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第5話 「麗人の素顔・・」


翌日・・・
早朝から鍛錬に出る俺、これだけは欠かせない。
傭兵公社時代からの日課で隊長に強制的にやらされたものだ。
そのおかげで今まで生きてこられたわけだが・・・・
騎士団屋敷の前は少し大きな公園のようになっており身体を動かすにはちょうどいい
リストバンドをつけて大木相手に暴れていると・・・・

「早いな・・」

後ろから声が聞こえた、タイムだ・・・
「お前こそ、なんだ?騎士団って奴は朝の鍛錬もするのか?」
「いいや、そんなことしても積極的に参加する者はそうそういないだろう」
白いシャツにズボン姿のタイムはなんだかいつもと違う雰囲気だった・・
「ふぅん、じゃあいつもお前だけ鍛錬しているってわけか・・・」
「そうでもない、今日はお前がいるから特別・・だ」
な、なんだ・・?俺に用があるのか・・・
「そうか、・・・・・・どうだ?手合わせでも?」
タイムに軽く素振りをして誘うが、なにやら気まずそうな顔だ
「いや、遠慮しておこう。
少しいいか?」
近くにあるベンチに顎をやりタイム、
・・・・?
「ああっ、いいぜ。なんだよ?」
ベンチに腰掛ける、タイムも隣へ・・・・
「何、少し話をしたくなってな・・・・」
「ふぅん、珍しいな。・・・・・でっ、なんだ?」
「どうして今回お前たちに同行するか気にならなかったか?」
「そりゃあ驚いたさ。普段のお前なら考えられない・・」
「ああっ、私もそう思う。バカな話だが・・彼女にだけは負けたくない・・と思ってな・・」
「彼女・・・セシル・・か?」
「ああっ、あいつは昔から天才的な戦闘力で戦果を上げてきた。私はそれを隅から
指をくわえてみているしかなかった・・。それが歯がゆくてな」
・・・セシルは昔から狂暴なのな・・・・・
「なんとか彼女に追いつこうと死ぬ気で頑張ったものさ。
彼女が騎士団を離れた時、正直チャンスだと思った。
今の状態になってやっと彼女を越えたと思ったが・・・」
「久しぶりに会ったセシルはさらに強くなっていた。それを見て愕然とした・・か?」
意外に負けず嫌いだったんだな・・・
「ああっ、もはや私と彼女の差は決定的だ・・。
ふふっ、不思議なものだ。今まで誰の助けも受けず、愚痴一つこぼさずきたんだが
・・・不思議とお前に話したいと思った・・・・・」
早朝の空を見ながらタイム・・、
なにやら寂しそうだ・・
・・・・・・しゃーねぇーな・・・・
「そう思いつめるもんじゃないぜ?」
「??」
「確かにセシルの戦闘能力は恐ろしいもんがある。
しかしお前にもセシルにないものがある。
周りを従え、この町の治安を守っているという能力だ。
それはセシルにも、俺にも到底できないもんだ・・・」
「クロムウェル・・・・」
「同じ土俵で考えるなよ、お前はお前だ。
自分の得意なとこであいつを圧倒させればいいのさ」
「・・・・・・・そうか、・・・そうよね・・・」
呟くタイム・・・、
こいつが俺に女言葉を使うのははじめただな・・
「そうそう、そんじゃあの狂暴女に負けないようにこの一件を解決させようぜ!!」
「・・・ああ!!」
うなづくタイムの肩を叩き、ベンチからたちあがる・・・
「よし!そんじゃあ俺はもうひとっ走りしてくるぜ?」
「・・・クロムウェル・・」
「んっ?何だ?」
まだ悩み事があるのかい?
「ありがとうね・・」
「お・・・おう」
潤んだ瞳で俺に言うタイム・・不覚にもドキってしてしまった・・・・・


結局その後の鍛錬は気が入らなかった・・・
そのため早めに切り上げて飯を食うことにした。
応接室に用意してくれるように昨日言ったのだ。
「あっ、先輩おはようございます〜・・・」
寝ぼけまなこでフィートが言う・・、こいつは低血圧だから朝は遅い・・
まぁ魔術師なんかにゃ朝の鍛錬なんか全く必要はないか・・
「おはよう。ほらっ、もうすぐ朝飯持ってくるように頼んだから顔洗って来い・・」
ふらふらした足つきで洗面所に向かうフィート・・これが魔法都市アルマティで
最高の魔術師に贈られる「法王」の称号を取った男だと思うと・・・
なんだかなぁ〜
しかし、次のセイレーズの目標がわからないし手がかりはセシルのみ・・・
俺たち何すればいいんだろね?
タイムが何か言ってくれるか・・・
「ほぅわ〜〜〜〜〜」
大あくびしながらフィートが帰ってくる、シャキっとしなさい!!
「お前な・・、朝弱いのはわかるけど・・・」
「先輩みたいに朝から暴れるタイプじゃないんですよ」
まぁ・・こいつが朝から暴れていたらかえって変だ!!
「それもそうだが・・・」
ガチャ!
応接室の扉が再び開いてタイムが出てくる。
手には朝食をのせた盆を持っていた
「起きたようだな、フィート君」
「あっ、タイムさん。おはようございます」
「ああっ、おはよう」
・・・・どうやらいつものタイムに戻ったようだ。朝のあいつは幻か・・・
「?、何私を見つめているんだ、クロムウェル?」
「い、いやっ、何でもない」
「朝からおかしな奴だな?熱でもあるのか?」
・・朝のあれは幻だ!!!!
「なんでもねぇよ!それよりもどうするんだ?今日は?」
持ってきた朝食のパンにかぶりつきながら訪ねる
「そうだな、とりあえずベルナンド公の屋敷を調べようと思う。
先に数人騎士が赴いて整理してくれているはずだ」
「万全の用意だな、んぐっ!でっ?収穫はあると思うか?」
「さぁな、まぁあの麻薬買付け書類だけでも収穫だからな。駄目で元々・・だ」
珍しく弱気だな・・・
「おっけい、じゃあ食い終わりしだい出発しようぜ!!」
パンを口に目一杯含んで食い終わらせる。元々俺は食うのが早い・・!
まぁ戦場じゃあ「僕、食うの遅いんですよ〜、あはははは」なんて言ってられないしな
そういや13部隊時代の同じ隊員の弓使い、アルフォードがそんなんだったな・・・、
アル、元気かな?
・・・
グラスに注がれたミルクを飲み干し、朝食終了!!

バタン!

それと同時にいきなり応接室の扉が開かれた・・
「フィート、きてたんだ!!」
いつも事務的な態度の受け付け嬢だ
あれっ?この子ってフィートと面識あったんだ・・・
「あっ、貴方ですか。お久しぶりです」
「ええっ、食事中だよね!これ食べて!!」
いきなりパンを数個取り出す受付嬢・・・・・・・・・・
「あ・・、ああ、ありがとうございます」
「どういたしまして、それで・・、また今度・・・・・・」
「・・ああっ、もちろんいいですよ。また連絡します」
!!!!!
「君、職務中だぞ?」
呆気に取られたがタイムが注意する
「あっ、タイム団長補佐!すみません!持ち場に戻ります!!」
どうやらタイムに今気づいたらしく慌てて部屋を立ち去る受付嬢・・
「・・・・なぁ?」
「はい?なんです?先輩」
「いつの間にオとしたんだ?」
「いつって・・、いつでもオとせますよ♪」
・・・・・き〜さ〜ま〜・・・・
「・・・、ほらっ、あの子がくれたんだろ?さあ食え、手伝ってやる」
「えっ、先輩!僕こんなに食べれ・・・、んぐうぅぅぅぅぅぅ!!!」
どんどん口にパンをつめこむ・・、タイムも止めはしなかった
喉を詰まらせるフィート、
これで勝ったと思うなよ!!!!!



本日の天気は晴れ、依然おだやかな風が頬を撫でている
しかし、貴族ベルナンド公の屋敷だけが嵐にあったような朽ち様だった・・・
まぁ、確かに嵐はあったのだが・・・
「・・・で、中に入れるの?これ?」
入り口はめちゃくちゃに変形、子供でも入れやしねぇ。
「ちょうど庭からの窓が開いている。中は・・、多少の空間はあるだろう」
屋敷は前のめりに倒壊している。っいうのも入り口付近の庭でフィートが
竜巻の魔法「ウィリーウィリー」を唱えたからだ。
従って屋敷の後方は天上が崩れたくらいでなんとか探索はできる・・・
「いや〜、すごい崩れ様ですね・・・」
「「・・・お前がやったんだろ?」」
タイムと同時につっこむ、こいつは・・・女と金以外の事だと呑気になるんだな
ともあれ、タイムの言う庭の窓に向かう・・
窓の前には若い騎士が立っていた・・、若いな、まだフィートと同じくらい・・か。
黒髪を綺麗にまとめ、騎士団支給の鎧、そしてたぶん業物のハルバートを持っている
以前屋敷で何度か見かけたな〜
しかしなぜか俺を睨んでいる・・。なんで?
「おはよう、スクイード君、すまないな朝から」
タイムが声をかける・・、こいつはスクイードっていうんだ。
若いが・・・、腕はなかなかいいようだな
「いえっ!タイムさんのためなら例え早朝でも深夜でも!!」
なるほど・・・、こいつタイムに惚れているな〜
「このチェリー君は?」
「なっ!貴様!!」
憤怒するスクイード君、図星だな・・・・
「落ちつけ、スクイード君。これがクロムウェル、噂の変人だ。
こっちがフィート君。変人の保護者」
・・・・・言うと思った・・・・
「クロムウェル、フィート君。彼はスクイード。私の直属の部下だ」
「噂の変人クロムウェル様だ!!あっはっは!!」
注意、心で泣いてます
「その保護者のフィートです。よろしく、スクイードさん」
「ああっ、よろしく頼む・・・・、おい、変人、タイムさんに慣れ慣れしくするな!」
殺気むき出しのスクイード・・、青いな〜
「おいおい、スクイード君とやら。俺は仕事でタイムと行動しているんだぜ?
慣れなれしく見えるのはスキンシップの取れている証拠、つまり不可抗力だ!!」
うぐぐっ、と唸るスクイード君、情熱的だな〜
「ふふふっ、羨ましいか!ほれほれ!」
からかうと面白いな、こいつ。
挑発ついでにタイムの肩を抱いてやる・・
「(ベシ!!)、それでスクイード君、中には入れるかな?」
ヘブッ!無造作で顔に裏拳入れるなや!!
「はい、なんとか入れる状態です。崩れる心配もなさそうですね」
俺を見て笑いながらスクイード・・・生意気、生意気だぞ!!!
「よし、それじゃあ私たちは内部の探索に入る、君はベルナンド公が暴れないように
身張っていてくれ」
「はい!!」
元気よく返事をし、駆け出していくスクイード君。彼とは友達にはなれないな・・・
「クロムウェル、彼は純情だ。あまりいじめてやるな」
「そのくらいで激情するならまだまだってことだろ?」
「・・試していたのか?ふっ・・」
「お前の部下の出来を確認したまでさ。さっ、入るぜ!」
窓の狭い入り口に見をかがめて入る・・・
「先輩・・・、いつになく良い雰囲気ですね・・・・」
フィートが呟く、たまにはいいだろ〜
っていうかいつも一般ピーポーが聞いたら自殺願望が芽生えるようなことばかり
言われてるんだ!こんくらい当然やろ!?

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