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第5話  「けじめ」


キルケVSディウエスが森の中でドンパチしているその頃・・
閃光が起こった館にいち早く駆け付ける女騎士・・タイム・・
騎士団長用の鎧を着て、あれほど他人に見せるのが嫌だった頬の傷を見せている
髪を上げ整えるその顔は傷があろうと凛々しく美しい
そしてわざわざ敵地の目の前まで接近するのには計算が・・

「!!タイム!貴方もこの茶番に参加しているの!?」

いきなりドアから飛び出た金髪の女性が驚く
こちらはタイムが装備しているものに比べたらやや見劣りするが
それでも丈夫そうな騎士鎧、そして蒼い戦闘スーツを下に着て手に持つは大型のディフェンダー
かつてハイデルベルク騎士団に所属していた『金獅子』の異名を持つ聖騎士セシルだ
「ええっ、ルザリア騎士団団長の名において貴方を逮捕するわ」
「言ってくれるわね〜。っうかそのために待ち伏せ?」
「普段はおちゃらけているけれども有事の際はいかなる時でも必ず真っ先に前線に立つ・・
昔からそうだったでしょ?」
軽く笑ってみせるタイム・・、それは余裕があるように見せる虚勢か
「さぁ?昔の事は憶えてないわね〜、だけど、貴方なら思いっきりできるわねぇ・・」
そう言うとカチャっと音を立てて剣を構えるセシル
「もちろん・・私も思いっきり貴方と戦うつもりよ」
「だから、隠していた傷を見せたわけ・・。わかったわ、じゃあ行くわよ!!」
親友でもあるタイムの真剣な眼差しにためらいもなく飛びこむセシル!
戦法云々ではなく豪快に氷結の魔剣『氷狼刹』を振り氷の剣山を疾駆させる
「!!・・ネェルブライト・・応えて!!」
迫り来る氷の刃にタイムは真っ向から得物であるネェルブライトに力を込めて振り下ろす!

ジュゥゥゥ!!

ネェルブライトから放たれた鞭のようにしなる光が氷とぶつかり刃は蒸発して消える・・
「・・へぇ、タイム、聖騎士になったの?」
聖剣に匹敵するほどの魔剣を持っているのでセシルが驚く・・しかし動揺はしていないようだ
「陽鋭剣ネェルブライト・・セイレーズ老より譲り受けた物よ。
生憎私はブレイブハーツに選ばれるほど有能でもないわ」
「嘘ばっかり。でも・・その黄金の刃・・あの時の・・」
かつてわが身を救った剣を思い出すセシル・・しかし
「戦いの最中で考え事?いくらなんでも馬鹿にしすぎよ!」
遠慮なく剣を構え突っ込むタイム、得意の突きでセシルに挑む!
「っと!甘いわよ!タイム!」
手の内は双方わかっているだけに鋭い突きをガントレットで流す・・
そのままディフェンダーの柄をタイムに向けて突き出す
『氷狼刹』並の大剣ともなれば接近戦では不利であり間合いを取るために
意表を突いた攻撃で対応するつもりだ
しかし
「それはこっちの台詞よ!」
接近から放たれるセシルの攻撃に物怖じもせずにサイドステップを踏み、蹴りを放つ!

ガン!

ブーツによる蹴りゆえに中々威力はあるが鎧相手なだけに多少吹き飛ばすのがせいぜいのようだ
それでもセシルは驚きを隠せない様子・・
「以前の貴方ならまともにひっかかっていたのに・・」
「私だっていつまでもあの頃のままじゃないわ!」
さらに突っ込むタイム!
「ふぅん、柔軟性に加えて傷も隠さない・・。クロムウェルの影響?」
向かってくるタイムに少し笑いながら待ちうけるセシル
魔剣同士を振り上げて・・

キィィィィィィン!!

真っ向からの鍔迫り合い・・、勢いをつけたタイムのほうがやや有利のようだ
「ぐ・・、ほんとっ、一皮向けたって感じね」
「この状態でそんな口聞いていられるの!?」
情勢はタイムが押している・・、以前の彼女と思って相手にしていたセシルは
それが間違いだったと今更思いなおす
そして・・
「ふふっ、じゃあ教えてあげる!貴方が成長した分、私も成長したのよ!!」
「えっ・・きゃあ!!」
突如力が各段に上がり鍔迫り合いの状態のままタイムが押し飛ばされる・・
「まだよ!」
力押しでタイムを押しのけたセシルだがそこに氷狼刹の氷のつららで追撃!
「くっ・・・、こんなことで!」
体勢がぐらついたタイムにとってはそれは脅威であり急いでネェルブライトの魔光で対処する

ジュ!!!

なんとか氷のつららを溶かすタイム・・
しかしそれに気を取られてセシルの姿が消えたことに気付く
氷の追撃は注意を引きつける事も想定していたようだ
「ど・・どこ・・!?」
クロムウェルに言われたように解放した右目もフル活用して周囲を探る。
しかしセシルの気配を微塵も感じずそれが焦りに変わる
「落ちつくのよ、タイム・・・。セシルは必ず仕掛けてくる・・」
周囲を探る事を止め、セシルを待ち構えるように足を広げネェルブライトを構える

”貴方には言ってなかったけど、悪魔の呪いに打ち勝った時私はその力も支配して身につけたの。
その分私は貴方の上に行っているわけよ”

「セシル・・、そんなことが・・」

”死にかけて得た物ね。諦めなさい。私だって親友と戦いたくないんだから・・”

「・・・、私もそうよ。だけどこれは私のけじめ。
騎士時代から貴方に勝とうとしていた私への決別のため・・・、止めれないわ」

”タイム・・貴方・・”

「私はいつも貴方を羨ましく思っていた。強く、自由でどんな束縛も物ともせず戦う貴方が・・。
それと自分を見比べてため息をつくことなんて数え切れないわ。
ルザリア団長になってもそれは消えなかった。」

”・・・・・”

「でもクロムウェルが気付かせてくれたの、自分に誇れるもので圧倒させればいいって・・・。
だから、その気持ちに切り返るために・・引けないわ」

”わかったわ・・。じゃあ・・手加減抜きよ!”

「ええっ・・・、来て!」
決意の言葉と共に気合いを込めるタイム
こうなればセシルは姑息な手は使わない。
頃合いを計って真っ向からぶつかってくるはず・・っと彼女は思っている
しかし当の本人はまだ動きを見せていない
”・・・・”
「・・・・」

ピシ・・

均衡を破るかのように空中から生えてくる氷のつらら
それは数にして二十を超え、タイムの周りを囲んでいく
「・・・・ネェルブライト・・力を・・」
剣を構えたままゆっくり確実に魔力をネェルブライトに送るタイム
ネェルブライトはそれに応えるように黄金の光を強める
”・・・はぁ!”
「てぇい!!」
セシルの掛け声とともに発射される無数の氷
対し一瞬対応が遅れたがチャージしたネェルブライトを大ぶりに振り熱線の波紋を作る!

カッ・・!!

光の波紋は氷を瞬時に溶かすが数発はそれを逃れタイムへと突き進む!
「くっ・・!」
大ぶりの振りにて体勢が整わないタイムだがそこは玄人、
四方から飛び交う刃をかいくぐるように回避する
・・が
「もらった!!」
「!?」
タイムの行動を見切っていたが如く目の前に姿を表すセシル!
すでに氷狼刹を振りかぶっておりチェックメイトの状態だ
「これでぇ!!」
「私は・・負けない!!!」
最後まで望みを捨てず、渾身の一撃を放つ!

キィン!!!

「あ・・・う・・」
捨て身の一撃はセシルの攻撃には耐えきれず、ネェルブライトは地に突き刺さった・・
その間にもセシルは勝負を終わらすために素早くタイムの首筋に手刀をかます
「成長したわ、タイム・・だからここまでにして・・」
「セシル・・」
これ以上友人と剣を交えたくない。
その思いが出たセシルの言葉を聞きながらタイムは昏倒した・・

「・・全く、どこまでも頑張り屋ね。
私なんかに目をつけないでルザリアの人間のために頑張って・・
私が到底できない事を貴方はやっているのよ?
・・クリスの想いに応えるって大事な事を・・」
気絶したタイムを優しく抱きながらセシルは静かに微笑んだ・・


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