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chapter4  「正義VS必要悪」


数日を空けやってきた司祭は打って変わり血相も激しく
「何故、悪魔を野放しにするのですかっ!!!」
「何故って・・・別に変な事をしにきたわけじゃなく
単なる観光みたいだしな、それで取締る理由にはならない」
「何を悠長なっ!! 相手は悪魔っ、何を企んでいるか分らないのに
それを人のように・・・事が起こってからでは遅いのですよっ!!!」
「・・・ガタガタ煩せなぁ」
「!!?」
「はっ、悪魔? んな事関係あるか。害意が無いならコッチは歓迎する。ただそれだけ」
「悪魔を・・・歓迎するですと」
「俺には司祭さんの方がよっぽと邪悪に見える」
「あ、悪魔を歓迎する上に私を・・・私を邪悪と? 司祭の地位を預けられた私を?
それは、我が神聖教に対する侮辱っ!! この事は大問題ですぞっ!! 悔い改めねば」
「攻めるか?」
「!!?」
「一度剣を抜けば、収めるのはドチラかの身体。それが分って言ってるのか?」
「わ、私をココで殺せば、く、国からの神聖軍により浄化さ」
「別に司祭さんを殺しはしないよ〜〜でも、政治的に云々言うなら
俺もそれなりに抗議し、やった事に対しては報復行動を取らせてもらう」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「彼等は国への訪問者。 もしソレに異議があるようなら
我が国で二度と布教活動を行ってもらわなくとも結構」
「・・・いいでしょう。そこまでおっしゃるなら・・・
何か後悔なさるような事があればいつでも神へ救いを求めなさい」
「自分のケツは自分で拭くさ。結果、地獄へ行くというなら底突抜けるまで行ってやる」
所詮、人種が違う。性質としての。 
拒絶すればされるだけという事を、押し付けてきただけの彼等は知らなかった。

 「ねぇ、司祭さん怒っていっちゃったけどぉ?」
とライの様子見にやって来たのは
とてもそうとは思えない毎度ハイスリットな旗袍服姿の妖艶金髪嬢アルシア。
一応、彼女は神官であった。以上に有能な薬師なのだが・・・
「まぁ、いざとなったら口利きよろしく」
 「私は地母神、向こうは至高神よぉ? 畑違いだわ」
「ふぅ・・・さよけ。なら成る様に成るよう成り行きにまかせますか」
 「相変わらずいい加減ねぇ」
「何を今更、成り行き任せの人生だからな・・・
地母神のを国教にしてみるか。アルシアを司祭に据え置いて」
と射程距離内に入ったアルシアを捕まえ引き寄せ、腿の上で腰抱き
 「あんっ、乱暴ねぇ。 確かに至高神よりかは優しいけど・・・
ココにはもう土着のがあるんだから無理強いはすべきじゃないわぁ」
「で、本音は?」
 「面倒なのは真っ平ゴメンよぉ」
「言うと思った。 冗談、端から不良神官に勧めはしないよ〜〜」
 「まっ、失礼しちゃう・・・・・・ん」
それは今に始ったワケではなく・・・
例え行当りバッタリ臨機応変に見えたとしても其れなりに準備は怠らない。
しかし、騒動は予期せぬ方角からやって来た。


例えどんなに賢明な王が治めようと必ず悪は蔓延る。
それは、光が強くなればそれによって生まれる影がより栄えるように。
しかし、必ずしも影が悪いとは限らない。潤滑に悪があるからこそ善は栄え・・・
満月の下でも影に暗い裏街の通り
柔な娘を取り囲むのは、如何にも御天道様の下を歩けない程柄が良くないヤクザな男達。
「・・・ケジメ、つけてもらおう」
 「・・・・・・(悔」
「取り合えず・・・骨の4,5本は覚悟してもらおうか」
 「ひっ・・・いっ、いやぁー――っ!!!」
男の躊躇ないマジな眼光に、女性から思わず悲鳴が
その時

待てぃ!!

夜路に響き渡る雄々しき声
「・・・誰だ」

英雄王の膝元、希望の都市でも悪事を行うか・・・、貴様等のような悪党を彼の者が
許そうはずも無い。 例え法が見逃そうとも、我が正義は見逃さなぬっ!!!

「何処の誰だか知らねぇが、正義の味方気取りに要らぬ口出しは止して貰おうか」
抜き放たれる得物に狂光が煌く。
しかし路地には人影が無く・・・・・・月光に、壁に映るのは屋根の上に立つ者の影。
それをヤクザ者達が認識した時は既に遅く
「とぅっ!!!!」
舞い降りる黒き疾風に、ヤクザ者達は正体が分からずとも巧みに剣を振るうが
バキッ!! メキッ!! ガスッ!! ドガッ!!

「成敗っ!!!」
間をすり抜けた声の主がそう叫ぶとパタパタと倒れていくヤクザ者達。
一撃必殺。されど命は奪わず。
声の主が助けた娘の無事を確認しようと其の場所を見るが、既に影も形も無く。
「・・・ふむ」
声の主は再び黒き疾風となり、場をさる。
まさか娘の方に後ろめたい事があるとも思わず・・・

真昼間にも関らず、裏街の通りは何故か薄暗い。其処を我が物顔で行くのは
黒尽くめの上に黒コートで極めた仮面の男と、それを主のように猫の如く付き従う
ワイルドキャットな姿に黒コートな黒猫嬢シエル。
何故、黒コートなのかは・・・最近それがハヤリだから。以上の意味はなく。
其の二人が向かう先は、一帯を治める親分の一人。
顔パスで建物を通され、応接間へ。仮面の男はソファに座り、後ろにシエルが着く。
間にやって来たのは、如何にも親分な男
「待たせたな、仮面の盟主や」
「んや。態々呼ばれたわけだしな。 それで?」
「ここ二日程若い衆がシノギの最中に正義の味方にやられてな」
「正義の味方? 自警団とヤクザがトラぶった話は聞いてないぞ?」
「正義の味方と言っただろう? こちとら複数が、たった一人に一瞬で負けた。
戦闘力を奪われ・・・この意味する処がわかるよな、仮面の盟主?」
「ちょと、待て。ウチの連中は勝手にそんな事しない。
第一ここの処、皆入浸りでそんな事をする時間は・・・」
 「ん。」
仮面の男に同意するシエルに、親分も仮面の男の言う事を信じざる得ない。
「とすると、一体何処の誰が・・・」
「取り合えず、当人等から直接話を聞かせてもらえるか?」
「・・・おうよ」
呼ばれ来たのは悲惨に首や腕をギブスで固定の硬派ヤクザな男。
知る限り、可也の腕で容易に怪我をような者ではないのだが・・・
「・・・ん〜〜、あんた程の者がここまでやられるとは。 で、相手は?」
「済みません。一瞬でよくは・・・ただ恐ろしく腕が立ち
シエル姐でもちょっと・・・すみません、口が過ぎました」
 「〜・・・」
弱い強い云々で気を揉むようなシエルではなく、平然に如何なものかと。
「ふぅ〜〜、俺が動いた方が手っ取り早そうだな。」
「・・・すみません」
「どうせ端っからそのつもりだったんだろ、親分?」
「おうよ。毒を毒でもって制すなら、正義の味方にゃ正義の味方」
「今の俺は正義の味方じゃなく、ヤクザの盟主なんだけどね〜」
んな事を言った処で仮面をつけていようと要な者達には既に正体バレバレ。

煌々と明るい月の下でも影に暗い裏街の通り
逃げる娘を追うのは、御天道様の下を歩けないヤクザな男達。
娘の足ではそうは逃げられず、終には建物に囲まれた行き止まりに
「げへへへへ、かんねんしろ、むすめ」(←棒読み)
 「あ〜れぇ〜、お〜かぁ〜さぁ〜れぇ〜るぅ」(←演技調)
・・・いや、そういう事を期待すること自体間違いなのだが。 それでも

待てぃ!!

夜路に響き渡る雄々しき声
「誰だっ!!?」

貴様等の如き下郎に名乗る名を小生は持ち合わせておらぬっ!!
「・・・では、名乗ってもらわなくとも結構」
!!?
一蹴に、正義の味方は屋根の上から路地へ。
娘とヤクザ者達は捲き込まれないようイソイソと連れ添って退散。
「むぅ・・・」
「何も知らない余所者が己の正義を振りかざすのは止してもらおうか。」
赤い眼光に正義の味方が声の方を向けば屋根の上
明月を背に立つのは、黒尽くめに腕甲と破壊剣 顔と仮面が映える男。
「・・・貴様、何者」
「生憎、今は名乗るような名を持ち合わせてなくてね。・・・言うなら
ここのヤクザの盟主。 今まで貴様が可愛がってくれた連中の、な」
「ぬっ・・・」
「正直、あの下手な劇で来るとは思わなかったが
・・・表面しか見ないから容易に騙される。」
「・・・・・・」
「さて、今までの分のケジメ つけてもらおうか」
「所詮、それか・・・」
振り下ろされる剣に、迎え撃つ甲拳。
斬撃を剣の腹を撃ってそらし拳・蹴撃を受け止め、バックステップに避け
激しい剣戟に、二人は余波で辺りを破壊しつつ月明りの下へ。
そしてようやく、正義の味方の姿が明らかに
漆黒の翼の禍々しい 鎧姿の者。 顔見えぬ兜から覗くのは赤の眼光。
「その気配、姿・・・貴様、人じゃないな。 ・・・悪魔か」
「例えこの身が悪魔であろうと我が志に汚れはない
小生と渡り合り、小生の正体を知ってなお平然と戦うか」
「当然っ!!」
「ぐっ!!?」
十分に闘気がのった甲拳に撃ち飛ばされるのは正義の味方な悪魔。
勢いに体当たりで建物を破壊してしまうが・・・恐るべきは、人の身で揮うその威力。
手加減は無用。 否、むしろ失礼 とばかりに悪魔が構える拳に立つ漆朱な闘気。
「・・・人の身で耐えられるか、この破拳っ!!!」
遠方の敵に対しそのまま撃ち出そうともダメージとなる拳を、遭えて踏み込み
拳そのものを撃ちこもうとする闘士な悪魔。対し、仮面の男もいつでも上斬りへの構えに
両者激突。 ガンと石畳を打ち砕く足に、撃合う剣と拳
「「うおおおおおおおおおっ!!!」」
と戦叫にビキベキと破壊されていくのは二人の周囲。
剣と拳のこの勝負
剣に軍杯が上がり、仮面の男が金色の龍眼と認識に 空高く打ち上げられる悪魔。
しかし悪魔は堕ちる事なく、翼展開に空高く急制動で停止。
そこから蹴り落しに翼を体に纏い高速回転の槍となって超急降下。
高エネルギーと摩擦に起つ放電現象に、仮面の男に紅き稲妻が落ちる。 が
「なぁめるなああああっ、悪魔あああああああっ!!!」
それの切っ先を受け止めるのは、上へ牙突に破壊剣の切っ先。
仮面の男から溢れた黄金の気が伝い覆い破壊剣を輝かせる。
しかし、その足元では受け止めきれずベキベキと破壊されていく地面。
それどころか、もはや嵐な余波は周囲の建物を倒壊へまで
「うおおおおおおっ!!!」
ついに、決着にドンっと爆発。 一帯は爆煙に包まれた・・・。

爆煙が引き、崩墟の中にそれでも立つ二人。
仮面の男は身体は煤塗れにコートはボロボロ。 悪魔も煤塗れに、翼は傷塗れ。
それでも二人の闘志は衰える事をしらない。
仮面の男が受け止め流しに、悪魔が貫いたのは地面だった。
「ふぅ、こんなものか。 ・・・貴様が助けた連中、あれは難民だ。」
「・・・それが何だと?」
「難民自体は構わない。 問題は、下らんプライドで御情はゴメンと犯罪に走る連中。
そんな連中を野放しに出来るか? その気になれば幾らでも荒稼ぎ出来るからな。
御情が嫌ならば御情を受けても許す状態にするしかない。誰かが汚い事してでも。
つまりは、毒をもって毒を制す って事」
必要悪。 勧善懲悪だけでは健全な社会は維持出来ないと。
「話しはそれだけだ。 行けよ。この騒ぎだ。直に自警団の連中が来る。
俺もワケありで捕まるわけにはいかないんでね」
「・・・さらば」
この都市が理想と現実の狭間で必死に葛藤していると分かった以上
彼にこれ以上戦う理由も無く、何も言わずただ立ち去るのみ。
傷ついた漆黒の翼をはためかせ悪魔は空へと去る。

「・・・全く、正義の味方な悪魔がいるとはな。・・・人の事言えないか」
と男の仮面に走る罅。 直後、パキンと砕け落ちてしまった。
その男に音も無く寄り添うのは黒猫嬢シエル。
 「大丈夫か?」
「まぁ、一応。 ・・・帰るか?」
 「ん。 ・・・その前に、傷」
と、シエルは爪先立ちに男の目横の血が滲む傷を舐める。
全く・・・騒動のネタは中々に尽きる事はない。

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