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第五話  「俺って役立たずですか?」


草原都市ガジを出発して二日経過
・・意外にも何の襲撃もなし・・
まぁまだ草原都市圏内だから魔物がそう徘徊はしないんだろうけど・・
あれからの旅はまぁ順調、料理は俺とシトゥラの担当で三人は文句も言わずに平らげてくれる
シトゥラの料理はちょいと味付が変わっているんだが俺と違って
誰かさんが突っかかることはない・・まぁ・・突っかかるのは俺だからなんだろうけどさ

そんな中レスティーナとはよくしゃべる。
ガジでの一件で俺に好意を持ったのか話相手が欲しいのか・・
だから今日はシトゥラと変わって俺の隣に座ってきた
「ね〜ね〜!クロムウェルってタイムさんと恋仲なの!!?」
・・・座ってくるなり返答に困る話題を・・
ってまだ昼間だぞ?ぶっちゃけトークには早すぎだ
「・・そうだよ、まぁ誰も信じようとしないけど・・」
「へぇ〜!そうだったんだ!何だかお似合いだね!」
「お似合い・・俺みたいなのにか?」
「そう!口は悪いけどすっごいカッコイイもん!タイム団長みたいな凛々しい人にはピッタリ!」
・・ああ、俺、今髪下ろして別人みたいになっているからな
普段みたいにだらしない姿だと全くそうは思われないってわけかな?
もしくは誰もが認めたくないんだろう
「ありがとよ・・。まぁタイムも私生活ではそんなに凛々しくないんだぜ?」
「へぇ〜!!どんなの!?教えて教えて!!」
「・・秘密だ。これは誰にも言わん」
タイムの素顔は俺だけが知る特権だ、ウケケケケケ♪
「ええ〜!ケチー!!」
「っうかあいつは自分の任務のために感情を押し込めているところがあるからな・・、だから素の事は聞いてくれるなよ」
「・・ふぅん、よく知っているんだね?」
「まっ、なんだかんだで付き合いも長いからな」
タイムと知り合ってから・・もう何年経つか・・。
出会った当初は付き合うなんて絶対思わなかった・・ううん、世の中わからんもんよ
「・・・じゃあ!クロムウェルの事を聞かせてよ!」
「・・俺か?」
「うん、だってそんだけ口が悪いのにどうやって騎士になったのか聞きたいじゃない!」
「うるせー、口が悪いのは後ろの団子頭もそうだろうが・・」
「アグリアスは無愛想なだけだよ♪」
ストレート!直球だぜレスティーナ!
「それはそれで問題だ・・」
「でもアグは信心深いよ?それに比べてクロムウェルって神殿騎士なのに何だか全然それっぽくないし〜」
・・そりゃそうだ。俺は神なんて信じてないんだもん
「放っておけ、神殿騎士もピンからキリまで。俺はキリもキリってわけさ」
あんまりしゃべるとボロがでかねないので勘弁してほしいんだが・・
「ふぅん、じゃあ何で神殿騎士になろうとしたの?」
・・くっ、しつこい・・
こうなったら・・
「まっ、手に職つくため・・だな。
後ろの二人には失礼になるだろうが食うためには手段を選んでいられない事態っていうのが貧乏人にはあるんだよ」
「・・・・、でもクロムウェルって貴族なんでしょ?」
・・・・、そうか・・初日に聞いていたか
「まっ、色々あるんだよ。それに俺にとっちゃお前の方が信者だと疑うぞ?」
銀髪の活発女・・祈りを捧げている時こそ物静かだが普段はやかましいし何よりも騎士とは思えないほど華奢だ
・・まぁ神殿騎士の中でも前衛に出ない支援の神官騎士ってやつなんだろうけど
それでも一通りの訓練はしていると思うんだがな
「え〜!なんでよ〜!?」
「まぁ俺の中の宗教関係者って頭でっかちで無口な印象があるからな・・それに比べたら・・」
「世の中色んな信者さんがいるんだよ?偏見反対〜!」
「すまんすまん、まぁ明るいのは悪い事じゃないもんな」
「そうだよぉ!・・実は私、子供の頃から病弱だったから・・せめて気持ちだけでも明るくと思ってね」
急に暗くなるレスティーナ、・・・なるほど、それなりの訳あり・・ってか
「病は気から・・とも言うからな。お前もいわゆる『散々な幼少期組』か?」
「う〜ん、そうでもないかも・・。良く病気になったけど皆優しく接してくれたし不自由しなかったから。
これも三女神様のご加護だね♪」
ブイサインなレスティーナ、・・神は関係ないと思うが・・
本人がそう思うならば水を差すのも止めよう
「そりゃありがたいご利益だ」
「あ〜!つまんなさそう〜!クロムウェルが酷い目にあったのは祈りが足らなかったからだよ!!」
・・産まれて数年のガキに祈りもくそもあるかいな
「へいへい、どうせ俺は不届き者だよ〜。」
「んもう!・・よし!今度私がクロムウェルに女神様達のありがたみを教えてあげる!」
「・・げっ・・何だか長そうだぞ?」
「もう一日ピッチリ神のご加護について教えてあげるわ♪女神様の力でそのネジくれた性格を治してもらいましょ!」
・・・いやっ、たぶん神でもこの性格は治せん!
「長説教は勘弁してくれ・・っと・・」

周囲に気配・・3・・4・・・6匹だな
一本延々と続く街道以外は膝ほどの長さの草がうっそうと生えているだけだ。
視界範囲内にはいるが姿は見えない・・、野盗が草木の中で身をかがめているかジャッカルか。
殺気丸出しな気配からしてたぶん草原の獣の定番、ジャッカルだろう
「・・レスティーナ、わかっているな」
敢えて素知らぬ振りをして彼女に促す
流石にこいつも気付いているようで目つきがさっきまでとまるで違う
「敵だね・・はい!」
・・うえ・・?
これは・・重たいから下げるのうざくて横に置いていた俺の騎士剣・・
「な・・んで?」
「何でって、得物でしょ?なかったら大変じゃない〜」
・・あったほうが大変なんです。
くそっ!目を輝かして見てやがる・・、俺を一流の剣士だとでも思っているみたいだ・・
こうなったらボコらず剣で何とかするか・・

GAAAA!!

ビンゴ、仕留めれる範囲に入った途端に飛び出したのは薄紫の体毛が凛々しきフィン地帯のジャッカル
普段は他の動物を狩るんだがたまに人間の味を覚えた奴がいてそいつらが人間を襲うんだよ
まぁ・・すばしっこいのが難なんだけど
「犬さんね〜、じゃあいっくよ〜!てぇやぁ!!」
座席から立ち上がり法衣の腰ベルトにつけた小さなサイドバックから札を取り出し投げる!
符術師か、同時に4枚も発動させている・・
投げられた札は赤い波動を描きながら意志があるかのようにジャッカルの身体にへばりつく
「燃えろ!『フレイムタロット』!」

ドォン!!

術師の合図とともに爆発する、かなりの威力だ・・
っうか吹っ飛んでますよ・・身体・・
身体にくっついてから発動しているから直撃もいいところだが・・
「スプラッタだな・・っと、残りは俺目当てか!?」
レスティーナを警戒して逆に俺を狙って突進してくるジャッカル・・残り二匹となったのだが退く気はないらしい
「ち・・ったく!こんなのにモテても嬉しくないっての!」
手綱を離し騎士剣を抜く・・、やっぱり重たいし幅が広い剣身は慣れていないと扱いが難しい
何より俺が剣術なんてさっぱりってのが一番の問題だが・・
ここでレスティーナ任せってのもそれはそれで嫌だし・・
「こなくそ!!」
跳びかかってくるジャッカルに合わせて剣を振るう・・が!殴るタイミングとやっぱり違う!!
オマケに重くて振り難い!!

斬!

・・ちっ!なんとか薄く切ったが全然致命傷じゃない!
「ええっ!?どうしたの?十分仕留められたのに〜」
「うっせい!少々黙っていてくれ!うわっっと!!」
もう一匹時間差で跳びかかってきた!騎士剣の動作だと対応できないので
敢えてガントレットを噛ませて投げ飛ばした
「・・っくしょう、やりにくいぜ・・」
血をボタボタ垂らしながら再び俺を狙うジャッカル達・・こうなったら何があっても食いついてくるのが野生の魔獣だ
そこへ

ドス・・ドス!

馬車から投げられたダガーがジャッカルの首元に突き刺さって転がりだす
刺さった箇所からして頚動脈か・・致命傷だ
「・・やれやれ、どうやら馬の扱いぐらいにしか役に立たない奴だったようだな」
ゆっくりと馬車から降りてくるは・・アグリアス
まぁ馬車が停車していたんだし状況は丸わかりだ
「アグ、失礼だよ〜!」
「何がだ?散々えらそうな口を利いておきながらジャッカル如きに遅れを取っている。こけおどしという奴さ」
・・ムカつく・・が・・この状況なら言い返せないな・・
「まっ、この様じゃそう言われても仕方ないか・・」
「ふん、戦闘は私達に任せておけ。お前は運転に集中していろ・・」
投げ捨てるように言ってダガーを回収するアグリアス
・・まぁ嫌な奴だこと・・

”・・ふっ・・”

馬車内からシトゥラの笑い声が聞こえた
・・他人から見たら面白いんだろうが・・俺は全然面白くない
レスティーナも押し黙ってるし・・
嫌な空気だし気が晴れないままだが
立ち止まるわけにはいかないので再び馬車は動き出した



・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・

数時間後

「・・・・・」
「・・・・・」
「ね〜・・」
「・・ああっ?」
まっすぐ前を見てる俺にレスティーナがたまらず話しかける
襲撃以降一言もしゃべってなかったからな
「あの・・調子が悪かっただけ・・だよね?」
てっきり俺が剣の達人かと思っていたんだろうな。剣を渡したのが余計な事をしたと気を悪くしたんだろう
「まさか、あれが俺の実力さ」
嘘は言わない。剣を振るのはそれこそ初めてに近いからな
まぁここで本性がわかったらそれはそれで問題だから・・歯を食いしばる
「そう・・なんだ・・」
「何だよ?意外か?」
「うう〜ん・・意外・・かも。クロムウェルって・・自信たっぷりだったから・・てっきり・・」
「まっ全てに置いて自信がある奴はそうはいないさ、ってな事で有事の際にはよろしく頼むぜ!レスティーナさん♪」
こうなったらトコトン役立たずな神殿騎士としているしかない・・
・・タイムへの報酬は三割り増しということで我慢してやる・・
「・・うん・・わかった・・。ごめんね、何だか期待しちゃって・・」
「謝ることないって、その代わりサバイバルテクや乗馬術じゃここじゃ一番だからな!あっはっは!!」
「・・笑い声、乾いているよ?」
「・・放っておいてくれ・・」
・・・はぁ、面倒だし・・溜まってきそうだぜ・・
その時、馬車の扉が静かに開いた
「ふぅ、ずっと室内というのも気が滅入ってくるな・・レスティーナ、悪いが交代してくれないか?」
シトゥラだ、気が滅入るって・・・今回より長い旅もしたことあるのに・・
「う・・うん、わかった」
レスティーナもそれに素直に応じた、まぁ走行中ってのも危険だから一旦停車して入れ替え
隣に座ったシトゥラは何やら面白そうににやけていた
「・・んだよ?」
「ん・・?いやっ、よくがんばったと思ってな」
「何がだよ・・?」
「ふふふ・・」
笑いながら俺の肩を組んでくるシトゥラ・・
「ボソボソ・・(お前が神殿騎士じゃないとばれたらエイリークに不安が走るからな、良く堪えたじゃないか)」
「ボソボソ・・(性には合わないがな・・、他者が関与があるとしたらまずアグリアスが突っかかってくるだろう)」
本当の事を言ったらそれこそ激怒するか?我らを信頼せずによそ者を護衛に回すとは・・って
まぁ丸く収めるには我慢するしかないぢゃん。
「ボソボソ・・(そうだな、お前が正体明かして暴れだすと思って内心ヒヤヒヤしたぞ?)」
「ボソボソ・・(心臓に毛が生えているお前の言う事か?っうか笑っていたじゃねぇか)」
「ボソボソ・・(何、お前が成長したと思ってな。それでも苛立っているのだろう?ほぐしてやろうか・・?)」
そう言うと俺の耳に軽く息を吹きかけてきた
・・それじゃ娼婦だぜ、シトゥラさん・・
「ボソボソ・・(う〜ん、まぁそうして欲しいんだけど今は禁欲だ。いくらシトゥラとは言えどもタイムは嫉妬する)」
「・・ふ・・はははは!!」
「な・・なんだよ!」
「何っ、お似合いだと思ってな・・、それだと心配無用か?」
「ったりめぇだ!ちゃんと仕事はこなすぜ」
ったく・・シトゥラは魅力的な女性だが刺激が強すぎる・・素だし
ここでお願いしますって言うと口淫ぐらいはしかねないからな。
抵抗がないってのも恐ろしいもんだ
「ふっ、では戦闘は任せてくれ・・・役立たずのクロムウェル君」
「へいへい、この怒りを纏めてぶつける時まで任せるぜ。シトゥラ先生」
あ〜も〜!
嫌な感じだ!早く暴れたいぜ・・


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