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六章  「屍霧神と四戦士」


「はぁはぁ!もうすぐですよ!!」
天上が崩れる洞穴の中、ディが叫ぶ
「ガウ!!」 わかっている!!
狼の姿をしたルナ、背中にリュートとシャンを乗せがむしゃらに走っている
追っ手はないのだがいつ天上が崩れるかわからず一行は正しく必死だ・・
だがそれだけの疾駆もあり無事洞穴を脱出・・。
それとともに完全に洞穴は崩壊した



「はぁはぁ・・なんとか・・間に合いましたね・・」
流石に疲れて少し腰を下ろすディ
空は完全に暗雲に囲まれ夜のような状況だ
「ごくろうさん、ルナ・・」
「ワン!」 戻るから降りて
「な・・なんだが降りて欲しいみたいだね・・」
目で理解するリュート、シャンを連れてそそくさと降りる
フィアラルはシャンの肩にとまったままジッと崩壊した洞穴を見ている
それはともかく・・

パァァァ・・

「ふぅ」
いつもの姿に戻り一息つくルナ・・
まだまだ気が抜けないのだがとりあえずは安堵の様子だ・・
「ディ君、君達は・・」
「今はそれは後にしてください。洞穴が崩壊したからって安心はできないので・・」
「それもそうよ、姿形はどうであれルナはルナ、ディはディじゃない?」
「わん!」 ありがとう!
「そうだね、じゃあ後は・・」
じっと崩壊した土砂を見つめる4人・・
「・・・・さっきの地震って・・、やはり・・」
「間違いはないでしょうね、ヴァリゴラです。
あの邪導魔兵で僕達を引きつけて生き埋めにしようとしたんでしょう」
「神のくせに姑息ねぇ・・。でもそれじゃあ自滅じゃない?」
「とんでもない、自身の身体に傷がつく可能性があるのにそれをやってのけるとなると・・」

ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・

ディの言葉を遮る様に鳴り響く地響き・・
「・・・・ディ!!」
今までで一番険しい表情のルナ、再び狂戦鬼の大太刀を振りかざし事態に備える・・
「・・きますよ・・二人とも、覚悟は!」
「おおありだよ!いくよ!シャン!」
「ええっ、どこからでもかかってらっしゃい!」
気合い十分な4人、そこへ・・

轟!!

ガレキの中を突如貫く「モノ」、それは6本の手を持つ禍禍しい骸・・
即身仏を素材にしており頭部は目を失った土色のミイラ、
身体は屍肉をつなぎ合わせており胴には祭具か不気味な模様がされた鎧を纏っている・・。
相当な屍肉を使用しているようで身長はディの5倍はあるか・・、
6本の手にはそれぞれあまり見ない形の剣、斧、盾、円輪、法杖、
に鋼鉄のロープのような「索」を持っている・・

『・・ニンゲンドモ・・』

片言で頭に響く声・・、洞穴で聞いたあの声だ
「ヴァリゴラ・・、古の封より甦ったのはいいですが、ここまで暴れるのは少し頂けませんね・・。
希望都市を守護せし極星が一人、この僕が葬って上げますよ・・」
そう言いやり晶槍をかざすディ・・
「わん!ルナ 負けない!!」
ディの隣でヴァリゴラを睨むルナ、今にも飛び掛りそうだ・・
「やれやれ、趣味が悪いみたいだね・・。ともあれ成り行き参加でも負けはしない!」
「同じく!私達の手にかかれば神の一人や二人、ぶった斬ってやるんだから!」
リュートとシャンも気合い十分!
対しヴァリゴラがまったくの無表情・・っというよりか表情を変える必要もないか・・。
静かにこちらを見ている・・

『イイ素材ダ・・、トリコンデヤロウ・・』

そういうとミノタウルスが持つような大戦斧を振りかざす!!
落雷の如き一撃に4人は横飛びに回避する。
ちょうどディとルナ、リュートとシャンへとわかれ地に着地した
「身体の使い方が慣れていないようだね!いくよ!」
着地するや否や新生法皇と真女教皇を連発!
魔弾と強弾の嵐がヴァリゴラを襲うが・・

チュインチュイン!!

強化したとはいえ、ヴァリゴラの身体にはまるで通用していない・・
「あの邪導魔兵で学習したのか・・?ってうわっ!」
ヴァリゴラの腕の一本、逞しい豪腕が鉄の円輪を飛ばしまっすぐリュートへ飛来する!
「リュート!!」
思いのほか速い円輪にリュートの回避は間に合わずシャンが間に入って受けとめる!

キィン!

一際大きい金属音がし、なんとか退けたが・・
「・・っう・・、何よあの馬鹿力・・」
手が痺れて思わずぼやくシャン

「リュート君!ここは出し惜しみせずに一気に!!」
反対側でディが叫ぶ!
向こうもヴァリゴラの腕相手に混戦の模様だ
「了解!ブリューナクのシルバーブレットで!!」
拳銃をしまいすぐさまブリューナクを構え・・

轟!!

魔銀の衝撃がヴァリゴラを包む・・が!

『・・・・』
ヴァリゴラの身体は多少傷を負ったモノの致命傷とはほど遠く、再び円輪を
飛ばしてくる!
「うわっ!」
対屍物用の銀弾を撃ってでも平然と攻撃してきたので回避が遅れてしまった・・
なんとかブリューナクで円輪を受け止めるが衝撃と吹っ飛ぶ!

「リュート!」

それを見てルナが叫び瞳の色が緋から紫へと変化していく!
その途端大太刀の構えも変わり一気に疾駆する!
「ルナ!援護するよ!」
晶槍を振りかざし魔法の矢で牽制する、ダメージはなくとも衝撃で少しのけぞらせれるのだ
「ディ!頼む!雄雄雄雄雄雄!!!」
雄叫びの如くな気合い声で振りかぶり・・

斬!!

気合い一番ヴァリゴラの足を切り払う!
狂戦士の大太刀は見事骸の巨体を支える足を切り払い、ヴァリゴラは体勢を崩した
ルナはそのまま地面を滑りながら二人の元へ・・
「やった!」
「・・まだだ。奴は死肉を操りし者、この程度では・・」
ルナが言い終わる間にもなく、足は再生、斬り飛ばした脚もグニャグニャと形を変えている
「これじゃあキリがないわよ・・」
「焦るな、私が先に仕掛ける、シャンは同じ処を後から!!」
「わかったわ!(・・なんだか、ルナ、絶口調ね・・)」
同じところを連続して破滅させれば再生は不可能・・っいうのがルナの考えなのだろう
ヴァリゴラは静かに彼女達を見つめ、儀式用の七支刀を振り上げる!
元より斬るつもりではなく圧殺させる気だ
「いくぞ!シャン!」
「了解!タイミングお願いね!」
逞しい声で飛びあがるルナ、シャンもそれに続く!
二人がいた場所に豪腕の剣が襲い砂煙を立てる・・
「斬る!」
空振りの隙を突き、ヴァリゴラの顔付近まで跳躍するルナ
大太刀を振りかざし一気に斬りかかろうとする!
しかし

ガァン!

「!!!」
不意にルナにぶつかる大盾、防具としてではなく武器としても扱っている・・
「「「ルナ!!」」」
3人が叫び援護に入ろうとする・・
さらにあの大戦斧が横なぎが飛来し、ルナの後へ続こうとしたシャンへ・・
「え・・・っ!」
回避しきれない・・、唖然とするシャンへ大戦斧が・・
そこへ・・

斬!

「大丈夫ですか!」
燐翼で跳躍し、大剣と化した晶槍の一撃で戦斧の腕を切り払うディ!
先ほどまで魔法を唱えて、素早くしなる「索」の相手をしていたのだが
無茶をしてでもつっこんだようだ
「ええっ、でも・・!」
ヴァリゴラの身体を蹴って頭上から降ってくるルナをキャッチするシャン。
「ナイス!シャン!一旦下がって!」
ブリューナクの実弾を撃ちながらリュートが叫ぶ、
流石のブリューナクの弾もヴァリゴラの動きを鈍らせる程度の効果しか得られていないのだ

『・・・』

それを見えているのかわからないミイラの顔が見つめ
法杖を地面に叩く!

轟!轟!!轟!!!

「うっ、わぁぁぁぁ!!」
リュートがいた場所にピンポイントで落雷が連発する!
なんとか回避するものの攻撃に転ずる機会が見えず後退する・・
「みんな、ちょっと下がって!!」
ディが叫ぶとともにシャン達も後退しているリュートに続く

特攻したが全くの返り討ちにあい一旦距離を開ける4人
法杖による雷の射程外になったのか追撃はなくなった・・
しかし木々の向こうにはあの身体がまだ見えておりゆっくりと近づいてくる
「ルナ!大丈夫!!」
「大丈夫だ・・少し意識は飛んだがな・・」
少しよろめきながら大太刀を持ちなおすルナ。
「でもどうする?あの6本の腕からの攻撃は厄介よ、どうやらオールレンジ対応みたいだし・・」
「一気に攻めるか・・、でもヴァリゴラもまだまだ本気ではないようだし・・」
リュートも困惑顔・・
「用はあの手を何とかして後は狙い打ちにすれば良い・・、みんな、私に力を貸してくれ」
「ルナ・・、勝算があるのかい?」
珍しいルナの発言にディも驚く
「頭が悪いなりに思いつくものもあるからな。
リュート、フィアラルは光弾を反射する能力があったな」
シャンの肩にとまるフィアラル。
「・・・」 出番か?
翼を広げ、準備(?)をする
「ああっ、そうだよ。女教皇の弾やブリューナクの光弾を狙いどおりの位置へ反射できる」
「ならば私が斬りかかった時にあの魔銀弾を私の太刀へ当たるようにしてくれ」
「そうか!太刀に銀の力を加えてヴァリゴラを斬れば内部から破壊できる、
それならば腕を切断したら再生もできなくなる!」
「だけどうまく太刀に銀弾が組み合わさるには時間がある、
直接太刀に銀弾をぶつけたら勢いで私も飛ばされるからな。そこは・・」
「僕とシャンさんの出番だね。出来る限りヴァリゴラを引きつける。
フィアラル、発動以来の大仕事だ、間違いなくこなしてよ!」
ディの言葉に愚問!っとばかり嘴を開いて見せるフィアラル
「がんばってフィアラル。私もふんばるから」
優しくフィアラルを撫でるシャン、そこへ・・

轟!!

天からの落雷が・・、すでに射程に入ったのだろう
4人は散り散りに行動を開始する!

まずヴァリゴラの前に姿をあらわしたのはディ
「鈍足ながら歩幅はあるようですしね、まずは動けなくさせてもらいましょう!」
両手をパン!っと合わせてその手を地面につける
それと同時にヴァリゴラを囲む様に地に描かれる方陣・・

「紡げ!」

ディの言葉とともに方陣が光を放つ!
『???』
ヴァリゴラは足を動かそうとしたが動かずに何が起こったか理解できないようだ・・
「まだまだ行きますよ!」
晶槍を魔刃の大剣にし、燐翼をかざし突っ込むディ!
ヴァリゴラもその場で剣を振るい応戦するが・・
「踏みこめなければただの素振り!甘いです!」
豪腕からの剣撃もヒラリと避け剣の腕を切断する!

『!!!』

思わずのけぞるヴァリゴラ・・、しかしすぐ体勢を立てなおし切り取られた腕と
先ほど切断された足がうごめき別のモノへと姿を変える
「眷属・・か。ですが引けませんね!」
地につくディ、新たに現れた肉片達を驚きもせず剣を構える
そこへ剣では不向きと理解したヴァリゴラが索を放つ!

「そこっ!」

しなる鋼鉄の鞭に合わせるように木々から飛来する物・・
碧色に光る魔鎌が勢い良く回転して索へ接近!

バツ・・!!

鈍い音とともに索は見事切断されて魔鎌は孤を描き持ち主へ・・
走り出たシャンはそれをタイミング良く取り振りかぶって突っ込む。
正しく鎌をもつ死神のように・・
「眷属だろうがなんだろうが関係ないわ!私が相手になってあげる!」
生まれでた躯喰鬼を切り払う!
「このまま引きつけますよ!シャンさん!」
「ええっ!」
素早く動きヴァリゴラに斬りかかるディとシャン。
対しヴァリゴラは法杖での落雷は近すぎ、斧では大ぶり、
円輪も隙が大きく、盾はダメージが期待できないので手に余るようだ・・
そうこうしている間にも魔の鎌と魔の刃が自分の造りあげた身体を刻んでいく・・
そこで・・

ゴポ・・ゴポ・・
不意に腹部がうごめいたかと思うとそこから穴が空き、躯喰鬼が産みおとされる・・
それも次々と・・
「なっ・・、こんなものまで・・シャンさん!僕がヴァリゴラを引き連れます!躯喰鬼を頼みます!」
「わかったわ!」
攻撃の手を分けシャンは躯喰鬼を切りまくる!
ディも負けじと珍しくごり押しに攻撃の嵐・・

そこへ・・

「おおおおおおっ!」
風の如くの速さで疾駆する狼・・ルナ。
気合いと共にヴァリゴラへと跳躍!

「行くよ!フィアラル!!」
ルナが飛び出すとともに木の影に隠れていたリュートがあらぬ方向へと狙いを定める!

轟!

放たれる銀の光、その先にいたフィアラルは翼を広げ銀弾を反射する!
反射され幾つにもわかれた銀光は寸分の狂いなく狂戦士の大太刀へ・・
太刀を覆う様にまとい、反動もなく銀色に輝く!
「刮目せよ!これが私の太刀筋也!!」
眩く光る破銀の太刀!
ルナは渾身の力でそれを斬り降ろす!!
ヴァリゴラはまたしても盾で対処しようとしたが・・


斬!!!

ルナの一刀はヴァリゴラの腕を三本まとめて切り下ろした!

『!!・・・オノレ・・』

これには応えたらしく身体を痙攣させている・・
片腕に2本の腕・・、法杖と戦斧を持つ腕になるともまだ法杖による落雷攻撃で対抗する
「当たりはしない!」
自身に当たろうとももはや関係なく雷を落とす、
元より覚醒したルナの俊敏な動きにはついていけなく自滅に近い攻撃だ・・
「チャンス!いくわよ!」
自身に当たる雷、さらには足を止められよろめくヴァリゴラに眷属を相手にしていた
シャンが一気に駆けだし飛びあがる
「残り2本!いただくわ!!」
下からすくいあげるように魔鎌『カラミティーテラー』を斬り上げる!
鋭い鎌はヴァリゴラの腕を切り裂き・・
「ディ君!」
「わかってます!」
連続してディが飛びあがり魔刃を振り下ろす!
息の合ったコンビネーションでなすすべもなく6本合った全ての腕を切断した
「リュート君!でかいのを!」

「了解!」
ブリューナクを構え足を踏ん張り狙いを定める!
「直撃させる!みんな下がって!!」

轟!!!

魔槍銃から放たれる破壊の光、それはまっすぐヴァリゴラに向かう!

『・・・・・』

身動きがとれず対処できないヴァリゴラ!
ブリューナクの破壊光弾をまともにうけ、吹っ飛ばされる・・

・・・・・・

巨光はヴァリゴラにぶつかりながら進み、木々の向こうへと突き進んだ・・
「・・・これで・・どうかな?」
「まだ安心できない、そう簡単にくたばるならば神とは言えないからな・・」
「じゃあフィアラルに見てもらう?うかつに寄るのはきついし・・」
「そうですね、フィアラル。出番だよ」
「・・・」 らじゃ!
流石に疲労が激しい4人、どんな事態にも対応できるようにその場にてしばしへたり込む
一方のフィアラルは静かにとび魔光弾に巻きこまれ吹っ飛んだヴァリゴラの様子を見に・・
そんな一行へ・・
「お前等!大丈夫か!?」
突如後から声が・・
見ればバンデッドひきいる数人の傭兵が・・
「あっ、貴方達!ここは危険だって・・!!」
「だからってガキばかりに任せてられるか!村への襲撃もマシになった、ここは・・」
「バンデッドさん・・、こいつの羽根とそこの獣人女・・まさか!」
傭兵達の一人がディ達の今の容姿を見て騒ぎ出す・・
「・・まさか、シウォング王が引き連れる極星騎士団の『聖士魔将』と『銀狼闘姫』か!?」
「きょくせい・・?ディ君そうだったの?」
聞きなれない名にシャンも唖然と・・

「・・・、さぁどうでしょうかね?僕としても風聞というものには疎いもので・・」
「・・、!?それよりもフィアラルが来るぞ!」

とぼける二人・・、しかし傭兵達の憶測は確信の域に達している・・
「フィアラル、どうしたの?そんなに慌てて・・・」
主であるシャンが聞くがそれも聞かずに一行を前でヴァリゴラの方を向く
そこへ・・

轟!!!

突如襲い来る魔光弾!
ブリューナクのモノと似ているが色はどす黒い・・
「!!、ディ!」
「まっ、間にあわ・・」
急いで印を切るディ、しかしそれよりも光弾は速く・・
「うっ、うわ・・」

「・・・・!!!」 
そんな中飛来する黒光弾にフィアラルが翼を広げる・・!!
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
凄まじい音とともに黒光弾は四方に反射される!!
「フィアラル・・、ディ君!早く結界を!このままじゃ持たない!」
衝撃に耐えるフィアラル、鏡面装甲にヒビが入りつつもその場を退こうとはしない・・
「わかってます!!」
急いで結界を張るディ!
光弾をはね返していたフィアラルの前方に透明な壁ができ黒光弾をはね返す!
「・・・・」
主の安全を確認した後、フィアラルはリフレク機能を停止しゆっくりと地面に倒れる・・
「フィアラル!!・・熱い!!」
倒れるフィアラルに触ろうとするシャンだが機体の熱さに驚く
「強制冷却に入っている、・・大丈夫だよ、シャン」
「・・こういう状況です、貴方達がこられても命を落とすだけですよ!」
「ここは私達に任せて村人達を守れ!」
『聖士魔将』ディと『銀狼闘姫』ルナが傭兵達に叱咤する
それだけの事態なのだ・・

「・・わっ、わかった・・。万が一のことを考えて非難させておく!」

激戦に唖然とするバンデッドだがディとルナの言葉に我に返り急いで村へと戻っていった
「・・これで、最悪の事態は回避できましたね・・」
「だがどうする?あの光弾、あれはブリューナクのを奴が真似たもの・・」
「・・・来るのがわかっていればこちらもブリューナクで対抗するよ!
その間に切りかかればいいんだしね」
リュートが努めて明るく言う。

・・黒光弾は勢いをなくしやがて消滅し、
焼き払われた木々の向こうであの阿修羅の如くな姿が・・
「・・・嘘・・、腕が戻っている・・?」
遠めで見ても腕が6本あるのがわかる・・。そしてその足元に群がる骸の群・・
「消耗戦だね・・くそっ!何かないのか・・」
このままではいずれやられてしまう、そんな雰囲気になる一行・・
しかし

”力を信じなさい・・”

突如響く女性の声・・
「へ・・っ?シャン、何か言った?」
リュートはそれはシャンのものと思い聞き返す
「???何も言ってないわよ?」
「じゃあルナ?」
「・・こんな時に何の冗談だ・・」
「確かに女性の声がしたんだけど・・」
「何も聞こえてませんよ。それよりもどうします?決め手になるものが余り・・」
そんなリュートを相手にせず三人は眼前に迫ってくる神にどう立ち向かうか緊急会議
(・・確かに聞こえた・・、それにあの声はまさか・・)
昔のことを思い出す、自分の命を助けてもらった一人の女性の事を・・
その女性の名はミュン。魔槍銃ブリューナクの製作者であり以前の使い手だ
(力・・、自分の力、それともブリューナクの・・)
もうこの世を去ったはずのミュンの言葉が
どうしても気になり彼女の言った『力』について考え出す・・
(力・・、そういえば僕が法皇を造った時に師匠、ブリューナクには特殊な力があるって言っていた・・。確か持ち手の魔力、気合いに応え限界を超える力が出せる・・・、力って・・・まさか・・)
「リュート!何ボーってしているの!?」
「シャン・・」
「非常事態なんだからしっかりしなさい!」
「それなんだけど・・、僕に策がある。うまくいくかわからないけど時間を稼いでくれないかな・・」
神妙な顔だが確信に満ちた表情でリュートが言う
「・・いいわ、何があるかはわかんないけど君がそういうなら・・」
「私もだ。そう長くは無理だが・・な。ディ・・」
「わかってます、では何とか稼ぎましょう。しかし何を・・」
「ブリューナクを活性化し極限の一撃を放つ、これで勝負をかけるんだ」




眼前に迫るヴァリゴラ・・
腕こそ6本あるがかつてしていた武器はしていなく本当に腕が再生しただけだ
もはや格闘による攻撃と黒光弾しか攻撃方法はないようだ
それでも何時の間にか産み落とされた猿の骸ような眷属が何体も・・
そんなヴァリゴラ勢にディ達は接近戦で挑んでいる
魔猿達は動きこそ素早いものの戦闘能力はあの邪導魔兵には遠く及ばなく
バッサバッサとなぎ払われていく・・・
それを一人見つめるリュート
「さぁ・・、僕の声・・、そして力に応えてくれ・・ブリューナク!」
静かにブリューナクを構え精神を統一させる・・
魔術に対して初心者であるリュートだがなんとか立体魔方陣を展開・・
ただし作用をもたらすまでのものではなく動力として対応できる状態だ
リュートにしても初の試みなのでどうすればブリューナクの性能を全て引き出せるかわからないのだ
「・・ブリューナクのリミッターは解除している・・後はどうすれば・・」
『力』をブリューナクに送るが未だ反応はしない・・
「・・僕じゃ・・、無理なのか・・。!!」
自分の確信に蔭りが出たその時、前方で自分を食いとめている
シャンが魔猿の一撃を受け血を流しよろめいている!
「シャン!!」
力をブリューナクに注ぐのを一反中断し女教皇を撃つ!
必死なだけに女教皇の弾は寸分の狂いもなく魔猿を打ち抜く・・
シャンは何とか無事の様でこちらに手を軽く振り鎌を構えなおした
「・・くそっ、このままでは・・えっ・・」
手元を見ればブリューナクが淡く光っている
それはさらなる力を放つための胎動・・
「これが・・、ブリューナク・・。ならばもっと力を!」
さらに魔方陣を広めありったけの魔力を注ぐ!
ブリューナクの輝きは増すがそれだけ・・ある一点で輝きは止まる・・
「!!・・・僕では・・無理なのか・・・」

”信じなさい・・、力を・・。守る力を・・”

「!!・・ミュンさん・・。ルナ!ディ君!僕に力を貸してくれ!」
再び頭に響くミュンの声にリュートは迷わず叫ぶ
「リュート・・、わかった。ディ!」
「了解です、シャンさん!少しふんばってください!」
「わかったわ!任せて!」
一人大鎌を構え魔猿に立ち向かうシャン・・、
額からは血が流れ黒い流髪はボサボサになっているが闘志はいささかも衰えてない
その間にもルナとディはリュートの元へ駆け寄る
「これは・・ブリューナクが進化している・・?」
「そう、でも僕だけでは力が足りないんだ。だから力を貸して欲しい!」
「わかった・・・。では私はこの銃に力を注ぐ!」
「では僕はそれの制御をします、ルナ、急いで。シャンさんだけではそう持ちません・・」
「わかっている・・いくぞ!」
そう言うと紫眼の銀狼剣士ルナは大太刀を地に突き刺し一気に力を解放させる
凄まじい魔力が一気にブリューナクへと流れまばゆい閃光を放ちはじめる
「ぐ・・、ルナ、もう少し抑えて・・、これでは暴走を・・」
「そんな微調整はできない、お前が何とかしろ!」
「・・言われては仕方がないですね!こうなったら僕も意地です!」
ディも方陣を描きながらブリューナクへの調整を計る・・
ルナの力を得、魔槍銃の外見は変化していき、砲身が長く、黄金の銃へと変貌していく・・
「魔槍銃が魔力と心によって進化を・・これは神槍銃とでも言いましょうかね・・」
「そうだね、これで神を滅する!」
ゆっくりと狙いをヴァリゴラへ・・、
見れば魔猿相手もあらかた蹴散らしたシャンが急いでこちらに走ってくる・・
「急いで!あの光弾が・・!」
全身傷だらけのシャンがリュートの後に回り膝をつく・・
もはや戦闘はできないようだ
「あの黒光弾・・!?今やられたら防ぎ様がないですよ!リュート!発射は!?」
「まだ少し!力が安定しないよ!」
「撃てないのか!もうヴァリゴラは撃つ気だぞ!」
ルナも流石に穏やかではない
すでにヴァリゴラの腹部には黒い塊が集まっている・・。あの光弾がすぐに発射されるのだろう
「体勢を整えて再びブリューナクへチャージする機会もない・・。
さらには避ければ後の村に被害がでる・・、どうすれば・・!」
「後数秒で撃てるのに・・!」

そして刻はきた
ヴァリゴラの身体より放たれる黒い破壊の光弾・・
先ほどと同じ軌道でリュートへと向かう!
ディはいちかバチかの賭けでルナの力の制御を止め、結界を張ろうとした・・
その時!
「!!!!」
再び黒光弾の前に姿をあらわす鋼の鷲!
「フィアラル!無茶だ!」
「・・・」
造り主、そして主を守るためにフィアラルの身体は光を放ち、光弾に真っ向から立ち向かう!

ゴゴゴゴゴゴゴ!!

決死の特攻・・、破壊光を身にまとう「ブラストドライブ」状態のフィアラルは
黒光弾をはね返しながらまっすぐヴァリゴラへ!!

斬!!

自身が鋭い刃と化したフィアラル、屍肉で構成されたヴァリゴラの腹を一文字に切断し
そのまま天高く飛びあがる!
そして破壊光を解くと共に降り降りる鏡羽根・・
主に止めをさせと言っているのだろう、すでに鋼の身体は所々スパークを起こしている・・

「フィアラル・・、よし!これで撃てる!」
鋼の鷲の奮闘を見、さらに士気が高まる・・
神槍銃ブリューナクはすでにルナの力を得、黄金に輝いている・・
内部の魔石はルナの力に耐えられなく粉々に粉砕し
その粒子が周囲に飛び散っている。
やがて碧の粒子は女性の姿へと・・
それこそが魔槍銃に宿りし女錬金術師ミュンの思念・・

「ノンリミッターフルバーストショット!!いっけぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
気合いと共にトリガーを引く!
そして放たれる黄金の巨光・・、それに覆い被さるように重なるミュンの思念粒子。
巨光は黄金の狼龍となりて神を飲みこむ!
「そのまま消えろ!ヴァリゴラ!!」
フィアラルの鏡結界により封じられた空間での大爆発!
光の波動が渦を巻き結界の出口、天に向けて柱となって上っていく・・

『バカ・・・ナ・・・』

偶然により外界への復活を遂げた屍霧神、
それは皮肉な事に偶然集まった4人の戦士によって葬られた・・




「・・終わった・・?」
「みたいだね・・。ははっ、勝ったよ・・」
「みんな がんばった!」
ルナも何時の間にか紫眼から緋眼へと戻りへたりこんでいる
「封印ではなくて完全に消滅・・。そら恐ろしい威力ですね。」
「ほんとだよ、もしフィアラルが鏡羽根を使わなかったらここいら一帯完全消滅していたね・・」
以前に十分荒れ放題な森・・、洞穴は崩壊するは光弾撃ちまくったわで凄まじい状態だ
「フィアラル 大丈夫?」
「どうでしょう?あっ、こっちきますよ・・」
よろよろと滑空してくるフィアラル・・、役目を終わって静かにシャンの太ももに着地
「君もがんばったね・・」
自分も満身創痍なのにフィアラルを気遣うシャン。
それに対しフィアラルも首を傾げやがて卵形態へと変化していった
「強制遮断、フィアラルも限界だったみたいだね」
「・・壊れちゃったの?」
「所々・・ですよ。治せばまた元気になります。ともあれ、村に帰りましょう・・」
「そうだね、あっ・・ブリューナクが・・」
何時の間にかブリューナクが元の姿に戻っている
「・・・不思議な銃ですね。」
ディが苦笑いをしながら言う・・。ともあれ、4人はふらつきながらも村へと戻っていった




村では退避していた村民が一箇所に集まっていて傭兵が警戒していた
「戻ったか!どうだ!」
冒険者長のバンデッドが戻ってきた満身創痍な4人に気遣いながらやってくる
「ははっ、退治できてなかったら帰ってこれませんよ。村はどうなんですか?」
フィアラルの卵を抱えながらディが言う。
彼も相当疲労しているらしくフラフラだ
「ああっ、あの後もあっちこっちから躯喰鬼が現れるわ猿みたいなのも出てくるわで
やばかったが偶然通りかかった奴らに助けてもらってな」
「偶然・・?へぇ、ここに通りかかる人間がまだいたのねぇ」
「まったくだ。ほらっ、あの人達だ」
バンデットが指差すとそこには
いかにも「良い兄貴」そうなボサボサ髪の青年とやったらめったら胸の大きい猫人女性・・
「!!ライさん!」
「わう!シエル!!」
彼らを見た途端にディとルナが驚く、ルナなんかは手まで振っている
男性もそれに気付きこちらに近づいてくる・・
「・・知り合いなの?」
「ええっ、そんなところです」

「よう、意外に時間がかかって心配になって来たぜ?」
明るく話しかける青年・・ライ
「どうせ事務仕事から抜け出す口実でしょ?」
「・・わかる?」
「わかりますとも、とりあえずレイハさんには言っておきますので」
「冷てぇな・・でっ、結果は?」
「万事うまくいきました・・っといってもこちらの二人の尽力がなければ到底解決できませんでしたが・・」
「・・この二人は・・・?」
「協力者です。こちらがリュート、こちらがシャンさんです。」
「あっ、リュートです・・・、え〜っと・・これってどういう関係?」
話がドンドン進んでどうしていいかわからないリュート・・
「シャンよ。関係ってディ君のお兄さん?」
「ちゃうちゃう。・・正体、言ったか?」
「言ってませんが周りはばれてますよ・・」
「・・コホン、ならば仕方ないか。俺はライ。ライ=デェスティヤー。
ご存知の通り真龍騎公、都市シウォングの王だ。・・・一応」
何故か一応のところを強く言うライ・・
「そして僕がライさんを団長とした極星騎士団の一人『聖士魔将』ディオール=クラウスと
『銀狼闘姫』のルナです」
「わん!」 その通り!
ディとライの発言に周りがガヤガヤ騒ぎ出す・・
ディとルナがここいら一帯では無敵とも呼ばれている『極星騎士団』の一員であることは
バンデッド達も予想していたがまさか突然ぶらりやってきて自分達を援護したのが
一国の王だったということに唖然としているのだ
「おっ、王様!!・・すっ、すごい・・」
「まぁ堅苦しいのは抜きにしてくれ。これでもそういうのは苦手なもんでな・・」
「は・・はぁ・・」
「ともあれ僕達の仕事は終わりましたが・・
フィアラルもこんな状態でブリューナクも修理が必要なようですし・・。
一旦僕達の屋敷にきませんか?」
ディが思わぬ発言をする
「えっ・・?そうだね・・。今の状態で旅も出来ないだろうから・・お言葉に甘えようか・・
でもいいんですか?ライ・・様?さん?」
「『さん』で十分だ。俺としても異論はない。死闘を手伝ってもらった恩人だからな・・」
「は・・はあ、じゃあしばらくお世話になりましょうか。」
「わかった、じゃあ馬で行くか。俺とシエルのでニ頭ある。ディはルナの背中に乗れ」
「・・・・」 しょうがない・・
結構嫌そうに狼になるルナ・・、そんな彼女をなだめながらゆっくりとディが乗る・・
「村の外に馬を止めている。さぁ、行こうか・・。シエル!行くぞ!」

「ん・・・」

村人の誘導をしていた猫人の女性・・シエルに声をかけるライ
ゆっくりとこちらに近づいてくるのだが・・
「!!!!!」
「・・?リュート?」
突然身体が硬直するリュート・・
「・・・・か・・」
「か?蚊でもいるの?」
「・・可憐だ・・」
「んっ?私か・・」
鉱石馬鹿が異性に熱い言葉を投げかける、それに気付きシャンの額に血管が・・
「ええっ・・、あっ、貴方みたいな美しい人ははじめて・・(ゴス!)いたっ!シャン、なにするんだよ・・?」
おもっきりカラミティのそこで足をつつかれ悲鳴をあげるリュート
「・・知らない!じゃあ私あなたの馬に一緒に乗るわ!!」
不機嫌そのもののシャン、強引に初対面のシエルについていく・・
「???」
「ははっ、お前も疎いもんだな・・。では俺達はこれで失礼する!冒険者長殿!!」

「お・・おう・・」
「村の防衛及び村民を守ってくれて感謝する。
あの洞穴にはしばらくは近づかないほうがいい」
「そりゃあ身に染みてわかっていますぜ・・。
まぁ、住民守る仕事も悪くないって思っていたからこのまま自衛団まがいの事でもしようか・・」
「ならば影ながら応援してやるよ、じゃあ騒がせて悪いな!
連絡いれたから直にヴィガルドからかシウォングからか調査官がくるだろう!あばよ!!」
手をひらひらさせて村を出ていくライ達・・
シエルやディ達はあまり気にしていないが
リュートとシャンは視線が集まっているのに少し緊張している・・
それでもシャンはご機嫌ななめな様子・・・・

ともあれ、彼らの旅はもう少し中断、シウォング王の屋敷にて休養させてもらうことになった・・



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