終話  「俺はクロムウェル=ハット」


”さぁ、数々のドラマを生んだ今回のオリジナルトーナメント「カチュアちゃん争奪杯」優勝は
クロムウェル選手となりました!”
しばらく経ってから閉会式・・、まっ、俺もボロボロだし匿名希望も気を失っていたからな
”これでカチュア選手は兄のクロムウェル選手のモノになるわけですか〜、まさに禁断の
関係!!二人には外道の道を雄雄しく歩んでもらいたいもんです!!”
「・・あいつら・・」
「・・・殺すか・・」
「・・・先輩、落ちついて・・」
”まっ、それでは審判のジルちゃん。さっさと終わらせてください”
「え・・はい、クロムウェル選手!おめでとうございます!!」
審判のうさ耳ジルちゃんがトロフィーを俺に渡す・・
そして頬に軽くキス・・
おほっ♪この町に帰ってきて初めていいことにあえた♪

「「「「「か〜え〜れ!!!か〜え〜れ!!!」」」」」

これに気を悪くしたのか場内ブーイング!
「じゃかあしい!俺が一番なんだ!!このくらいさせて当然だろうが!!!」
そう言いながらジルちゃんを羽交い締め!そのまま胸を揉みまくる!!
「クロムウェル選手・・落ちついてください!こんな人前で・・!フィートくぅん!!」
「あ〜、こうなっては僕もどうしようもなく・・」
”ああ〜っと!クロムウェル!ついに暴走か!!”
”羨ましいですがこれはいけません!!”
「お前等もうるせぇ!トロフィーなんかよりもこっちのほうが価値があるんじゃい!!!」
”けっ、警備兵。とりあえずクロムウェル選手を・・!!”
「へっ、優勝が決まったら遠慮しねぇ!!ボロボロでもテメェらなんぞに遅れはとらねぇぞ!」
・・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
しばらく暴れた後、シトゥラの「報告確定」の言葉に我に帰り、そのまま一目散に
闘技場を後にした・・・・・
後で、詫びよう・・。





「・・・そうか、お前が勝ったか・・」
落ちついてから訪れたのはヴァーゲンシュタイン邸。
俺とカチュアだけで他の面々は宿で待ってもらうことにした
全員来たら騒がしいもんな
「ああっ、先方にも諦めろと伝えておいてくれよ?」
「わかった・・」
しぶしぶだな・・、まだ諦めきれていないか。
骨の髄まで金に染まっているな・・・・・
「よしっ、これでこの街に用事はないな。じゃあ俺は消えるぜ?もう2度と会うこともないだろう」
「・・・お前が・・、この家を継ぐ気はないのか?」
・・・・・・・
「お断りだ。俺はクロムウェル=ヴァーゲンシュタインじゃない。クロムウェル=ハットなんだ」
「・・・・・・そうか・・・、すまない」
「俺に謝る必要も義理もない。ただ、カチュアの身の振りはきちんとやればいいさ」
「ああっ、こんな風になれば後はカチュアの意志にまかせるよ」
「・・・わかったわ、お父様・・」
まっ、その前にこいつも家を出るだろう・・、カチュアの目がそう言っているよ・・
「それでいい。じゃあな。カチュア。まっ、元気でやってくれや」
そのまま屋敷を去る・・・予定だったのだがやたらとベイト達に名残惜しまれて出るのに
時間がかかった・・
・・・この人達には勝てないぜ・・・

ガチャ・・
逃げるようにヴァーゲンシュタイン邸の扉から飛び出る・・
「全く、ベイト達がいるうちはこの屋敷も無事か・・んっ?」
屋敷の前に待っていたように立つ一人の男が・・
「・・ほぅ、意外に人望があるのだな・・」
匿名希望さん・・頭に包帯巻いている・・・・
「よう、傷は大丈夫なのか?」
「大丈夫だ。この程度で泣き言もいえん・・・」
・・へっ。
「それで、ここで待っていて俺に何か用があるのか?ダグラス王子?」
グラディウス第4王子の名前、ダグラス・・、もはや隠す必要もないだろう
「その名で呼ばれるのも久しいな。・・・お前を待っていたのは礼をするためだ」
「礼?」
「久々に全力で戦えた。感謝する」
「・・・・へっ、ほんとに全力か?俺にはカチュアのことを考えて少し手を抜いたように見えたんだがな・・」
あの攻撃の中、気絶しながらも戦おうとした漢だ。
本気ならばあれ以上の猛攻もできただろう
「・・・ふっ、買かぶりすぎた」
「そうかな?じゃあ俺は行くぜ。次は敵としては会わない事を祈っているよ」
「それはその時になればわかるまい・・、では・・失礼・・」
そのまま街に消えていく匿名希望ことダグラス・・
あいつにはあいつの生き方があるんだろうな。
まっ、良い奴だとは思うんだがね・・・・・



・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・

その足で俺は騎士団屋敷に向かった。
まぁ、フロスさんには挨拶しておかないとな、
勝手に帰るのって失礼じゃん?
・・・・・・・・
屋敷にはキースが周りからやたらと誉められていた
良いところまでがんばったからな。カードの如何によっては準決勝まではいけただろう・・
まっ、俺には勝てんがな♪
「優勝者が一人でどうしたんだ?」
そんな中フロスさんのみ俺に気付いてくれた。身内第一な連中とは大違いだね
「いやっ、もう帰るんで、挨拶にね」
「そうか・・、早いな・・」
「・・我が家が恋しくなったもんだからな。まっ、気がむいたらまた来るよ」
「ああっ、私も出来の悪い元部下が懐かしくなったらルザリアに行こう・・」
「お別れにそれはないんじゃないの?フロスさん?」
「ふっ、まっ、元気でな・・」
固く握手する俺とフロスさん・・
「クロムウェルさん」
そこへキース登場、ようやく解放されたのかな?
「よう、キース、俺もう帰るからさ」
「そうでしたか・・、あの・・」
「皆まで言うな、カチュアを頼むぜ?」
わかっているさ、っうかわからなきゃおかしい・・
「・・わかりました。それと、いつか・・、俺と戦ってください!」
「ああん?俺と戦いたいならまずアルを倒してからだな!
それからならいつでも受けつけるぜ!」
「わかりました!」
乗り越える目標があるなら強くなれる・・、こいつはもっと伸びるだろうな・・・



「先輩!遅いですよ!」
宿屋ではもう他の面々が出発の準備をしていた
まぁ、匿名希望さんとのしゃべりは予定外だったからな〜・・
「すまんすまん!ちょっと用事があってな」
「おい変態!審判の胸触っていたことで騎士団に捕まっていたのか!?」
「色々あるのだろう、私としては出発まで海が見れたからいいのだがな」
「シトゥラがそう言うのなら・・仕方ないか」
「イチャつくのは二人っきりの時にしろよ?スクイード?」
「うるさい!変態!!」
「・・でっ、カチュアはどうなったのだ?」
荷物を担ぎながら珍しく興味がある様子のシトゥラ
「婚約は破棄、相手は自分で探すってことだ。まっ、もう見つけたようだがな・・」
「キースさん・・、ですね。感染しなきゃいいんですが・・」
まだ言っとるのか?フィート・・
「まっ、そう言うこと。じゃあ行こうぜ!!」
「遅れてきていきなり帰ろうとするな!変態!」
「まぁまぁ、じゃあ行きましょう!エネに土産もあるし♪」
・・・・なんか妖しいモン買ったんだろ?
まっ、いいや。さらばローエンハイツ、


そして帰るとしよう・・。
俺の街、ルザリアへ・・・・・





・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・

ルザリアに帰ってくるなりフィートはエネの元に向かった。
やはりあいつも恋しかったらしく土産をもっていそいそと歩いていった・・
俺とスクイード、シトゥラは騎士団屋敷へ・・
まぁこの二人は報告だしな・・
俺は・・ちょっと・・な?
・・・・・・・・
屋敷に入ると騎士達がやたらと走りまわっている
・・・・なんか・・・嫌な予感・・。歓迎してくれるわけじゃないだろうし
「おい、どうしたんだ?」
心配になって声をかけるスクイード
「ああっ、帰ってきたか!スクイード!団長の様子がおかしくて大変なんだ!
貴様の仕事も残してあるぞ!」
さっと取り出すメモ・・、仕事のスケジュールでも書いているのかな・・?
「えっ・・・、・・・・なんだこれ!!!こんな量!!・・・ああ・・!」
おおっ!あまりのショックだったのかスクイードが気を失っちまった・・!!
「スクイード・・、いかん、完全に気を失っている・・」
「ううん、タイムになんかあったのか。シトゥラ、こいつを頼む。俺はタイムに会ってくるよ」
「わかった・・」
居候のほうがほんとしっかりしているな・・




団長室からは何やら陰気が漂ってくる・・・
扉には「入室禁止」の張り紙が・・・・
どうしたんだ?あいつ・・

コンコン・・


「悪い・・、一人にしてくれないか・・・」
元気のないタイムの声・・
「おいおい。大丈夫か?」
扉ごしに声をかける・・が

ゴト!ゴトゴト!!

中で急に騒がしい音が・・・、なんだなんだ?

ガチャ!
そんな間に扉が少し開く・・
「おいっ、どうしたんだ?このさわ・・・うわっ!!」
腕をつかまれ急に引っ張られる!!

バン!!

力強く扉を閉め、団長室に連れこまれた・・
扉付近でタイムは息を荒くして俺に抱き着いてる・・
「はぁ・・、クロぉ・・」
「だからどうした・・って!うわっ!お前どうしたんだよ!その顔のクマ!」
なんだかやつれているし・・
「クロの顔を数日見ないだけで・・・私、どうしようもなくなって・・・」
おもっきり俺を抱きしめ甘えてくるタイム・・
「・・・・ああっ、すまなかったな・・。問題も解決した。・・ずっと一緒にいられるぞ?」
「うん・・、クロ・・・、ん・・」
激しくキスしてくるタイム・・、おっ、おい・・
「んっ、・・・今日は積極的だな」
「だって寂しかったから・・。クロに会いたくて・・・」
「・・・俺も、・・タイムに会いたかったぜ・・。」
「クロ・・・?」
いつも以上に熱っぽい目で見てくる・・・
「・・・馬鹿!そんな目で見られたら照れるだろうが!さぁ、今はここまで!
スクイードが気絶するくらい仕事たまっているんだろ?
俺も手伝ってやるから一気にすませるぞ!」
「・・・わかった」
「・・でっ、その後に俺のベットで再会を祝して・・な?」
「・・・うん♪」
「へへっ、今夜は寝かさねぇぞぉ〜!!」
「・・変態!!」
よしっ、いつものタイムだ。
やはり、俺にはこの空気が一番だな・・。

気ままな変態でもいいさ、タイムといられるのなら・・・


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