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終話  「姉御に良く似た人」



”結局また負けたの・・、ほんっといつまでも成長しないわねぇ・・”

うるせー、姉御・・今度は勝てると思ったんだ

”まっ、あんたにしては善戦したと思うわよ?
クラークに殴るだけじゃなくてヤケドまで負わすなんて並じゃできないからね”

だったら褒めてくれよ・・

”だってあんた、あいつに「勝つ」って言ったのよ?手傷負わす程度じゃあねぇ”

全く、夢でも厳しいな・・・、あれ・・これ・・夢か・・姉御・・


・・
・・・
・・・・

「・・・さん。クロムウェルさん・・」
・・・、夢じゃないじゃないか。姉御が目の前にいる
「姉御、化けたとしても嬉しいぜ」
髪を下ろした姉御が俺の目の前にいる・・、間違いない・・

スッ

「!!?ク・・クロムウェルさん!?」
・・あれ?姉御ってこんなに華奢だっけ・・・

ゴツン!!

「い・・いってぇぇぇぇ!!!」
後頭部に鋭い痛みがぁぁ!
「寝ぼけるな!クロムウェル!」
「え・・あ?・・・あれ?」
痛みで視界がはっきりした・・。木造の一室にソファが並べられている
そこには見慣れた連中が・・
「お前な、寝ぼけて抱きつくにも自分の女にしろよ」
白シャツにズボンのラフなクラークさんが棍棒持って呆れている
「ク・・クラークさん、ここは・・」
「私達の家よ。どうやら貴方が一番の深手だったみたいね〜」
からかい口調で笑う金髪の美女・・セシルだ。
っということはここがクラークさんの館か
「俺・・だいぶ気を失っていたようだな」
「半日だ・・おかげでルザリアに戻るのは明日になりそうだな」
な・・なんだかすんごい不機嫌なタイム・・。
椅子に足を組んで睨んでるよ、何なんだ?
他には・・、金髪のオサゲをした大人しそうなメイド服少女もいる・・、この子がキルケか?
って・・、やっぱり目の前に姉御が!
「姉御!?・・いや・・もしかして妹のクローディアか!?」
右目に眼帯をつけてるが姉御と良く似た顔立ちをしている・・。雰囲気全然違うけど
「そうです・・。いきなり抱き着いてくるなんて・・姉上の言った通りのお方ですね」
抱きつく・・?あっ!俺、姉御と間違えて抱きついちまったのか!!
そりゃあタイムが不機嫌になるわけだ・・
「すっ、すまん!寝呆けていた!タイムも悪い!!」
「知らない(プイッ)」
あら・・こりゃ修復するのに手を焼きそうだ
「相変わらずだな〜、ったく・・。俺に傷を負わせたのは褒めれやれるけど・・」
「人間そう変わるかよ。それよりもブレイブハーツの連中とかお姫さんはどうしたんだ?
ロカルノもいないみたいだけど・・」
「聖騎士の連中はもう帰ったわよ、元々そんなに暇でもないみたい。
勝っても眉一つ上げない鉄面皮もいれば子供に負けたって
早速トレーニングしに行ったりって結構騒がしかったけどね」
お茶を片手にサラッとセシル・・、現地解散だったのか
「っうかお前も聖騎士だったんじゃないのか?面識なさそうだな?」
「私は聖騎士になってすぐ辞めたからね。顔合わせた事あるのはジェットって奴だけよ」
「・・はぐれ者ってわけか。でも・・、なんでお姫さんはここに来たんだ?」
そもそもお姫さんがここにこなければこんなドタバタにはならなかったんだからな
まぁ感謝はするけどさ・・
「どうやらセシルに会いに行きたかったらしい。なんといっても国を代表「していた」騎士だったからな」
『していた』ってところを強調しているタイム
いつもの事務モードだけど気分は晴れやかのようだな・・勝負、どうだったんだろう・・?
「どうせ過去の栄光よ!
だいたいあんな性格に難のある小娘に好かれても嬉しくもなんともないっての!!」
「まぁまぁ、そんな小娘ぐらいに好かれていないと誰もかまってもらえませんよ」
「・・キルケ〜・・(ヨヨヨ・・)」
え・・笑顔で結構キツイこと言うんだな、キルケって・・
「まっ、それはいいとしよう。
連中もさらなる特訓をするって意気揚々だしお姫さんも袋に詰められたまま持っていかれたし
それで万事オーケイだ」

・・・・あの時のもがく袋がそうだったんかい!!!

「そう言えばリーダーのジャスティンさんからクロムウェルさんに伝言を預かってますよ。
『貴重な体験をさせてもらった。君の言う事は正しかったようだな』って」
「ふぅん・・。まっ、伝言なんてしなくてもまた会うこともあるだろうに・・」
「そうだな・・。ともかく一晩泊まっていけ、今から帰るのも辛いだろうし」
「すまない、クラークさん。じゃあ・・タイムと同室?」
「・・・・・」
顔が赤くなっちゃって〜♪そうだ!客室で聞こえないように・・、げっへっへ♪
「な〜にやらしいこと考えているのよ?タイムは私の部屋で寝るのよね〜♪」
「セ・・セシル・・。いやっ、私は・・その・・クロムウェルと寝る」
・・・そっか、昔タイムはセシルに・・・・・っと、これは言わない約束だったな
「じゃあベットメイキングしておきますね♪ちゃんと寄り添うようにしておきますので♪」
なんかキルケって、好人物だな〜
「・・ちっ、クロムウェルと一緒だったら仕掛けられないわねぇ」
「相変わらず危険だな、お前は・・」
ともあれ、今目覚めたばかりだが今晩はクラークさんの館で世話になることになった


・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・

飯の間にもロカルノは姿を現さなかったのが妙だったがその他は多いに(?)賑わった
ロカルノの様子が変なのはなんだかんだ文句を言いながらも
セシルが一番気にかけていて晩飯の後すぐあいつの部屋に入っていったようだ。
俺はもう寝たかったが、クローディアに呼びとめられて外のバルコニーに連れられた
・・ま、まさか寝ぼけて抱きついた腹いせに切り刻まれるんじゃないだろうな・・

「・・でっ、こんな所に連れてきてどうしたんだ?・・・やっぱあの時抱きついたのがまずかったか?」
2階にあるバルコニー、木製のベンチに小さなテーブル。
その上に小さな練金灯のランプが置かれている。
まぁ、そんな事しなくても月明かりが綺麗だし眼下に見える森から
小さな光がちらほらこちらに飛んできている
・・、尻が光る虫が放つ儚く淡い光だそうだ。
オスがメスを誘う光で東国では風流とされてきているが
ここいらでは夜中、旅人を惑わすあやかしの光として忌み嫌われてきた。
「いえっ、寝ぼけて姉上と間違えていたのならば仕方ありませんよ」
白い寝巻き姿のクローディア、湯上りなようで色っぽい
「そ・・・そうか、じゃあどうして・・?」
「姉上が好きだった殿方と少し話をしたかったのです」
・・・姉御・・が?
「ちょっと待て、姉御が俺の事をか?部下として可愛がられたって感じだったけど」
「姉上は貴方の事をいつも手紙に書いていましたよ。一杯オイタをしていたとかも・・」
「んな報告まで!?」
「ふふっ・・。それを楽しそうに書いていましたよ。面倒がかかるけど楽しませてくれる奴、
気がねなく話せる奴だと・・」
「・・・そうだったか。俺もクローディアのことは結構姉御から聞いていたしな、
そう言う話が好きだったのかな・・」
「そうですね、小さな時から私の事ばかり気にかけていましたから・・
他に楽しみというものがなかったのかもしれませんね」
そういえば、姉御とクローディアは親に売られてさ迷っていたんだっけ・・
だとしたら楽しみ自体ないのも当然か・・
「俺は、姉御を癒していたのかな・・?」
「そうかもしれませんね・・。それで、これは姉上から最後に渡された手紙です。
まだ書きかけでしたが私の手元に来ました。貴方にも読んでいて欲しいと思いまして・・どうぞ」
最後の手紙・・、あの時、クローディアとの文通を止めるって言った時のヤツか
シグマに渡されたのも見たが俺がそれを見ることになるなんてな・・・・・
「いいのか?」
「はい、貴方のことについても書かれていますので」
「・・・・、わかった・・」

白い封筒に入っている手紙を取り出す・・
クローディアの涙で濡れたのか紙は少し皺になってた

”親愛なるクローディアへ
以前書いていたようにクラークとファラの仲はしっかりと結びついているように思います。
貴方もすでに覚悟ができていたことでしょう・・、これからは貴方の言った通り剣と向き合って
自分の進む道を考えなさい。私はどんな道を進もうとも貴方を応援するわ。
それと・・、私も少し自分の生き方を考えようと思ってしばらく文通を止めようと思うの。
以前から言っていた馬鹿クロムウェル、あいつとももしうまくやっていけたらと思ったりしていてね・・・、まぁ、そこらは貴方と同じ・・照れくさくて私も中々言い出せないけどね。
この手紙を書き終わるころには答えも出ている・・かな?

それと・・”

・・途中で手紙が止まっている。続きは・・・・・これからも書かれることはないだろう。
姉御、本気で俺の事を・・
「姉上は・・、答えを出せたのでしょうか?」
「・・・、この手紙を書いた晩、あの人は俺や仲間を庇って倒れた。
直接答えは導き出せなかったかもしれないが・・、いきがる俺を助けてくれたんだ。
それが答えになる。
もし、姉御が真剣にそんな話をしてきたとしても俺は二つ返事で答えていただろうし・・な」
・・・・、そうなっていたら俺はタイムと出会わなかった事になるだろう
運命ってやつは、難しいな
「・・・・、ありがとうございます」
「いやっ、こっちこそ礼を言うべきだ。姉御のおかげで今日の俺がある。
・・俺の中にあるのは恋愛感情よりも尊敬の念の方が強いよ」
「・・そうですね、私もあのような姉がいてくれて幸せに思えます」
「まっ、死ななきゃ尊敬はできないタイプだけどな」
「・・違いないですね」
生きているうちは・・、憎まれ口たたいているだろうしなぁ
「ありがとよ、良いもの見せてくれて。
お返しと言っちゃなんだけど・・・・クローディア、お前クラークさんのことが好きなんだろう?」
「えっ・・?ど・・どどど・・どうして・・」
あ〜、タイム以上の動揺だ・・。急に目が泳いでいる
「姉御がかねてからな。
クラークさんのことを小さなころからず〜〜っと好きだけど
兄妹のような関係だから言い出せないって」
「・・・」
「それはわかっているんだけど・・、実は、昼間の戦いの中で俺、軽く口滑らしちゃってさ」
「!!?・・滑らした・・とは?」
「いやっ、クローディアがクラークさんのことが・・・すきだって・・」
「こ・・困ります!クロムウェルさん!そ・・そんな事を・・」
慌てながら俺の胸ぐらを掴みブンブン振るクローディア・・、でも言っておかないとなぁ・・
「悪い、でもその後のクラークさんの反応が気になってな」
「は・・反応?どうでしたか?」
ピタリと動きを止めて固唾を飲んでいるよ・・、冷静そうに見えてそうでもないんだな
「しばらく考えたが今は関係ないって。『今は』って事は後で考えるってことだ。
ここからは俺の推測だけど、あの人は人を愛するってことは確かにある。
だけどそれに結びつくのがうといんだ。それに・・、あの人が無下にお前を切り捨てることはしない」
「・・・」
「だから、近い内にクラークさんはその事で行動を起こすだろう。
その時に自分の気持ちを伝えてみろよ。きっとうまくいくさ」
「わ・・私・・」
「なんだよ?まだ言えないのか?姉御だって地獄から応援している、覚悟は決めて言ってしまえよ」
「・・・・・・・、わかりました・・ありがとうございます」
「ああっ、俺も余計な事して悪いな」
「い・・いえ、それでは・・失礼します」
いそいそと出ていくクローディア・・落ちつかないんだろうなぁ・・
まぁ、俺の予想だとうまくいくさ。クラークさんは家族を大切にする、それが古くからだと
そんな感情も芽生えているはずだ。芽生えてなかったら男じゃねぇ

・・・・・・

しばらく夜風に当たっていたが寒くなってきたので用意された客室に戻る
中ではタイムがセシルに借りた寝巻きを着て静かに酒を飲んでいた
目・・目が・・恐いぞ・・
「ど・・どうしたんだよ、お前飲めないんだろ・・?」
「くろ〜!!こっちに座りなさい!!」
いかん・・、嫉妬の炎がメラメラになってる
「お・・おう・・」
ここで逃げれば騒ぎになるし・・、なんとか説得してみるか
「くろ、クローディアと何話していたの?」
・・すげぇ酒臭ぇ。そんなに飲むほど嫌だったのか?
「姉御・・ナタリーさんの事だよ。」
「・・ふぅん・・」
「姉御が最後に書いた手紙を読ましてもらった。
どうやら俺も気付かなかったが姉御、俺のことを本気で好きでいてくれたようだ」
「・・・・・・・・・」
・・恐い・・
「だけど、それを言わずして逝ってしまった。
もし・・姉御が死なずにいたら俺はあの人の気持ちに応えていただろう」
「・・・そう」
「だけど、姉御がいなくなってお前と会ったから・・、今日があると思う。その事で少し複雑なんだ」
「・・?」
「姉御に死なれたのは俺の人生の中でこれからも1.2を争うくらい悲しいことだ。
だけどその事があったからこそ目の前に最愛のお前がいる・・。
皮肉・・ってやつか・・な」
「くろ・・?」
「好きだぜ、タイム。お前だけは失わせない。
姉御を守れなくクラークさんにも及ばない俺だけど・・、お前だけは守って見せる」
「クロ・・・、ありがとう・・・」
そう言うときつく俺を抱き締め唇を合わせてくるタイム・・。
ちょっと酒臭いのが気にかかるが俺もそれに応えた

・・・・・しかし・・・・


・・・あん・・やだっ、クラークさんったら〜、隣にクロムウェルさん達もいるんでしょ?・・

・・・大丈夫だよ、ここの壁は防音加工済みだ。大声出したって聞こえないぜ♪・・

・・・それなら大丈夫ですね♪でも〜、あんまり激しくしないでくださいねぇ。
腰が痛くなっちゃいますよ・・・

・・・・・・めっちゃ聞こえてますよ!!
「あ〜!おほん!!じゃあそろそろ寝ようかな!!タイム!」
「あ・・ええ・・そうね」
・・・・・よし、壁から声が聞こえなくなったが・・、なんだか気まずい・・。
一応は知人宅なんだからおあずけとしますか
「おっと、その前に・・」
「??何?」
「勝ったのか?セシルに・・」
「負けたわ。これ以上ない完敗よ」
爽やかに応えるタイム・・、それでいい。
「じゃあ寝るか!俺の結果は丸わかりだしな」
「間抜けに気絶していちゃね」
・・、ヘコむわ〜・・





翌日
いつもの時間に目が醒める・・。隣ではタイムが静かに寝息を立てている。
勤務中は凛々しくてプライベートは甘えたなこいつだけど寝顔は一際可愛い・・。
これだけを見たら騎士団長だなんて誰も思わないだろうな
まっ、日々忙しいんだしゆっくり寝かしてやるか・・・

いつもの服装で軽く汗を流そうと思ったらすでにクラークさんやロカルノ、クローディアが
準備運動をしていた
クラークさんはともかく、他の面々もやっていたんだな・・・
「よう、どうした?もよおして目が醒めたか?」
・・朝から何言ってるんだ、クラークさん・・
「朝の訓練だよ。あんたから強制されてから朝起きてしまう体になっちまったんだ」
「ほっほう、真面目にやっていたのか。まぁだからこそその積み立てが出たってわけか」
「まぁ、否定はしないな・・。しっかし・・セシルは?」
ユトレヒト隊の戦士がほとんど参加しているのにあいつはいない
・・下手すりゃタイムが危ないしな、夜這いならぬ朝這い?
「・・、ああっ、まだ寝ている。朝は弱いんだ」
・・元気なさそうなロカルノ・・だな。
「久々だが元気なさそうだな。そういや聖騎士のフレイアちゃんがお前の事をえらく怒っていたぞ?
何かあったのか?」
「!!・・まぁ、色々あるのだよ。その事で随分セシルに励まされた」
あいつが・・かぁ?
「あいつが・・かぁ?」
おおっ、クラークさんとハモった!
「それよりも始めましょう。朝食の準備もありますし」
・・クローディア、目が赤いしそわそわしい・・。
やっぱ俺のせいだな〜、クラークさん、早く行動を起こさないとクローディアが倒れるぜ?
ともあれ、いつもより豪勢な面々での朝の訓練となった
・・が・・
「きゃっ!」
「ど・・どうした?クローディア?今日はなんだかうかつだぞ?」
「兄上・・す、すみません!」
・・・、がんばれ〜、クローディア〜・・


それから朝の訓練が終わった頃にセシルが飛び起き突如ロカルノに襲いかかった・・
あの動きは正しく人間じゃない。
どうやらそれが朝練の終わりの報せでもあるらしい
その間にもキルケが食事を用意して先に飯ということになった。
なるほど、セシルの担当は主にロカルノってことかぁ・・
まぁいいや、飯食おう飯♪

「これ、キルケちゃんが作ったのか!上手だな!」

広めのテーブルにクラークさんに寄り添うキルケに言う
ベタベタじゃねぇか。ファラが化けて出るぞ?
しかしうまい料理だ・・、質素で特別なもんはないけどそこが家庭的でいい!
「お料理も修行してますから♪どんどんお代わりしてくださいね!」
ほんと家庭的だな〜、こういう子を嫁に迎える男は幸せ者になるんだ!
「あいつらの分も残しておかないとセシルがキレるぜ?
それにタイムさんもまだ起きていないんだろ?」
「そんなに食わないって。
・・そういや訓練中に思い出したんだけど俺との勝負の時に突然出したあの剣って何なんだ?
俺の陽気を一気に消し去るなんてすげぇぜ」
「ああっ、鬼神剣『九骸皇』って言ってな。持ち手に宿る不思議な剣だ。
魔や気をかき消すみたい」
みたいって・・あんたの物じゃないのかい・・
「んなもんまで持っていたのか〜、思えば俺の装備なんてグローブだけだもんな。
・・でも姉御の『紫電雪花』とかがあったらそれでいいんじゃないのか?はっきりいって反則だぜ?」
「俺だって不必要なら持っていねぇよ。
実は以前な、ファラを無理やり蘇生させて悪事を働こうとした奴がいてな。
あいつを解放するために持ったんだよ」
「・・・ファラ・・が?」
「ああっ、あいつ相手ならば手加減もしていられないだろう?」
「そ・・それはそうだけど・・。クラークさん・・ファラを・・・」
「『殺した』なんて言うなよ?あいつを救ってやったんだよ」
・・そんなことがあったんだ・・。ファラが・・・。
「そうか。しっかし思えばあんたもモテるな〜、ファラだろ?キルケにクロー・・」
「「クロムウェルさん!!!」」
・・・やべっ、うっかり口を滑らすところだった・・。
呆気に取られて変に話題を変えるべきじゃないな・・
「???ともかく、今日ルザリアに帰るんだろ?これからどうするんだ?」
「どうするもこうするも今まで通りだ。自由気ままに生きて、あんたを倒す修行をする」
「・・お前なぁ・・」
「まっ、それ以前にあいつの手伝いにもっと力をいれようかとも思っているんだけどな」
タイムの力になりあいつを守る。
それこそが大切だと思うしそうすることで俺に足りないものが補えるように思える
「・・へっ、成長したな。まっ、がんばれ!早く出世しないとアルが雲の上の人間になっちまうぜ」
「ああっ、自衛団長だろ?・・ほんとに勤まっているのかよ?」
「・・まぁ、周りの助けがあってのことだとは思うが・・な」
何だか口を開ければ昔の話になってしまう。
それがなんだか嬉しいがいつまでもこうしてはいられない・・な。

・・・・・

朝食もそこそこに旅立つ用意をすることにした
タイムはまだ寝起きだが、すぐテキパキ動くタイプなので問題はない
まぁ、別に旅行にきたわけでもないんだから着替えたら終わりなんだけどな
因みにタイムは化粧云々は全くしない。
まぁ身だしなみ程度にやることもあるけど職務中は一切なし、色気を出す仕事じゃないってわけだ
それでも肌がすべすべなのは〜・・、俺のおかげだ!!
そうだ!間違いない!あっはっは!!
「・・何にやけているの?クロ、行きましょう」
「へいへい、今夜もすべすべにしてあげますよ♪」
「??・・気味の悪い奴・・」
あらら・・


館を後にする時、入れ違いで朝食となったセシル達も見送りに出てくれた
他の面々の勢ぞろい。・・お前等、暇だろ?
「思わぬことで世話になったな!金は払わないぜ♪」
「お前にせびること自体間違いだ。まっ、今度はもっと力をつけてから来るこったな」
・・ううっ、言い返せない・・
「タイムも元気でね〜、孕んじゃったら連絡して♪」
「セ、セシル!まだ早いわよ!!」
「またまた〜、随分艶っぽくなったのは成長した証よん♪」
「ほんとに危険な女だよな・・。キルケ、あんな大人になっちゃ駄目だぜ?」
「大丈夫ですよ、成りたくても成れません♪」
「一種の突然変異だからな。それにこんなのが沢山いたら世の中終わりだ」
「・・何よ、みんなして・・」
ロカルノにキルケ・・、家族は冷たいもんだな。
「じゃあセシルが暴れ出さないうちにおいとまするわ。またな!出来の悪い元隊長さんよ!」
「はっ!今度は口の悪さも叩きなおしてやらぁ!変態拳士!!」
軽く拳を合わせて出発・・。
正直、次はいつになるかわからんがいつかは倒してやる!

・・・・

教会の前からしばらく歩き、町の表通りにさしかかった
「さて、ちょいとした二人旅だな」
「そう・・ね。早く帰らないと仕事が大変よ、寄り道するなんて言わないわよね?」
「お前の仕事の忙しさはよく知っているっての、あっ、そういや・・」
「??」
「今回の見せかけだけの肩書き、もう少し俺のモノにしておいてくれないか?」
「え・・・ああっ、『ルザリア騎士団特別教官』の事?どうするの?」
「いやっ、俺もとりあえずはクラークさんとの勝負も終わって目標は半分達成できた。
だからこれからはもっとお前を助けてやりたいと思って・・さ」
「・・クロ・・。・・事務は間に合ってるわ」
冷たっ!!
「わかっているっての!主に肉体労働だ・・要らないのかよぉ・・」
「・・ふふっ、じゃあルザリア騎士団長として貴方を正式に『ルザリア騎士団特別教官』に任命します・・がんばりなさい、クロムウェル=ハット」
「ああっ、がんばらせてもらうぜ?タイム団長閣下♪」
・・とってつけた任命式だが俺にはちょうどいいや。まっ、騎士としてでなく男としてこいつの
手助けをするわけだからな
事務もしなくていいし!
「・・でも、一応は騎士扱いになるわけだからもっと素行をしっかりしないとね」
・・うげ、言わなきゃよかった・・か
まぁいいや、がんばろう・・・


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