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3話  「たった二人の襲撃」


・・・
リュートとシャンがドタバタしていた宿より遠く離れた町・・
規模としてはそんなに大きくもなく田園風景が並ぶ小さい町だ・・
しかし気になるのは町の大部分を占める壁に囲まれた施設

「・・・・、これっ?囚人でも収容しているの・・?」
高い壁を見上げてリュートがつぶやく
「表立っては孤児院ということになっているわ・・
。近くの畑に迷い込まないようにと壁を建てらしいけど・・、
実際は組織から逃亡させないための細工。中には多くの工作員がいるわ・・」
「ふぅん・・、じゃあその工作員を気絶させたら良いわけだね?」
「まぁ・・、そうね。でも中には私みたいに組織の事を良く思ってなく
逃げ出したいと思っている子もいるわ・・、できればその人達とは戦いたくない・・」
「まぁまぁ・・、僕に任せて」
そう言うと軽くシャンの肩を叩く・・が
「!!!!!」
驚いたように数歩飛び下がるシャン
「・・?どしたの・・?」
「え・・、あ・・・・・、なんでもない・・・」
「そう?」
何やら戸惑いの表情を見せるシャンを心配するリュート
「なんでもないの!でも・・これからどうするの?強攻突破・・?」
「ふふっ♪僕の憧れている有名な人がいつもこんな手を使っていてね」
そう言うと背中から取り出した白い布に包まれた棒状の代物・・
リュートはそれを丁寧にほどいていく。
それは長身の銃で銃身が黒く光っている・・
細身の銃身に所々装着された部品、見るだけで威圧感がある
「それは・・?」
「魔槍銃ブリューナク・・、伝説の錬金術師ミュンが使用した銃さ」
そう言いながら軽く構える・・。
見た目以上に軽いようだ
それとともに銃口に光が集まっていく・・・・!
「まさか・・、君の言う方法って・・?」
「その通り!」
そういうと静かに引き金を引く!

轟!!!

それと共に眩い閃光の筋が飛び出し壁にぶつかる!!
壁は明るく光り、中の様子はわからない・・
「・・・信じられない・・」
「これがブリューナクの威力さ・・。扱いは難しいけどね・・」
しばらくすると閃光も消滅し巨大な穴が空いている
「壁が・・・消滅した・・?」
「これで、組織を逃げ出したい人はこっから出て行くって寸法だ!
さっ、いくよ!!」
「わかった・・!」
消滅した大穴から中に突入する二人・・、
たった二人の襲撃がはじまった・・・



施設はシャンの言っていたように孤児院などではなく
色んな訓練の道具が置かれている。
侵入者に気づいた組織の男たちも一斉に襲いかかる・・
「・・大したお出迎えだね・・!」
銀と紅の銃を両手に持ち、的確に男たちを撃っていくリュート
かつてブリューナクの実弾を撃った時とは違い百発百中だ・・
それほどまでにブリューナクの実弾は難しく、
法皇、女教皇の扱いが安定しているということだろう
「下部施設とはいえ、組織の一員なのよ?当然よ!」
シャンも愛用の特殊大鎌カラミティテラーをふり、まとめてなぎ倒していく・・!
すでに逃亡を望んでいた工作員は穴から逃げ出しておりリュート達に向かってくる者は
組織に忠実な者のみのようだ・・
だが武装はどれも暗殺用のナイフがほとんどのようで接近戦に偏っている。
どうやらここの施設は接近戦用のアサシンの施設のようだ・・。
そのため狙いと間合いを間違えなければリュートが圧倒的に有利だ。
さらにはシャンも大きな鎌をふりまわしており、大ぶりだがナイフ相手には有効だ
組織の男たちは二人の猛攻に手を余している状態になった・・

ドン!!

「・・これで10人、いい加減もう出てこないだろう・・」
銃を撃ちながらリュートがつぶやく

”いたぞ!”

「・・キリがないわね・・」
「・・・・・・、僕はここで抑えよう、シャンはここの親玉を仕留めて!」
「・・・わかったわ!流石に頭を叩けばこいつらの士気も下がるしね!」
そういうとシャンはリュートの援護を受け建物の中に走っていった・・

「さぁ!僕が相手だ!!みんなまとめてかかってこい!!」
素早くリロードし、改めて銃を構えるリュート。
次々とやってきた十数人の戦闘員がリュートに飛びかかった・・・




施設の中に入りこんだシャン・・
庭の方から銃声が派手に鳴っておりアサシン達の注意は完全にそっちのほうに向いていた
「・・・リュート・・、任せて大丈夫かしら・・?」
所々ヌけているリュートを心配する・・が派手な銃声や破壊音にしだいに安堵し
親玉がいるところに向かって走り出す・・。
以前ここに住んでいただけに道筋は把握できているようだ
(リュートに触れられても・・、何も感じなかった・・・。あの子・・・)
頭の中に浮ぶ疑問を払いのけ一気に『所長室』と書かれた扉に突き進む・・!!
重厚な扉もカラミティテラーの鎌にとっては紙同然でスパンと切って中に入る・・




・・・中にはでっぷりと肥えた中年男性が豪華な椅子に座っていた
「ほお・・・、誰かと思えば・・シャンか・・。よもやここに戻ってくるとはな・・」
虫唾が走るようなダミ声だ・・、だがシャンは静かに男を睨む・・
「ここを潰した方が動きやすいようだからね」
「ふふっ、でっ、わしを殺しにきた・・というわけか・・」
「・・・・・・・」
「無駄だな。お前にわしを殺すことはできん・・」
「やってみなければわからないわ・・」
カラミティを構えいつでも斬りかかれる状態に
「わかるさ、お前は覚えてしまったからな・・・、恐怖というものを・・」
「・・・・」
「ふふふっ、忘れたくても忘れられまい。ここの男達、さらにはわしがお前にしたことを・・」
「・・・黙れ・・」
ワナワナ身体を振るわせるシャン
「性奴だった貴様を戦士として鍛えてやったのはわし達だ。
まぁ、身体を鍛えてより楽しむのが目的だったがな・・」
「黙れ!」
「その性かお前は男に触れられるとひどく怯えるようになった・・、
それがまたわしをそそらせる・・。ここに戻ってきたのはちょうどいい。
また可愛がってやろう・・!」
「黙れぇぇぇ!!」
目に涙を浮かべながら突進するシャン・・。
完全に正気を失っておりただこの世で一番憎い男を殺すことだけしか考えられないようだ・・
「・・ばかめ。そんな冷静さを失った攻撃で・・」
にやける男・・、あっさりと攻撃を避けシャンの腕を掴む・・
「!!・・嫌っ・・、嫌ぁぁぁぁぁぁ!!」
男の言った通り触れられると同時に怯えるシャン・・、得物も落としてしまい
完全に我を失っている・・
「いいのぉ、その表情・・。流石はわしの最高傑作・・」
さらににやける男・・、シャンを押さえ込もうとする・・・が

ガッシャァァァァン!!!

急に背後のガラスが割れて何者かが飛び込んできた・・・

ドォン!!

強烈な銃声がしたかと思うと男は腕を押さえてうずくまる・・、
シャンは無事に解放されたが無言のままブルブル震えている有様だ
「・・・急いでこっちに来て正解だったね・・」
犬人の少年・・、リュートが煙の昇る銃にフッと息を吹きかけつつ不適に言う
「貴様は・・、我等に逆らったという獣人か!こんなことをしてただで済むと思うのか!!」
「もちろん、ただでは済まないだろうね・・。だが僕の勉強の邪魔をしてきた以上はそれなりに
抵抗させてもらわないと・・」
「貴様如きに何ができる!卑しい獣人の分際で・・」
「・・・・」
「それに、その女は性奴だった奴だ。そんな奴を助けようとはつくづく愚かなものだな、
獣人というのは!!」
「・・いい年したおっさんが偏見・・?ふぅ・・。一つ教えてあげるよ。
僕の師匠、鍛治師ミョルキルには色んな教えがあるんだ・・。」
そういうと『法皇』と『女教皇』を素早くしまい背中からブリューナクを取り出す・・
「!!!!」
長い銃口が男の口の中に突っ込まれる・・
「女性を痛めつけるような奴は殺っちまえ・・って・・ね」

カチッ

トリガーを引くと同時に巻き起こる閃光・・!
まばゆいそれは男を包み背後の壁事吹き飛ばした・・
・・・・・・・
・・・・・・・・・
「最後のひとかけらまで消滅すればいいよ」
閃光が消えた後、そこには男の姿はなく全てを消滅させ壁をぶち抜いていた
「・・・シャン・・?」
うずくまり震えるシャンに歩み寄るリュート
「・・こないで!」
涙声で叫ぶシャン・・
「!」
「話は聞いてたでしょう・・、私は・・」
「そこまで。そんなことは関係ないよ、シャンはシャンだろ?」
「・・・・・・・」
「僕は気にしないよ?シャンの過去も・・、大事なのは今、そして未来だ」
「・・リュート・・」
「さっ、そんなところでうずくまっていてもしょうがない。早くこんなところから立ち去ろう」
そっとシャンの手を握ろうとするリュート
「駄目!私・・、男に触られるの・・」

スッ

シャンが言い終わる前に手を握るリュート
「・・・どう・・?」
「・・・やっぱり・・・・何ともない・・」
「ああっ、言っておくけど実は女だった!っとかそういうのじゃないよ」
「・・・でも、どうして・・?」
「まぁ気質で反応したんじゃないかな?同じ男でも僕とあいつ等は違うってことさ。」
そう言いシャンを立たせるリュート・・、
床に落ちたカラミティテラーも拾い上げ持ち主に渡す
「はい!ちゃんと持っておかないと僕が頂いちゃうよ?」
「・・・ばか」
目に涙を浮かべながらもようやく落ちついた様子のシャン・・、
リュートから自分の得物をふんだくった・・
「ようし、じゃあこんな辛気臭い場所はさっさと退散しよ〜♪」
「でも・・、他の連中は・・?」
「あれ・・?あんなの軽い軽い・・、ほら?」
ブリューナクの破壊光弾で空いた大穴から庭で積まれている大量の男達が見えた・・
「君って・・・」
「まぁ、動く的みたいなものだったからね・・・。でも弾を使いすぎたね・・。また造らないと・・」
呑気にそう言い彼等は静かに施設を後にした・・・・






「・・・・でっ、全滅・・か?」
「はい・・、他の工作員も何名か逃亡しました」
「・・・・ふむっ・・・」
「急いで追っ手を手配します。裏切り者に必ず死を・・」
「待て、しばらくは彼等から手を引く」
「は・・・?」
「不服そうだな」
「いえっ・・、でも何故・・?たかが少年と少女ですよ・・?」
「そこがいけない。そのたかが少年と少女に一つの施設が壊滅させられたのだ。
彼等だけに構ってやるほど我々は暇ではない。
この痛手を回復するぐらいまでは放っておいていいだろう・・」
「・・・御意に・・」
「・・・・・・・・・しばらくは外界の空気を吸っているんだな・・、裏切り者のシャンよ・・・・」


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