chapter5   「教団暗躍」


教団暗躍

その日サブノックは傷を負い宿に帰ってきた・・
「どうしたんですか?サブノック様?その傷・・」
「まぁ気にするほどのことでもない・・。やはりこの町は一味違う・・
っと言ったとこか」
「??」
「用心しろということだ・・。」
「はぁ・・、じゃあ明日どこに行きますか?」
「・・わかっているの・・か・・?」
ともあれ傷の手当てをするセリア・・。この日は夫婦の営みはお預けなようだ・・・


「・・シウォング側は何もしない・・と」
「それでころか我々を邪教よばわりに・・・」
「・・もはや彼らとは話す必要もあるまい」
「ではっ・・」
「うむっ、正義の名のものあの卑しい悪魔を我等の手で葬る」
「ではっ、その手はずを・・」

その悪魔は妻と共々お食事タイム・・
宿のルームサービスの肉を頬張っていた・・
「でも・・、なんかこの国ってあまり真龍騎公をかついでないような気がしません?」
「・・どうしてだ?」
「だって真龍騎公饅頭とか真龍騎公マグカップとか売ってないじゃないじゃないですか・・?」
「・・セリア、いくら有名人だからってそんなグッズがあるわけじゃ・・」

うわぁぁぁぁ!!

突然下の階から悲鳴が・・
「セリア!」
「はいっ!」
扉から飛び出る2人・・
下の階では僧兵が宿の人を斬りつけていた
「いたぞ!悪魔め!正義の名の元成敗する!!」
僧兵たちはサブノックを見るや一直線に向かってきた
「どうやら狙いは小生か・・、いくぞっ!」
一気に特攻し僧兵を瞬殺しつつ表に出る・・
表にはすでに数人の僧兵、さらには騎士鎧を纏った者が屋根にのぼりサブノック、セリアを囲んでいた・・。全員弓を手にしている
「きたな・・撃ち方用意・・!」
「・・そんなとこから撃てば関係ない人まで被害を被るぞ・・?」
とおりには何事かと立ち止まっている人も多数いる。
そんな中で弓を放てば流れ矢で関係の無い者が犠牲になる可能性もある
「我等の正義のためだ・・、撃て!」
一斉に弓を引く兵!
「セリア!」
「どうぞ!」
不意にセリアが黒いシーツを宙に投げた。それに向かい飛び立つ
サブノック
包まれた黒シーツは光と共に膨れ上がり人の形をなした。
昼間ということもあり人が混乱する事を恐れたゆえの対策だ
「現れたな!撃て!!」
一斉に矢を放つ・・!
空中にて数本の矢がサブノックを襲う・・
「笑止!!」
瞬間彼の周りに雷の球体が現れ矢を消滅させていく・・
「・・ちっ、増援を呼べ!何としてもしとめるぞ!!」
ドコッバキバキ!!
華麗な空中殺法で屋根にいた僧兵達を倒していく・・
「セリア!ここにいては無関係の者まで被害を被る!町の外まで行くぞ!」
「わかりました!」
そのまま駆け出す黒いシーツをまとったサブノックとセリア・・
その場にいた者はしばし唖然としたがやがて急いで動き出した・・
この地を治める者へ連絡するために・・


「全く!街中で襲ってくるなんてどうかしてますよ!」
「宿場町でもそうだったが・・、手段を選ばぬ連中だな」
そう言っている間にも後方から矢が飛んでくる・・
だがそれに応えている暇もなく都市の入り口付近まで駆ける・・・!
草原をバックに振り向く2人・・
僧兵が十数人、さらには騎士も同数
「昼間でこの戦力・・サブノック様、大丈夫ですか?」
「大丈夫でなくともやらなければなるまい。セリアは下がっていろ」
「いえっ、私も・・!!」
そう言ってる間にも襲いかかる僧兵達、サブノックもシーツを投げつけ戦闘態勢に突入する・・!
そこへ・・
「俺の町で随分暴れてくれているな・・」
不意に響く男の声
「・・きっ、貴様は・・?」
現れたのはまるで軍服のような服装に腕甲と破壊剣を持つ黒髪の青年
背後に1組の男女を引き連れてすでに戦闘態勢に入っている
「・・この間のヤクザの盟主・・?」
サブノックの呟きを無視し青年は僧兵を引きつれている男に向かう
「貴様等が平気で周りを傷つける正義を行うのなら、俺は貴様等を認めない」
「・・それが答えですか・・?」
「ああっ、おい!正義の味方!蹴散らすぞ!!」
「・・承知!!」

青年と共にしていた男女も手伝い瞬く間に地に倒れていく僧兵達・・
不利と感じた彼らはやがて後退いていった・・
倒れた僧兵達もいなり向かいあう青年とサブノック・・
「助太刀感謝する、ヤクザな盟主殿・・」
「いやっ、俺は自分の仕事をしたまでだ。それと・・ライだ。正義の味方」
「・・承知した。ライ殿。小生はサブノックと申す」
静かに握手する二人
しかしセリアが難しい顔をする・・
「ライ・・ライ・・、ひょっとして!真龍騎公さんですか!!」
「・・あっ、ああ・・、そう名をもらっているが・・」
「きゃあ!思っていたよりも普通だったけど凄い!サインください!!

いきなりはしゃぎ出す・・。時と場所を選ばないのが彼女の良いところでもあり悪い所でもある・・


しばらくして・・
お互い軽く挨拶し、セリアは噂の英雄のサインがもらえホクホク顔をしている
「しかし、あの様子だとまた襲ってくるぞ?」
「・・まぁ降りかかる火の粉は払いのけるまでのことです。新婚旅行が
台無しではあるが・・、妻も満足そうだし・・」
「・・団長。サブノックさん達を館に招いてはどうですか?」
ライとともに加勢した金髪の女性・・がライに言う
「んー、そだな。じゃあしばらくの間うちにくるか?」
「・・よろしいので?」
「せっかく遠方からきてもらったんだ。これも何かの縁だしな」
「かたじけない・・」
「っというわけだ。セリアさん、俺の屋敷に案内しよう」
「本当ですか!嬉しい!サブノック様ー!!」
感極まってサブノックを激しく揺するセリア
「わかった、わかったから落ちつきなさい!」
呆れ顔でその光景を見つめるリオとその隣にいる男性アレス
奇妙な客に唖然しているようだ・・
こうしてサブノック夫妻はこの都市の王が住む屋敷に招かれた

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