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「聖魔VS妾龍」vol4


サブノック宅でホノボノとした光景が流れたのもつかの間
日々これ鍛錬と自主的に今日も一行は汗を流すために集まる
「ぬ・・アル殿、寝不足か?」
見ればアルも何やら寝不足なクマができている
「あ・・ああ、まぁそういうことか・・な」
両脇には肌の艶がいい女性二人、それを見て珍しく訓練に同行したセリアが全てを察した
「・・アルさんお疲れ様♪二人も満足?」
「・・・ええ、そうですね・・」
「アルもがんばったものね♪」
アルの両脇に抱きつき満足な女性二人、当の本人は・・
「・・ふふっ、性欲よりも睡眠欲が強い僕は・・異常なのかな・・」
「結局は惚気かよ、でっ、訓練ってのはどうするんだ?」
やることも特にないのでイリアも参加・・と言うか見学。
相手をしてもいいのだがこの面々は一方は同格、一方はレベルが離れすぎているのでパス・・っと
「組み手です、私は父上と戦います!」
「うむっ、まずは準備体操だ」
仲良い親子、それを置いておいてまずアルとタナトスが前に出た

「・・じゃ、準備体操もかねて・・行きますか」
「・・よろしくお願いします」

流石に臨戦態勢に入ると寝不足も惚気も関係なく真面目な顔つきになる二人
特にタナトスは真剣そのものだ
軽く得物を持ったかと思うとまずはタナトス先制、
「はぁっ!!」
紅玉のついた杖の先端に炎の刃を造りだし豪快になぎ払う!
得物の派手さこそあるがそれは基本に忠実な袈裟斬り・・魔術師にしては鋭い一撃だが
アルはそれを掻い潜るように回避し踏み込む!
「たぁ!!」
踏み込みながらのハイキック、隙を突いた一撃だがタナトスは杖にて防御に間に合わせる
「・・まだだ!」
杖に受け止められた足を素早く戻し今度は後ろ回し蹴り・・鋭い蹴りで後頭部を狙う
「っと!その手は食いませんよ!」
タナトスも俊敏に反応して素早くバックステップで回避
一瞬の攻防だが、弓士と魔術師の近接戦闘とは思えない高等さを見せている

「・・あの蹴りはクロムウェルの真似か?」
見学者なイリア、アルの動きを観察しながらぼそりと呟く
「・・クロムウェル?」
「・・元傭兵公社13部隊出身の拳闘士。アルさんの先輩に当たる人でかなりのハチャメチャな性格。
 今では貿易都市ルザリアにて騎士団に参加している人よ、マリーさん」
セリアが丁寧に説明するのだが・・説明を受けたマリーさん、寧ろそこまで詳しいセリアさんに目を丸くしていたり・・
「アルが敬愛している人の動きを真似て体術を身に着けていると言ってましたので・・その人の事で間違いないでしょう
・・しかし、何故その人の事まで?」
レイブンが冷静にイリアに聞く、しかしその返答はまたしてもセリアさんが・・
「イリアさんは前にある一件でルザリアを訪れて騎士団に協力してますからね。オマケにそのクロムウェルさんとは一晩飲み明かして
クロムウェルさんの浮気疑惑として騒動になったのですよ」
「・・セリアさん、あんたどこまで知っているんデスカ?」
「母上は物知りです!」
唖然とするイリアとどこか誇らしげなラミア・・
「どこまでって、確かその事が発端でクロムウェルさんが恋仲と噂されているタイム団長に瀕死の重傷を負ったんでしょ?」
「・・・どこか、ヒネた解釈だな・・」
ゴシップ大好きな人妻様に流石の妾龍も唖然と・・
その間にもタナトスVSアルの訓練は激しさを増していく
「駆けろ!『紅の回廊』!!」
魔方陣を展開しつつ杖を力強く杖を立てる!それとともに紅の光が地を被いながらアルの足元まで広がる
光に触れても別に靴が燃えることはないが・・
「っ!」
急いでアルはその光から飛びのく
次の瞬間
「昇れ!!」

ドドドドドドドドドド!!

タナトスが拳を握り絞めたかと思うと紅の光から炎の弾丸が無数に天に向けて放たれる!
「ふぅん・・面白い術を使うもんだな。対多数のトラップ型魔法か」
「タナトスさんが得意としている術です、あのような絨毯状以外にも様々な形で炎上範囲を形成できます!」
「・・ラミアはあいつの事をよく知っているなぁ」
「・・よく、遊んでもらってますので」
にこやかなラミア、彼女にとってはタナトスは良き兄と言ったところなのだ
「まぁ奴も未熟とは言え色々と精進しているからな・・」
「ええっ、アルマティの途中退学というのでヒネていた頃とは見違えてますね」
夫婦の静かな会話・・、それにイリアは・・
「・・アルマティ?確かどっかの魔法都市だっけ」
「よくご存知ですね、ここいら一帯では有名な魔法都市ですよ。そこでのアカデミーの卒業者は魔術師としては大変名誉な事なんですよ
タナトス君はそこで学んだクチなんですが・・辞めちゃいましてね。ここに来た当時は随分とそこのことでコンプレックスを抱いていたものですよ」
「ふぅん・・あいつだったら首席卒業しそだな」
「・・ディ殿ですな、まぁどの程度の学校かは知りませんが・・あり得るでしょう」
「ははっ、あいつが聞けば喜ぶかな」
「さぁ・・、あまりそういう事には関心がなさそうですからな・・むっ?」

再び訓練に注目、巻き上がる炎を回避したアルが着地と同時に弓を引く
その動作は実に自然で狙いは正確・・
「うわっ!本気を出してきましたね!団長!」
鋭い矢を炎で焼き払うタナトス、それもギリギリで後一瞬タイミングを外していたならまともに肩に突き刺さっている
「昨日みたいな化け物が現れた以上いつもよりも身を入れないとね!」
真剣な表情のアル・・弓を持ちながらにもいつでも接近戦を出来る構えを取る
「ならば・・全力で行きますよ!」
「望む処!」
タナトスは深紅の魔方陣を展開・・一方アルはゆっくりと弓を引く
魔弓カストロススターの魔石が淡く光引いたかとおもうと鏃が燃え盛り・・
「ガーネットブラスター!」
「いけっ!!」
放たれる灼熱の閃光と紅の魔弾、双方真っ向からぶつかり・・

ドォン!

爆ぜた
「・・ふぅ、何とかブラスターを相殺できたね」
煙が収まった後、タナトスの顔を見てニヤリと笑うアル
「切り札のつもりなんですが・・このところまともに決まってませんね・・」
対しタナトスは肩を落としがっかり・・
「まぁ、僕も長として簡単には負けられないからね。さぁ今日はこれまでにしようか」
熱気そのままに終了、二人が退いた後はマリーとレイブンが真剣勝負に刃音が響きだした

「はい、お疲れ様です」
アルにタオルを渡すセリア、ただただ見学するというわけでもないのが彼女の良い所
因みにタナトス氏にはラミアが渡していたり
「ありがとう、セリアさん。」
本来ならば相方達がその役目だが本人は誰でもよかったり・・、
「・・よう、やるなぁ」
そんなアルにイリアはさわやかに笑いかける
「ああ・・イリアさん。僕なんてまだまだですよ」
「そうか?俺の家族にも弓士はいないがかなりの腕だってのはわかるぜ。クロムウェルの真似事とは言え体術も並よりかは上か」
「えっ!?イリアさんはクロムウェルさんを知っているのですか!?」
「あ〜、そうだよ。何だかお前らとは縁があってなぁ・・クラークやクロムウェルとも会ったぜ」
「じゃ・・じゃあ・・フロスさんやシグマさんも?」
「うんにゃ、どういう奴かは聞いているけどさっぱりだな。だが聞いた通りの努力家だな・・、女のハベラシ方は未熟も良い所だけど」
ニヤリと笑うイリアにアルもタジタジ
「僕は・・、クラークさんや希望都市のライさんみたいにはなれませんよ。そこまで器用じゃないんで・・」
「・・・まぁクラークはどうか知らないがあいつの場合は・・器用ってわけでもないような・・」
「ふぅん・・、コツとかあるんですかねぇ」
「ははは・・そういうのに王道なんてないんじゃないか?しかし・・、マリーか・・、動きはいいが連中の相手には少しきついな」
途端に真剣な顔になるイリア、それにアルも静かに頷く
「悪魔相手なんかマリーはしたことないでしょうしね。動きを翻弄して隙を作ってくれるか・・。でもマリーの事だからそれは重々承知していると
思いますしだからと言って退くはずもないですしね」
「・・どうするんだ?相手はそんなに甘くねぇぞ?」
「もちろん、守りますよ。相手が誰だろうと僕はレイブンやマリーを守りきって見せます・・『不死身』の部隊出身の名にかけてでも・・」
決意の固いアルの表情・・それにイリアはニヤリと笑う
「・・なんだよ、そこまでの決心があるんだったら二人ともモノにしたようなもんだろ?」
「・・それとこれとは別問題です・・」
途端にその表情が崩れため息を付きだす・・
「アルさん、ため息なんてどうしたのですか?」
そんなアルにラミアが心配そうに・・、思えば最年少なのに男性陣の相談役に良くのっている彼女・・
それだけしっかりしているというべきか周りの男がだらしないのか・・
「まぁ・・男と女の話だよ」
「???」
「ラミアちゃんもいずれわかるさ」
ポンポンっと頭を軽く触れるアル・・それにラミアは手をパンっと叩き・・
「あっ!父上と母上が夜中に組み手をやっているような事ですね!」
「ええっ!?ラ・・ラミア!?」
何言い出してんねんとセリアが珍しく慌てる・・
「私が寝た後に父上と母上が息を切らしながら絞め技みたいな練習をしているのを見たことがあります。よくわからなかったですが・・
女性と男性があれほど親身にしているんです!・・間違いないですよね!」
「・・セリアさ〜ん・・」
子供の発育上問題のある難しい回答を迫られているアル・・セリアさんに助けを求めるが彼女も困惑顔
よもや子供が起きていたとは思っていなかったようで・・
「あ〜、その答えはラミアが成長してから・・だな?」
そこに救いの手を入れたのはイリア・・、無難に諭させる
「???・・難しいのですね・・」
「ああっ、とっても難しい事だからな」
首をかしげるラミア・・次の瞬間にはマリーとレイブンの壮絶な討ち合いは引き分けに終わっていた
「・・おっ、終わったか。そんじゃあ・・俺も軽く動いておくかな〜・・流石にサブノックとはきついから・・アル、
もう一戦やるか?」
「え・・イリアさん・・僕とですか?」
「そうそう♪結構いい勝負にはなると思うぜ」
「わかりました。・・ではサブノック、先に行かせてもらうけど・・いいかな?」
「別にかまわん。イリア殿の力量も把握しておきたい事もあるからな」
ニヤリと笑うサブノック・・絶対に訓練はしなければ嫌というわけでもないらしい
「よっしゃ、じゃあいくか」
広場に躍り出るイリア・・その動作は華麗そのもの
「では・・参ります」
対し女性が相手ということでやや緊張気味なアル
とは言えイリアの腕が並ではないことは十分承知しているので早くも弓を手に持っている
「撃ち合い・・になるかな。それはそれでいいか・・いくぜ!」
軽く魔法陣を展開したかと思うと一気に飛び上がる
素晴らしき跳躍力にアルも驚くが・・
「・・身体強化術・・それも命中が下がる空に上がるとは・・でも!」
力強く弓を引くアル・・その狙いは彼女の動きに合わせて寸分の狂いもない
「っと!甘い!」
自分の動きに合わせ飛んでくる矢をイリアは自身の得物で払いのけ
すかさず反撃に魔方陣を展開し幾つもの閃光が走る
「・・うわっ!・・わ・・わわ!!」
光る閃光は回避するアルの動きに合わせて追尾してくる
執拗な閃光を何とか回避しながらも

シュッ!

矢を放つ・・、回避運動の中の最小限の動作にて矢を放つその動作は予測不能
流石のイリアもこれには対応が遅れ
「うおっ!!・・気が抜けないな!」
「逃げてばかりじゃ勝てませんからね!」
転げ回りながらも無事なアル・・それを見てイリアもニヤリと
「じゃあ本気で行くか!」
そう言うとイリアは得物である剣を軽く振る・・、その途端に中央部からリボンのような帯が現れ
軽く構えた
「・・以前にも見ましたが・・変わった剣ですね」
「『愚者慈愛』・・かつての・・」
「かつてライさんの仲間だったフェイさんが使用していた魔導短剣です、彼女の死後ライさんが大事に持っていたのですが
 『失姫事件』を機にイリアさんの得物として使用するようになったようですね!
因みにフェイさんはライさんと心を通じ合った仲だったりします!」
「・・・・・、セリアさん、だからその情報源はどこですか?」
詳しいセリアにイリアも汗タラリ
「セリアさんは・・色んな情報筋を持っているらしいですから・・じゃ、接近戦ですね」
気を取り直してアルは手首を保護している篭手を側面から抑える

ジャキ!

その途端に篭手の先から鋭い刃が飛び出てくる
「・・面白いギミックだな。」
「パタと言われている物だそうですが・・僕にとってはちょうどいいですからね・・では行きますよ!」
駆け踏み込むアル、拳を突き出すように刃を操る!
イリアはそれを『愚者慈愛』にて払いのけるとともにアルの腕を掴むかと思うと
バリバリバリバリ!
「うわああっ!電撃!?この!!」
体を走る衝撃に咄嗟に飛びのき矢を数本放つ!
「電撃をこれだけの時間で回避するのは流石だが甘いな!」
展開する魔方陣、透明な波紋が立ったかと思いきやアルの矢は金属音とともに跳ね返り地へと落ちていく
「色々と・・戦術があるようですね!」
「ん〜、まぁ電撃に関してはクロムウェルに教えたぐらいだからな。まぁ魔法が使えなきゃお前と渡り合うのはきついだろうさ」
「・・魔法に依存・・しているとでも?そうには見えないですが」
「見えないように見えるだけさ。だがやっぱり接近戦は詰めが甘いな・・そこら辺は融合してからが本領発揮ってか?」
「・・そうですね、まぁアレはレイブンの負担が大きいので多様はしたくないんですが・・イリアさんもあの変身はしないのですか?」
「訓練で出来るか。まっ、これであらかたわかったか・・お疲れ!」
リボン状の魔刃を直し軽く伸びをするイリア
対しアルも刃を収めながら
「ありがとうございます・・いい経験をしましたよ」
礼儀正しく一礼・・、団長になっても控えめな性格は変わっておらず
「まぁ、大方の手の内はわかったから連携とかもできそうだな」
「それは、本番ぶっつけになりそうですがね」
それでも何とかなりそうな予感がするアル・・、それだけ彼女には期待させる何かがあるようだ



・・強力な助っ人であるイリアが村に滞在してくれたのはいいが敵もその援軍の事を知っているので中々に仕掛けてこない。
だが警戒を緩めるわけにもいかず自衛団の面々は寧ろ夜に重点を置く事にした
「早々に動き出すとは思ってもないが・・夜は魔の刻、セオリー通りならば警戒は必要だろうな」
深夜の自衛団詰め所、いつもなら消灯している時刻なのだがこの日はフル点灯に全員集結
その中でイリアが壁にもたれながら言う
「・・そうだろうな、だが・・向こうも多少なりとは頭を使う・・このまま力圧しとも思えぬ・・」
身長代の斬馬刀を壁に立てつつサブノックは窓の外を見つめている
黒い軍服姿が凛々しくいつでも戦える状態だ
「・・そうですね。しかし結局のところは数できそうですが・・」
椅子に座り同じく外を見るはタナトス、紅い法衣を纏いフル装備で杖を片手に手持ちぶたさなようだ
「ですが村の周辺にはまだ気配は感じ取れません。タナトス君・・結界は張っていますよね」
黒銀の髪が麗しいレイブン、対悪魔戦ともなればこれほど心強い存在はいなく
目を閉じ感覚を尖らせている。
「・・ええ、まぁ村を包む規模や時間からして大層な物はできませんが・・一瞬の猫だまし程度にはなりますよ」
「ならばよい、その一瞬で切り裂けばいいだけの話だ」
「でも・・、村の皆は避難しなくてもいいの?」
珈琲の差し入れを持ってくるマリー、彼女も普段のままのバンダナに動きやすい軽装姿・・やや短めのスカート辺りが特にそれを表している
「それは大丈夫だよ、狙いはサブノック・・加えて強力な障害があるのだったら村人まで手を回すことはないだろうしね」
団長であるアルが冷静に分析、背には魔弓『カストロススター』を背負い矢も持てるだけ用意している
「ならば小生が餌となってひっかけまわそうか・・?」
「うんにゃ、連中は馬鹿だがそれを操っているやつは考えているだろうからな。団体で纏まって殲滅〜ってことにしたほうがいいだろう」
至って軽いイリア、しかしいつでも戦闘態勢に臨める状態であったりして隙はない
「うう・・夜は・・眠いです・・」
そして一番駄目駄目な状態のラミア・・お子様だけに夜は弱いらしく椅子に座りながらもフラフラしている
黒い戦闘服に革の鎧を纏ってこそいるが今にでも脱ぎだして眠りだしかねない様子だ・・
そんな娘に父は・・
「ラミア!今この村は危機に瀕している!それを救えるのは我ら正義の力だ!」
「・・!!」
「眠気なんぞ我らが熱き血潮の前では断ち防げるはずだ!!」
「・・ち・・父上!!」
「耐えろ!そして勝利を収めるのだ!小生は信じているぞ!」
「父上・・ラミアは・・ラミアはがんばります!!」
父の熱き演説(?)に娘はオメメパッチリに気合が入る
「・・・、子供は夜眠いのは無理もないことだと思うんだけどなぁ」
「・・あの親子にはそういうのは通じないんですよ、イリアさん」
熱血親子の光景に自衛団面々は全く無反応で首をかしげるイリアにタナトスが軽く言う
「正義親子ってなんか・・異様だな・・その内『気合だ〜!』って連呼していそうな・・」
「それじゃまるで猛獣親子じゃないですか。しかし・・敵も相当なはず・・イリアさん、本当にいいのですか?」
「お前みたいなヒヨッ子が心配することじゃないぜ」
心配するタナトスにイリアは本当に軽く言ってのける
「ぐ・・っ、で・・ですが万が一の時は俺が貴方を守ります」
「な〜に一人前面しているんだよ、俺の心配する以前にラミアか自分の身を守れ」
「思い上がりじゃないですよ、ラミアちゃんを守るのは当然とですし・・助っ人の危機も守れない男にはなりたくないですから」
「・・それがお前の正義ってわけか?」
「・・・・想像に任せます」
本当は「あんたに惚れた」と言いたいところだが一目惚れなだけにそうは言えない純情青年・・
彼なりの気持ちの伝え方は彼女の身を守る事のみ
彼女の方が力量がダントツで上なのだがそれでも・・・
「・・・、話はそこまでです・・近づいていますよ」
レイブンが席を立ちながらアルを促す
「よし、出撃だ・・ラミアちゃんの快眠のためにも今晩でケリをつけよう!」
弓を片手にアルも立ち上がり・・ニース自衛団は出撃する
闇に潜む魔を払うために

・・・・・・・

一同フル装備にてレイブンの感覚が示した方角から森に入る
夜の森は灯りが一切ない。さらには森林の足場の悪さもありかなりの悪条件ではある
「・・・慣れている森とは言え・・、こうも視界が悪いと厳しいか」
「向こうには関係ないでしょうが・・ならば・・」
先頭を歩くレイブンが軽く手を振りかざす
次の瞬間には光の粒子が木の葉に付着して発光しだす
暗黒の森の中、淡い光が周囲を照らし出した
「・・光コケを木にやるか、考えたものだ。これならば松明も必要あるまい」
「・・綺麗です〜」
イルミネーションのような木々にラミアは我も忘れて感激している
「まぁ・・血なまぐさい事をするにはちょっと不似合いか。・・タナトス君」
「はい、先制を切りましょうか」
アルに促されて魔方陣を展開・・昼間見せたあのトラップ魔法を発動し辺り一面の地面が赤く光りだした
それが展開し終わったかと思うと突如森の奥から飛び掛る異形の群れ
「大当たり!!」

ドドドドドドドドドドドドド!!!!!

強烈な炎の昇天に現れた魔物達はまとめて飲み込まれ消し炭となっていく
魔法による火故に周囲に燃え移る事はなく役割を果たした火は宙に消えていった
「よし!来るぞ!」
気合と共に前に出るがそこに現れるは・・
熊の群れ
「うそ!こんなに!!?」
以前の強さを知っているだけにマリーも思わず絶叫・・数からして10体はおり
その毒毒さは未だ健在
「下手な畜生よりも能力の高い獣に的を絞ったか・・しかし!!」

斬!!

有無を言わせぬサブノックの強烈な一文字斬りが一匹の体を切り裂いた
「今宵のこの悪滅刀は一味違うぞ!!」
敵の再生能力もなんのその・・強烈な正義魂が篭った一撃はそのまま熊を消滅させた
「よし!各個に撃破するぞ、だがこれで終わりじゃないはず・・力は温存しておいてくれ!」
アルの的確な指示とともに戦闘開始!

「敵を知り己を知れば百戦危うからず・・強力とは言え手は見えているぜ!」
真っ向から立ち向かう妾龍イリア、流石に二度目ということで相手の力量は把握しきっており閃光の曲線を展開しつつ
殺戮の悪魔の動きを封じる!
これだけではこの凶暴な生物の動きを封じきることはできないのだが・・
「アル!」
「了解!」
見事な連携・・イリアが動きを止めたかと思うと次の瞬間にはアルが超至近距離で矢を引いている
三本の束ね撃ちに魔石による炎の矢・・、おまけに至近距離ともなれば下手な攻撃よりもかなり強力だ
「貫く!そして・・爆ぜく!!」

ドス・・ドスドス・・

ドォン!!!

強烈な炎の矢が熊の体を貫通したかと思いきや大爆発・・、肉片を周囲にばら撒きその形を消滅させた
「うわぁ・・スプラッタ・・」
それをやった張本人もちょっと後悔・・
「んな事言っている場合が次がくるぞ!」
そんなアルを放っておきイリアは次の獲物に襲い掛かった

「マリーさん、時間稼ぎをお願いします!」
「わかったわ!」
知らない間にペアを組んでいるタナトスとマリー、強力な熊のレッサーデーモン相手に不安が残るかもしれないが双方
闘志に揺るぎはない
GAAAAAAAA!!
強烈な爪による一撃・・、それは華奢なマリーに対してだ
獰猛な本能を持つ獣を素体としたのか弱い者から狙っていく習性があるらしい
しかし
「そんなの・・当たらないわ!」
木に足かけての三角跳びで華麗に回避・・そのまま熊の背後に周り込みザックリと剣にて切り裂く・・
しかし次の瞬間には切り傷は回復しており熊は力任せに腕を振りマリーを薙ぎ倒そうとするのだが
「っと!!てぇい!!」
咄嗟にしゃがんでマリーはそれを回避、それだけではすまさず力任せで体勢を崩した熊へ足払い!
巨体故にバランスを崩せばいとも簡単に倒れてしまい熊は見事マリーに翻弄され地へと沈む
そこへ・・
「チャージ完了!」
魔力を溜めていたタナトス・・紅玉の杖を倒れた熊の背に押し付け・・
『二度目はない!ガァァァネットブラスタァァァァァァァ!!』
超至近距離、しかも十分に魔力を溜めた熱線は穢れた悪魔を焼き払う

GOGAAAAAAAAAAA!!!

凄まじい雄たけびとともに巨体は完全消滅・・それだけの熱量を放出したのだ
「・・汚名は挽回できたかな」
「・・あらっ、タナトス。汚名は『返上』するものよ、挽回するのは名誉・・ほんと、格好つけなのにしまらないわね」
「マ、マリーさん!自覚しているんですから突付かないでください!」
「青いわね、じゃあ次行くわよ!牽制ならば任せておいて!」
「わかりました!じゃあ行きますよ!」
一人の力量では適わぬ相手でも連携が整えれば十分対抗できる・・、この二人はそれを重々承知しており
次の相手に向かっていった

一方もう一人の相方は・・
「はぁ!てぇい!」
白いドレスに全く防具はバックラー以外つけていない元天使レイブン
しかしそれでも十分に悪魔と渡り合っている
・・日毎に甦ってくるかつての魔力は悪魔に対しては特に効果があるもの・・
その力がただのグラディウスの刃を一撃必殺の魔刃にさせている
GAAAA・・
特効がある刃で切り裂かれた熊は絶叫を上げ消滅する
それはあれほどまで強さを誇っていた怪物とは思えないほどあっけない
彼女はその一体だけではなくもう一体と同時に相手をしている
「・・・・、村の襲撃の熊よりも力が弱い・・?・・複製ですか」
闘いながらも黒幕の思惑を読むレイブン・・その姿は冷静そのもの
そんな態度にもう一体の熊は気を悪くしたのかいきりたり襲い掛かる!
「・・力押しでは天使は倒れませんよ」

ザク!!

襲い掛かる熊の口にグラディウスを突き刺す
何の抵抗もなく刃は熊の頭部を貫通し巨体の動きをピタリと止めさせる・・
「・・・さて、余興は終わりますか」
そう言うと突き刺した刃を一気に振り下ろし

ドォン!ドォン!ドォン!

すかさず切り口に闘気弾の連続して叩き込む!
強烈なコンビネーションは熊を無残な姿にし、消滅させる
「・・熱源・・?本命ですか・・・」
ゆっくりと森の闇を見つめるレイブン
耐えて久しい悪魔との戦いにようやく勘が戻ってきたようだ

そして
「でぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇい!!!」
「てやぁぁぁぁぁ!!」
気合120%オーバーな超熱血親子・・
恐ろしいまでに豪快な一撃はもはや敵なし
魔力の篭った斬馬刀『悪滅』は悪鬼の如くその威力を知らしめる
そして小柄な体を存分に生かして闘う幼き闘女ラミア
刃を仕込んだ棍にて熊の目玉を狙いひるんだ隙に親譲りの必殺技『悪魔光線』にて止めを刺すという見事な連携
この親子だけでもすでに4体は葬っており未だに気合十分
「父上!もう終わりですか!」
「まだだ!・・この気配・・そこか!」
鋭く気配を察知したサブノック、お得意の悪魔光線にて牽制する

”・・流石だ・・”

淡く光る閃光は途中でグニャリとゆがんだかと思うと完全に消滅した
「・・湾曲結界・・?どうやら本命のようだな」
「・・その通りだ悪魔よ・・君こそ我が手足になるにふさわしい」
漆黒の闇より姿を現したのは法衣を纏ったゾンビ二体とさらに漆黒の法衣に不気味に光る目のをした男が・・
「・・イリアさんが言っていた悪魔崇拝者ですね!」
「・・・・ほう、悪魔と人間の混血か。珍しいものを見れたものだ」
ラミアを見てニヤリと笑う男・・、それは崇拝者としては似合わない軽蔑の眼差し
「小生に用があろうが・・その用件は聞くつもりはない」
「元々話し合いをするつもりもないのでね・・。君の力があればこの世は新たに生まれ変わる」
「・・下らん。己の力で開かぬ道など所詮は邪道だ」
ジャキ・・っと剣を構えるサブノック、鋭い瞳は射殺らんばかりに男を睨む
「君の意見などどうでもいいと言ったはずだ。・・ようやくこのような役立たずどもではなくちゃんとした戦力が整う」
周りのゾンビを見て鼻で笑う男
「・・、その者・・貴様の配下ではないのか」
「・・失礼な、かつては同士だったがこうも失敗してしまっては一緒にされるのも不快だな」
ニヤリと笑う男・・しかしその言葉にサブノックも笑い
「・・ふっ、どうやら過信もいいところの馬鹿なようだな・・」
「・・なんだと?」
「例えレッサーデーモンに憑依されていてもその者達には意志がある・・それも、貴様に対する憎悪がな」
「・・!?」
サブノックの言葉と共にゾンビ二体は男に食らいつく!
「うぬ・・おおおお!」
予想以上に素早い動きに男は唖然とし鋭い一撃が深く胸を切り裂いた
「・・・」
ニヤリと笑う悪魔致命傷を受け口をパクパクしている男に対して手を翳し・・

ドォン!

強力な魔弾を放つ・・結界を持っていたにしてもその一撃を防げるものではなく
黒幕は策謀空しく散っていった
「・・これほどまでに愚かだとかける言葉も見つからんな。・・後は貴様らだけか」
振り返るゾンビな悪魔に再び剣を構える。
そこへ
「サブノック!無事か!」
イリアが駆けつけてきた・・、派手に暴れまわったようだが外傷などは全くなくまだまだこれからといったところだ
「イリア殿、こちらは大丈夫。黒幕が現れたが・・同士討ちをはじめて果てました」
「・・そうか、馬鹿な奴だ。・・それで、残るはあいつらだけか?」
「・・こちらはそうです」
「熊の連中は皆ががんばって掃討した・・流石の実力と言ったところか。・・だから後はこいつらだけになるな、仕留めるぞ!」
「応!」
一気に飛び掛る妾龍と聖魔
双方凄腕な戦士故にその特攻はまさに脅威
元人間としての意志も残るレッサーデーモンもその気迫に圧され迎撃が遅れ

斬!斬!!

ほぼ同時に切り払われた
「・・ふぅ、これで全部か・・」
「・・みたいだな、もう気配はない」
周囲を警戒する二人だがもはや敵らしき気配は感知されなく・・
「・・よし、まぁ何とかなったな・・」
一瞬気を緩んだ妾龍イリア・・
しかし

ゴボ・・ゴボゴボ・・

足元で消滅していくゾンビの体が膨れ上がりだす!
「・・!?イリア殿!」
「ちっ!まずい!」

ブシャ!!

咄嗟に退くが一瞬間に合わず腐った体から吐き出された銀色の液体を二人はまともに受けてしまった



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