピー)でもかなり難しい・・ベイトなりの期待と気遣いだろう

 

ジョアンナからは高速ブロー『ラビットピストン』

低姿勢より高速で踏み込み相手の腹部に強烈なボディブローの連撃を放つボクシングテクだ

一発目で相手の動きを止め、二発目で勢いをつけつつ標準を合わせ、三発目で全力で打ち込む・・

高い重心(ウェイト)移動(シフト)が必要でただボディブローを3発放つんじゃなく高速で、

かつ勢いを乗せて放つ分威力が高く使い勝手が良いブローだ

即戦力として接近戦で打ち負けないようにとこれを選んだのだろう

 

アイヴォリーからはキックコンボ『ゲシュペンスト』

高速での足払いを起点に相手を崩しすかさず突き上げるように相手を蹴り上げ

死角から浴びせ蹴り追撃で放ち叩きつける

ただの蹴りではそこまでは繋がらない、

相手のバランスを崩す鋭さと相手を蹴り上げるタイミングなど絶妙な技術を要する、

また派生技として足払いから低空サマーソルトで追撃をするタイプもあり

状況に応じて使い分けるようだ。

威力の高い蹴りでここぞという時に相手を圧すようにアイヴォリーが選んだようだ

起点は打ち上げ、終点は死角からの蹴り落とし・・亡霊とはまた洒落た名だよ・・

 

そしてミーシャからは秘技『音速拳・千手観音』

これは単純・・っと言えばいいのか。

音速を超えた超高速の拳で乱撃をたたき込む荒技・・

音速拳は直接的な打撃の威力は小さいものの衝撃が凄まじく

それを何発もぶったたくというミーシャらしい特殊な技だ

ただ音速の領域ってのがミーシャでも中々出せない、

しかもそれを立て続けに出すのならばどうしても速度が徐々に落ちるので

速度が落ちないような重心移動と姿勢、拳のフォーム等を使用している

決まれば俺の体術の中でも最強の威力だろう

しかし、問題が俺自身の今の身体能力では音速までは中々届かないって事だな

チャリオッツ使用で何とかできるか・・。

一気にたたき込み相手を倒すように選んだろうな

 

「選んだ技はクロムウェルの能力に対して少し厳しいものもあるが使いこなせる程度・・ってところかい?」

「そう・・だな。なんとかできそうな気も・・する」

ベアトリーチェにはどんな技を複製したのかがわかるらしい・・、まぁ術者だからな

「では・・試しにベイトにやってみたらどうですか?

ベイトならば私達の技の全てを受けてきたのですから大丈夫でしょう」

「そうですね。では坊ちゃん・・どんな技でもどうぞ!」

ニコリと笑いながら構えるベイトなんだけど・・いきなりですか?

「・・ん・・まぁ、とりあえずやってみるか。

今すぐできるとしたならジョアンナのやつかな・・そんじゃ!いくぜ!」

軽いステップを取り構える、すでにベイトは防御の姿勢・・そのふっとい腕はまるで鉄の盾のようにも見えた

まぁベイトならばタフだから・・な

とりあえずイメージ通りに踏み込む・・低姿勢から素早く振り込み相手の懐に飛び込む・・

そして一発目、右のボディフックを当てすかさず左で返し二発目、

そして三発目!渾身の突きでフィニッシュ!

「ぬ・・う・・、流石は坊ちゃん。中々良い形ですよ」

打ち込んだ3撃は全て防御されたのだが衝撃はきちんと伝わりその大柄の体はよろめいた

こんなのは初めて・・地に根を張っているかのようなベイトの防御がよろめいたんだからな

「初めてにしては上出来ですよ、重心移動がきちんと出来ています。流石は坊ちゃんですね」

うむ、ジョアンナのお墨付きを貰えたならば合格だな。

もうちょい速く踏み込めそうだがそこらは鍛錬あるのみ・・だな

「情報のみでそこまでの動きができるのならば私達の技も上手く使いこなせるでしょうね」

「すごいです〜」

ううむ・・、あのアイヴォリーがここまで驚くなんてこっちが驚きですな

「もうちょい練習は必要だけどな・・まぁ、ぶっつけ本番ってのはできないし・・」

「あ〜、その点は心配しなくていいよ。練習相手も用意しておいたから」

「・・おやっ、ベアトリーチェ様。坊ちゃんの訓練ならば私達で十分ではないですか?」

「いやいやベイトさん、クロムウェルが倒さないといけないのはあんた達じゃないのさね。

それに合わせた対策が必要なのさ・・。

それにあんた達だってここの避難民の世話をしなきゃいけないんだし、

余り手を煩わさせるのも気が引けるのさ」

・・・まぁ、本職はメイドだからな。仕事の邪魔をしているには違いないし

「・・それもそうですねぇ・・」

「ベアトリーチェが用意しているのなら俺は文句はないさ。

悪いな・・皆、技の出来は結果で見せてやるぜ?」

「わかりました、坊ちゃんを直接いたぶれないのは残念ですが確かにお二人のおっしゃる通りですからね。

それはまた別の機会と致しましょう」

・・・あの・・アイヴォリーさん・・俺に恨みでもあったのでしょうか・・?

「坊ちゃんがそうおっしゃるのなら異論はありません。

勝利を確信しておりますよ・・なんせ私達の技を伝承したのですから」

「ありがとよ、ベイト。状況が長引く程皆の仕事も大変になるんだ・・

やることやってさっさと元に戻して見せるよ」

「その意気です!流石は坊ちゃんですね」

「余り意気込み過ぎてしくじらないようにしてくださいね〜♪」

「ははは・・激励と受け止めておくよ。まぁ・・ありがとよ」

軽く礼を言うと四人とも照れくさそうな笑みを浮かべそのまま講義室を後にした。

実際結構忙しい状況だからな、雑談もほどほどに・・

「・・でっ、俺の訓練に付き合ってくれるのは誰だよ?」

「あ〜、もう来るよ」

もう来る・・?・・もしかして・・

 

カッ!

 

やっぱり・・再び閃光が走るや否や講義室に姿を見せるは蒼髪のメイドさん。

登場の仕方もそうだが顔つきはスレイブと瓜二つだ。髪の色ぐらいしか見分けが付かない。

服装も同じだしな・・。

因みにメイド服で言うとスレイブ達の方がベイト達の服よりも機動性に優れている感じだな。

ベイト達は一般家事以外にも来客の相手とかもする分幾分見た目にも気遣っているんだって前に聞いた事がある

「・・え〜っと、俺の勘ではスレイブと関わりがあると見た」

「その通り・・ってか勘を働かせなくてもわからないかね?この子はファミリアたん、

スレイブたんとは同じ・・かな?」

「ファミリアです。クロムウェル様ですね・・よろしくお願いいたします」

ゆっくりと優雅に礼をするファミリア・・やっぱり・・人形っぽいな

「・・なぁ、スレイブもファミリアも・・本当に人間か?」

「──あ〜、余りネタバレをしたくはないんだが・・

おまえさんはそう言いふらさないようだから言っておいた方がいいか。

スレイブたんもファミリアたんもホムンクルスだ。

不自然なまでに整った顔つきとかで大体わかっていただろう?」

・・まぁ・・な。完璧な美女ほど何だか違和感ってもんがわくものだし

「それは、な・・。空間(ゲート)飛翔(ジャンプ)だっけ?

ああいうのを知っている時点ですごいんだし」

「それも技術複製さね。

相手に情報を伝える術はホムンクルスの人格形成や技術習得などにも利用されているんだよ。

最初は思考なんて何もないんだからさっきみたいな技術(スキル)複製(コピー)に比べたらやりやすいんだけどね」

「ふぅん・・、まぁ余計なもんまで送っても問題にはならないしな」

「その通り。そしてスレイブたんもファミリアたんも性能的にはヘキサに並ぶだけの力はある

・・おそらくはあのヘキサの基本設定はこの子達を参考に創り上げたはずだからね。

つまりはヘキサはファミリアたんの妹でもあるって訳だ」

・・・おそらく・・か

「俺の知らないところで、ヘキサを創った奴とドンパチでもやっていたのか?」

「──まぁ、それは想像に任せるよ。

直にわかる日もくるだろうさ、レイヤードが動いているんだからねぇ・・」

「・・まっ、俺個人としちゃあんたの正体にそこまで深く感心を持つつもりもないさ。

あのレイヤードとやりあって俺達に協力してくれている、その事実だけで十分だからな」

「はははっ、流石はルザリアの暴れ牛だ。そう聞いたら嬉しくもなるさね」

「そりゃどうも・・でっ、ファミリアの戦闘能力はヘキサに比べても劣らない訳か?」

「いいえ、純粋な戦闘能力でいいますと私はヘキサにもクロムウェル様にも適わないでしょう。

私は暗殺や単独潜入を得意としております」

冷静なファミリア・・自身の性能をさらけ出すが・・物騒だな

「戦闘用のホムンクルスを創ると言ってもその用途に応じてバランスを取るのが大切だ。

ヘキサはお前さんを倒すために製造した純戦闘型、それに必要な身体能力と技術を備えている

対しスレイブたんは破壊工作型、敵地潜入と破壊行為はヘキサでも防げない

そしてファミリアたんは暗殺型、機動力ならば一番だろう」

「そりゃ、頭に思い描いた場所に瞬間移動できるんだろう?暗殺し放題じゃないか・・」

「あま〜い!ファミリアたんの能力はその上を行くのだ!

空間(ゲート)飛翔(ジャンプ)は自身の情報外のところには飛べない

つまりは一度行ったところでないと行けないわけさ。

そこでファミリアたんにはそれを補う術を持っている・・

精神(マインド)盗視(ジャック)

つまりは相手の視覚と記憶内の映像情報を盗む禁呪まで備えているのだ!」

・・え〜っと、つまりは・・

「自分が知らなくて相手が知っている場所でもその術を併用すれば飛べるって事か?」

「そのと〜り!つまりはファミリアたんに行けない場所はほとんどない!!!

・・まぁ、領主屋敷は完全防御されているから無理だけど♪」

「なら何のための説明だったんだよ・・」

「自慢♪」

良い性格だ・・この人・・

「はぁ、でっ、機動力の高さはわかったけどファミリアの身体能力はどんなもんなんだよ」

「現状で考えればクロムウェル様と同レベルかと思います。

技術(スキル)複製(コピー)の訓練にも十二分にお手伝いできるかと・・」

はっきりと言う・・が、ヘキサみたいなバケモノがいる以上冗談じゃないか

「まっ、そう言うわけだ。

ベイトさん達とは違いファミリアたんは疲労を感じない分スタミナがあるから存分に相手をするといいよ」

「わかった・・が・・可愛い子を殴るのは気が進まないなぁ・・」

ベイト達でも少し気が引けるんだけどな

「おやおや、意外にそういうのを気にするタイプなんだねぇ・・」

「俺も良識ある男だっての」

「・・・ならば、顔面を一度潰しますか?」

「だって?どする?」

「まてまてまてまて!!平然とそんな事言うな!そのままでいいから!ほらっ、さっさと始めるぞ!」

別の意味で怖いよ、ファミリアたん。

まぁ・・今の練習相手にはちょうどいいし・・がんばってみましょうか!

 

 


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