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第十話  「ダイヤモンドは砕けない」




領主別荘の地下

・・かつてそこでは獣人女性の人身売買が行われていた

誘拐した女性達を品定めするため全裸で拘束していたんだ、

それは元々あった屋敷の倉庫を改造したもので

現場検証でも
その拘束部屋とつまみ食い用にベッドが置かれた部屋ぐらいしかなかった

先の一件では拘束部屋より屋敷外に通じる逃げ道があったがそれ以外は何も見つからなかった

つまりさっきから俺が下りている階段は前の一件では見つからなかった通路だ

前の一件でもっと詳しく検証しておけばよかったんだが・・

崩壊が激しかった分屋敷全体の調査は忙しいルザリア騎士団には出来なかったからな・・

人身売買の現場が発見されたから調査はそれで切り上げになってしまい今まで放置されたってわけだ

 

「あの壊れ様からわざわざ騎士団がガレキを撤去して地下をくまなく調べようとはしないからな・・」

 

っとは言えこの階段からして地下空間は予想以上に大きいらしい

それに中々しっかりとした作り・・後付で造られた物じゃないしまともな感じじゃない。

本来ならこういうのはワインセラーなどに使うもんだが・・

都市のど真ん中でそんな広大なもんを造る事なんてまずない

特産地や王の居城ならまだしも・・な

 

そうこうしている内に到着・・

入り口から大分下りてもはや光は届いておらず正に真っ暗

だがこちとらそのぐらいで行動できないほどヤワじゃない・・

階段が終わった先には軽い廊下がありその先に金属製の扉がある、

いあ・・大きさ的に言えば門に近いか・・廊下を突然遮るように壁になっている

天井は中々高く地下道に付きもののジメジメさはない・・、ちゃんと換気がされているんだろう

まぁ・・小屋から続く通路だから最低限の快適さは求められるってものか

しかし・・、感じ的に目の前の門は相当な厚みがあるな・・

ひょっとしたらシェルターのような物として設計されたのか・・

まぁ、それはどうでもいいか

この先にハティを転送している奴がいるんだ、さっさと倒さないとな

 

「ライトニングブレイカー!!」

 

やや強めのライトニングブレイカーにて扉をぶち破る・・

予想通り結構な分厚さだったけど俺の一撃に留め具はひしゃげ派手に吹き飛び中への道ができた

強引だが所詮廃墟の扉だ、誰も困らないって・・

そんな訳で多少歪になった入り口の中に入る

予想通り中はかなり広い空間になっていた、

っと言っても・・彼方此方に木箱が積まれており中央部分を除けば見通しは悪い。

なるほどな、資材置き場か・・ってもちゃんとした資材かどうかは怪しい物だが・・

「・・、明かりが灯っている・・。って事はやっぱり・・」

空気に反応する練金灯じゃなくて松明とランプが壁に掛けたり天井から吊してある

これだけの広さを持つ割には光量はやや不足している・・けどこんな照明は長時間灯ってはいれない

ここで誰かがいたって事は間違いないな、加えて火がついているって事は空気の出入り口が他にもあるって事・・・

 

 

『ようやく来たか、予想よりもやや遅かったな』

 

・・っ・・

突如空間に響く女性の声・・妙な冷たさが感じ取れる

反響してやや聞き取りにくいもんだが、

初めて聞く声である事は間違いないな

「そらどうも、ってか姿ぐらい見せてから話しかけろよ?不意打ちする気はないんだろうが・・」

『ふっ、それももっともか』

静かに言いながら目の前・・中央の開けた空間にスッと姿を見せる

それは白く飾り気のない軍服のようなスーツを着た美女、

背は高くほっそりとしており髪は蒼い

肩幅で揃えられているのだが・・この感じ・・どこかで・・

「様子からしてみれば俺が来る事を事前に知っていたようだな・・」

「当たり前だ、そちらの戦力を計算の上におびき寄せた。

小隊で来るかと思っていたが逆に都合が良い」

静かに応える女・・瞳は髪と同じで蒼く・・、敵意のようなものは今のところ感じられない

「ふぅん・・ルザリア騎士団をおびき寄せて数を減らそうってか?」

「違うな。私の使命は貴様を葬ることだ、クロムウェル=ハット」

「俺を?へへっ、なんか恨みでも持っているのか?」

女を泣かせる真似はしない主義なんだがな・・

「恨み?使命と言っただろう、私はそのために存在する」

 

『そのぐらいにしておけ・・ヘキサ』

 

軽く声を掛けて闇からゆっくり出てくるは髭面の中年男、

着ている物はかなり高価なスーツで体格はどっしりとしている、

目つきも結構鋭く落ち着き払っている

あいつは・・ルザリア領主ギーグ・・

「へっ、行方不明の領主様が別荘の地下で何やってんだ?おかげでこっちは迷惑してんだぜ?」

特にタイムがな、まぁこいつのことだ。

他人に被害被っておきながらもそんな事全く気にはしないか

「それは済まない事をしたな。だが・・実験の命令を受けた以上それも仕方ない事だ、許してくれたまえ」

・・実験・・?

「何のことかよくわからねぇがこの騒動はどうやらてめぇが起こした事のようだな・・!」

「私?いいや、違うよ。彼ら(・・)だ」

「・・・あぁ?誰だよ?」

「───ふんっ、言っても仕方あるまい。君はここで死ぬのだからな」

はっきりと言ってくれるぜ、だが・・非戦闘員であるはずのギーグがここまで堂々としているのもおかしい

あのヘキサって女が相当できるんだろうな

「おもしれぇ、やってみろよ」

「・・やれ、ヘキサ」

「・・その前に一つ言っておく、クロムウェル=ハットは私が仕留める。だが・・貴様の命令は受けない」

静かにギーグに向かって言ってのけるヘキサ、なんだなんだ?仲間割れか?

「随分な口の利き方だな。お前がここで存在できるのは私のおかげなんだぞ?」

「知った事ではないな、製造理由など私にとってはどうでもいい事だ。

私は私の意志で、使命を果たす・・それだけだ」

その言葉には強い意志のようなものを感じる、・・本気だな。

あいつ、邪魔しようならギーグですら殺すだろう

「・・ふん、とんだ欠陥品が回ってきたものだ。

まぁいい・・だが、失態は見逃されないぞ?」

「私はMVとは違う・・下がって見ていろ」

「身内同士で会話するのは結構なんだけどさぁ・・こっちは何が何だかさっぱりなんだ。

俺の事は知っているようだけどてめぇも名乗り上げるぐらいの事はしろよな?」

「ふん・・まぁ、一理あるか。私はヘキサ・・貴様を屠るために造られた人形だ」

人形か、自分でそう断言しているところに空恐ろしさを感じるな

「サンキュ、んでっ、良く俺の行動がわかったもんだな・・」

「戦力で考えればわかると言ったはずだ。

現状のルザリア騎士団の戦力に合わせる形でハティをばらまいている。

通常要員が手一杯になる状況だ・・その中で自由に動け状態を観察できるのは

クロムウェル=ハット、アンジェリカ=メールキャデラック、フィート=オーキシンの三名のみ・・

アンジェリカ=メールキャデラックは魔術を伴う作戦での司令塔として活躍しているために

『規則性を臭わせるランダムな召還』に対し観測を行う可能性は高い。

現にこの地区を覆うように結界が張られるのを確認した

そこで誘い出すように転送召還を続けたのだ。

監視でアンジェリカ=メールキャデラックは動く可能性は低い。

そうともなれば調査に動くのはクロムウェル=ハット、フィート=オーキシンの二名になる」

丁寧に説明してくれるのはありがたいが・・こっちの手の内を見透かしてやがる・・

どこからそんな物仕入れたんだ・・?

「見事な読みだ、大筋で合っているよ」

「だが最後は外れた。

予定では最低でもクロムウェル=ハットとフィート=オーキシンの二名と戦闘を行う想定をしていたのだがな

他の要員はおろかクロムウェル=ハット一人で乗り込むとは・・」

「手が余ってないんだよ、それにフィートは善意の協力者だ。

プライベートな用件があると手伝いなんてしないさ」

結構・・割り切っているからなぁ・・フィート君。

あの歳でそんな物事にシビアになってちゃ禄な人生送らないっての

・・・まぁ、すでに禄でもない街道歩んでいる気がするんだけど・・

「なるほどな、次回の参考としよう。まぁ・・結果としては目的が果たしやすくなった。

雑談もこのぐらいにするぞ」

そう言い静かに構えるヘキサ・・その両手にはナックルグローブが・・

実用性重視なのか飾り気はない、

しかし手の甲から指にかけてまるで濁った水晶のようなナックルが装着されている

「・・ダイヤモンドのナックルか・・贅沢だな」

「貴様の装備と変わりはあるまい」

確かに・・、俺のナックルグローブはダイヤよりさらに硬いブラックダイヤを使用している

格闘用のグローブとしては最高の素材・・

打撃の威力を高め防御にも使えるナックルにはこれ以上の物はない

「硬さ比べをするわけじゃないが・・、その心意気、気に入ったぜ」

得物もそうだが・・こいつはかなりできる・・

構えからしても俺に似ているが、鋭い殺気は格闘家のそれとは違う。

まるで野生の獣と対峙しているような純粋な殺気だ

人形ってところから想像するにこいつにはただ俺を殺す事のみを理由に戦っている

恨みや怒りなどの雑念などがない分その殺気にも変な淀みがない

・・が、それは余計に危険だ

 

「いくぞ・・」

 

「・・きな・・!」

 

数秒の対峙・・だが、すかさずヘキサが動いた!

「・・はっ!」

爆発的な踏み込みとともに懐に入る・・!この動きはボクシングの体重(ウェイト)移動(シフト)

それに気付いた瞬間にヘキサの左手が動いた!

超高速のジャブ、牽制目的の左がそれだけでも一流の武器として成立してやがる

だがこの程度ならジョアンナの相手で慣れている、

こいつがボクサースタイルにまだ対応はできる!

眉間を狙ったジャブをかいくぐり負けじとこちらもジャブで応戦!

「ふん・・」

かなり良いタイミングだったがあっさりと回避された、敏捷性の良さは正に獣だ・・

おまけに回避動作が終わるとともに今度はワンツー、集中しねぇと軌道も見えないド鋭さ

「んならぁ!」

格闘戦で引けはしねぇ!

連続した超高速の突きを回避した瞬間に今度はこちらがワンツーで返す!

そこからはもう連打の打ち合い、

フットワークと動体視力をフル稼働しながらヘキサの攻撃を見切りその中で打ち合う

ヘキサの動きは正に人間離れしておりその打撃は回避したのに肌が切れたような感覚に襲われる

風切り音も尋常じゃない、

おそらくナックルを装備してなくてもその威力は桁外れだろう

それがダイヤモンドによってさらに高められているんだ

・・防御して受けても骨はもっていかれるか・・

こいつ・・強いぞ・・!

だが、俺も負けていられねぇ!

「そこだぁ!」

デタラメに速いが規則正しい、

回避する事は難しいが綺麗な形故に目が慣れて回避できたら穴は見つかる

ヘキサのストレートに合わせ、カウンターをぶちかます!

 

バキィ!

 

相手の力を利用して放つカウンターパンチ、ヘキサの突きが凄ければ凄いほどその威力は上乗せされる

ドンピシャリのタイミングでそれは成功し俺の拳がヘキサの頬にめり込んで

その体を吹っ飛ばし遠くの木箱に激突した

余りの衝撃で木箱も破壊されてその中にヘキサがめり込むような形になった

それも当然か、まともに入った・・首の骨が折れていてもおかしくはない

それが並の相手ならの話だが・・な

 

「咄嗟にカウンターを合わせるとは・・データよりも気転が利くという事か」

 

・・・、何事もなかったかのようにゆっくりと起き上がるヘキサ

傷もほとんどなく平然と分析していやがる

「けっ、まともに入ってもピンピンしているとはな」

「なまじの攻撃が通用するとは思わないことだ」

ハッキリじゃない、あれだけの打撃を食らったはずなのにその形跡すらない

木箱に突っ込んだ時に治癒をしたのか?

だとしても凄まじい回復速度だ・・

「難儀だな、俺を殺そうって言ってのけるだけの事はある」

「強がるのも今の内だ。ウォームアップはこれで終わりなのだからな」

な・・に・・?

あれだけの動きでウォームアップだと・・?

「言ってくれるぜ、だがてめぇが思うようにいくと思うなよ?」

「想定外の事態にも対応はしている・・それをふまえても私が勝つことには違いない・・いくぞ!!」

 

バキ!!

 

っ!速い!瞬時に踏み込み俺を殴り飛ばしやがった!

さっきのカウンターのお返しのつもりだろうが・・とんでもない踏み込みだ

瞬時に腕で防いだものの体は猛烈な勢いで宙を飛ぶ!

今ので防いだ左手の感覚が鈍ってきやがった・・

「なんのぉ!」

さらに追撃をしようと目の前に姿を見せるヘキサ、やらせるかってんだ!

腕はキツイ・・ここは踏ん張り蹴りで!

「遅いな!」

瞬間、ヘキサの足が消え腹に激痛が走りそのまま吹っ飛ばされる!

俺の動きを見切っているどころか尋常じゃねぇ速さで追撃してきやがる・・!

さっきのカウンターとは違いこっちはモロ・・

こみ上げる吐き気もさる事ながら勢いが殺せずそのまま木箱に背中を強く打ち付けてしまったのがまずい・・

・・今の一撃で足が少しきている・・とんでもない奴だ

「・・ぐはっ、くそ・・人間の速さじゃねぇ・・」

「当然だ、私は人ではないのだからな」

人形・・か、

ったく・・人造でそこまでの域に到達できるんならトレーニングに励んでいるの馬鹿らしく思ってしまうな・・

「やれやれ、分が悪いぜ・・」

「本気を出せ、でなければ私が存在する意味も薄くなる」

「言われなくてもそうするっての!ヴァイタルチャリオッツ!!」

呼吸を整え『気』による身体強化・・だがいつもみたいにフル発動はできねぇ

時間制限内に仕留められなければそれで終わりだからな・・

ベイトに色々と付き合って貰って俺もようやくそれなりに気攻の調節を行えるようになってきた

これなら時間制限なく奴の身体能力と互角に渡り合える!

「身体強化・・少しは手応えがあるか」

余裕面だよ・・まぁさっきの身のこなしならば当然か

「勝負はここからだ!いくぜ!」

さっきよりも速く踏み込む!

そのまま高速の突きでヘキサに先制する!

だがそう安々とは命中させてくれない、紙一重で回避しながらすかさず反撃をしてくる

流石に俺の速度には合わせられないようでカウンターは仕掛けてこない

しかしそれはこっちも同じ、ヘキサの拳速は強化した俺と互角

反射神経をフルに活かさないと回避し切れない

「くっ!うおおおお!」

ギリギリの攻防、拳の突きと蹴りの乱舞を繰り広げる有効打は互いに出ない

っとは言え拳は回避できても蹴りはタイミングによっては避け切れないので防御して受けている

身体強化中とは言えどもヘキサの蹴りの威力は半端じゃない

この攻防からしてわかる事はこの女、体術においては全て優れている

さっきのボクシングテクもそうだが蹴り一つも無駄のないフォームで正しく空を切る鋭さを見せている。

拳ならジョアンナ、蹴りならアイヴォリーに匹敵する技術だ

おそらく強化されていない状態でまともに受けたら臓器ぐらいは軽く破裂するだろう・・

さっき腹にもらった一撃も今はチャリオッツ中だから違和感だけで済んでいるけど

恐らくはあばらが少しイカレているはずだ

「はぁ!」

っ!ヘキサが少しタイミングをずらして右ハイキックを仕掛けた!

読まれないようにずらしたつもりだがフォームが綺麗な分見切りはつきやすい!

「ディフレクト!」

呼吸を合わせ超高速で空を切る蹴りに手を合わせ・・

 

パァン!

 

雷で弾く!いくら高威力の一撃と言えども反発する力には勝てない

その瞬間にヘキサの重心は揺らぎ体勢を崩す!

ここだ!

 

「ライトニングブレイカー!!」

 

間髪入れずにライトニングブレイカー、しかしここで吹き飛ばしてもダメージは浅い!

だから左のショートアッパーとして雷の拳で殴り上げる!

「ぐっ!」

感電とともに唸るヘキサ、まともにブレイカーが腹に入りその見た目華奢な体が宙に浮いた!

「もういっちょ!!ライトニングブレイカー!!」

空中コンボのダブルブレイカーだ!

ヘキサの頬へ渾身の雷ストレートが入りその体は吹き飛ぶ!!

そのままヘキサは体勢を立て直せずに木箱二つを爆砕してそのまま壁に激突した・・

流石の奴でも無傷では済まされないはず、なんせ大抵の魔物でも絶命は必至の破壊力だからな。

「くぅ・・だが・・流石にきついか・・」

何とか持たせたチャリオッツも殴り飛ばした瞬間に効果が切れ途端に体中に猛烈な疲労感が走り出す

おまけに腹が鈍く痛みやがる・・

やっぱ骨がイカれていたか

・・って・・

 

「・・・肉体損傷率42%、再生能力に異常・・。やはりデータ通りの戦闘とはいかないか・・」

 

まるで何事もなかったかのように崩れた壁よりゆっくりと姿を見せるヘキサ・・

だがその額からは軽く血が流れており動きも少しぎこちない

でも耐えたんだよなぁ・・俺の会心の一撃に・・

「はっ、人間日々進化するもんなんだよ・・。っう!」

「身体強化の後遺症・・か。なるほど、予想以上のハイリスクのようだ」

「卒倒しなくなっただけ改良したさ。それに・・へへっ、流石のてめぇも堪えたようだな」

戦意はあるようだが動きがやや鈍っている、それが不気味っちゃ不気味なんだが・・

「否定したいところだが、身体能力の低下は著しい・・。

躯体の調整が完全ではないらしいからな・・

だから・・これで決める」

そう言うと静かに右手を握り締める・・

それと同時に拳を魔力が渦を巻き集中しているのがわかる

そしてそれは風を纏い、まるで暴風を球形にして拳と同化させたかのように激しく蠢いている

「切り札って奴か・・」

「貴様のライトニングブレイカーは雷の性質上威力が常に分散される・・所詮は欠陥技、

本当のブレイカーという物を教えてやろう・・この白風(ホワイトソニック)でな」

自信たっぷり抜かしやがって・・!

「なら見せてやるよ!こいつで勝負だ!!」

残った魔力全てを右腕に!最大限放出される黄金の雷・・さっきまでとは一味も二味も違う

「いいだろう、その拳・・打ち砕き私が勝つ」

「抜かせ・・体術勝負で俺に勝てると思うな」

双方右手に切り札を纏わせながら対峙しつつも同時に駆け出す!

 

「ライトニング・・」

俺が振るうは雷襲の拳!

 

「ソニック・・・」

ヘキサが振るうは爆風の拳!

 

「「ブレイカー!!」」

 

真っ向から二つの力はぶつかる!

それにより激しい閃光が起こるのだが・・

「なん・・だと・・!?」

奴の力は俺を上回っている!?

真正面からぶつかっているのに俺の方が圧されている・・!

「そのような拳では私は砕けない!貴様の負けだ!クロムウェル=ハット!!」

 

ピシ・・!

 

っ!?崩天のブラックダイヤが砕ける!?

「くそぉぉぉ!!」

ライトニングブレイカーの力は完全に奴のソニックブレイカーに飲まれ

最高度を誇るはずの崩天のブラックダイヤは木っ端微塵に砕かれた

そして次の瞬間、体に激しい衝撃が駆け抜けたかと思うと景色は変わっていた

一瞬で吹き飛ばされ壁に激突したらしい・・

だが・・ぶつかった衝撃がわからなかったところ、意識が失われたらしい。

刹那にてブラックアウトを引き起こし激突の衝撃で目を醒ましたと言う事か・・

「がはっ・・」

口から何か噴き出した・・、味からして血だな。

くそ、右手の感覚は全くないし体中がしびれてやがる・・

あの一撃をまともに受けて体はすでに瀕死・・か

その割に意識がしっかりしているのは、気を失ったがためだな

 

「・・虫の息・・か。完全に仕留めるつもりだが・・やはり私のデータと大きな違いがあるようだ。

だが・・それもこれで終わる」

 

ゆっくりと近づいてくる声、いつの間にか待っていた砂煙の先・・ヘキサがこちらに向かってくる

大技を放った後でもまだまだ戦えるようだ

 

ここまでか・・タイム・・

 

『さて、それはどうでしょうか?』

 

・・女の声・・?

地下室に響くその声にヘキサは警戒し俺の目の前にメイド服を来た女性が静かに立った

・・ベイト達じゃない、地味ながらも動きやすい服装を着た女性は赤い流髪をしている

雰囲気からして知り合いじゃない

「貴様・・人間ではないな」

ヘキサも顔色を変えて警戒をしている、当たり前だ。

増援など想定していなかっただろうしかなり手傷を負っているからな・・

「愚問です・・」

「・・・、なるほど。同タイプ、それも・・捕食者(イーター)か・・」

「同タイプと言う説明はいささか語弊がありますが任務遂行には関係ありません」

「くっ・・」

あからさまに焦るヘキサ、様子からして相当このメイドはできるらしい・・

「っとは言え、私の任務は貴方の捕食ではなく後ろで倒れている男性の救助です。

無駄な戦闘を行うつもりはありません」

「お・・れの?」

「・・・・、解せんが私もこれ以上の戦闘は難しい。ここは退かせてもらおう」

「懸命は判断です」

「ちっ、クロムウェル=ハット。領主の屋敷で待つ、傷が癒えたのならば来るがいい・・

最も、先に私の傷が癒えたのならばこちらから出向くがな・・。ギーグ、撤収する」

忌々しげに呟くヘキサ、だが堂々と本拠地を伝えているところが気に掛かる

 

「・・まぁいいだろう。では諸君、失礼させてもらうよ」

 

闇の中からギーグの声が・・、ヘキサは声のした方に足を運びそのまま闇の中に消えていった

様子からして俺が入ってきた場所以外にも出入り口はあるようだ

「・・へっ、何とかなった・・のか?」

「クロムウェル=ハット様ですね、主の命により貴方を保護します」

振り返る女性・・その顔はすんごい可愛いが・・何か違和感を感じさせる

まるで等身大の人形のようだ

「保護・・か、まぁこの状況なら仕方ないがな・・」

「今の貴方の力量からして、彼女と戦って死ななかったのは奇跡です」

「・・・まっ、そうかもな。ともあれありがとよ・・

ついでに騎士団屋敷まで送ってくれないかな?

術の影響でもう意識がもちそうにないんだよ・・」

「承知しております、貴方の生命反応が次第に小さくなっています

・・では、至急行動を開始いたしますので・・」

「ありがと・・よ・・」

 

礼を言いながらブラックアウト・・でも・・

生命反応が小さくなっているって言われながら気絶するのって怖いんだよな・・

まぁ・・仕方ない・・か・・


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