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  第7話   「因縁の二人」


屋敷の屋根で静かに戦闘が行われているその時・・
仮面の戦士ロカルノは街道沿いを歩いている
背中に大きな袋を担いでおりまるで周囲にそれをアピールしているかのように・・・
そんな彼に殺気を込めながらつけている一人の人影が・・
「・・ふっ、かかったか・・」
流石に周囲を読むのに敏感であるためにすぐそれそれに気付き立ち止まるロカルノ
そんなことにお構いなく人影は跳躍する

シュ!シュッ!!

鋭く放たれるニ本の短剣
狙いはロカルノの頭部で明らかに彼を仕留めようとしている
「・・・・、穏やかではないな」
静かに呟きながら事も無く短剣を腕で払う
『要塞』と呼ばれる鎧を着込んでおり、短剣程度では効果もないようだ
「でてきたらどうだ?ハイデルベルク騎士団の面々だという事はわかっている・・」
周囲に余裕の表情で声を放つロカルノ・・
それに応えるようにロカルノの前に現れる長い碧髪を動きやすいように
ポニーテール状にしている女性・・フレイア
黒いレザーアーマー姿で後腰には忍刀を携え既にその柄に手をかけている
「・・ふん、久しぶりね、ローディス」
殺気を込めてロカルノを睨むフレイア、対しロカルノには明らかに動揺している・・
「フレイア・・、お前・・」
「今ではハイデルベルクの聖騎士よ・・・、母さんの仇・・お前を殺す!」
そう言うと一気に飛びかかり魔刀『血桜』を首筋目掛けて斬りかかる・・
鋭い刃に紅く刻まれた凡字が浮ぶ刀身はまるで牙のようだ
「待て、フレイア!」
「黙れ!お前のせいで・・母さんは・・母さんは!」
聞く耳持たないフレイアに対し、ロカルノはその攻撃を避けるだけだ
フレイアは完全に激情しており、隙だらけなのだが何故かロカルノは反撃しない
「お前・・やはり・・」
「そう、お前に復讐するために家を出て、腕を上げて騎士団に入った・・、
お前はこの世にいてはいけないんだ!」
「・・・、そうか、流石はセイレーズの血統・・だな」
「黙れ!」
そう言うと魔刀をロカルノの頭目掛けて振り下ろす
「むっ・・!」
その一撃にロカルノは刀の腹を叩き、彼女の身体を撫でるように投げ飛ばす
「ぐっ・・、くそ・・」
クロムウェル達と会話した時の冷静な彼女はそこになく、
フレイアはただ憎悪に満ちた顔でロカルノを睨み続ける
「フレイア、聞いてくれ。確かに私のせいでお前の母親・・ミュンは死んでしまった
その事でお前が私を憎むことも殺そうとすることも責めはしない。・・だが・・」
「だ・・、黙れ!名を偽り王子という職務を投げだし!
おまけに私の母さんを死なせたお前にそんなことを言う権利があるのか!」
「フレイア・・」
「母さんがどんな考えだったか関係ない!私は・・お前が憎い、だからお前を殺す!」

「・・・、憎悪に憑りつかれたか。解った・・。私がお前を救う、あの人の分も・・な」
フレイアを見ながら悲しそうに呟くロカルノ・・。
そして自ら仮面を投げ捨て、槍を構える
「ローディス!」
憎しみを瞳に込めながら突っ込むフレイア、魔刀を振りかざし、血の気の多い獣の如く襲いかかる
元よりロカルノは重戦士、フレイアは諜報員としてその防御力、攻撃力には差が開きすぎている
さらにロカルノは義父より手ほどきを受けた俊敏性がある
だから重装備だがフレイアの攻撃についていってる
対しフレイアは初めからロカルノの首筋を狙っており、鎧部分には目もくれない・・
「くっ・・」
「どうした!本気を出せ!」
鋭い連撃にはロカルノも対処が難しいのか、フレイアに対する哀れみか・・
反撃には中々移れらない

ピッ!!

一瞬の隙を突き、フレイアの魔刀がロカルノの頬をかすめた・・
「ちぃっ・・、甘くは見れないか・・」

ドガッ!

直も執拗に攻撃するフレイアに致しかたなしと
ロカルノは間合いを計るためにフレイアの腹を蹴り飛ばす
「くぅ・・、流石は父さん直々に教わっただけはあるわね」
地を滑りながら打たれた腹を押さえる。
軽装備なだけあって蹴り一つでも当たれば効果があるようだ
「私とて妹相手に本気は出したくは無いんだがな」
「・・!・・お前とは妹でもなんでもない!」
「・・・・・」
「ふんっ、この魔刀『血桜』にかすった事がお前の敗因よ!」
そう言うとフレイアは距離を保ったまま短い刀に魔力を込める
フレイアの魔力に応えるように魔刀はどす黒い血のような赤のオーラを放ち出す
「なんだ・・ぬっ!?」
急に身体から力が抜ける感覚に襲われ、膝をついてしまうロカルノ・・・
「ふふっ、これが血桜の効果よ!力を吸い取られながら死になさい!」
「・・、その刀が・・暴走の原因・・か。ならば!」
手甲の内側にある鉄紐を引きながらロカルノが魔力を込める
「・・パージ!」

ガシッ!

それと同時にロカルノの身体を覆っていた鎧の要所要所の留め具が取れ、自動的に剥がれる
「な・・っ、そんな小細工が・・」
「小細工と言っても魔力を込めて金具だ。それなりの代物と言ってもらいたいな」
そう言いながら走り出すロカルノ
鎧の下の黒い戦闘服にて全力疾走、あまりの早さにフレイアも驚く
「そんな・・体力が・・」
血桜にて本来ならば歩く事もできないはず・・
しかしロカルノはそんな状態でもフレイア以上の素早さを見せる
「得物に頼る事はセイレーズは教えていないはずだぞ」
「ほ・・ほざけ!」
呆気にとられていたが急いでフレイアも突撃する・・
しかし

キィィィィン!!

鋭い音と共にフレイアの動きは封じられた・・
斬りかかるフレイアの魔刀に自分の得物の槍を真っ向から叩きつけたのだ
「う・・こんな・・」
「もう止めろ・・、こんなことをしてもミュンさんは喜ばない」
「うるさい・・、お前は・・お前は!!」
「・・・、すまない、フレイア」
「・・・えっ・・」
「私・・、いやっ、俺もそのことに今まで悩んでいた。
自分の不甲斐なさに歯を食いしばったこともあった。
・・・お前に殺されるのならそれも仕方ないと思う」
「・・・・」
「だが、お前はその事で憎悪に憑りつかれ心が蝕まれている・・。
それでは俺を殺してもお前は幸せにはなれん」
「お・・お前に・・何がわかる!私は・・・私は・・!!」
「フレイア・・、目を醒ませ・・!」

ガキッ!

不意を突き、自分から得物を押しつけ、フレイアを吹き飛ばす!
動揺したフレイアはそれにまともにひっかかりその衝撃で得物を落としてしまった
「うっ!あ・・」
「・・覚悟!」

ドスッ!

パニックに陥ったフレイアにロカルノはみぞおちを深く打ちつけた・・
「ううっ・・ロカルノ・・兄さん・・」
「・・・、ゆっくり休め」
自分の事を兄と呼び、昏倒したフレイア。その身体をロカルノを優しく抱き締めてやり
自分も魔刀による体力の消耗にてその場に座りこんだ
「憑りつかれてこの威力か・・、さすがは二人の子だ」
口元を上げ微笑むロカルノ・・、見れば自分の得物の槍『戦女』の刃に亀裂が走っていたのだ
「・・・願わくば・・幸せになってもらいたいものだ」
気絶する妹・・・、その顔は安らぎに満ちていたがそれが永久に続くものであってほしい・・
そう思いながら彼は深くため息を洩らした



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