聖魔VS妾龍〜おまけ1〜
「ラミア、初めてのおつかい」
妾龍の助太刀により無事解決を向かえニース村自衛団の面々もまたいつもの平穏な生活へと戻っていった
しかし
「・・ぬっ?買い物に出る?」
「はい」
サブノックの家にての一光景、静かに得物の手入れをしているサブノックにラミアは胸を高鳴らせて話しかける
「・・むぅ、どこまでだ」
「この鎧を造ってくれた犬人さんのところです!」
「・・プラハか、近くはないが遠くでもないか・・。よし、仕度をして出るか」
「いえ、私一人で行きたいです!」
「な・・な・・なんとぉぉ!?」
サブノックさん、目を丸くして驚く・・
「プラハまで一人で買い物に行くと言うのか!?」
「はい!イリアさんからもらった髪を加工したいです!これも勉強かと思いまして」
真剣な眼差しのラミア、そうは言うがニース=プラハ間は決して短くはない
子供(?)が一人で行くのは普通の家族ならばまず認めない話だ
・・が・・
「・・ラミア・・」
「父上・・・」
「よくぞ言った!小生は・・小生は嬉しいぞ!!」
ふつふつと熱いものがこみ上げるサブノック、娘の始めてのおつかいに思わず男泣き・・
「父上!」
「そこまで言うならば小生は何も言わん!自身の力にてそのおつかい・・見事果たしてみせよ!!」
「はい!!」
・・熱血親子、ここに極まる
因みに後でそのことをセリアにも説明したが簡単に承諾、多少人がいいのだがラミアならば
問題ないと信じているようだ
・・・・
ニースを出発して数日
元々サブノックとの修行で夜営についての知識を持っていたラミアなだけに特に問題もなく旅路を進んできた
まぁ夜になると少し寂しいのでイリアの髪を抱きしめたりもしたのだが・・
因みに道中、他の町には立ち寄ってはおらず普通に旅をするよりもややきつめ
・・これはセリアの提案で子供一人で町などによると色々と面倒な事になるかと思ったからだ
そしてついに目的の町プラハに無事到着をしその華やかさに目を見張る
「・・やっぱり・・すごいです」
ニース村とは全く違う人の多さ・・、表通りのど真ん中にてラミアは感動する
家が連なって店が幾つもあるというのは村育ちでは珍しい。ましては父親とともに出る修行の旅とは違い
幾らかは自分の時間を持てるのでなおさらだ
だが何時もまでもそこに突っ立っているわけにもいかないのでラミアは看板を手がかりに
その店を探しはじめた
・・・・・・
一時間程経過・・流石に一度だけしか行った事がない町だけに中々見つけ出す事ができない
実は表通りにあるのだが店の小ささからしてラミアには少し路地の中を入った場所にあったように錯覚をしているので
それはなお更・・
「うう・・困りました」
知らず知らず裏通りに入ってしまい腕を組んで悩むラミア
旅費は必要な分だけあるのだが目的地に到着したのにそんなことで宿を取るのも情けない
「どなたかに聞いてみましょう!」
仕方なし・・自分の力でどうにもならなければ人に聞けばいいと考え方を切り替える
子供にしてはかなりのシッカリ者だ
そこに
「ミィ〜♪ミィ〜ミィ〜♪」
明るい歌声(?)とともに礼拝服を着ている猫人の少女が歩いてくる
裏通りに不釣合いなのだがラミアにとってはそれはどうでもよく・・
「すみません!」
「ミィ?」
ラミアの声に反応する猫人少女・・、何故か目を開けない
「あの・・私、道に迷ったみたいなんです。よかった教えてもらえませんか?」
「ミィ・・?・・ミィ〜?・・・ここ・・どこ?」
・・どうやら、少女も迷子のようだった・・
「・・知らないんですか?」
「ミィ、わかんない!」
「・・ううっ、ならば一緒に行きましょう!私はラミア言います!」
「ミィ、わたし、ミィ。ラミアともだち〜♪」
ラミアの手を握り嬉しそうに笑うミィ・・
「ありがとう、ミィさん。では・・どこか安心できるところに行きましょう」
少女二人、とりあえずは人通りの多い所へと向かい歩き出す・・
そしてをそれを見つめる人影が数人、場所が場所だけにそこは危ない地点であった
プラハの裏通りは思ったよりも細く複雑・・、故にかつては治安が悪かった
それが一人の悪魔により裏通り以外での活動は完全に不可能になってしまったのだが彼らの領域に入るとまだ
悪さをする奴が少々いたりする
そんな事を知らない二人は表通りを目指すがドンドン裏通りの奥へと突き進んでいる
修行ゆえに町を訪れる機会が極めてすくないラミア故にはこうした状況には流石に歳相応・・
「・・ミィさんはどうして目を開けないのですか?」
「ミィ、目が見えない」
ラミアの質問にミィは至って明るく・・、しかし真面目ちゃんなラミアには雷を打たれたようなリアクション!
「す・・すみません!」
「ミィ〜?」
真剣に謝るラミアにミィは「なんであやまっているの?」と首をかしげる
「で・・でも、目が見えないのにすごい上手に歩きますね」
「ミィ!しんがんをならったの!」
「心眼・・ですか!?剣の達人にしか体得できないと言われている技術を・・」
父より聞いた究極とも言える技術にラミア呆然・・、幼い猫少女がそれを体得しているのだ
「クローディアにならったの!」
「・・・ミィさんにはすごい知り合いがいるのですね・・」
「ミィ?」
何々〜?っと言った感じのミィ
そこへ・・
「へっへっへ・・、お嬢ちゃん達・・こんなとこまで来てどうしたんだい?」
「おぢちゃん達と良いことしないかい?」
危ない吐息なおじさん達が数人・・裏通りに迷い込んだ少女二人とイケナイ事をしたいらしい
「・・、貴方達は悪ですね!!」
出している気配にラミアはすかさず肩に背負っている六角棍を取り出す!
「あくぅ?お嬢ちゃんを大人の女にしてやろうと思ってあげているだけだよ(ハァハァ)」
「う・・、この人達・・変です・・」
奇妙な雰囲気なロリおぢちゃん達にラミアたじたじ
しかしそれをジッと見ていた(?)ミィが・・
「ミィ!セシル〜!!!」
大声で叫ぶ!
「セ・・セシルだって!?おい・・まさか!!」
「あ・・慌てるな!奴だとしてもこんなところまですぐには・・」
とは言いつつ明らかに慌てているおぢちゃん達
そこに
”・・ち〜っす・・”
不意に響く女性の声・・、それとともにその周囲を包み込むような冷たい殺気が・・
「セシル〜!」
全員がこの状況に唖然とする中、ミィだけが嬉しそうに言う
”ミィちゃん、町は危険なんだからあんまりうろついたら駄目よ・・さて・・”
バキ!!
「ぐばぁ!!」
突如おぢちゃんの一人が吹っ飛ぶ!!
そこには短パンに白シャツの露出激しき金髪女性が・・
どうやら建物の上から飛び降りたようだ
「セ・・・セセセセセセ・・・・セシル!!」
「ミィちゃんが私の家族だと知っての狼藉かしらぁ?」
爽やかな声とは裏腹に明らかな殺意剥き出しな女性セシル
「まさか・・!セシル様のご家族に手を出そうなんて・・」
「ふぅん・・まぁいいわ。そこの貴方・・・ミィちゃんの耳を塞いでくれるかしら?」
「私ですか?」
ラミアちゃんもはや何が何だか・・
「そっ、ちょっとだけでいいから」
「わかりました・・ミィさん・・」
「ミィ?」
急いでミィの耳を塞ぎ後ろを向かせる
刹那
ドガドガドガドガドガドガドガドガドガ!!!
「・・げふ・・」
何だかものすごい速さでの打撃音と男の悲鳴・・
何事かと思いラミアが振り返った時にはすでにおぢちゃんの姿はどこにもなかった・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・
「なるほどね、リュートの処を探していたの」
一通りの事情をセシルに話したら彼女が案内してくれると言ったのでそれに甘えるラミア
「はい・・ありがとうございます。」
「いいのいいの、私もミィを探していたんだし・・でもその歳でおつかいだなんて・・すごいわねぇ」
ミィを肩車してあげ優しく声をかけてくるセシル、正しく良いお姉さんなのだが
ラミアには何かひっかかっている
「いえ・・それほどでも・・(この人・・何か・・変です)」
「???私の顔に何かついている?」
「いえ!何でもないです!」
「まぁお姉さんみたいな大人になりたいとは思うでしょうけどね♪」
本性を知っているならば誰もそうは思いません
・・・ともあれ、良いお姉さんに従いラミアは無事犬人鍛冶師の店へとたどり着くことができた
「さぁ、ここよ。」
「ほー・りー・・・ああっそうです!ここです!セシルさんありがとうございます!!」
「いいのよ♪そうそう、私とミィは町外れの教会に住んでいるからもしよかったら泊まりにきなさいよ。すぐ終わるとも思えないし」
「ミィ♪」
賛成!っとミィが手をあげる・・相当ラミアが気に入っているようだ
「はい!是非!・・ではまた後ほど!」
深く礼をしてラミアは店へと入っていった
・・・のだが・・・
店に入ると黒髪の女性店員がでかい剣槍を持って睨んでいた
「・・あ・・ら、あいつじゃない・・」
「こんにちわ!どうしたんです?」
「あ・・!いらっしゃい!ラミアちゃんね♪」
途端に愛想良く笑う店員・・シャン。
「私の名前を・・知っているのですか?」
「ええっ、その鎧を造ったも覚えているわよ♪今迄造った中でも一番小さいサイズだし・・」
二コリと笑うシャン、もちろん彼女の言うとおりに印象深い仕事だったということもあるのだが
実はサブノックから速達が届き娘をよしなに・・っと親馬鹿アクションを起こしていたり
もちろん、それは他言無用
「すごいですぅ!」
そんな事知らずにラミアはただただ感動に感動・・、
「それで、今日はどんな用事なのかしら?」
「あっ、はい!これを何かに加工してもらいたいと思いました!」
取り出したるは妾龍イリアの髪・・・二度の変身で伸びた髪はかなりの物
「・・・私も見たことない物ねぇ・・リュート!」
「は〜い!!」
シャンの声にすぐ答え主であるリュートが工房服を着て出てくる
「あっ!ラミアちゃんこんにちわ」
「リュートさんこんにちわです!!」
彼もサブノックからの手紙を読んで事情は知っていたり・・、純粋な性格故にボロが出てしまうので極力しゃべらないように
強制されていたり・・
「リュート、これなの・・。どんな物かわかる?」
早速仕事の話・・シャンはイリアの髪をリュートに見せる
「・・・・、女性の髪・・?いやっ、ただそれだけの物でもない・・かな?どんな特性があるか調べて見る必要はありそうだね。
よし!今から取り掛かるよ、加工はそんなに難しくないと思うから明日にでもまた寄ってよ」
「わかりました!あの・・御代は・・これだけで」
セリアからしっかりと渡された財布を取り出しありったけの金をカウンターに置く
「・・って、全額なの?」
「はい!それだけの価値はあると父上も言っておりました!」
「駄目よ、道中の必要費もいるんだし・・半分くらいで引き受けるから。後はちゃんと持っておきなさい」
「ありがとうございます!シャンさん!」
彼女の心使いに少女ラミア感涙・・、感受性の強い少女というのは見ていて飽きないものである
「ははっ、じゃあまた明日・・今夜はうちに泊まっていくかい?」
「いえっ、ここを案内してくれたセシルさんの家に泊まろうと思います」
「「!!!!???」」
何故か「セシル」という単語に強く反応する鍛冶夫婦(?)
「・・・どうしたんですか?」
「・・・・、本気かい?」
先ほどまでと打って変わって静かになるリュート、ラミアはさらに首をかしげるばかり
「ええっ、ミィさんともお友達になりましたので!」
「あの子・・か。一緒だったら安心だけど・・リュート・・」
「うん・・、ラミアちゃん。僕から君にこれを渡すよ」
そういうとリュートは工房に入ると思いきやすぐ出てきた
そして手には綺麗な造りの二本の短剣
赤い装飾で対になっている
「魔導論を応用した炎の短剣だよ、名は『炎翼刃』
僕が考案した暗器を扱っているラミアちゃんならば十分扱えるはずだ。」
「え・・あ・・の・・」
「何かあったらすぐ駆けつけてきて・・いいわね」
「は・・はい・・」
深刻そうな二人に圧倒されてとりあえずはその二振りの剣を受け取るラミア
「「気をつけて!!」」
見送る声もどこか鬼気迫っておりラミアは何が何だかわからず店を後にした
・・・・・・・・・
一度道がわかれば後はたやすいもの
セシルに教えてもらった道を辿りラミアはきちんと教会までたどり着いた
だが色々とあってその頃にはもう夕刻になっていた
町外れとは思えないほど立派な教会・・規模は小さいが手入れが行き届いているのがわかる
そしてその隣にはかなりしっかりと造られた館が・・
「すごい・・です・・」
なだらかな丘に建てられた二つの建造物に見惚れるラミア
そこに・・
「・・おやっ、貴方がラミアさんですね」
教会から神父が出てきた。立派な造りの教会には少し不釣合いな若い神父・・
さっぱりとした黒髪にヒョロリとした体型はまさに神父体型(?)なのだが
「は・・はい」
「ミィがお世話になりました。事情は聞いていますので・・どうぞ」
にこやかに笑う神父にラミアは安心感を覚えその後に続いていく
その頃にはリュート達のあの異様な警戒心を抱いていた事はさっぱりと忘れていた
・・・・
神父の案内により館の中へと入ったラミア
しっかりとした造りの中、広めの食堂に通されそこにはセシルとミィ
他に小さな眼鏡をかけた優男とか仮面をかけた男とこあ眼帯をかけた女とかもいた
「・・ミィ♪」
「いらっしゃい、遅かったじゃないの」
呆然とするラミアにミィとセシルは明るく声をかける
「は・・はい、少し遠かったもので・・」
「まぁ子供の足だ。・・そんなに遠くに早くもいけまい」
仮面の男・・クールだがどこか暖かい印象を受ける
「それはいいじゃないか、さっ、頂こうぜ。ラミア・・だっけ。こっち座れ」
「は・・はい!一日お世話になります!」
「・・礼儀正しいですねぇ、感心ですよ♪」
鍋をもってきた金髪のメイドっ子が笑顔で感心する
皆悪い人ではないことがわかりラミアは上機嫌で夕食へとついた
この館での料理は少し彼女が食べてきたのとは違うがどれも美味・・
修行ということで自炊してきたラミアは久々の他人の料理に夢中で平らげていく
「・・しっかし、まだ子供なのに買い物かぁ・・どこから来たんだ?」
眼鏡男・・クラークが明るく聞く
「はい、ニース村です!」
「ええっ!?・・だいぶあるじゃない!それを一人で・・・」
「・・むっ、確かに子供のお使いにしては遠すぎるな・・」
「一度修行の旅でここを立ち寄ったことがありますので大丈夫です」
驚く面々にラミアは至って明るく・・
「修行・・、その服装・・さらには棍にも刃が仕込まれているようですし・・普通の家庭ではないようですね」
眼帯女クローディア、あまりしゃべってくれないのだが水を注いでくれるなど
行動でその優しさが感じ取れる、それがどことなしにラミアは好きだった
「そうですか・・?」
「だが・・ニースか。アルの処だな・・んな奴がいたのか?」
「アルさんをご存知ですか!?」
「・・うえっ?ああ・・俺の元・・部下だな。そっちで自衛団長を務めているんだろう?」
「はい!あ・・じゃあクラークさんはあのクラークさんでしたか!」
ラミアがパァっと目を輝かしながら言う
それにクラークは首をかしげ・・
「あの・・って・・あいつ何か言っていたのか?」
「はい!強くて人望がある凄い人だって!特に女性二人に手を出してそれをうまくまとめる術は僕には真似できないって感心してました!」
「・・・・・、ですって、クラークさん」
「人望がありますね・・兄上」
当の女性二人・・、部下の隊長に対する評価にシラ〜っと
「何か・・嫌な言い方だな。っうか確かあいつも女性二人に言い寄られたんだっけ?深刻に悩んでいたな」
「はい!マリーさんとレイブンさんが夜な夜なアルさんの家に入って行っていると母上が記録してました」
「・・・逆夜這い?あのボウヤも青いわねぇ・・」
顔だけは知っているセシル・・、その不甲斐無さに呆れる
「得手不得手だ。」
仮面男ロカルノが突っ込む、この人はどこか冷たいとラミアはジッと見つめており・・
「・・むっ?何か?」
「・・ロカルノさんはどうして仮面をつけていらっしゃるのですか?」
「それは・・」
「仮面フェチだからよ♪こいつったら仮面を見たら涎垂らすの(ゴン!)あだっ!」
「・・子供に変な事を教えるな。私が仮面をつけているのは・・身だしなみの一つだからだ」
「((((その答えもおかしい!))))」
面々の気持ちが重なった一瞬だった・・
・・・・・・・・
夕食を終えたラミアは風呂に入らせてもらいすぐさま就寝準備・・
子供は夜が早いのだ
「では・・おやすみなさい」
せっかくなのでとキルケに借りたパジャマを着てラミアは談笑室でペコリと頭を下げた
・・が、サイズが全然あっていないのでかがんだ瞬間ペッタンコな胸が丸見えになっていたり
「ああっ、おやすみ。ゆっくり休めよ」
優しくクラークが声をかける、その心使いにラミアは嬉しく思いつつも
「あの・・その・・」
一人で寝るのは寂しい・・っとは言えないのだが・・
「・・ふっ、今日はミィもこちらで寝るようだ。さっきパジャマに着替えていたから一緒に寝るといい」
「ミィさんがですか?ありがとうございます」
察しの良さに驚くラミアだがミィと一緒に寝れるということで嬉しくなりすぐさま二階へとあがっていった
「・・さて、これで襲えまい・・」
「ちっ・・ロカちゃんが珍しく気を使っていると思えば・・」
「まぁ手を出してもいいのだが・・ソシエさんに報告はさせていただく」
「・・もう!八方塞がりじゃない!!」
一階からそんな声が聞こえていた
それはさておき・・ラミアに用意された客室は彼女一人ではやや使いにくい広さ
まぁ子供なのだから仕方ないのだが・・
「ミィ・・ミィ〜・・」
大きめのベットに座り顔を手でこするミィ・・彼女もよほど眠いらしい
「ミィさん・・もう寝ます?」
「ミィ・・いっしょにねる・・」
「はい!一緒に寝ましょう♪」
仲が良い少女二人・・寄り添いながらベットの中央で抱き合い静かに灯りを消した
・・・・・・・
だが・・
「・・すぅ・・すぅ・・ミィ〜・・」
「・・・・あむ・・」
「ミィ〜・・・?ミャ・・」
眠りこんでいるラミア・・いつものクセで隣に寝ているミィの幼すぎる胸に・・
しゃぶりつくには小さすぎるのだが舌を使って器用に・・
「ミャ・・・」
流石に感じはしないがこちょばいのかミィは変な声を出しながらも深い眠りについていった
・・美少女が二人、しかし胸を吸っている光景とならばセシルさん生唾物・・
しかしそれを見ることはなく彼女は相方に軟禁され枕を濡らしたといふ
・・・翌日、ラミアが起きた頃にはもう他の面々は各自の予定を遂行中だった
どうやら久々の布団での一夜に安心したのかだいぶ寝過ごしたらしい
とは言えまだ朝で普通の人が起きるのと同じくらいの時間帯か・・
因みにミィは神父と教会で生活している身ゆえに朝早くに起床して神父のお手伝いに行った
その小さな胸は赤くなっていたとか・・
「おはようございます!セシルさん!」
何ともなしに食堂に向かえばセシルが珈琲をすすっていた
「おはよう、ラミアちゃん♪良く眠れた?」
「ええ!あの・・皆さんは?」
「もう各自やることはじめたわ〜。せわしないんだからねぇ・・」
「はぁ・・」
「それよりもラミアちゃん、もう出発するの?」
「はい!あまり遅くなると父上も心配します!」
にこやかに笑うラミア・・、それにセシルは少しがっかりそうに・・
「そう・・もう一泊していけばいいのに・・。
まぁ仕方ないわ。また遊びにきなさい、その時は一緒に寝ましょう♪」
爽やか〜に笑うセシル姉さんだが発言の最後にやたらと不気味な気配をラミアは感じとっていたり・・
「は・・はい・・あの皆さんには・・」
「ああっ、私から伝えておくわ。皆そんな事気にしないだろうし♪」
「わかりました、ありがとうございます!では・・失礼します!」
荷物を抱えて館を出るラミア・・
一人残ったセシルは
「・・あの気配は・・悪魔・・?まさかね・・でも・・可愛いかったのにぃぃぃぃ!!!」
最近厳しすぎる体勢に悔し涙を流すのだった
・・・・
再び「HOLY ORDERS」
朝なのでまだ開店準備だがちょうど店前の掃除をしていたシャンと鉢合わせたので
中に入らせてもらうことに・・
「ラミアちゃん、何もなかった?」
店内に入るなりものすごく心配するシャン・・
「な・・何がです?」
「だから・・変な事・・されなかった?」
「いえっ、皆さん優しかったです♪」
「そ・・・そう、やっぱりクラークさんの言ったことは正しかったのかしら・・」
「????・・どうかしたのですか?」
「いえ、何でもないわ♪」
無理に笑うシャン・・、どうもセシルに関わる話になるとここの人は態度を変えるとラミアは首をかしげる
彼女の本性など・・実際の被害に合わなければ気づくわけもないのだから
「あ・・おはよう、ラミアちゃん。」
そこに寝ぼけ眼なリュートが・・、昨日着ていた工房服姿のままだ・・また徹夜をしたらしい
「おはようございます!」
「無事だったか〜『炎翼刃』役に立ったかい?」
「え・・役に立つも宿を借りただけですので」
「!!?シャン!?」
絶対変だ!っとリュート、シャンを連れて店の隅でボソボソと・・
二人とも信じられない顔をしている
「・・そ・・そうか。まぁその剣はあげるよ。じゃ・・昨日の一件が出来たから渡すね」
やや引きつった笑みのリュート、工房に入りその物を取り出す
肘付近まですっぽりと包んだ手袋、光沢のある黒色のそれは指先が開いており手首から肘まで紐でくくるように調節している
「あの毛髪はすごい性能を持っていてね。それと篭手並の防御効果を示すために金属繊維を織り込んだものだ
このままでも衝撃は通すものの並の刃なら通さないよ・・つけてみて」
「は・・はい!」
予想以上の成果にラミアは興奮してその手袋を装着する
以前に鎧を発注しただけにそのサイズは完璧、彼女の手に見事に合った
「すごいです・・、つけているのがわからないくらい・・」
「装着してそれが気になるのは二流の証拠だよ・・、さっ、その状態で手に力を集中するように闘気を出してごらん?」
「はい・・・はぁぁぁぁぁ!!!」
拳法の構えをし気合を溜めるラミア!
カッ!!
その途端に手袋は変化していき強固な龍鱗のような外見に・・
「・・これは・・」
「その毛髪の本当の姿・・なのかな?気合に応じて変化するんだ。その状態ならば並の篭手なんて目じゃないし
打撃武器としても一級品だね」
「すごい・・です。ありがとうございます!!」
「いやっ、それは材質が良すぎるんだよ。僕は手を加えただけさ。・・でもその毛髪・・一体何なんだい?名前もつけれなくてね」
「これはイリアさんの髪です!」
「イリア・・?聞いた事がないな・・、シャンは?」
「さ・・さぁ・・」
流石にこの二人には妾龍の事は知らないようだ
「まぁいいか・・・じゃあその龍鱗毛の手袋の名も『イリア』にしておこうか」
「はい!ありがとうございます!!」
何度も礼をするラミア、相当嬉しいらしい
「はは、また何かあったらおいでよ。歓迎するよ」
「はい!お世話になりました!では!」
ふか〜く礼をしてラミアは故郷への旅路へと付く
一方鍛冶組は・・
「・・よかった、ラミアちゃんの力にも反応してくれて・・」
「僕のセシルに対する復讐の念に反応して竜鱗になったんじゃなかったようだね・・」
どうやら不順な動機でイリアの髪の特性に気づいたらしい二人・・
「でも・・セシルがラミアちゃんを襲わなかったって・・・」
「どうなんでしょうね、でも気を抜いてはいけないわ・・」
「ああっ、セシルさえ圧倒する武器を開発するまで・・僕は諦めない!!」
静かに燃えるリュートとシャン
それを原動力に今日も仕事に精を出すのでした・・
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