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「彼と彼女と妾龍と・・」  第三話


対策会議は、希望都市で起こった事件,
回収した資料から分かった『夢幻の壷』の詳細が妾龍イリアのによって皆へ語られた。
誰一人、居眠りしそうな者までが最初から最後まで
真剣に聞いていたのは、その説明が上手だった御陰なのか
単に煩悩にその身体を視姦していただけなのか・・・ともあれ、一通り説明は終わり、
「それで、具体的な対策は?」
と真面目に『ルザリア騎士団で一番煙たい騎士No.1』のスクイードさん。
 「うむ、具体的な対策は・・・」
「「「「・・・具体的な対策は?」」」」
 「ないっ!!!」
「な・い・の・か・ヨッ!!!」
ツッコむ者、出鼻挫かれコケる者、皆の反応を理解出来ずキョトンと唖然とする者・・・
一休止に落ち着き、ようやく会議再開。
 「いや、無いというか・・・相手の動き待ちなだけに、
当初はクロムウェルとフィートさえ見つけられたら人手はは事足りると思って、
こんな多人数の作戦考えてなかったし」
「・・・では、三人を前提にした作戦でもいいので聞かせてほしい」
と、本人にその気はないのだろうが中々にイイ合手を入れてくれるキース君。
 「それは・・・まぁ簡単に言えば、この街に「網」を張って引っ掛かるのを
待つだけなんだけどね・・・その為の準備は、街の要所さえ分かればいいし。」
性分なのか、少人数でカタをつけるつもりが皆を巻き込んで申し訳ない と。
イリアに申し訳なさそうに頭をかかれては、皆も文句のイイようがない。
そもそも、四人がココにいるのはタイムの厚意ゆえの事なのだから。
 「だから、差し当たっては・・・」
「「「「???」」」」

提供された地図を元に、早々に街の霊的要所を割り出し結界を張り終えた面々は
何故か騎士団屋敷の訓練場に集っていた。
 「こんなところに集って如何するのよ」
 「別に、このままじゃツカイモノにならないのが若干いるからいるだけましになるよう、
ちょっくら揉んでやろうかな〜っと思って」
 「ボイン、それって私のことっ!!? (ウガー」
「むっ・・・申し訳ない」
過敏に反応し噛み付くカチュアに対し、キースが誤るのは相方の失礼についてなのか
己の未熟さを恥じてなのか・・・スクイードもまた不満があるのだろうが
だんまりを決め込んでいるのは適わぬのを承知してるからだろう。
 「実際どれくらいの力量が求めてるかは模擬戦を見てもらうとして
・・・クロムウェルとフィート同時は流石に・・・ん〜〜〜」
対戦相手に悩むのか、皆を前にして考え込み始めたイリアさん。
拳闘士クロムウェル相手では、不向きな相手である以上に接近戦が主となって
『夢幻の壺』を想定した戦いを見せることが出来ない。
魔導士フィート相手では魔法合戦になることは確実に、論外。
キース,スクイードでは二人合わせても足りない以上に共に普通の騎士であるので
寧ろ、この戦いを見ていてもらわなければ困る。 結果
 「・・・シトゥラとカチュア?」
 「二人同時に相手するとは・・・私も舐められたものだ(フッ」
 「ボインッ、泣かしたるっ!!!」
意気込む女性二人に対し、クロムウェルは愚妹の浅はかさに苦笑するだけであった。
クロムウェルVSイリアでは、多分辛うじてクロムゥエルに軍配があがるだろう。
しかし、それはイリアの方が弱いということにはならない。
戦術的な強さならば魔導士の方が有利なのだから。 ましてや・・・
鋼串満載したベルトのカチュアと両手に短剣のシトゥラ。
対しイリアは片手に奇妙な短剣のみ。
 「遠慮無用、殺すつもりでかかっておいで。 そうじゃないと訓練にならないからな」
 「・・・・・・(困」
 「はっ、そのボイン以上にその余裕がむかつくーっ!!」
 「この程度でボインで・・・ふっ」
 「・・・・・・ウキィーッ!!!」
シトゥラの胸を見てカチュアの胸を見て己の胸を見て思わず失笑したイリアに
遂に暴走牛の妹、ぶち切れで鋼串を指間に挟んで抜き放ちその勢いで連続投擲。
忍手裏剣術「五月雨」の如く無数の鋼串が迫る。
が、イリアは慌てず避ける様子も見せず前に手を翳し、瞬間
 「ハッ!!!」
気合一発、その面に広がる波紋に鋼串は通過できず弾かれパラパラと地面に落ちる。
「無駄なく一瞬だけ高出力で障壁を造るとは・・・中々やりますね」
「真龍騎公が使い走りにするくらいだからな、まだ序の口。もっと魅せてくれるぜ」
「「・・・・・・」」
その頃には準備が終ったのだろう。
シトゥラの放った無数の狐火がイリアを完全包囲する。
シトゥラとカチュアが距離を詰める前に狐火がイリアに集り
轟っ!!!
「流石にあれでは・・・」
相方の手加減抜きの攻撃にキースは青ざめながらも笑みをこぼす。だが、直ぐに驚愕に。
イリアと相対していた二人も、端よりその攻撃を目暗まし程度にしか考えていない。
炎を吹き飛ばし現れるのは新体操のリボンの如く周囲に魔剣を舞わせたイリア。
シトゥラの幻術か二人も無数に姿を増やし強襲、も揮うリボン状の魔剣に
あるシトゥラは斬られ、あるカチュアは腹を貫かれ・・・消滅していく
その中で邪蛇の如く襲い掛かる攻撃を掻い潜り、シトゥラが短剣でイリアを斬り付ける
も、イリアは魔剣の実体部分の短剣でそれを防御。
シトゥラの反対側からはカチュアが鞭の如く脚撃に襲いかってきた。
が、それもイリアの掌抵の前の障壁に受け止められ
有効打にならず、気合一発イリアから放たれた衝撃波を喰らう前に
二人は距離を取り更に追い討ちをかけて放たれた無数の魔法弾が曲線を描いて
二人に襲いかかり地を穿つ。
そして、避けきったシトゥラ&カチュアとイリアの間には戦う前以上の距離が開いた。
 「で、こんなもので如何よ?」
 「ああ、私は構わない(苦笑」
 「うぬぬぬぬ、やるなボイン」
 「・・・なんで俺はいつまでもボイン?」
得物を収め近づく3人に模擬戦は終了。結局、自己満足で終ってしまった気配っぽい。
 「ところでシトゥラ、防御面は結構弱い、かな?」
 「むっ、そうなのか?」
 「回避,攻撃が申し分ないと思うけど、其処がイタイ。折角、威力ある幻術を
使えるんだから障壁張るのも・・・そう、瞬間その部分だけ鎧みたいに」
 「ふむ・・・考えてみよう」
 「カチュアは攻防素早さは申し分ないんだけどね・・・」
 「えっ私も?」
 「シトゥラにアドバイスしてカチュアに無しは不公平だろ? 以前にカチュアの方が」
 「・・・・・・(ガックリ」
 「まぁ・・・攻撃補助的に忍手裏剣術とか鋼串を媒介にした結界術覚えてみいひん?」
 「え〜〜、勉強や〜〜だ〜〜(ぶりぶり」
 「そう言わず。忍手裏剣術は結構センスあると思うぞ。
結界術があればイロイロ出来て、戦術・・・てか、事に幅が広がるし」
 「・・・ボインが教えてくれるなら」
 「じゃ、決まりってことで。 あと、ボインはやめて。俺以上はザラにいるし・・・」
 「分かった。イリア・・・さん」
イタズらっ気ある含み笑いに興味引かれたか、カチュアあっさり懐柔。
戦い終わればと、見学組の男の面々も話の輪に加わり
「獣な我が妹を手なずけるとは・・・恐るべし、イリア」
「感染源のカチュアさんに対して、イリアさんはワクチンですね。」
 「愚兄&紫ラーメン、泣かす(ウガー」
愚兄&紫ラーメンもといクロムウェル&フィートに襲いかかろうとするカチュアを
まるで猫の如く嗜めるイリアが向いた先はその二人。
「まぁ、二人は十分といっちゃ十分だけど・・・折角だからパワーUPせえへん?」
「と、言うと?」
 「例えばクロムウェルなら一寸魔法使えるだけでも」
「ああ、先輩には無理ですよ。猪突猛進ですから」
同意に頷く当事者除いた総面々。もはや遠慮もへったくりもない。
「た、確かにそうだけど・・・皆して(泣。 と、言うわけだから、俺には無理」
 「クロムウェルは気功使ってるだろ? 気功も魔導も元は一緒だから
十分センスはあると思うんだけどなぁ。 炎・・・熱は出来るから、雷系統?」
「雷・・・俺が・・・」
何を考えているのか、神妙な面持ちでジッと己の手をみるクロムウェル。
 「雷の感覚さえ掴めれば、後は同じ容量で出来るはず。そうすれば
四肢に纏うことで打撃,蹴撃の威力は上がるし、撃出す感覚で揮えば遠くの敵も」
「おおうっ、ノッだぜ!!! で、如何すればいい?」
 「クロムウェルだから小難しいことは抜きに言った通り感覚を掴む事。
 ・・・こんな感じ?」
「!!? うっホ!!(嬉」
クロムウェルの無骨な格闘家の両手をギュッと掴むのはイリアの柔な両手。
別の電撃を喰らいホクホク顔のクロムウェル。
しかし現実はそうは甘くなく、次の瞬間

ビリビリびりびりビリびりびりビリビリびりびりビリびりびりビリビリびりびりビリ
びりびりビリびりびりビリビリびりびりビリびりびりビリビリびりびりビリびりびり
ビリびりびりビリビリびりびりビリびりびりビリビリびりびりびりびりビリびりびり

「ぎ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あっ!!?」
その手から閃光に包まれた身体に骨の影が映るほどの雷が。
永遠のような刹那、地に転がるのはパンチパーマに半ば炭と化したクロムウェルさん。
・・・ご愁傷さまです(チーン。
そして聖女の如くニッコリ振り向くイリアの笑顔に伝説の始祖竜以上の畏怖を感じるのは
皆の気のせいではないはず。
 「それで次は・・・、フィート」
「あっ、僕は結構です、はい。どうぞ御心配なく皆に教えてあげてください」
 「そうはいかない。 視たところ・・・接近が弱いな。
一通り皆が終った後で付きっきり、手取り足取り個人授業で面倒みるから」
その笑み、出来悪生徒に接する優しい女教師の如く。
「御教授、よろしくお願いいたしますっ!!!」
その脳裏にどのような光景が映ったかは今更・・・
煩悩の権化ともいえる『法王』は、目の前のエサに釣られ速攻にイチコロであった。
 「キースは、っと」
「え? 自分ですか?」
己はアドバイスをされる事はないと思っていたのだろう。
半ば諦めににた表情で蚊帳の外で喜劇を見ていた彼は、引っ張り込まれて唖然。
 「おうよ。得物は大剣、性格からして取る戦法は突進あるのみと見た。 如何よ?」
「・・・・・・、はい。」
 「魔法つかってないだろうから身体強化系辺りを勉強して
 あとは一対多で急旋回やらフェイントを仕込めば、そう勝てる相手はいなくなるだろ」
つまり、それでもクロムェルやイリア辺り相手に勝星をえることなど
早々ないということなのだが、それでも根が真面目なキース君。
「よろしくお願いします。」
以上より己が弱いのは重々承知している。
故に真当な手段で少しでも強くなれるならばどんなに貶されようと
真摯な態度で教授を受ける覚悟はあった。それが彼のプライド。
そして、それは決して彼の希望を裏切らない。
 「最後に・・・スクイード」
「はいっ!!!」
直立不動に反応する件の騎士。
皆を見ていれば、為になる事を言ってくれるのは確実。
年頃の娘にも関らず変態と呑み潰れていた事など既に脳外で遥か過去の話。
 「・・・・・・(じぃ〜〜〜」
「・・・・・・(ワクワク」
 「・・・・・・(じぃ〜〜〜」
「・・・・・・(ワクワク」
 「・・・・・・、スマン、俺には何もいえない。 ヘボすぎて・・・(ホロリ」
「えっ、なっ、ええ!!?」
一転、地の底に叩き堕とされる心境に。ただ堕ちていく・・・堕ちていく・・・堕ちていく
 「って言うのは冗談で」
「!!?」
瞬間、その視界を遮るのはイリアの戦士と思えぬほど美しいまでに柔な手。
 「今、皆がどんな表情していたか言ってみ?」
「そ、それが一体何と・・・」
スクイードがそれから逃げようとしても、動きを読まれているのか全く逃れられない。
ただ単に目の前に手が添えられているだけだというのに。
 「そう、それ。それのせいでオマエは何時まで立っても強くなれない」
「なっ!!?」
 「多分、クロムウェルやシトゥラ,フィートなら視界に入っている分全て言える。
 キースやカチュアは半数大かな。 要は、常に平常心で心に棚を作れって事。
 それが出来るようになっただけでも、心身ともに軽く今の倍は強くなれる」
「・・・・・・」
解放されて視界に入ってくるのは神々しいまでに真剣な妾龍の顔。
それは忠告であり、予言であり、神託であり、宣言。
と、一転に小悪魔の如く小馬鹿にした顔で
 「かもしれない」
「かもしれないのか!!?」
・・・その女神は非情にイタズラ好きであった。決してオチは忘れない。
カチュアには、クナイ(鋼串)を弾幕に撃込む『五月雨』と囮の影に本命を潜ませる『影撃』
を始めとした忍手裏剣術と、鋼串の尻を糸で繋ぎ其処へ気を流す事で結界と成す術を。
キースには、基本的な魔導の理とその身体強化系の術を。
シトゥラとスクイードは己を試しがてらその実験相手に。
因みに、復活のクロムウェルはジッと己の手を見たり座禅を組んだり思案中。
残ったのはフィート一人で、ようやくイリアがその相手に。
 「さて、と。 フィートは身体強化系は勿論出来るよな?」
「それは当然ですよ。それで、具体的には何を教えてくださるんですか?」
 「まぁ・・・、身体強化系の魔導のみを使い喧嘩マガイで乱取りかな?」
 ・・・何でもありで。」
とイリアが浮かべた笑みは、恰も娼婦の如く蠱惑で・・・
「・・・・・・『何でも』ありですか?」
 「勿論、乳揉みしようが尻撫でしようが姦しようが・・・『何でも』ありで。」
イリアの格好は、軍服のような戦闘服に下には巻きスカートを腰にベルトで固定。
巻きスカートから覗くのはホボ生脚の靴履。 前日で既に鑑定したが
イリアのプロポーションはタワワな艶乳に括れた腰、まろい丸尻にムッチリ太股の
美女神の如き黄金率を誇り、生まれたての赤子の如く水々しくキメ細かい柔肌で
御褒言抜きに絶景の美女。
こんな美女を飼っている(?)男に、優に嫉妬を通り越して殺意すら覚えるくらいに。
「・・・・・・、モえてる僕は伊達じゃありませんよっ!!!」
瞬間、本家格闘家すら退けかねない勢いで飛び出したフィートは声を残し
突如空から現れたかのようにイリアの背後へ。 そして早速乳揉しようと
「!!?」
手が虚しく空を掴むのみに、目の前にあったはずのイリアの姿は既に消え、瞬後
 「いい動きだが、単調」
耳元で囁かれ吐息を感じると共に、パッパッパッと空気が弾ける音と衝撃波が。
気付いた時には一瞬前にいた場所から可也吹っ飛ばされた其処に立っていた。
武者震いか恐怖か、先ほどの衝撃波の後遺症が全身を震わせて。
それでも咄嗟に防御し地に伏すことなく己の脚で立っているのは見取り稽古の御陰か。
そして、腰低く片脚完全露出で地に踏ん張り双掌突き出したままのイリアがいた。
「・・・参りましたね。 久しぶりに本気になりそうです」
フィートもまた漢であった。
女殺しの笑みを持つ顔は凛々しく引き締まり戦士に。
 「本気で相手してもらわないと困るよ(笑」
そして、その目の前にいる者も美女や聖女ではなく、戦士。

その乱取 戦いを見たものは皆、二人が頭脳労働専門の魔導士とは思わないだろう。
それほどに二人の乱舞は熾烈を極め、格闘家さながらの激戦を繰り広げていた。
撃込むフィートの拳を、弾き懐に潜り込んだイリアは背負い投げ、
地に叩き付けられる前にフィートは己から身体捻り着地にイリアの腰に掴掛り
押し倒そうとするも、イリアは馬飛びの要領で飛び越え、向かい合う二人。
周囲には、炸裂音や打撃音に惹かれやってきた観客な騎士達が。
 「・・・折角ギャラリーが集ったことだし、変更で、一発ド派手なのは如何よ?」
「・・・それはそれで面白いですね。いいでしょう!!!」
ニヤリ笑いのイリアの意図を察し、ニヤリ笑いを返すフィートは早速に
奥義魔法を行う体勢へ。 相手だけに、それも全力を求めているのは分かっている。

『風は去りぬ葉は散りぬ
  命とともに儚く消えよ!! アルティメットノヴァ!!』

自身が持つ最高位の術を詠唱に、以上の威力で生まれる超真空球。
当たれば人一人消滅必至にレンズの如く景色を歪ませるソレを撃ち放つ!!!
対しイリアは差し迫る脅威に全身から力を抜くこと一瞬

『四の素を集いしもの
第五の力と我が意志に其を無に帰せ!! ノヴァ・インフェルン!!』

両手を翳し素早く描いた魔方陣より生まれるは、光無き光 白き闇。
それは白い球となって撃ち出され、二つの術は二人の中間点で激突に

バシュ!!

と炸裂音直後に、轟と天を貫く光の柱が立ち昇り・・・光収まれば
其処に残されていたのはクレーター。爆発ゆえのものでは無く、抉り取られ。
 「これぞ、窮極破壊魔法」
「四大元素を解放し対消滅でもって攻める魔法ですか
それでもこの程度の被害で済むとは・・・(汗」
 「余剰エネルギーは天へ捨ててるからな。勿論、そのまま爆発させられるけど」
「・・・まったく、人相手だけではなく環境にも優しい方ですね」
 「どうも・・・」
実力派何でも屋とはいえ一介の魔導士が戦人のスタミナに適うはずもなく
流石にへたり込むフィートに対しイリアはデザート(?)も欲しいと向かう先は
観客に訓練場を取り巻く騎士達。 近づく妾龍に、何用かとざわめく。
 「ほれ、オニーサンにオネーサン方、見てるだけじゃなくて
 折角だから遊んでいったらどぉよ?」
まるで風俗の呼び込み娘のような感で台詞だが、その実意味する処は
訓練の相手になってやる と。
猛攻を見た上でイリアが可也の実力を誇る戦魔導士であることは皆、百も承知。
それ故に、イリアと手合わせを望む者は後を耐えなかった。
一対一であろうと一対多であろうと、普通は適わぬ魔導の教授ですら・・・

ほんの数日とはいえ、イリアを教官とした訓練はもはや常習化に賑わいを見せていた。
色々な騎士が己の型や見せたり手合わせをし、意見を貰っていくのだが
その時、他の騎士を蹴散らしやってきたのはクロムウェル。
「イリア、見てくれ。少しは出来るようになったぞっ!!!」
と、前に出す拳にはパリパリと生じる小さな稲光。
まだ電圧が低く実用には至らないが。
 「・・・それなら、いずれこのくらいは出来るようにならないと」
と、イリアは脇を引き締め、瞬後その四肢にはバリバリバリと取り巻く雷帯が
「・・・、そ、そりゃないぜ(汗」
 「こちとら、魔導が本職だからな。 むしろ、この位出来ないほうが恥さ。
それよりコレを格闘に生かさにゃいけないわけだから、それはクロムウェルの領分。
これなら反発力で刃も弾けるだろうし・・・名付けるなら、『雷撃襲』って処かな。
それで、これは」
揮う拳に撃ち出された雷弾は射撃の的に当たり、雷を発散しつつ周囲に焦臭を振り撒く。
 「・・・『雷撃破』。 命一杯に雷を作り出して、敵に叩き付けるってのもありかな。
  それなら動作が単純なだけに超高威力で奥義並になるだろうし・・・『雷斧斬』?」
が、しかし当のクロムウェルは歯に物が詰まったような感
「・・・その技名ってもう既にあるものなのか?」
 「んにゃ、即興で俺が適当につけただけ。 だからクロムウェルの使いやすいように」
「俺、どうもその系統の名ってのは好かないんだよな。あの人がそうだし・・・
『雷斧斬』は『ニュークリアフラッシュ』って如何よ?」
 「・・・、センス悪っ!!!」
「・・・!!? (ガーン」
話を聞いていた周囲も激しく同意に、かつてないほど打ちひしがれるクロムウェル。
 「『雷撃襲』は『ライトニングブレイカー』,『雷撃破』は『サンダーショット』
『雷斧斬』は『ライトニングボルト・ザ・セイバークラッシュ』って如何よ?
・・・・・・、俺もあまりセンス変らないな(オヨヨヨヨ」
自滅で地に崩れ落ち薄幸に嘆くイリアに、周囲の観客からはクロムウェルにブーイングが。
寧ろ刃物煌かせ、団長を手篭めにした処か名美人教官までも泣かせる不届き者に天誅を。
イリア復活までの暫しの間、毎度の如くクロムウェルは騎士達に追い回されたとか。

 「・・・、私もいいだろうか」
と、やって来たのは珍しくやってきたのはシトゥラ。イリアと一緒にいると
神秘的で美しい白と黒のコントラストに見恍ける者多数なのだが、それを完全に視界外に
 「おうよ。如何した?」
 「ん、以前に指摘された防御力不足対策として幻術を用いる方法を検討してみた」
 「それで?」
促され、スッと手を上げるシトゥラの姿がだぶりずれ離れ、二人に。
 「・・・ふむ。 前とあまり変わらない気がするけど?」
 「偽者の方私を攻撃してみてほしい。 離れて・・・」
 「・・・ふむ。」
テクテクと離れて距離を取るシトゥラに、
イリアは心苦しくもサッと印を切って魔法弾をと、命中の瞬間
パリーン!!!
鏡みたく砕け散り、周囲に飛び散るその破片。
 幻鏡障壁。
 「鏡としてのイメージを強めることで、攻撃を受けた際に
  砕け散り敵にダメージを与えられるようにしてみた。」
 「へぇ、いいんじゃなか。 ・・・でも、根本的な防御力不足解決ではないわな」
 「ん、まだある。」
スッと挙げる手に、今度は周囲に幾つか生まれる幻炎。それが前に出した手に従い
その前で集い障壁のように、恰も方陣の如くペンタグラムっぽいものが。
 「・・・まんま、障壁だな。 ・・・処でシトゥラ、魔導の経験は?」
 「いや、ない。 幻術は一族の術なので学び心得ているが・・・」
 「ふむ、魔導の経験はない、と。 魔導理論ってのは力を如何に効率良く流すか
 って事なんだが、これを学ぶだけでも可也のモノになると思う。望むなら教えるけど?」
 「・・・ん、よろしく頼む」
 「じゃ・・・。シトゥラ以外に、魔導理論学びたい人、手を挙げてー」
イリアがかける声に、周囲の騎士達からは次々と挙手が。
こうして一大 『魔導理論』講義が催される事となったが、イリアとシトゥラに見恍け
一体どれ程の者たちがソレを理解できたことやら・・・

後日、騎士団の執務室 タイムの元へノック数回の返事に入ってきたのは
毎度な戦闘服姿のイリア。促され、応接のソファに座り向かい合う
 「態々呼びだてて済まない。 先ずは騎士達を鍛えていただいている礼を・・・」
 「イヤイヤ、報告はいってると思うけどヤるべき事は全て済ませて後は
  得物が網にかかるのを待つだけだから・・・暇つぶしには丁度いいし
  態々人手を割いてもらった礼も出来る」
だから礼はいらないよ とパタパタと手をふるイリアにタイムも恐縮せず頷く。
希望都市の民の気質なのか、本来なら隠蔽すべき技術を教える姿はもはや当然に近い。
それも、味方になると思える者に対してだけなのだが。
 「しかし、結構な技術までも教えていると聞いたが?」
 「まぁ、ね。あれでもまだ序の口なんだけど。
過ぎた力は魔を呼びかねないから。今回のように・・・」
何を思っているのか時折金色に光を反射するイリアの双瞳を見ると
己の感情など二の次に・・・
 「・・・イリアさん、貴女は・・・何者?」
 「さあ・・・何者だと思う? 自分としては『妾龍』イリア
 それ以上でもそれ以下でもないんだけどね」
最初は、イリアとクロムウェルが余りにも仲良く見えるので
さり気無く如何なのか問い詰めるつもりだったのだが・・・
相対しているだけで、それが何となく杞憂である事がわかってしまう。
そもそも目の前にいる者は本当に・・・
 「で、本当の用件は?」
 「え? あ、ああ・・・・・・」
今更、本来の目的など行えるはずも無くタイムは言葉に窮しシドロモドロに。
それをイリアは微笑ましく見、救いの手とばかりに持ち出すのは紙袋。
 「折角だから一緒に食べないか?」
 「・・・いいの、か?」
 「まぁまぁ、休憩がてらこのオネーサンが恋の悩みに乗ってあげまショウ。
 って、自分経験皆無なんだけどね〜〜。
 俺、男に興味無いし・・・女と乳繰り合う趣味もないけど(苦笑」
 「・・・・・・(目が点」
 「・・・な?」
と差し出す紙袋から漂ってくるのは軽食の美味しそう香り。
其処にはもう何のシガラミもなく、二人の女性がいるだけであった。
その日、執務室を通りがかった職員は楽しそうな女性の話し声を聞いたという・・・。

今日もまた何事もなく無事に一日が過ぎてしまった。
それはそれはそれでイイのだが、
その面倒見の良さゆえにイリアはもはや希望都市の代理人ではなく、事実上教官として
周知されてしまっていたり。御陰で騎士団屋敷敷地内には我物顔で立ち入り可なのだが。
今日もついでに騎士達の訓練を終え、宿に帰ろうかと建物を出たところ
 「イリアさ〜〜〜ん」
何事か追っ掛けてきたのはカチュア。一人っきりの処を見れば個人的な雑事なのだろうが
そのまま勢いを殺すことなく飛び込み、イリアは仕方なくその身体を受け止める。
そうとは思えないが平均より高身長な身体に、スッポリ収まるカチュア嬢。
最初は兎も角、今や猛獣使いに対する猛獣の如く懐き妹分と化していた。
 「この胸が邪魔なのよぉー―っ!!!」
モミモミモミモミモミモミモミモミモミモミ
・・・でもなく、顔がスッポリ治まってしまう乳間に思わずその乳房を鷲掴み。
 「こ、コラっ、やめ・・・っ、んくっ」
グニグニグニグニグニグニグニグニグニグニ
 「この胸めっ、乳めっ、ボインめー―っ!!!(クワッ」
その形相は恰も怨敵を前にした獣が如く背に吼える猫のオーラを纏い
その主など関係無に丸で引きちぎらんばかりに揉み捏ねたおし、指突き立てて捻り上げ
更にヘナヘナと腰が堕ちるイリアを押し倒しマウントポジションに
たわわな艶乳へ攻撃っ、襲撃っっ、突撃っっっ、凶撃っっっっ!!!!
 「はぐっ、ぐっあ゛あ゛あ゛っ、あ゛っうっっ  って、やめんかぁっ!!!!」
 「はぐおぁっ!!?」
妹分だけに姐御も容赦無く、スカート翻しシナヤかな生脚で後頭部への一蹴に
もろ吹っ飛ぶ野性ケダモノ娘カチュア。
そして、座り込んだまま己の胸を抱えたままの涙目のイリア。
・・・今はただ、周囲に人目が無いことだけが幸いだった。
 「あはははは、・・・ごめんなさい。 目の前にボインがあってつい、純粋な憎悪が」
 「・・・、で、何用? 俺の乳を目の敵にするため呼び止めたわけじゃないだろ?」
 「そうそう、これからチョッと行かない?」
 「・・・何処へ?」
 「ノゾキに。今、男騎士達が入浴してるのよぉっ! あの鍛えられた芸術的肉体美っ!!
 ・・・・・・・・・(長いので中略)・・・・・・・・・
 私と同じ匂いがするイリアさんなら分かるでしょうっ!!?」
 「同じ匂いがするって、それは単に同じ石鹸使ってるだけで
同類にされても困るんだけど・・・まぁ、ノゾキのスリルは十分に理解出来るし。
如何する、お二人さん?」
 「はへ?」
尋ねるイリアの視線の先はカチュアの後方。恐る恐る振り向けば其処には
 「ノゾキとは・・・男も勿論、若い娘も許されるはずがないでしょうっ!!!」
 「・・・しかし、元気な男を探すことは子供のためにも重要だ」
タイムにシトゥラ。ピシッと凍りついたカチュアちゃん、それでも力振絞り
 「ど、ど、どこから?」
 「あの鍛えられた芸術的肉体美っ!! の処から。」
と応えるイリアに頷く二人。 カチュア、絶対絶命!!?
 「兎も角っ」
 「何であれ、秘密特訓という事で大義名分は立つと思うんだけど。
  若い男騎士達の筋肉肉体美、ノゾキに行きたい人〜〜♪」
何処まで本気か冗談か、タイムの言葉を遮り紡がれたイリアの言葉に
挙手するのは当人含め三人。
 「多数決により、これから4人で男騎士達の入浴のノゾキを決行するっ!!」
 「きゃーっ、イリアさん、さいこぉーっ!!」
ぐわっしっ!!
 「えっ、えっ、何!? 私も!!?」
先陣きるカチュアと完全に腕を捕縛したシトゥラとイリアに
タイムに抵抗する術など端よりあるはずもなくズルズルと引き摺られ・・・
・・・・・・・・・場所は風呂上屋根の大きく開いた天窓。
 「・・・(おお〜〜、筋肉ぅ〜〜ん♪」
 「・・・(ふむ、あの身体ならイイ子種に恵まれそうだ」
 「・・・(・・・うう、何故私まで・・・(泣」
 「・・・(ココまで来てしまった時点で手遅れ。
せめて訓練とでも思って割り切りましょう、騎士団長タイムさん♪」
 「・・・(・・・、オヨヨヨヨ・・・(泣」
四者四様、喜び悦ぶ者に興味深く観察する者もあれば男の肉体など興味ナッシングで
タバコみたく薬管を吹かす者に、目を背けてただ己の不幸を嘆くだけの者。
ノゾキ開始からどれくらい経ったであろうか、ふと
 「・・・(・・・あっ、兄さん。 ・・・意外にイイ肉体してるわね。
 ・・・アレで性格が良かったら、兄としてサイっコォ〜〜〜〜なのに・・・」
ピクッ
 「・・・(ふむ、当人はおいても子種は欲しいものだな」
ピクッピクッ
 「・・・(いやぁ、それは無理でしょう。
彼は全て、そこにいるタイムさんのモノですから」
 「「「・・・(なら、仕方がない」」」
 「・・・(何をいってるんですがっ!!!」
思わずドンと突くタイムさん。 照れのあまり完全に今の状況を失念し
普段以上の力を発揮したその腕は確実に二人を捕らえ、空中へ押し出し
 「「・・・・・・はへ?」」
重力に囚われ、落下した先はナミナミと湯を湛える湯船。
目が点なタイムとシトゥラの前、立つ水柱に全裸な男騎士達の視線は其処へ集中。
 「・・・(・・・ふむ、撤収?」
 「・・・(・・・・・・」
自失呆然に硬直したタイムを担ぎサッサと逃げたシトゥラの判断は正しいといえよう。
一方、落下し全裸な男達に囲まれてしまった乙女二人。
クロムウェルはサッサと上がってしまって既に脱衣室からも出てしまったのは
不幸中の幸いだが、それでも文字通り水も滴るイイ女状態に身動き出来ず
「何だ?」
「女だ」
「痴漢か?」
「・・・、恥女だ。」
「恥女よっ!!?」

っっっっ、きゃああああああああああああああああっ!!!!!

瞬後、慌て逃げる者に呆然と立ち尽す者、
これから風呂に入ろうとして騒動に飛び込む者で風呂は混乱を極め
 「っ!!? にゃっ、にゃああああ!!?」
騒動が落ち着いた時、男に囲まれ残っていたのは水浸しのイリアのみ。
因みにカチュアは如何したかというと、幸いその場に保護者が居合わせ
慌てタオルを巻きつけ耳摘み拉致っていったわけだが、イリアまで面倒みられず・・・
 「・・・、あははははは、あ〜〜〜、・・・お背中お流ししましょうか?」
・・・・・・
その後、妾龍イリアが湯女をしてくれた、してくれる、という噂が実しやかに流れたが
真相を語る者は、当時噂元の現場にいたものですら頬を染めるのみで、誰一人いなかった。
そしてタイム直々の団長命令により関して調査も行われることはなかった・・・・・・


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