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第2話  「部下から見た隊長」


それから数日後、俺は静かに屋敷へと再び赴いた
いつもなら二日に一回はタイムに会っているのだがあれからは会っていない
まだ朝だというのに屋敷ではモノモノしい雰囲気が包まれており
騎士団の連中も会議室のほうへ何故か集まっている
こうした時はタイムかスクイードが喝をいれるのだが
タイムはすでに中に入っておりスクイードは長期休暇で修行だとか・・
なんでもあいつの同居人、狐人のシトゥラが提案してある程度力量がついてきたから
険しい地形での戦闘をするって言いだしたんだって
まぁ、まず向かったのは北西にある草原郡らしいけど・・
そんなわけで騎士達は統率力が今一つな状態
「お〜い、俺入るから通してくんない?」
「へ・・変態!貴様、この中に誰がいるのかわかっているのか!?」
「タイムとオッサンリバンとブレイブなんとかって連中だろ?」
「わ・・我等が憧れのブレイブハーツに『なんとか』とはなんだ!!」
・・・、お前らの憧れはタイムじゃないんかい・・
「知らないもんは知らないんだからしょうがねぇじゃないか。
ともかくどいてくれ。タイムに呼ばれているんだ」
「く・・くそ・・、俺達に力があればこんな変態なんぞに・・」
だったらこんなところでさぼってないで今すぐ鍛錬しろよ・・
ったく、めんどくさいのでさっさと入るか


「遅かったな、クロムウェル」
中に入ると一番奥にオサリバン総団長・・だったな。
その隣にタイムが座っており後は向かい合うように4人の男女が
一人は薄い顎鬚が特徴の剣士、騎士には見えないな
それに向かい合うように座っているのは落ちついたスーツ服の女性、長めの緑髪を括っている
さらに目立つのが黒肌の屈強な男、黒い髪をビチッとオールバックにしておりなんだか・・
拳法の達人っぽい・・、東国の道着みたいなのを着ているし。
最後がスキンヘッドの中年・・オッサンリバンばりな年齢でごッつい騎士っぽい
「すまないな、入り口に野次馬がいたんだ」
「・・タイム団長、彼は?」
ボサ髪金髪の顎鬚の男がタイムに聞く・・俺に直接聞かないのか
「彼はクロムウェル、以前の会議で話した人物です」
「ああっ、傭兵公社13部隊出身の暴れ牛か。・・思ったよりも普通の人間だな」
「そういう通り名は自分で付けたもんじゃないからな。クロムウェル=ハットだ。
でっ、この色物4人がブレイブなんとかの使う聖騎士様か?」
「クロムウェル、それは失礼だ」
「がっはっは!まぁかまわん!威勢がいいな!小僧!」
スキンヘッドのおっさんが豪快に笑っちゃっている・・に・・似合い過ぎだ
「ありがとよ。じゃあ話してくれよ」
「いいだろう、まずは紹介からとするか、私やタイムはいいだろうが
ブレイブハーツの人間がまだしていないな、一人づつ頼む」
流石は総団長、それだけに場を締めるのはうまいな

「わかった、まず俺が一応のリーダーのジャスティン=セイファートだ。
ブレイブハーツの一本、精狂剣を扱う」
顎鬚の軽そうな男・・ジャスティンか。結構できるな・・
「次は俺か!俺はディウエス=ガーリオン!炎光剣の使い手だ!よろしくな、小僧!」
・・ノーコメント・・
「・・ジェット=クラスターだ。」
黒肌の男、ジェットが静かに言う。見た通り無口だな
「フレイア=クレイトスです。魔刀『血桜』を扱います。」
緑髪の女性フレイアちゃんか・・知的なだなぁ・・。
まぁその仮面の下には・・うっひょっひょ・・

「ごほん・・、クロムウェル、鼻が伸びているぞ?」
「あ・・ああ、すまない。」
「全く・・、じゃあフレイアさん。お願いします」
進行はどうやらフレイアちゃんがやるようだ

「はい、我が情報部の調査によるとユトレヒト隊のメンバーは5人。
リーダーのクラークユトレヒトをはじめいずれもツワモノ揃いです。」
言いながら席を立ちボードに書類を張っていく
なるほど、フレイアちゃんは情報収集が得意なんだ〜、俺の情報も上げちゃおうかな?
・・・あ・・・タイムが睨んでいる・・

「他のメンバーは
かつて我等と同じブレイブハーツの持ち主セシル=ローズ
仮面の戦士ロカルノ
エクソシストのキルケゴール=サルトル
剣士のクローディア=グレイスの5名で・・」

えっ・・?

「ちょっと待った!フレイアちゃん!!」
「・・・は?」
「クローディア・・グレイスって言ったよな?」
「はい、前回の王都襲撃事件の際にクラーク=ユトレヒトに協力し、
そのまま入隊したそうですが・・何か?」
「い・・や・・何でもない。すまないが続けてくれ」
「はい、それと・・私を『ちゃん』づけで呼ぶのは止めてください。では続けます」
・・意外に固いな。
でもクローディア=グレイス・・、姉御の妹がクラークさんのところへ・・
考えてみればそうなってもおかしくないんだけど
姉が死んだのに顔を見せなかった男を許したんだろうか?
・・・・・、けど、協力しているわけだしな・・

・・・・・・・・・・

「・・っというわけです。質問は?」
「キルケゴールっ子、サルトルって名前だけど・・、
国教司祭だったアーサー=サルトルの娘さんかなんかか?」
「ええっ、異端審問を受けた司祭アーサー様の忘れ形見です。
異端問題をきっかけにクラーク=ユトレヒト達に加わったようですね」
手持ちの資料を見ながらフレイア・・
キルケゴール・・ねぇ。娘らしいけどなんかいかつい名前だな、おい・・
「ならば教会のほうから保護をしなかったのか?」
「はい・・教会の名が傷つくのを恐れたのでしょう。キルケゴールも異端扱いでしたので・・」
「複雑だねぇ・・。俺からはそんなもんだ。ディウエスのおっさんは?」
「ない、相手が誰だろうと関係ないからな!」
流石に豪快だ
「情報部からの報告ですと戦歴はわかってもどれほどの力量かは正確にはわかりません・・
ですのでその辺りはタイム団長などは・・」
「セシルならよく知ってます。流石に聖騎士になれただけで凄まじい強さを誇ってます」
「・・同感だ。なまじの兵ならば足止めにもならんだろう」
「ジェット、お前、彼女と面識があるのか?」
「セシルが騎士団にいたころ少しな。・・だが野に放たれてさらに強靭になっただろう」
野獣扱いだな・・
まぁ実際はケダモノだけど♪
「では・・他の面々については何か知ってますか?ハットさん」
俺の意見か・・、まぁそのために呼ばれているようなもんだしな
「クロムウェルでいいぜ。俺が知る限りこのリーダー、クラーク=ユトレヒトはこの中の誰よりも強い。
正しく一騎当千の実力だ」
「ほう・・いうねぇ」
「ジャスティンさん・・だっけ?かつての部下ゆえの過大評価云々ではないぜ。
それだけの男なんだよ」
「・・私もその意見と同じだな」
タイム・・、ああっ、そうか。アイツもクラークさんと会っていたんだったな
「この男だけでなくタイム団長まで高い評価だな・・」
俺の意見は信用されてな〜い♪まぁ、初対面だしな
「まぁ、戦う機会があればわかるよ。・・・後はクローディア=グレイスについて・・だな」
「クロムウェル・・・彼女を知っているのか?」
タイム〜、お前が驚くな〜
「まぁな。彼女はクラークさんが傭兵だった時の隊員ナタリー=グレイスの妹だ。
この三人は同じ剣術『アイゼン流剣術』の体得者で話だけでしかわからないけど
クローディアも斬撃の鋭さは凄まじいものらしい・・、脅威と考えて良いな」
もっとも・・会ったことないんだけど・・
「なるほど・・。では、オサリバン総団長。
ユトレヒト隊の調べはこのくらいにしてどう攻めるかそろそろ決めてもらいたい」
「ふむ・・、そうだな。この一件タイム団長に一任する。
作戦立案は彼女に従いたまえ」
「そ・・総団長!?」
「何、元々そのつもりで私はここにきた。この一件で起こった責任は私が負う。
ブレイブハーツ及びタイム団長。がんばってくれたまえ」
笑いながらオサリバンが出ていく・・。
どうやら、この一件、任せて大丈夫というわけか・
「総団長・・、やれやれ、一騎士団長にブレイブハーツを顎で使えっか・・」
「俺はかまわんぞ!お嬢ちゃん、どうするんだ!?」
「・・・・・、そうですね、
ユトレヒト隊の今までの行動からしてこうした時は各個に別れて行動しています
従って我々も各個に別れて対処したほうがいいでしょう」
「なるほど、タイマンか!中々豪快だな!」
お前が言うなよ、ディウエスのおっさん・・
「・・・、ならば誰がどの相手を担当するか・・だな」
一番このジェットって奴が落ちついているな・・
こいつをリーダーにしたほうがいいんじゃないか?
「そうですね。まず、キルケゴールは魔術面で優秀さが伺えます。
こちらは力で対抗するためにディウエスさんにお願いしたい」
「おいおい、お嬢ちゃん。子供相手に本気を出せってのか!」
「見た目で判断するのは危険です。
先の王都襲撃も王の命を狙って先陣に立ったのは小柄な少女でしたので」
・・冷静だな、フレイアって・・
「ちっ、わかったよ!それで我慢してやらぁ!!」
「・・、では次にセシル=ローズ。彼女は真っ先に前線に出てきます。
そこで・・私が対抗したいと思います」

・・・・

「・・・、本気か?タイム団長?おたく、聖騎士の称号も受けていないんだぞ?」
「ジャスティン、やめておけ。彼女はセシルが騎士団に所属していた時からの知り合い。
手のうちがわかるとなればそれなりに有利だ」
「お前が賛成するとはな・・ジェット・・。わかったよ、がんばんな。団長さん」
「・・・ありがとうございます。次に仮面の戦士ロカルノですが・・」
「私に・・やらせてください!」
タイムが言うより早くフレイアが・・
先ほどまでとは違い深刻そうな表情をしている
「フレイアさん・・」
「あの男は・・私が相手をします・・・」
・・どうやら、因縁がありそうだな・・。キツイ殺気を出している・・
「わかりました。では、お願いします。
次はクローディア=グレイスですがこれはジェットさん。
お願いできますか?」
「・・いいだろう」
「ありがとうございます。後はリーダーのクラーク=ユトレヒト。
彼の相手はクロムウェルとジャスティンの二人で当たってもらいます」
「やれやれ・・、先に仕掛けてもいいか?クロムウェル君?」
「あんたがクラークさんに勝てる自信があるならな」
まぁ、邪魔者は早いうちに気絶してもらったほうがいいし・・な
「決まり・・のようですね。ではこのオーダーで決行します。
ユトレヒト隊への威嚇は我が騎士団が行いますのでそれまで屋敷の部屋でお休み下さい・・
、早ければ2日ほどで作戦を開始できるでしょう」
「ごくろうさん、ではっ、それまで休暇といきますか!おっさん、飲むか?」
「おおっ、かまわんぞ!」
昼間っから酒か?・・この二人も聖騎士って器じゃなさそうだな
「・・・・・」
対しジェットは静かに出ていき、フレイアも何かに憑りつかれたように出ていく
ロカルノとどんな関係なんだろうな?・・あいつが女を捨てるとは思えないけど・・
まぁ、ともあれやかましいブレイブハーツは全員自由時間ということで去っていった
ロビーの方からは何やらワーワー騒いでいるようだ・・
「クロ・・、少し、いい?」
二人っきりの会議室、書類をまとめながらタイムが言う・・が・・様子が変だな
「ああっ・・いいけど・・どうした?あいつらの態度が気にいらなかったのか?」
「そうじゃない・・、部屋まで・来てくれないか?」
「あ・・ああ・・・わかった」
タイムが自分の部屋に俺をつれていくなんて・・珍しいな・・・


・・ともあれ、屋敷の屋上近くにあるタイムの部屋へと二人で向かう
途中タイムは無言で俺の言葉にも相づちを打つだけだ・・
なんだか、恐いぞ・・

ともあれ、俺はタイムの私室に招かれた
何度か来たことはあったけどまぁお堅い。
団長室とほとんど同じで無駄なものがない
あるとしたら机に飾られている小さな飾りオルゴール・・
実家のオフクロさんに騎士になった時にもらったものらしくて
辛い時はいつもこれを聞いているって以前タイムが言っていたな
「・・すまない、部屋まで来てもらって・・」
「まぁいいってこと。それよりどうしたんだ?あっ、フレイアの事か?
確かに綺麗だけど浮気しようなんて思っていないぜ?」
「・・・」
無言のまま俺を見るタイム・・こ・・恐いって・・
「お・・おい・・だから・・」
「フレイアの事じゃない。もちろんブレイブハーツのことでも・・。
クロ・・、クローディアの事は詳しかったから・・、彼女、強いし綺麗だったから過去に何か・・」
「ちょっと待て。何かお前、会ったことがある言い方だな」
「以前街道で倒れているところを救助したことがあるの・・、食料がなくなったらしいって・・」
・・姉御の言うとおり結構そそっかしいか?
「そうだったんだ・・。俺はクローディアと面識はない。彼女の姉に世話になった身さ」
「さっき言っていたナタリーって人・・」
「・・ああ」
「・・・その人のこと、好きだったのでしょう?」
!!!!
「お・・おい、タイム?」
「だってクロ、ナタリーやクローディアの話をした時、なんだか嬉しそうだったもの・・。
私の知らないクロがいて・・嫌だった・・」
そういうと俺の胸元に飛び込むタイム
・・嫉妬・・か
「・・悪かったな。お前の言う通り俺はナタリーの姉御にそんな感情を持っていた。
しかし、それが適う前にあの人は俺を庇って・・、死んだ」
「クロ・・?」
「周りを薬かなんかでいじられた戦士に囲まれてな。
俺ともう一人隊員がいる中、勝ち目がないと悟って姉御は命をかけて俺達を逃してくれたんだ。
俺は・・、馬鹿だから三人で力を合わせれば勝てるってわめいて・・、迷惑かけたな。
その時見た姿が姉御の最後の姿だった・・
後は気絶させられ気がついたら目の前に冷たくなった姉御がいた」
「・・・・」
「姉御は・・、大切にしている妹がいるっていつも言っていたんだ。
クローディアって言って遠く離れていても何時も文通をしていて楽しそうだった。
俺もあの人から随分クローディアのことを聞いていたからな
・・それで彼女について詳しくなったんだ」
「そう・・ごめんなさい・・。嫌な事・・思い出したでしょう?」
「それも大切な思い出さ・・・俺はあの人に一杯教わったから・・。
しかし、嫉妬する余裕なんかあるのか?セシルとタイマンなんだぜ?」
「そうね・・勝てるかどうかなんて考えていない・・。最初から全力でいく・・それだけよ・・」
そう言いながらも早くも緊張しているのか体が震えているのが俺に伝わってくる
「・・、負けるなよ?」
「クロもね・・」
お互いの力を確かめるため、か。
俺だって少なからず緊張しているが、タイムと身を重ねているこの瞬間は・・安らぎをおぼえる
・・、ブレイブハーツがどうだろうと関係ない、俺は俺でやらせてもらおう


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