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「彼と彼女と妾龍と・・」 第四話


それから数日・・警戒するものの動きがないためにとんだ肩透かしを食らったルザリア騎士団
相手の動き待ちということもなれば準備さえ終わればやることがない
その日の夜も・・

「よっ!クロムウェル!飲みに来たぜ〜!」
すでにほろ酔いのイリアがクロムウェルの部屋に入ってくる
彼はと言うと手持ちの本を慌てて隠し明らかに動揺している・・
「お・・・おい!人様の部屋に入る時にゃノックをだなぁ・・!」
「おいおいおい!何か隠したぞ!タイム!押収だ!」
愉快そうに笑うイリアに廊下から入ってくるはイリアよりも酔っているタイム・・
すでに完全に出来上がっている
「クロ!危険物取り扱い容疑で逮捕する〜!」
「タイムまで!?おい!やめれ〜!!」
イリアとタイムに羽交い締めされるクロムウェル、
両腕に伝わる二人の胸の感触に少し頬が緩んでしまうが事態は悪い・・
「なに〜、うわっ!春画じゃない!!クロ!こんな物を持っていたの!!」
「変態だな〜!どれ・・うわっ!この本の絵全部タイムにそっくりだ!」
「やめれ〜!!」
クロムウェルを突き飛ばし二人で仲良く春画鑑賞・・
その中身は片目を髪で隠した女性がありとあらゆる攻めを受けているもので
イリアの言った通り外見はタイムと全く同じだ
「こんなので私を想像しているの!クロの変態!」
「うう・・もう御婿にいけない・・」
ヨヨヨ・・っと泣くクロムウェル・・、相当恥ずかしいようだ
「なんだよクロムウェル。タイムと付き合っているんだったらこんな事もできるだろ?」
「うるせいイリア、こんな事したらタイムが壊れるだろう!」
「ってことは〜、壊れるくらい苛め倒したんだ♪か〜!やっぱ男だな〜!」
「クロ〜。遠慮しなくていいからドンドン攻めてきなさい!」
「うるせい!酒乱娘二人組み!これは俺の純情じゃい!
っうかお前達最初は結構仲悪くなかったのか!?」
「仲悪い〜?何、タイムがちょいと誤解しただけだ!今は仲良しだよな!」
「ええっ、イリアの飲みっぷりに惚れたわ♪」
「・・・タイムじゃない・・」
「それよりもクロ!なんでこんな春画があるのよ!これってまるで私じゃない!」
「い・・いやぁ、タイムのファン達が画師にリクエストしたみたいで
ルザリアの裏で出まわっている・・らしいんだよ。
俺はたまたまゴロツキから没収しただけであって・・
決して〜、自分で買ったわけじゃないんだな〜これが・・」
「目が泳いでるぞ!吐け!クロムウェル!」
笑いながらチョークスリーパー・・背中に当たる至極の感触と
酔ってはいてもツワモノな首の絞め付けに目を白黒させるクロムウェル
「ぐええ!わ・・わかった!わかったらやめてくれ〜!!」
「じゃあ真実は?」
「・・タイムとの今後の計画として・・」
「死刑♪」
「了解♪」

グググ・・
「てめぇタイム!攻めてこいって言ったじゃねぇかぁぁぁぁ・・・ガク♪」
タイムに酒を飲ませちゃいけない・・そう思いつつブラックアウトするクロムウェルだったとさ・・




一件和やかなルザリアだが確実に事態は進行している
貴族地区、主に貿易商売でルザリアに訪れた貴族やその別荘が並ぶ地域
っと言ってもどの屋敷も周囲を高い壁で囲んでいるためにその中身はわからない。
規則的な建築がされているだけにそこらは丸で壁の迷路さながらとなっている
その中の一軒・・、貴族地区の中でも一際大きい屋敷がある

「珍しい物かと思いきや・・、中々面白い代物のようだな・・」
骨董品が溢れる一室にて一際大事に置かれている壷を見て男はニヤニヤ笑う
壷はそれに応えるわけもなく静かにそこにある
「ふっ、魔術師としての昔取った杵柄というわけか。
これでわしの富は確かなものになりそうだ、
しかし・・これはひょっとして・・」
壷は見たところ他の棚に並べられたものと全く同じなのだが、
魔術師だった彼には別の何かを感じ取り魔術師の中で最近噂になったある事件を思い出す
・・そしてそれに惹かれるように壷へと手をかけていった

・・・カサカサ・・・カサカサ・・・・

同時刻
騎士団屋敷にて特にやることもなく雑談をしている面々
「うう・・気持ち悪い・・」
ソファでだらしなく寝転ぶイリア・・・、タイムも机に座りながらも青い顔をしている
「全く、いい年して飲み過ぎだ馬鹿野郎ども」
それを呆れて見ているはクロムウェル、テーブルに足をのりだしてダラダラしている
「っうか俺達なんでお前の部屋で寝ていたんだ?全然記憶にねぇや・・」
「・・そうだな・・」
「お前等二人の悪事は永遠に表に出ることはなかろう・・っうか言わん」
「その様子だと・・ヤられちゃった?」
「・・・・」
イリアが軽く言ったのだがタイムは瞬時に赤面状態に・・
「せ・・先輩!!まさか男が憧れる3・・」
「それ以上は言うな!まだ昼間だ!」
クロムウェルの隣でくつろいでいたフィートを静止する・・、
っうかこの物語自体が昼間に読むものでもないような大丈夫なような・・
「うわ〜、その様子だと完璧に被害受けちゃったか〜」
「ちゃう!俺が被害者じゃ!俺の部屋に上がって人の秘密を暴露しまくって!!」
「暴露・・、先輩の秘密をお二人は知っているのですね!?」
「・・憶えてねぇ・・」
「うん・・、なんだ?秘密って?」
二人は全く思い出せないようだ
「教えねぇ、黙って仕事しろ」
プンスカなクロムウェル・・
いつもの騒がしい騎士団の光景・・なのだが
「「!!!!」」
急にイリアとフィートが同じ方向を睨む・・
「・・引っかかった・・か!?」
「そのようですね・・、この方角・・貴族地区ですか」
「お・・おい、何かあったのか?」
「動き始めたんだよ・・」
イリアが素早くソファから飛び起きる、それと同時に

「タイム団長!貴族地区の屋敷で怪物が突如現れたと報告がありました!」

騎士の一人が慌てて入ってき、報告する・・
「わかった、直ちにクロムウェル達に向かってもらう、他の騎士は付近の住民の避難を!」
咄嗟の出来事だがタイムはすぐに事態を把握し指示を出す・・が
「それが・・最寄の見まわり中の騎士達が先に退治すると言って・・」
「何・・!?ちっ・・腕に溺れたか!!」
騎士の報告にイリアが苦虫を噛み潰した顔をする
騎士達に訓練をし強化を計ったのはイリア自身なのだ、
その事で騎士が己を過信して無謀を行うのは当然自分にも責があると感じる
「スクイード達をその屋敷に向かわせろ!俺達もそこに向かう!
てめぇらはこれ以上勝手な行動をするなよ!!」
クロムウェルが怒鳴ったかと思うと急いで団長室を後にした

・・・・・・・

問題の屋敷前、
建物はすでに半崩壊状態となっており庭には4本の鋭い刃のような腕で
地に立つ一つ目の蜥蜴のような怪物が暴れまわっている
その入り口の門には手負いの男性騎士二人と必死で結界を張っている一人の女性騎士が・・
「おい!大丈夫か!!」
そこへクロムウェルが急いで駆けつけてくる・・
「へ・・変態・・貴様・・」
女性騎士も結界を張るのに限界が近づいているようだ・・。門にも怪物が押し寄せてきている
「ちっ・・・おい!フィート!!」
「了解です!カチュアさんちょっと失敬!!」
「えっ?」
叫ぶクロムウェルにフィートはすぐ察知し同行したカチュアの道具袋から鋼串を数本を拝借する
・・そしてそれらに素早く護符を突き刺し天高く打ち上げる・・
「守護方陣・・『縛』!!」
魔力を込めたかと思うと符を刺した鋼串は四方に散らばり屋敷の周りに薄い紫の幕が包んだ
「これでひとまず安全です・・が・・手を洗わなければ・・失敬」
拭き拭きとカチュアの騎士制服で手を拭く・・が

ゴン!!

「ラーメン殺す・・」
カチュアさんご立腹・・
「それよりも大丈夫か?お前達!」
とりあえずは身内のスクイードが叫ぶ・・
「すみません、スクイードさん・・。二人も命に別状はないかと・・」
結界が張られたかと思うとその場にへたれこむ女性騎士・・、
屋敷規模の広さに結界を張ること自体、一般レベルの騎士が行使するには無理があることなのだ
「うう・・すみません・・スクイードさん・・イリアさん・・」
唸りながらも身体を起き上がらせる男性騎士達・・、
二人とも腹を切り払われているのだがそれほど深手でもないようだ
そんな二人にイリアは静かに近寄り・・
「現場に向かって被害を食い止めようとしたのは感心できる・・だが・・」

パン!パン!

「無謀な事して手前の命を捨てるような力を学ばせた憶えはねぇぞ・・」
怪我人に対して容赦のないビンタ・・、そして凄みのある声でお叱りをする
「「す・・すみません・・」」
「よし、誰かこいつらの傷の手当てを・・おい、お前もだ」
へたれこむ女性騎士達を指差し他の騎士達が救助して連れていった
「・・さて、とりあえず結界は張ったがどんなもんよ?フィート」
「符による結界です。
時間とともに弱くなりますし内側から強力な魔力の衝撃が起これば消し飛びますよ」
さらりと言ってのけるフィート・・
「ならば・・、さっさと終わらせる必要があるな。
戦力的にみてあの怪物相手に立ち向かえるのは・・
スクイードと私、キースとカチュア。後はクロムウェル、フィート、イリアだな」
唇に指を当てながらシトゥラが呟く・・、彼女の辞書には焦りという言葉がないらしい
「いくら訓練を積んでいても一般騎士にゃちょいきついか・・、あの化け物達は・・」
「そうですね。ですが生存者がいるかもしれません。数人は生存者確認と救出に廻して・・」
「壷見つけるのは俺とフィートとクロムウェルでいいだろうな、あの刃蜥蜴の化け物相手は・・
お前達四人で何とかできるか?」
「応とも!ルザリア騎士団の実力を見せてやる!」
すでにやる気満々なスクイード・・
「まぁそれが妥当か。背後を守りつつ一匹一匹確実に仕留めるぞ・・」
対し冷静そのものに短剣を取り出すシトゥラ
「了解です、切り込みは任せてください」
こちらも冷静ながらすでに闘気を出すキース
「だるい仕事ね〜・・ったく・・がんばるから後で紫ラーメン処刑ね」
唯一やる気のないカチュア・・
「ようし!屋敷内に入る騎士以外は付近への避難を頼む!
事の次第によっちゃここら一帯やばいことになるからな!」
残りの騎士にクロムウェルが喝を入れ、彼らも蜘蛛の子を散らすように作業へと入った

「さて、そんじゃあ結界に穴をあけて突入しますよ。皆さん油断しないでくださいね・・」
先頭に立つフィート、ゆっくりと結界に手を触れ人が通れるほどの穴をあける・・
「まずは道を作るか・・いくぜ!」
先陣に立つイリアが魔弾を放ち門ごと怪物達を吹き飛ばす!
それにより庭をうろついていた怪物達は一斉に門の方へとむき出す
「・・なぁ、逆効果じゃないか・・?」
「ドンマイ」
そんな中でも一騎に突っ込み道を作ろうとしている漢が一人・・
「ようし!いっくぞぉぁぁぁぁ!」
スクイード青年、愚直なまでの突進はここまでくると勇ましい・・
ともあれ、まずは門付近の怪物にハルバートを突き刺しそのまま飛ばす!
「ここは僕達の出番だ!他の皆は屋敷後に向かってくれ!」
「良いとこ取っちゃって・・、ようし!
連中はスクイード『一人』が引き付けてくれる!今のうちに中に入るぞ」
「・・・え゛・・・」
クロムウェルを先頭に戦闘能力の低い一般騎士を囲むようにしながら屋敷へと向かう・・
庭の建造物はあらかた崩壊している
屋敷だけは意外に丈夫なのだが・・
ともあれ、クロムウェル達は素早く屋敷へと入っていった
「さて、スクイード達ばかりに良いところを見せてもいけないな・・」
シトゥラが少し笑いながら構える
かくいうスクイードは引きつけるというか怪物の豪腕を避けるのに必死というか・・
「呑気に言っている場合ですか・・!はぁ!」
シトゥラに比べてかなり真剣なキース、得物のクレイモア抜き一気に駆け出す!

斬!

強烈な一撃が刃蜥蜴の肩に深く突き刺さる!
「スクイード!大丈夫か!」
そのまま刃蜥蜴の背中に乗る
「な・・なんとか!うわっ!」
そうこう言う間に刃の腕がスクイードの頭スレスレを掠る・・
「ちっ、多勢に無勢か・・ぬっ・・」
致命傷かと思っていた刃蜥蜴が突如暴れだしキースを振り落とそうとする
「キース!危ないわよ!」
相方がそれに対しなんとか救出しようと多目的用に忍ばせたワイヤーを取り思いっきり投げる
・・その先端は輪になっておりキースはそれを掴んで引っ張ってもらう・・はずだったが・・
「ぐっ・・!?」
間違って首にすっぽりと・・
「あ・・あら・・まぁいいわ!キース!今助けるわ!」
「ちょ・・ちょっと待て・・、ぐぉ!!」
首にワイヤーが締まったまま引っ張り刃蜥蜴から救出・・、
スクイードもその隙に一時仲間の元まで駆け寄った・・が
「ああっ、キース!怪我しているじゃない!・・おのれ畜生!!」
「ち・・がう・・げほ・・げほっ・・」
なんとか無事なキース、この程度では死なせてくれないのが騎士・・
「と・・ともあれどうする?あれだけ深く斬ってピンピンしているぞ
・・・庭にいるのは合計・・ひい・・ふう・・みい・・・・6匹か・・」
「長引かせると厄介だ。一気に行くぞ」
リーダー格のシトゥラがそう言うと全員が無言で頷いた
「先制は私ね・・早速いっくわね〜・・・『五月雨』!」
その場で一挙に十数本の鋼串を投げる!

グサ!グサグサグサグサグサグサグサグサグサ!!

「キシャアアア!」
モロに受けた一匹が大きく身体を仰け反らせる!
「よし、キース!合わせろ!」
「言われるまでも!」
スクイードとキースが同時に踏みこみ・・
「はぁ!」
「ぬぅん!!」

斬!!!

強烈な斬撃が刃蜥蜴を十字に切り裂き死滅させる・・
「先ずは一匹!」
スクイードが着地しながら次の獲物を定め様とした時

ドス・・

隣にいた刃蜥蜴の鋭い刃腕がスクイードの胸を貫通した・・が
「・・(ニヤリ・・)」

パリィィン・・
スクイードは少し笑ったと思いきやその姿にヒビが入り割れていく・・
それはシトゥラの実現化した『幻鏡砕壁』・・、鏡の破片は意思を持つように刃蜥蜴を襲う!
「ふっ、怪物如きには何が起こったかわかるまい・・」
何時の間にか破片の突き刺さった蜥蜴の背中に立つシトゥラ
そしておもむろに短剣を振りかざし心臓目掛けて突き刺す!
「そしてもいっちょ『五月雨』〜!!」
追撃にシトゥラの頭上から姿を現し鋼串を雨を降らす・・
・・・・
破片と串まみれになる刃蜥蜴・・、やがて奇妙な叫び声とともに動かなくなった
「この調子でいけばなんとかなりそうだな・・、って!うわ!」
息つく暇もなくさらに襲いかかる怪物の群!
どうやらスクイードが好かれているのかやたらと彼に攻撃してくる
「させるか・・!」
それより早くスクイードの前に立ちシトゥラが術を発動する・・

キィン!

刃蜥蜴の刃を受けとめるは幻炎で描かれたペンタグラム・・、『幻炎方陣』
強烈な一撃を見事に抑えている
「ふふっ、身内に嫌われているわりには異形には好かれる体質のようだな・・」
「シ・・シトゥラ!違う!こんな爬虫怪物なんか僕は嫌いだぁぁぁぁ!!」
最も信用していた相方の何気な言葉に凹みつつもその怒りは目の前の爬虫怪物へ・・
プッツンに実力の120%を出しつつ猛攻は続いた・・


一方屋敷内部

半崩壊となった内部は怪物達が暴れたのか正しくグチャグチャ・・
どこから走って外に出たのかすぐにわかるくらいだ。
「わかりやすいですね。
では騎士団の皆さんは生存者の確認をしつつそれが終わり次第撤収してください。
決して無茶しちゃ駄目ですよ」
フィートが軽く声をかけてそれに敬礼しつつ一般レベル騎士達は散策を開始する
「・・っうかお前が命令するってのもおかしいな、騎士団の関係者じゃないんだし」
「っというか僕達3人とも正式な騎士団メンバーじゃないですか、
先輩は一応の肩書きはありますけどほとんど裏で動いているんですし・・」
「まぁ、この際それはどうでもいいな。この荒れたガレキの先に目的のものはあるな・・。
気配もはっきり感じる」
「じゃあさっさと行こうぜ・・・」
クロムウェルが歩き出したその時・・

ドォン!!

突如ホールの壁が吹っ飛びそこから出てきたのは庭で徘徊していた刃蜥蜴・・
「ったく!驚かすんじゃねぇ!!」
一瞬びっくりしたがすぐクロムウェルがボコる!
・・流石はルザリア一の腕っぷしで全く反撃する間を与えずボコ殺・・
「元気やな〜、ともかく行こうぜ〜」
「そうですね。火元はこっちか」
全く加勢しない二人・・、っというか加勢する必要がないからなのだが・・、
ともあれクロムウェルもかまってもらえないのも寂しいのでさっさとそれに続いていった
穴の空いた壁の向こうは広い書庫となっていた
・・が怪物達が暴れ倒したのか本棚を全くもってにドミノ倒し状態・・、
しかしその中で一部地面に大穴が空いている
「あそこ・・だな。空気が随分流れているところを見ると結構でかいか・・」
「こうした屋敷ってのは随分と手の込んだ事をしますからね。
持ち主は・・骨董商人のようですし
地下に自慢のコレクションを持っていてもおかしくないでしょう」
「ふぅん・・じゃあ埋めるか?」
「そんな簡単な問題じゃないですよ」「んな問題じゃない」
「うう・・冷たい・・」
「ともかく降りようぜ・・、事の次第によっちゃあの蜥蜴の怪物がうじゃうじゃ発生するからなぁ」
先陣を切りながらイリアがロープを括り下に飛び降りた・・

・・・・・

本来ならば階段にて一階に上がるのだろうが完全に階段は崩壊しており、
ロープなしでは少々不憫な高さの地下室・・
広いホールになっており棚に骨董品が並べられていたのだろうが全て割れており
地面は壊れた棚と割れた壷云々で溢れている
「足場が悪いな・・。こいつは気をつけないと・・」
「ですがビンゴには近いようですね、この濃密な魔素・・」
「だな・・っうか・・なんかくるぞ・・?」
地響きとともに奥の空間から何かが迫ってくるようだ
「パターン的にいや、この場合は・・」
クロムウェルが言いかけた瞬間・・

ドォォォン!!

突如壁が崩れこちらに高速でかけてくる赤黒い足の甲虫・・、蟲にしては大きい
「!!あれだ!あれが『夢幻の壷』だ!」
「あれじゃあ壷っていうよりもほんと『夢幻虫』ですね・・」
「んな事言っている場合か!あいつを捕まえりゃ俺達の勝ちだ!」
素早く動く夢幻虫を捕らえようと動き出す3人・・だが・・

ドォォォォン!!

夢幻虫が現れた壁がさらに崩れ、そこから異形の者が姿を現す・・
それは腐った巨人・・オーガのようで身体のあちこちに口があり鋭い牙とドス黒い舌が垂れてある。
口の多さの割には目がなく本来目がある場所にも鋭い口があるくらいだ
「・・あれも壷の影響・・ですか?」
「だろうな!大方この屋敷の主だろうよ!
・・ちっ、自分の身体を完全なものにするために夢幻虫を追っているぞ!」
「ならば二手に分かれるか!俺とフィートであの口々クリーチャーを倒す!イリアは夢幻虫を!」
「おうさ!じゃあ任せたぞ!」
素早く動く夢幻虫を追ってイリアは別のフロアに駆け出した・・
・・・
「薄暗い地下で薄ら気持ち悪い怪物と戦闘だなんて・・
さっさと終わらせてエネに慰めてもらいますか・・」
「お前、ほんとにマイペースだな・・」
「先輩こそ」

ドォン!

ふざけた会話をしていた二人に腐ったオーガ異常な速度で踏みこみ力任せに腕を叩きつける!
しかしそれに当たる二人ではなく即座に左右に飛びのく・・
叩きつけた腕は衝撃に耐え切れずひしゃげて地に落ちた
「腐っていてこれだけの動き・・完全体になれば厄介ですね・・」
「だが所詮は出来そこないだろ!」
「さしずめ『劣神魔』・・ですが油断は禁物ですよ!」
肉が腐りながらも暴れる劣神魔の攻撃をかわしながら会話をする二人・・
肉体が完全ではないのか一撃は鋭くても狙いが甘い
「へっ・・一気に成仏してやるよ!おいフィート!アレやるぞ!」
「え・・地・・地下でですか!?」
クロムウェルの嫌〜な笑みにフィートの頬が引きつる
「イリアだって手間どっているだろうしな!こんな腐乱死体もどきに時間かけてられねぇ!」
「・・加減するのは僕の役割なんですけどねぇ・・」
「うっせ!いくぞ!こぉぉぉぉ・・・・『スフィアストラク』!」
腕に陽気を溜めて光球を創り出すクロムウェル・・そしてそれを前方に向かって投げ飛ばす・・
光球は使い手の気が元で発生する現象であり
それを投げるならばたちまち光球はしぼんでいく・・だが・・
「舞え・・、そして散れ!!」
フィートが光球の周りに風の渦を作り急激に大きくさせる!
中の光球は小さな光の粒子と化し風になり光の旋風になる・・

『『フォトンストーム!!』』

クロムウェルとフィートが同時に力を込める!
光の旋風は劣神魔を包みこみ光の粒子の一つ一つがその不浄の身体を消し飛ばしていく!
「が・・ご・・おああああ・・・・・!!」
さらに増す光の風に劣神魔の肉体は綺麗に消滅していった
・・・・・
「成功♪上出来上出来♪」
作戦がうまくいき速攻で仕事が終わったので安心するクロムウェルだがフィートは違うようだ
「上出来じゃないですよ、
力加減間違えたら屋敷が全て陥没して僕達やイリアさんが生き埋めですよ?」
「さっさと終わらすにはリスクはつきもんだ!ともあれイリアの手助けにいくぞ!」
「・・はぁ・・。心臓に毛が生えているんですね・・先輩・・」
ぼやきながらもイリアの駆けて行ったフロアに向かう二人
劣神魔が完全に消滅したと思いこんでいる二人・・だが、気付いていない
ガレキの中に潜りこんだ劣神魔の崩れ落ちた腕
それはビクビクと動き・・・・・・


その頃イリアは・・
「さて・・ここが突き当たりだ・・もう逃げ場はないぜ・・」
イリアが言うように夢幻虫が行きついたの地下フロアの突き当たり・・
ここでも怪物が暴れたのか中の物は全て倒壊している・・、
その中には割れた銅像もありかなり不気味だ
・・カサカサ・・
行き場はなく自分の前に立ちはだかる戦聖女のただならぬ気配に押され戦闘態勢に入る
「できれば命は摘みたくないんだけどな・・大人しくしてくれよぉ・・」
・・・カサカサ・・・・プクゥ・・
小さい足を動かせつつ夢幻虫は尻尾のような尻を膨らませる・・、
そして吐き出したのは奇妙な色のシャボン玉、それも二つ同時に・・
それは宙を漂いながらも大きくなりそれは姿を現す
「「キシャアアア!!」」
庭で暴れまわった刃蜥蜴・・、奇妙な液体にまみれているがそれと同類だろう
「・・ふぅ、召還っうか産卵だな。まぁいい・・」
おもむろに足を開き構えるイリア・・
巻きスカートをつけた戦闘服の乙女は優雅にして内の強さも出ている
そして手に握るは変幻自在の魔剣『愚者慈愛』・・
背合わせの短刀の刃を持ち独特の姿を見せるそれは
中央に隙間がありそこからリボンのように光が伸びている
「悪く思うなよ!」
そう言うと目にも止まらぬ早さで疾駆!姿が消えたと同時に刃蜥蜴の周りに雷が舞う!
「「!!?」」
突如現れた雷に動揺する刃蜥蜴達・・それに当たるまいと数歩後に下がるが・・

スッ

一匹の全身に『愚者慈愛』のリボンが巻きつく・・
「まず一匹・・」

ツゥ・・・・・・

リボンが走ったかと思うと蜥蜴が音もなくスライドし切断される!
「シャアアア!」
それを見たもう一匹、同族が殺されたのを見て逆上するが
「悪いな!ゆっくり寝てくれや!」

バキ!

襲いかかる刃の腕を蹴りで払いその顔を腕で掴んだかと思うと
バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ!!
強烈な電撃が刃蜥蜴の身体を流れ、燃え出す・・
「あいつと同じレベルで流したんだけど・・、ほんと丈夫だな・・?」
クロムウェルの丈夫さに呆れつつも
夢幻虫がさらに召還をしようとしているのを見てすばやく走る!
「面倒事増やさないでくれよ!」
召還よりも早く懐から剣を取り出し規則正しい方陣を描くように地に投げる!
「!!?」
「動きを奪うだけだ!」
イリアが魔力を込めたと同時に夢幻虫に
幾重もの光の糸が交差し召還しようとして膨れ上がった尻はシュ・・っとしぼんだ
「ふぅ・・、いいか?俺達はお前を捕らえにきたが別に殺すためじゃない」
言葉が通じるかわからない相手だがイリアは迷わず話かける
それが通じたのか不思議と夢幻虫の敵意が薄れていくのがイリアには感じられた
・・ただまだ警戒を解いているわけでもないらしい
「ふぅ、まぁいいや。とにかく捕縛完了だし・・封印するかはまた後日にしたほうがいいな・・」
息をついて近くにガレキに腰を下ろすイリア。
ちょうどその時クロムウェルとフィートが中にやってきた
「おっ、もう終わったか?」
「まぁな。そっちも早かったじゃないか」
「二人がかりですからね・・。ですが封印せずにどうしたんです?」
「まぁ、今すぐやるのもなんだしな・・。後日万全の準備をしてやったほうがいいだろう?」
「呑気だなぁ・・」
「まっ、もしこいつに人害がなくなるようにできるならば無理に封印するのもかわいそうだと思ってな。
とにかく捕縛完了だ。これを持って帰って後は騎士団に任せようぜ」
そう言いながら伸びをしながら立ちあがるイリア・・
「この蟲を持って行くのか・・、俺は嫌だぞ?その手足が嫌だ!」
「じゃあ僕が持っていきますよ。これでも蟲の扱いは慣れてますし・・」
「「・・・・・・」」
含み笑いをするフィートにクロとイリア思わず沈黙・・
ともあれ、夢幻虫の力と動きをある程度制限するために符を張り面々は屋敷を後にした
庭に出た頃にはスクイード達も刃蜥蜴を成敗し終え内部調査の騎士団も怪物との
遭遇はなく人らしきものは見つからなかったとの報告が上がった

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