第二話  「黒肌の狐人」


密室状態なままで恍惚と余韻に浸るシトゥラを見ること十数分

・・なんというか、今誰かに見られたら確実に誤解されるな・・

何時までも乱れた服装のまま惚けているので俺が後始末をすることに

窓を開放し性の匂いを飛ばしてシトゥラにズボンを履かせる

・・お尻から白いのが出ているけど・・まぁそれは個人の処理でお願いしますということで・・

「ん・・あ・・・すまないな・・クロムウェル・・」

「おおっ、ようやく我に返ったか。だいじょぶか?」

「ああ・・久々に、満足がいく交わりができた・・ふふふ・・」

「ってか皆帰ってくる前に水でも浴びてろよ・・このままだとバレバレだぞ?」

「ふふ・・わかっている。う・・腰が抜けている・・」

あらぁ・・俺も張り切りすぎたか・・

ってか歴戦の戦士であるシトゥラの腰を砕くほどとは・・我ながら恐ろしいものよ

「少し休憩する。お前もここにいたら疑惑を持たれるだろう?そろそろ帰ったほうがいい」

ニヤリと笑うシトゥラだが・・そんなこと言われてもなぁ・・

「ううん・・まぁわかったよ。でも・・」

「わかっている、タイムにはばれないようにするさ・・」

まぁわかってくれたらいいんだけど・・

ともあれ、これ以上ここにいたら性欲復活したシトゥラにまた襲われそうだしさっさと出て行くか・・



・・・・・・

・・・・・・



テント群担当課の部屋を出たらそこは全くの静寂に包まれた廊下

・・やっぱこの時間だと全員出払っているようだな

今までこの部屋でちょっと危険な火遊びが行われていたなんて誰も思わないだろう

「うむ・・これだと安全だ。ったく・・心臓に悪いぜ」

”何が悪いのかしら?”



!!!!!!!



突如後ろから女の声!これは・・

「ア・・アンジェリカ!?」

やはり、教材片手にいつもの魔女な黒法衣姿のアンジェリカが怪訝な顔をしている

「何を驚いているの?」

「い・・いあ、この時間だと1Fにゃ誰もいないよなぁ・・って思ったから・・」

「ふぅん・・。それよりもタイムさんがいないのに貴方が騎士団屋敷にいるなんて珍しいわね・・」

「なんだよ・・いちゃいけないのか?俺だって一応は教官だぜ?」

「別に・・ただ・・」

俺の瞳を覗き込むように見つめるアンジェリカ・・

な・・なんか・・な・・

「いやに慌てているように思えてね」

「キノセイデスヨ、ゼンゼンアワテテナイデス。アハハハハハハ・・」

「・・・、まぁいいわ。」

「ふぅ・・んな事よりもアンジェリカこそどうしたんだよ?」

講義室は2Fだしここを通るのも珍しいか

「別に、中庭に植えた新種のハーブの成長の記録をしていただけよ?」

「・・ハーブ?そんなもんまで作っているのか?」

「ええっ、製薬知識も魔導師には不可欠よ?何なら試してみる?今すごい精力強壮剤の試作をしているんだけど」

ニヤリと笑うアンジェリカだが・・笑いからして相当な自信があるとみた

それすなわち、危険の証なり

「遠慮します。」

「あら残念、貴方に服用したならタイムさんの腰を砕くほどの力は出るでしょうに・・」

・・すでにシトゥラの腰を抜かしております

「ってか何のための薬だよ・・」

「冗談よ。本当は携帯用回復薬。まぁ騎士用の保存食であるレーションみたいな物を考えていてね」

「携帯回復薬か・・。ってか別に必要ないじゃないか?」

「まぁ有事の際に長期戦になったら必要になることもあるんじゃない?それに・・」

「それに?」

「遠距離間の移動中に負った傷なんかに便利じゃない?」

・・まぁ、保存が利く回復薬があるならそれはそれでありがたいな。一般ポーションは液体だからかさ張るし・・

「・・でも、騎士がそんなに遠距離移動するかぁ?」

「・・・・、別に、騎士のためだけに考案しているのじゃないから・・」

ふぅん、こいつも色々考えているもんだな

ってか基本的には講義の時間以外は自由時間なんだしなぁ

「まぁがんばってくれよ。俺は〜・・街ぶらぶらしてくらぁ・・」

「教官なのに気楽なものねぇ、タイムさんがいない屋敷は退屈かしら?」

「うるせー、事件ないんだからいいんだよ。そんじゃあな〜」

何でも俺に頼るのはよくない、それにタイムの教育のおかげが自分の力でなんとかすることぐらいできるだろうしな



・・・・・・・



ルザリアの街は今日も賑やか

表通りの露店の数も以前に比べて増えてきたようだがそこは商業地区担当の騎士達の指導にて整備されており

通りが混雑になることがないようにしている

まぁ・・普通なら禁止しかけないのが領主の強い圧力でそれができないっていつぞやタイムがぼやいていたな

露店出店するためには街にある程度費用を納めて許可証を取る必要があってその収入が減るのが嫌なんだとよ

騎士団に協力するような形である領主含め都市議会の連中だが実際は利益にしか興味がなく

タイム達がいなければそれこそ賄賂天国になっていただろうな

実際露店の数を減らさずに整備する騎士団の仕事を圧迫しているだけに過ぎなく連中が俺達の足を引っ張っているのは明白だ

外から来る貧民露天商にとってはありがたい話だがルザリアの民にゃ領主の評判は最悪もいいところだし

貴族の馬鹿どもが国政に侵蝕して利益を貪ろうって魂胆の余波ってやつなのかもな

だが、この街には俺がいる・・阿呆な真似したら裏から半殺しにしてやればいい・・

「フフフ・・・久々に血が見たいのぉ・・」

騎士団に協力して以来どうにも動き辛くなってきたしな・・



「先輩、物騒な事言いながらにやけたら捕まりますよ〜」



うぬっ!?その声は・・

「フィートか、昼間っからどうしたんだ?」

いつも女連れなフィート君、珍しく一人でいるよ・・

「仕事帰りですよ?先輩が騎士団の仕事に協力するようになってから僕も一人で仕事する事が多くなりましてねぇ・・」

「ってかそれだったらお前も騎士団に協力しろよ?アンジェリカと一緒にさ」

「冗談を言わないでくださいよ。アンジェリカさんと一緒なら屋敷そのものが吹っ飛ぶ事態になりかねませんよ?」

・・まぁ元ライバルだったのはわかっているが・・そこまでの事か?

「まぁ無理にとは言わないけどさ」

「何か重要な事件があるならいつでも協力しますよ?仕事中なら仕方ありませんが♪」

そこまで無理しなくてもいいんだけどなぁ・・

「ってか今終わった仕事って?」

「あ〜、ルザリアから一つ離れた宿場町に秘密裏に人身売買用の小屋があったらしくて

攫われた娘を助けて欲しいという依頼でした。まぁ犯人達は全員全身打撲で騎士団へ突き出されましたよ」

・・こいつ一人でも十分な仕事だな

人質がいようともこいつには『見えない武器』があるんだし

「・・因みに捕えられた被害者達につまみ食いした?」

「もちろんです♪報酬の一環ということで・・それじゃなきゃこんな時間に帰りませんよ」

あっさりと!

・・うらやましいです・・

「まぁ火遊びもほどほどにしておけよ?エネもいるんだし」

「わかってますって♪エネもわかってくれてますし」

わかっている!?わかっているだと!?

エネ・・貴方の心は聖母か!

「・・いやぁ、そんな羨ましそうな目で見ないでくださいよぉ♪」

「う・・うらやましくないやい!」

「あははは!」

勝ち誇っている・・くそっ!タイム!お前も心の広さを身に着けろぉぉぉ!!



「あっ!クロムウェルさんにフィート君♪」


っと、噂をすれば影ってやつか。エネの声だ・・

「よう・・ってあれ?仕事中か?」

酒場のウェイトレス姿な栗毛少女エネ、どう見ても仕事中の様子だ

そしてその後ろには小麦色の肌をした白髪の獣人をつれている

「どうしたんだい?エネ、まだ仕事中じゃないのかい?」

「うん、そうなんだけど・・この人が騎士団屋敷まで行きたいって言われて・・」

獣人が屋敷に・・か、ってか白髪に・・耳からして狐人・・

「あっ!クロムウェル・・さんでしたよね!?」

「ぬっ・・俺の事を知っている・・貴様、何奴!?」

「僕は白狐族のスクルトって言います。副隊長・・いや、シトゥラさんを尋ねにきたのですが・・」

ううむ、シトゥラのペースに慣れているから同じ白狐族に見えないな

「なるほど〜、シトゥラなら今、騎士団屋敷にいるぜ・・。ってか・・白狐な族なのに肌が良く焼けているなぁ・・」

「いや・・あははは・・ここに辿り着くまでにこんがり焼けてしまって・・」

・・いや、焼きすぎだろう・・

「シトゥラは毎日外に出ているのになぁ・・」

「体質的なモノだと・・思います」

「さよけ、それで・・わざわざ茶店のウェイトレスっ子エネに道案内ってか・・。エネ、そういうのは仕事じゃないんじゃないか?」

「そうなんですけど・・あまりに迷っていたようなのでマスターが同情の目で見だして・・

買出しのついでに案内してやれって」

まぁ黒肌に白髪な狐人がうろうろしていりゃ目立つわな・・

「お前、どんだけ迷っていたんだ?」

「え〜と・・この街に着いてからは丸一日ぐらい・・」

・・・・騎士団屋敷は街の中心部だ、丸一日歩き回ってそれに辿り着けないだと!?

「・・お前な、方向音痴が一人旅するなよ・・」

「ははは・・・すみません・・」

「まぁいいや。屋敷なら俺が案内するよ・・、エネも仕事中だろう?早く買出し終わらせないとマスターも心配するぜ?」

「あ・・クロムウェルさん、ありがとうございます!では・・スクルトさん」

さっさと厄介者(スクルトと読む)を俺に渡すエネ

わかっているさ、フィートの眼が怪しく輝いているんだもの・・

「そんじゃ、買出し手伝ってあげるよ♪エネ♪」

「お願いね♪フィートくぅん♪」

ほらな・・、もう二人オーラ全開に腕を組んで歩き出しやがった

その後の行動も俺にはわかる・・否、わからないはずがない

買出しする前に物陰に隠れて交わるつもりだ・・

エネも何気に調教完了っぽいからそうしたスリルがある事がたまらない・・ってフィート君が言ってました

こんな街中でなんて・・タイムだったら絶対断るだろうなぁ

「はぁ・・羨ましいよなぁ・・」

「あ・・の、クロムウェルさん・・」

「ん・・おおっ、悪い悪い。そんじゃ屋敷に行こうぜ」

「お願いします!」

うぬ・・俺だけが頼みな瞳なスクルト・・マジで迷っているんだものなぁ・・

ってか今からだとシトゥラの腰も・・無事かな?

まさかまだあの格好のまま余韻に浸っているんじゃないだろうなぁ・・

・・・・・・

・・少し寄り道して行こう・・



・・・・・


迷っている時に見る光景と説明しながら見る光景ってのはやっぱり違うんだろうな

通り際に説明したらスクルトは感嘆の声をこぼれっぱなし状態でキョロキョロしている

まぁ白狐族の里っていえば極寒の地だものな・・、よくよく考えたらそこからルザリアまで来るってのもすごいもんだぜ

「そういやスクルト・・」

「いやぁ・・これ、甘いですねぇ!」

ナッツミルクジュースを飲みながら感動しているスクルト・・俺の自腹で買ってやっているのにシカトとは・・

「ス・ク・ル・ト?」

「は・・はい!」

ったく・・冷静なシトゥラと同じ族とは思えないなぁ・・

「お前わざわざルザリアまで何しにきたんだ?方向音痴でオマケにロクにこっちの世界知らないのによ」

「ええっ、個人的な用事なので里に迷惑はかけられないと思いまして・・」

個人的な・・用?

「なんだ?お前とシトゥラってそんな関係なのか?」

「いえいえいえいえ!シトゥラさんにはお世話になっただけでそんな関係と言うほどの事は・・」

・・なんだかすんげぇ慌てているなぁ・・

「まぁ面倒見が良い奴だからなぁ・・。まぁ深く訊くのもなんだ、本人に言ってやればいいさ」

「は、はい!・・ふぅ・・」

・・・・、こいつ・・青すぎるぞ!?

「シトゥラに人望があるのはここも向こうも同じってわけか」

「そうですねぇ・・、女戦士で副隊長まで勤めるのはすごい事です!

今までに負けた事があるのは隊長とクロムウェルさんぐらいですから」

あ〜、そういえばそんなこともあったなぁ・・

確か団長試験の時か、懐かしいもんだぜ

「あの時の勝負はなぁ・・、女殴るのも嫌だったからあんな勝負もちかけただけだしな。

シトゥラが受け入れなければもっと荒いことしていただろうし」

「へぇ・・、あの時のクロムウェルさんの動きはすごかったですしねぇ」

・・ん・・?

「お前、あの場所にいたのか?」

「ええっ!まだ一人前と認められていなかったので隅で見ていただけでしたが・・」

じゃあ俺の事もわかるわけだな・・

「なるほどなぁ・・、うし、そろそろ時間的に大丈夫だろう・・行くぜ?」

「へっ、時間?」

「こっちの話さ」

腰抜かしているぐらいだろうがもう大丈夫だろう・・、

・・大丈夫だよな?

まぁいいや、今商業地区だしここから屋敷まではまだちょっとかかる

時間は十分稼げているはずだ・・

ん、おんや



「ん・・変態か、獣人を連れて誘拐でもしているのか?」


俺に近寄ってくる騎士制服姿のツンツン黒髪野郎・・即ち「キング オブ ソガイ」スクイードだ

「よう、スーたん♪」

「気持ちの悪い名前で呼ぶな!」

いつもながらからかい甲斐のある奴よ・・

「呼び名なんてどうでもいい、お前が阻害されている事には変わりはないのだからな」

「変態・・、今日こそ決着をつけてやる・・」

ジャキン♪っと肩を震わしながら剣を抜くスクイード・・

「のわっ!剣を抜くな馬鹿者!天下の往来でご乱心か!?」

・・ったく、最近の若者は忍耐強さの欠片もないねぇ・・

「くっ・・」

「ってかお前が商業地区に来るって何か用でもあるのか?」

「別にない。屋敷に戻る途中だ」

「ふぅん〜、キース夫妻に仕事取られているだけじゃねぇの?」

「へ〜ん〜た〜い〜!!!」

・・ご乱心再び・・

「あ・・あの、クロムウェルさん!この人は一体!?」

おお・・スクルトが怯えている!?

まぁ初対面で異様な気配だしているだしな

「ルザリア騎士団テント群担当課室長のスクイード=キャンベルって奴さ。通称『阻害のスクイード』

その筋では右に出る者がいないほどの猛者だ」

「なるほど!スクイードさんは阻害のプロってわけですね!」

ううん、天然な分棘も鋭いわ

「・・・」

「まぁそんなカッカするな♪こいつは白狐族のスクルト、シトゥラに会いに来たんだってよ。

そんでもってスクルト、スクイードはシトゥラの面倒を見ている。

慣れない都会生活をサポートしてやっているんだよ」

「そうだったのかぁ・・」「そうでしたんだぁ・・」

同時に驚いているよ・・

「スクルトはシトゥラに用事があって里からルザリアまで一人旅で来たんだとよ。これから屋敷に向かうところだ」

「そうか・・でもシトゥラはそんなこと一言も言っていなかったな」

「当たり前だろう?里とどうやって連絡取るんだよ・・ってか連絡取らなくて大丈夫だったのか?」

「はい、シトゥラさんの事だから連絡がなくても何も異変はないと皆信じていますので!」

「・・流石に人望があるな・・シトゥラは・・」

「まっ、俺達ですら人望があるんだからな。まったくもってすごいもんだぜ」

何気に話ながら騎士団屋敷に向かい出す俺達

まぁそうしょっちゅう殴りあいしているわけじゃないんだよ

っと・・、なんだ?屋敷の通りからけばけばしい黄色スーツ姿のおっさんが歩いてきていら

・・見ない顔だな・・

「なんだ?あのいかにもいわく付きなおっさん、職務質問の対象だぜ?」

「それはないだろうな」

「スクイード、知り合いか?」

「誰が・・・。領主が雇った助役・・っというのが表向きの素性だ。

その実、連中に都合の悪い業者に色々と横槍入れているらしい

・・今騎士団でもっとも警戒している男だ」

「ふぅん・・」

まぁ派手な衣装のわりにはやっていることがしょぼいんだねぇ・・

っと、こっちに気づいたようだ

「やぁルザリアの英雄達、日頃の激務ご苦労様だね」

ヒョロりとした細い顔、眼にくぼもある不健康なもやし顔・・そして黄色のスーツ・・

「ううむ・・同じ人間と思いたくないな・・」

「おい!変態!」

「なんだね?いきなり失礼な男だね」

「おやっ?俺を知らないか・・まぁいいさ。あまりでかい面して表歩くなよ・・

知らないか?『出る杭は打たれる』・・ってな」

「・・ほぉ・・君、この乱暴そうな男は誰なのかな?」

「さぁ・・ただ隣を歩いていただけなので私には存じ上げかねますね」

・・スクイードも中々やるもんだ

「む・・まぁいい。穢らわしい獣人とともにいるぐらいだ・・どこぞのチンピラといったところか」

「なっ!それって僕のこ・・むご!」

はいはい、黙っていましょうね

「この街で獣人差別か、時代遅れだなぁ・・」

「はははははは・・所詮は私達とは違う種だからねぇ・・ではっ、私はこれでも忙しい身ゆえ、失礼するよ」

ヘラヘラ笑いながら立ち去る助役・・

まぁこうした輩に共通した人を見下した眼差しをしていらぁ

「あの野郎・・エグイ事しているな・・」

「ん・・変態・・わかるのか?」

「まぁな、そういうのは眼でわかるもんだぜ?」

「むぅ・・そういうものなのか」

「場数を踏めばお前もわかるさ、一流の探偵なんぞは相手に触れただけで犯人がわかると聞く・・」

「・・んなわけないだろう、エスパーか・・?

それよりも・・」

「んっ?」

「いい加減スクルト君を放さないと窒息するぞ?」

ぬおっ!しもた!口塞いでいたから何気に痙攣している!

「うおっ!スクルトすまん!」

「げほ!げほ!ぜー!!!ぜー!!!!」

いかんいかん、もう少しでオトすところだった

「まったく、加減を知らない変態だ」

「うるせ〜」

「それよりもなんなんですか!あの嫌味な奴!」

「まっ、獣人嫌いな阿呆さ、ルザリアじゃ獣人差別しない奴が多いんだが余所ではああいう輩がまだ結構いるんだよ」

「ダンケルクなんかとは大違いだな・・。貴族の大方があんな感じだよ」

いまだ獣人奴隷なんてのがこの国にはあるらしいからな

まぁそれを片っ端から捕えているのが今売り出し中の冒険者チーム『ユトレヒト隊』だ

ってか獣人やら可愛い子大好きなセシルが一人プッツン大暴走しているらしい

そのおかげで逮捕された容疑者達は本来なら余裕面しているところを

恐怖のあまりに自我喪失させかけている状況ですんなりと尋問に応じるって噂だ

・・・、まぁ、化け物だからな

「獣人だからだけで差別ですか・・僕には信じられません」

「人間ってのは自分と身体的や精神的に違う奴を差別したがるもんだからな。

・・ここはそういう馬鹿は比較的少ないんだが・・余所から来ているなぁ・・」

「気をつけることだ・・よし、到着だな。受付には僕から説明を入れよう」

馬鹿の話をしているうちに騎士団屋敷に到着だ

受付のサリーさんは僕の言う事を聞いてくれないからスクイード君が代わりにやってくれるみたいだ

・・ってかサリー!仕事だろうがぁ!差別すんじゃねぇぇぇぇぇ!!!

・・・・・、はぁ・・。

まぁいいや・・もうシトゥラも大丈夫だろうしさっさとこの純情青年の用事を済ますとするか

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