chapter 3  「二人の観光旅行」



希望都市シウォング
サブノックとセリアの今回の目的地であるこの土地についに到着した
「・・どうしたんですか?サブノック様?」
「・・いやっ、さっき見かけたあの二人組みが気になってな」
「二人組み・・?」
「少女を肩に乗せた青年だ・・。邪気はなかったが・・中々できる・・」
「・・う〜ん、私にはわからなかったですね」
「セリアは機嫌よくあちこちキョロキョロしていたからな・・」
町は人で溢れかえっており早速二人はこの旅のメインイベントである真龍騎公との謁見を
しに都市中央にある城のような役所へ出向いた。
・・・・・・・
がっ、防犯上のこともあり観光客との謁見は受けつけてないと役人にきっぱり言われた・・
何度もセリアは食い下がったがついに諦め役所周辺の公園で一息つくことになった・・
「はぁ・・・」
「しょうがない。出来て間がないとはいえ一国の王との謁見なんだ。そうそう簡単には
いかぬさ」
「まぁ、わかったてましたけど・・、はぁ・・・」
落ちこむセリア。そっとしておいてやろうとしばらくその場を離れるサブノック・・
公園は緑溢れておりたくさんの人々がくつろいでいる。当然そこには小動物もたくさんいた・
その中でひときわ目立つ銀狼・・、犬だどと戯れており楽しそうだ
(銀色の狼・・、珍しい種もいるものだ)
そう思っているとその銀狼がこっちに寄ってきた

「ワンっ!!」 こんにちは
「・・・ガゥっ」 ・・・こんにちは
伊達に犬に変じているわけじゃないので犬との会話も彼は可能・・
「ワン、ワン。 ワンワン。 ワン、ワンワン?」 
 私、ルナ。この町の外れに住んでるの。 貴方、見ない顔だけど旅行者?
「・・・ガウ、ガウ。 ガウ。」・・・小生は、サブノック。 観光にセリアと来た。
「ワゥ?」 セリア・・?
「・・ガウ。ガウガウ」 ・・あそこで悩んでいる妊婦だ
「・・・ワン、ワンワン?」 へぇ、あの人が貴方のご主人様?
「・・・ガ、ガウ・・」 ・・まっ、まぁそのようなものだ・・

たわいのない世間話をする2匹・・。向かい合って座っており犬の言葉がわからない人でも
本当に話しているよう・・

「ルナ、行くよ〜」
不意に銀狼を呼ぶ金髪の少年。傍にはよく似た顔立ちの女性が袋を持っている・・

「・・ワン、ワンワン!!」 もう行かなきゃ、じゃあさようなら!!
「・・ガウ」 ・・さようなら

元気よく姉妹の元へ駆けて行く銀狼ルナ。
しかしルナやその姉妹にただならぬ気配を感じしばし2人&1匹を見ていた

「サブノック様〜!一人で何話していてたんですか・・」
セリアの声に我に帰り彼女のケアをしようと姉妹から目を離した


「さて、とりあえずは今日泊まるところを探さねばならないな・・」
「でも、犬も泊まれるところを探さないといけませんね」
「この都市には獣人がたくさんいる。あまり気にしなくても大丈夫だろう」
結果サブノックの言う通りすんなりと宿が決まった。
見た目は犬なので宿に入ってからはサブノックは一言もしゃべらず
セリアの後についている・・
宿は質素な作りだが一つ、壁が補修中の個所があった
「この壁は?」
不意にサブノックが聞いてしまった
「ああっ、少し前に金髪の女が空けたんでさぁ。なんでも氷を使う
化け物だって話ですよ。私もよくわかりませんがねぇ・・って?」
普通に説明していた案内人だが男の声がしたのに気づき振り向く
「・・・確かに男の声がしたんだけど・・、お客さん、何かしらない?」
「いえっ、私は何も・・ほほほ」
冷や汗流しながらセリアが応じる。
案内人の男も空耳と思いこみ部屋に案内してすぐさま去っていった
・・・・・
「サブノック様〜」
「すまぬ、つい口が滑った・・」
「まぁばれなかったからいいでしょうけど、しかしあんな大きい穴を
女性が空けたんですね〜」
「それだ。小生もそこが気になって思わず聞いてしまったのだ。
女でなくともあれだけの穴をあけるなぞと大抵の事ではない
この都市はどうもツワモノが多いようだな。しかし化け物とは・・」
「成敗しますか?」
「旅行先とはいえ、迷惑している者がいる以上目を瞑ってもいられまい。今夜にもこの町に
はびこる悪を少し成敗してみよう」
「がんばってください!なんなら私も・・」
「セリアは身重なんだからじっとしておくんだ・・」
「・・わかりました。でも早めに帰って愛してくださいね・・♪」
そんなやりとりをしつつ日が暮れるまで思い思い時間を潰した

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