第5話  「カチュアちゃん争奪杯」


円形の建物・・ってところかな、コロッシアムてやつは・・
360度観客席があり、好きな戦士を応援したり賭けの結果を目を血走らせながら見ている
モノもいる・・。
しかし・・、なんか以前きたときより人数がかなり多いような・・・。
時が経てば変わるものなのか・・・。

「おっ、おい・・変態・・」
「ああっ?なんだスクイード・・、コチコチじゃねぇか」
「なんであんなに人がいるんだよ・・」
入場ゲートから見える人間だけですでに緊張しているスクイード君・・
こいつ上がり症なのか・・?
「まぁ大方あのボンボンがなんかやったのだろう?俺を負かした時の証拠として・・」
「でも先輩・・、随分リスク多いですね〜」
敵は奴らだけではない。ようは俺が負けたら・・ってことだからな。
まぁ身内でそんなことはしないけどな
「そんだけうまい話作らなきゃああいうのは乗ってこないのさ」

”さぁやってきました、本日のメインイベント!!『カチュアちゃん争奪杯』の開幕です!”
拡声魔法でも使っているのか馬鹿でかい声のアナウス・・・
っうかカチュアちゃん争奪杯だぁ?
「・・・・・随分なタイトルだな、カチュアちゃん・・」
「・・・はあ、出るの恥ずかしい」

“本日は街一番の富豪ボスコビッチ伯爵が主催しただけあってどれもツワモノ揃い!
みなさんもどの戦士に賭けたか迷った事でしょう!!さぁ選手入場です!!”

・・・・以前に比べたらすっごく茶番になったな・・。
昔はもっと・・、こう・・、殺伐としていたのに・・
ともあれ入場する俺達・・、なんかパレードみたい・・・・。
開会の説明やらなんやらは聞き流した。
ようはなんでもあり、相手が気絶するか戦闘不能になりゃそれでおしまいってことだ。

参加は俺達「クロムウェルと不愉快な仲間達」(仮)と騎士団のキース。こちらは一人だな・・。
後は昨夜のウェーブ金髪さんとそれとともに一緒にいる太った男と痩せた男のコンビ。
そしてなんかめっちゃ格闘好きそうな筋肉マッチョマンさん(スキンヘッド)
・・まっ、注意するのはウェーブの金髪兄ちゃんのみ・・っと言った感じかな?
「先輩・・?」
「ああっ、なんだ?可愛い子でもいたのか?」
「いやっ、早速先輩の番ですよ?」
いいっ!
「もうか!っていうかトーナメント表は!!?」
フィートが指差したとこに馬鹿でかい垂れ幕がありそこには第一戦クロムウェルVSチャイコフスキーっと書かれてある・・。
何時の間にか細かい説明終わっていたみたい・・
「僕達、外で見てますんで豪快に決めてください」
「わ〜ったよ!」
そういうと他の選手はみんな退場していく・・。
本番ということもあり観客もシィンと静まり返った・・
・・・・・・・・
やがて円杖の砂の戦場に残ったのは俺と先ほどのマッチョ兄さん(スキンヘッド)
こいつ・・、チャイコフスキーって・・・名前までごついのな・・
まぁカチュアが見たら「62筋肉・・、不合格」とか言いそう・・

”さぁ〜!やってきました一回戦!カードはこちら!過去にもこの闘技場で荒らしまくっていたクロムウェル!ある時を境に姿を消したが今回は久々の参加だァ!!!”
・・・昔の話・・・だよ?まぁ傭兵公社に入る前、ここで食い扶持つないでたんだ
”そして相手は鋼の肉体をもつファイター!通称『鋼鉄チャイコフ』だ!傭兵として活動していたが今回何故か初参戦!お互い格闘が得意なようで非常に楽しみです!!”
・・・・傭兵・・、初参戦・・・、格闘・・・・
・・・・やれやれ・・・
「それでは第一回戦!レディィィィ・・」
「ちょいまち!」
審判役の銀髪バニーガールに一声、まぁ確認しとかないとな
「えっ・・?あの・・」
「すぐ済むよ。おいあんた・・、誰に雇われて参加した?」
「・・・・・さぁな?それに答える義務もなかろう?」
筋肉男なのに難しいことを言う・・、まぁそれが答えだがな
「おっけ。ねぇちゃんはじめて?」
「はっ・・・、はぁ・・。改めて一回戦レディィィィィィ・・・・・ゴォォォ!!」

バキィィィィ!!!

開始の合図の刹那、チャイコフなんとかを殴り飛ばす!!
まともに頬に入ったチャイコフなんとかはそのまま吹っ飛び観客席との区切りのための鉄格子
に激突・・
白目剥いて気絶している・・
・・・・・・親父達に雇われたんだ。俺も手加減しないぜ?
「そっ、それまで!!」

”お〜っと!!クロムウェル選手!まさに瞬殺だぁぁ!!自分よりでかい相手に良く仕留めましたね。解説のフランキーさん?”
”そうですね〜、以前参加していた時とは見違えますね。私が調べた情報によると彼、傭兵公社に入っていたそうです。そこで計50人を超える女の子にフラれたそうですね。その経験が
あのキレのある速攻を生んだんでしょう・・、実に見事です・・”

・・・なんで俺の情報がそんな詳細に伝わっているの・・?っうかフラれたからってんな速攻できるようになるかい!アホか!解説のフランキーとやら!!
「ともかく、クロムウェル選手!一回戦突破です♪」
審判のバニーお姉ちゃんが俺の腕を持ち上げアピール・・
おおっ!!この子結構胸おっきい♪おまけに衣装もエロチック♪

「・・・・シトゥラ・・」
「・・うむっ、これは報告する必要があるかもな・・」

ビクッ!!!
観客席の最前列で見物していたコンビの声が聞こえた・・
あう・・・、監視の目が厳しい・・・


そんなわけで一回戦はあっという間で終了、まぁ実力の差だ・・
そして2回戦はスクイードVSキース
お互い騎士という職もあるため注目のカード・・だな。

ちょいと解説のフランキーさんのスクイードの情報を流して他のみんなと合流する

「お兄さんお疲れ様。どこ行っていたの?」
「ああっ、ちょっとな。もうはじまるか・・。応援しないのか?シトゥラ」
「静かに見ていよう。あんまり言うとスクイードは緊張するようだからな」
「流石はただならぬ仲・・。さしずめ、日頃鍛えた結果を見るってわけか?」
「・・・ふっ、まあな・・」

”さあいよいよ2回戦です!対決するのはこの大会初になるか!現役の騎士同士の戦いだぁ
さぁ〜、騎士団と騎士団のスペシャルマッチ!!どうなるかぁぁぁ!!”
”え〜、キース選手はこの街の騎士団所属ですね。この街では中々有名な戦士です
そして相手はスクイード選手。さっき入った情報によると貿易都市ルザリアの騎士団所属で
騎士団仲間からは阻害されており居候の女性に手を出す等、かなりの好人物のようです”

「ちっがぁぁぁぁぁぁぁう!!!!!おい!解説のフランキー!!誰がんなこと言ったんだぁぁぁ!」
おおっ、拡声魔法を使わなくても実況席に届く大声・・
”え〜、企業秘密です。さぁ審判のうさ耳ジルさん、試合を開始してください”

「はっ・・はい・・。では2回戦!レディィィィ・・・・ゴォォォォ!!」
スクイードから数歩離れて審判の姉ちゃんが合図する
・・・効果あり・・だな・・
「・・先輩、あの解説の人の情報って・・」
「・・・小遣い程度の謝礼は貰えたぞ・・」
さぁ、そのくらいにして注目の一戦を見ましょう見ましょう・・



「・・随分な生活をしているようだな・・・」
スクイードの情報を真に受けているキース・・。
得物は大剣クレイモア・・、飾りは一つもなく完全に実用ものだな・・
「だから違う!誤解を解くためにもこのルザリア騎士団が一人!スクイード!!
負けられない!!」
・・まぁ、そうなるわな。阻害された変態のレッテル貼られた上に肝心の試合まで負けちゃあ
・・・・・、いいかも♪キース!!!!やっちまえぇぇぇぇぇぇ!!
「ローエンハイツ騎士団、キース・・、まいる!!」
そう言い素早く突進、騎士団支給の鎧を自分なりにカスタマイズしたようで所々革製になっている、さらにはでかいクレイモア・・。そんな装備でもかなりの早さで動いているな・・。
丸腰で動けばスピードのみだと俺といい勝負か?
「・・・・このくらい!!」
素早く突進し、回避する隙を与えぬほどの早さでクレイモアを振り下ろすキース・・
なるほど、戦術なんぞ全くなし。己の持てる全ての力で相手よりも早く斬る・・ってとこか。
・・・男気のある戦い方だな〜。
そのスタイルを確立させるまで幾度となく敗北したに違いない・・
それに対しスクイードも負け時とハルバートで受けとめる・・。武器のリーチとしてはスクイードが有利だ。まっ、至近距離ではハルバートなんざ使いにくいだけの物だが・・
「今度はこっちの番だ!!」
キースのクレイモアを弾き腰をひねってハルバートで斬りかかる・・。
まぁ、斧槍なんだからそういう使い方ももちろんあるんだがこいつは「突き」攻撃はあまりしない
刺突攻撃は致命傷になりやすいからボンボン騎士団ではあまり使用しないらしいが
こいつは特にだ。
・・・タイムはそういうの得意なのにな・・、やっぱ好みか・・
「見切る!!」
横振りの一撃をかがんで回避しそのまま反撃の一閃!
それもスクイードは後ろに飛び去って間合いを計る・・・
「へぇ・・、あいつが間合いをとるなんて・・、シトゥラとの訓練の賜物・・ってか?」
「うむ・・、まだまだ動きが固いがな」

”おお〜っと!!キース選手、まさしく獅子奮迅の勢いの猛攻だぁ!!対し阻害騎士スクイード選手!やはり中距離用のハルバートでは不利か!!?”

・・・・・熱い実況やな・・。まぁ「阻害」というキーワードがスクイードについたことはおおいに結構!


キィン!!

「しっ・・しまった!!」
一瞬の隙を突いてスクイードのハルバートを払い飛ばされた
スクイードのほうがスタミナがないからな・・、注意力も散漫になってきたようだ
「・・ここまで、さぁ・・降参しろ!」
流石に息が荒いキース・・・、やっぱあんだけ動けばそうなるか
「・・・・・、僕に・・・後退はない!!」

”おおっと!スクイード選手!!武器を失っても直も特攻する!まさに不屈の闘志!!
何が彼をそこまで駆り立てるのか!!”
”意地ですね・・、いやっ見事ですよ”

・・・意地になっているのはあんたらの解説のせいなんだけど・・。
「この心意気、見事!ならば手加減はしない!!」
素手で向かってきたスクイードに得物を叩きつける!!

ガン・・!

「ぐ・・ちくしょう・・・・・・・」
アーマーに討ちつけ強烈な衝撃がスクイードに襲ったようだ・・
うめきながらダウン・・
「そこまで♪勝者キース!!」
うさ耳姉ちゃんがキースの腕を上げ宣言、勝負あり、だな
「・・負けたな?シトゥラ」
「ああっ、後でなぐさめてやるか」
・・・ほんっと複雑な仲だな・・
だがスクイード、仲間の騎士に阻害され、変態筋肉男に襲われ、そして今変態敗北阻害騎士の通り名が確立・・・、俺を変態扱いしたむくいだね♪
まっ、シトゥラがいるから自殺はしないだろ、あはっ、あはははは


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