第十話 「あんた王さんですか?」


機動部隊のおかげで俺達が思った以上に事はあっさりと進んだ
嬲られて気絶している三人をあいつらは眉一つあげずに運搬し先行して治療施設に向かった
そして俺達が招かねたのは首都であるダンケルク・・
その中でも顔パスで城に案内された
王直属であの連中を殲滅する予定だったらしい・・・ってことは散々ダンケルク国内で悪さをしたのか

「・・ほぅ・・興味深いものだな」
ここに来てから2日ほど経過しているのだがシトゥラは感心されっぱなし・・、まぁダンケルクはハイデルベルクとは違って建国の頃から獣人差別を廃した珍しい
国だからな。街で活気に満ちた獣人達を見て驚いているのだろう
因みにハイデルベルクでも最近その地位の向上をさせる動きが見られている・・まぁその先端を行くのは貿易都市ルザリアってわけだ
タイムやオッサンリバンが「貿易の要となる都市故に人種を差別するのは不利益をこうむる」っと訴えたらしい
・・まぁ、そんな環境じゃなきゃシトゥラなんて騎士と同等の扱いを受けれるわけがないものな
「ルザリアでも活発だったが・・ここほどでもないからな」
「うむ・・、どうやら話のわかる王のようだ」
「そういう方針を貫いてきたようだからな、宗教にも寛大だし・・さぞかしの名君なんだろう」
俺達は経緯をあのアゼフって奴に伝えたのちに王と面会することになった
・・まぁ何も言わないが拒否権はないだろう、三人世話になっているんだし
それにしても客室で待機ってことなんだが結構豪華な造りだ。
赤絨毯だし・・内装も整っている。・・まぁ俺達に対する疑いはないってことだろう
この都市は坂の上にあるようでこの城が坂のてっぺん・・窓からの光景も街を見下ろすようになっているようだ
・・だが、遠くまで見たら・・なんだ・・?クレーターみたいになっている?
昔・・何かあったようだな。フィート辺りがいればわかるんだが俺とシトゥラじゃ無理か
「良い国だ・・ルザリアもこうなって欲しいもんだ」
シトゥラも窓から見える光景に微笑んでいる・・、もはやルザリアは第二の故郷のようになっているようだな
「そのためにタイム達ががんばっているんだ・・いずれは良くなるさ・・なんてったって俺が手を貸しているんだからな!」
「ふふ・・逆効果になりかねないのだがな」
・・シトゥラさん、突っ込みキツイよ?
「やかましい・・。まぁその時までシトゥラもあいつの力になってくれよ・・」
「・・ふっ、言われるまでもない。」
「って・・ほんと里に帰らなくていいのか?」
ずっと戻ってないみたいだが・・
「大丈夫だ、私が見た世界を里の皆に伝えるにしてはまだまだだからな。もっとこの世を見なければ・・」
「そんじゃ・・今回の旅も良い経験になったか・・」
「刺激が足りなかったがな・・。お前に求めても後が怖いだけだ」
・・おいおい・・、夜這いでもかけるつもりだったのかよ・・?
まぁいくら性に関してはオープンなシトゥラとは言えタイムは黙っていないだろうからな
因みにオープンっても誰でもヤらせてくれるわけでもないぜ?一人前の戦士と認められてこそだ
前に聞いたけどシトゥラ達の白狐族ってのは成人した奴は自分の意思で好きな異性と交わり子を作れるんだとよ
異常っぽいけどどうやら一族全員の男が『父』であり全員の女が『母』だからな
あんな鼻水凍る土地で暮らしているんだから子孫を残すことが最大の仕事ってなわけさ
しかし・・羨ましい一族だぜ・・。まぁ成人の儀ってのがあるらしくそれで命を落とす奴が必ずいるってんだから
一人前に認めてもらうのはキツイらしいんだけど・・

コンコン

”クロムウェル殿、シトゥラ殿・・ヤスパール王がお呼びです・・”

おっと・・ついにご対面だ
「よしっ、行こうか」
「ああ・・どんな人物か楽しみだな・・」
同感、かつての動乱を治め国を立て直した名君・・さぞかしイカツイ奴だろうな
こりゃ失言できないか・・

・・・・・・・
・・・・・・・

「ようこそダンケルクへ・・クロムウェル殿にシトゥラ殿」

・・・・・・、玉座で優男が声をかけてきた
ここ、王さんの間だよな?ってことは・・あの豪勢な椅子に座っている俺と同じくらいの銀髪の男が・・ヤスパール=カルディーノ!?
「え・・あ・・おお・・」
「まぁそんなに緊張なさらずに、私がダンケルク国王ヤスパールです・・意外でしたか?」
怒りもせずに応えるヤスパール、どうやらそういう質問には慣れているようだな
「ああっ、正直驚いたぜ・・」
「ちょっと・・王の手前よ?そうした口の利き方は失礼じゃなくて?」
ヤスパールの隣で豪華なドレスに身を包む銀髪女性・・まぁこれでもかってくらいの巻き髪をしていかにも貴族お嬢さんって感じだが・・
気が強いな・・
「まぁまぁ、リンディス。彼の事はあの人達と同じなんだから・・」
「ふん、全く非常識ね」
「ははは・・、シトゥラ殿の事は耳にしておりませんがクロムウェル殿の事は兄上から良く聞いております」
・・兄上?
「その兄さんっていうのは情報通か何かなのか?」
「いやいや・・、やはり素性は明かしていませんでしたか。・・ユトレヒト隊はご存知ですよね?」
ユトレヒト隊・・俺の一方的にライバル視しているクラーク=ユトレヒト率いる出鱈目連中だ
正直一国の軍隊かそれ以上の戦力を持っている・・なんてったってクラークさんだけでも一騎当千だもんな
「ああっ、よぉ〜・・っく知っているよ」
「その中にいるロカルノという戦士が・・私の兄です」
!!?
うぃ!?あの仮面マニアが!
「あの・・って、じゃああいつは王子様だったのかよ!?」
「ええっ、本名ローディス=カルディーノ。ダンケルク第一王子ですよ・・まぁ本人は当の昔に王位継承権は破棄していましたが・・」
「ほええ・・そうだったんだ・・、そっちの巻き髪さんはおたくの・・」
「妻です。リンディス・・ご挨拶を」
「お〜ほっほっほ!!私がリンディスよ。紹介が遅くて困っていましたわ。」
・・これが、王女?・・ダンケルクの未来は明るい・・のか?
「・・、なぁ、政略結婚か?」
俺の質問に周りがざわめく・・が
「いえっ、恋愛の末の結婚ですよ。よく間違えられるのですが・・政略するような裏方がいませんので・・」
「・・じゃあ、その趣味は家系か・・?」
「はははは、そうかもしれませんね。宰相・・父上の場合はどうだったのかな?」
二人の近くに立っている見事に禿げたおっちゃんに聞く
・・全然そうは見えないのだがかなりの地位だったんだな
「左様ですね・・私が言うのも何ですが・・高飛車な女性でしたので・・やはり・・家系かと・・」
「・・のようです。兄上もセシルさんと良い仲のようですからね」
にこやかに笑うヤスパールだがリンディスは今ひとつ良い顔をしない。
ムキになって反論しないところを見ると恐妻家ってわけでもないらしい
「・・それよりもヤスパール王、三人の状態はどうなんだ?」
おっと、和やかな話もここまでか。シトゥラも気になっているようだ
「命に別状はありません。三神教に仕える聖職者なだけにわが国の総力を結集して治療を施しています」
「・・でっ、結果はどうなんだ?体が治っても心が壊れていたら意味がないぜ?」
「ええ。記憶の方は拉致される直前まで消去しました。ですので強姦にあった記憶はなくなっているはずです
体の方もアグリアス殿は妊娠をしてエイリーク殿も寄生体がびっしり巣食っていましたが全て除去、胎内治療をして
処女膜も再生しておきました」
・・万全かよ・・、っていうか・・
「処女膜って・・再生できるのか?」
「ええっ、宗教関係者ではそうした事を気にする人も多いですからそれようの技術は意外に盛んですよ。
私の妻も良く世話になっております」
「ヤス!!皆の前で何を言っているの!!?」
真っ赤にして怒るリンディス・・意外に可愛いところがあるみたいだが・・何回も再生しているらしいな
痛くないのかよ・・
「まぁ聞かなかったことにしておくよ。じゃあ・・全て万全か」
「体のほうは問題はないです・・ただ記憶の封印というのは完全な技術ではないので何かの衝撃に目を醒ますかおぼろげながら
残っている可能性はあります」
「・・それではまずいのではないか?」
「まぁ、実際起こった出来事を完全にゼロにするのは不可能ですよ・・、今までの結果ではその削除した出来事が夢だったと思いこんでいる人が
ほとんどです・・他人が手を加えなくても自分で封印もしているわけですね。
ですのでそれが悪夢のように思い込むか何か違和感が感じる程度か・・です。」
やたらと詳しい・・たぶん今回が初めてのケースではないようだ
まぁダンケルクって森が多いからな。冬場の厳しさを考えると女性を苗床に繁殖をする生物なんていても全然おかしくない
人間の腹が安全だって本能で理解している化け物は結構いるものな
「ふぅん・・・じゃあ一応の封印だな」
「はい、報告では同じ体験をしない限りすべて目覚めることはないとの事です・・」
ふぅ・・一時はどうなることかと思ったが何とかなったか
「ですが・・我が国の部隊でも騒然としていましたよ・・シトゥラ殿。」
「んっ?・・何がだ?」
「部隊が突入した現場では訓練を受けたあの精鋭達でも吐き気をこみ上げていたと聞いています・・何とか首が残っていましたが・・」
おいおい・・どれだけ暴れたんだよ・・
っうか首以外はもうグチャグチャですか?・・怖くて聞けねぇ・・
「ふっ、女性を玩具のように扱う輩は気に食わないのでな。旅で腕もなまって来たので存分に暴れさせてもらったまでだ。
・・不具合があったか?」
「いえっ、凄惨な現場での気の引き締めになると部隊が礼を言っておりました。彼らが担当した中で一番すごかったようですからね」
やっぱりエゲツない状況だったのですか!・・恐ろしい・・
「ふふふっ、まぁ・・問題がなければそれでいい」
シトゥラも何でも寛大と思いきや・・女性が虐げられることは我慢ならないようだな・・
「お〜お〜、タイムだけじゃなくてシトゥラも怒らせたら怖いようだぜ」
「タイムには適わないさ。でっ、今後の予定はどうするんだ?余りここで滞在していると問題が起こるんじゃないか?」
・・・あっ、そうか。三人の記憶との日付のずれが生じるってことだな・・
「確かにまずいな、報告とかもあるだろうし・・王さん、三人はもう移動させていいのか?」
「ええっ、寄生体や妊娠の治療は時間が勝負ですからね。他は魔術による治療ですのでもう大丈夫です」
「そっか・・のんびりしたかったがそうもいかないみたいだ。用意ができしだい出発したいんだけど・・いいかな?」
「もちろんよくってよ。貴方達がそう言うと思って三人を馬車まで運びましたわ・・ついでに食料も積載しましたので・・
ヤスパール王と私に感謝するがよろしいわ!」
・・恩着せがましい・・っうか確かにこいつは恩だからな
・・・・一応礼は言っておくか
「ありがとよ、麗しきリンディス王妃様」
「わかればよろしい♪貴方も見所がありますわね・・その気があるならば私直属の部隊に迎え入れてもよくってよ?」
こいつ直属ぅ?絶対怪しい部隊だろ・・
「遠慮します」
「・・その気があるならば私直属の部隊に迎え入れてもよくってよ?」
「だから遠慮します」
「・・その気があるならば私直属の部隊に迎え入れてもよくってよ???」
だぁぁぁ!!
「俺はルザリアにいたいんだよ!!こっちに引越しする気はねぇ!!」
「リンディス、クロムウェル殿も色々あるんだから強制はよくないよ」
「・・仕方ありませんわね。次にこの国にはいったら容赦はしませんわよ?」
もはや二度と俺はダンケルクに来ることはないだろう・・
この人マジっぽいですし・・
「はいはい・・そんじゃ世話になったぜ」
「失礼する・・」
軽く礼を言い城を後にする
これ以上いたならば厄介な事になる・・早々に行かないとな

・・・・
・・・・
・・・・


ゆっくりと観光をしたかったのだがそうも言ってはいられない
城の兵士達に連れて行かれ城の庭に留められている馬車へ・・
そこにはあの服装のままの三人がいた
何やらキョトンとしている・・んだが、アグリアスとレスティーナはまだしもエイリークの服装は破られたりしていたのに・・
見事に紋章までも復元している。魔法か?
「あ〜!クロムウェル〜!」
元気に声をかけてくるレスティーナ・・どうやら記憶は無事封印されているみたいだ
「よう、お目覚めはどうだ?」
極力平静を装う・・ボロが出ないようにシトゥラは終始無言ということで決定
「貴様・・我々は・・どうしたんだ?」
アグリアスも何が何だかわからん状態のようだ
「何言ってんだ。三人とも帰りにダンケルク熱をこじらせて寝込んでいただろう?
そこを助けてもらったんだよ」
「ダンケルク・・熱?」
「さっき俺も聞いたんだがここいらでこの季節に流行る風邪なんだってよ。国民には予防接種しているけど俺達はよそ者だからな
・・なぁ?」
「「は・・はい・・」」
我ながら見事な嘘だ・・隣や三人を案内していた兵に同意を促しなんとか誤魔化せたみたいだ
ほんとはそんな風邪ないんだけど、国内でしか生活していないこいつらにとっちゃ真に受けるってもんさ
「そうでしたか・・あの・・クロムウェルさんは無事なんですか?」
「ああっ、俺は日ごろから健康には気をつけているからな」
「・・ふん、馬を扱うことしかできない奴が偉そうぶるな」
・・・・、
俺の正体も忘れたみたいだ。よし・・いける
「へいへい。さっきヤスパール王に礼を言ってきたからもう行くぞ?」
「え・・ですが助けてもらったのでしたら私達も・・」
「エイリーク、病み上がりが王様と面会させてもらえると思うか?」
「あ・・そうです・ね」
「まぁもう問題ないんだけどな。そういうのは結構うるさいらしいから勘弁してくれ。さぁ行くぞ〜!」
三人を馬車に乗せていざ出発!
これでひとまずは安心だな・・

・・・・・・



結局のところ誰の差し金なのかわからなかったのだが実行犯は殲滅できたわけだから
帰り道は気楽そのもの
三人は病み上がりだからということでずっと馬車内で座らせている
まぁそれで特に問題がない
だが・・

「ここを入るのは初めてだな〜」

フィン草原都市群の中部辺りにさしかかったところでシトゥラが気を利かせたのか
操縦を交代すると言ってきた
俺の操縦を見て知らない間に盗んだらしい・・まったく問題ない・・
あいつも結構才能あるよな
「そういえばクロムウェルさんはずっと操縦してくださっていましたものね」
ダンケルクを出発した頃には何やら気分が優れないような素振りがあったんだがもう大丈夫みたいだ
「まぁ室内でじっとしているよりもマシだからな・・しかし前と違ってこのソファふかふかだな」
かなり上等な室内・・四人乗りで中央には大きめのテーブルのみという最小限の造りだが
結構しっかりしている
「当たり前だ。三神教司祭のエイリーク様が乗られるんだ。一般市民が使用するものと一緒にはできまい」
腕を組みながら俺の隣で不機嫌そうにつぶやくアグリアス。
「・・その割には操縦席は二級品ですが・・」
「司祭様と同じでどうする・・」
「それもそだな・・んっ?どうしたレスティーナ?俺の顔見て・・」
「なんだろう・・私・・クロムウェルに謝らないといけないような気がする・・」
・・・・・
「何言ってんだよ、俺が馬を操るって言い出したんだ。謝罪してもらうようなことじゃねぇ」
「そ・・そうじゃなくて・・何だろう・・何だか変だよ・・」
「あんな〜、何があろうとおれは怒りはしないって。これでも心は広いんだよ♪」
「・・む・・ん・・」
唸るアグリアス・・重い空気が車内を包む
まさか・・な
「何変な事で沈んでいるんだよ!それよりもせっかくこの美男子が車内にいるんだ!サービスにサインや質問を受け付けるよ〜!」
「うふふ・・変なクロムウェルさん。では・・そうですね〜、私は余り巡礼以外外出しないのですが・・ルザリアはどういうところなのです?」
明るく振舞うエイリーク、気分展開したいってのは皆同じみたいだ
「ルザリアか〜、そうだな。
忙しいところだぜ?商業は盛んだし色んなところから難民貧民が来たりしているからな」
「難民や貧民を・・?それをタイム団長が仕切っているのか・・」
アグリアスも興味があるようだ・・確かこいつはタイムに憧れているっぽかったからな
「まぁな。テントで生活する貧民達を騎士が巡回して世話もやっている・・こいつはオサリバンがルザリア団長だった時から
行っていたんだけど本格的にテント群担当を設立したのはタイムが団長になってからだ」
「本来の騎士職からは離れている職だと思うのだが・・」
「まぁだからと言ってむりやり押し出すのはいけないだろう?機会があれば職の紹介をしたりしているからテント群の連中も騎士団には
友好的だ。だから色々と役にも立ってくれたりもしているぜ?」
貧民ならではの情報網ってのもあるからな・・
しかもそれを束ねている代表役なじいさんが元大泥棒なんだし
「型破りだな・・だからこそ認められたのか・・」
感服しているアグリアス・・こいつならタイムとも気が合うだろうなぁ・・
「じゃあ次は私〜!確かクロムウェルはセシル様とも合ったことあるんだよね!?」
レスティーナ・・嫌な予感がする
「ん・・お・・おお・・」
「すごいすごいすご〜い!!私も会ってみたい!!ねぇねぇ!今どこに住んでいるかわかる!?」
・・やっぱり・・
「その前に・・君が知っている金獅子セシルの情報を述べよ」
「ん〜っと!すっごく凛々しい聖騎士様で知的で誰にでも優しい人!
聖騎士になる前にも100人斬りを達成したりすごい人だよ!
正義感が強くてぇ、騎士の鏡みたいな存在なの!!」
・・や〜っぱり・・
「その印象を持っているなら教えない」
「え〜!どうして〜!?」
君の幻想を崩したくないからさ
「貴様・・、教えない気か!?」
・・アグリアスまで!?・・どうやらあいつも女性騎士の中での憧れなんだな・・
「俺からは・・言わないほうがいい。知りたければタイムから聞けよ?」
「タイム団長・・が?あの御方もセシル様と面識があるのか?」
「えっ?知らなかったのか?セシルとタイムは騎士学校時代からの付き合いだぜ?」
「え〜!!?」「むぅ・・」
仰天しているよ・・おい・・
「そうだったの!?すごいすごいすご〜い!」
「まぁ一時期は疎遠だったが今でもたまにルザリアに来て話し合っているよ。親友って奴だ」
「そうだったのか・・我々の中でも全く知られていなかったな・・」
「まっ、タイムが有名になったのは大方ルザリア騎士団長に昇進してからだろうからな。無理もないさ」
上官職でも立派なんだが・・やっぱり長になるとは話が違うみたいだ
「ふぅん・・じゃあ!クロムウェルとタイム団長はどうやって付き合ったの!?」
「ぶっ!?レスティーナ!んな事を聞きたがるのか!!?」
「ええ〜?いいじゃ〜ん、ダメ〜?」
ニヤニヤしやがって・・
「ダメだ。俺とタイムの中はトップシークレットだ。その方がお前達の中にあるルザリア騎士団長のイメージが崩れなくて済む」
「・・っということは、タイム様もプライベートでは素敵な女性・・っと言うわけですね」
二コリと笑うエイリーク・・何気に興味津々だな、おい・・
「・・・まぁな。何だかんだ言ってもあの若さで有数の貿易都市を護る団長になったんだ。仕事に徹するために職務中はああまでしているってわけだよ」
だからこそ本当のタイムを知る者は俺以外ほとんどいない
ふふふ・・ここに優越感が生まれるわけさ
「それを支えているのが・・クロムウェルさん・・っというわけですね」
「まぁな♪俺がいれば百人力ってやつだ!」
「・・ふん、まぁ確かに貴様の腕ならば支えぐらいにはなるか」
・・えっ・・?
「・・アグリアス、今なんて言った?」
「・・んっ?どうした?」
「アグ、変だよ〜?クロムウェルは戦闘が苦手だったじゃない」
「・・そ・・そうだったな。何だ・・一瞬この木偶の棒が・・違う存在に・・思えたのだが・・」
「そういえば私も・・そんな気が・・」
「う・・うんちく振舞っているからそう思えているんだよ!!変な誤解するな!」
・・ヤスパールが言っていたように記憶の封印は完全なものじゃないな
こりゃ・・極力ボロがでないように会話を減らしたほうがいいか

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