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五章  「邪導魔兵」


洞穴に駆け込んだ四人は、覚悟していたとはいえその光景に絶句せざるえなく
4人の元へ飛び込んできたフィアラルを追って、
ぞろぞろと無数の生屍と躯喰鬼が・・・
 「これはホント・・・よしよし、恐かったねフィアラル」
定位置で頬にスリスリする鋼の鷹に、シャンも思わず撫でて慰めてしまうほどに。
洞穴の外では戦闘が始り、撤退など端から論外。 否、回り始めた歯車は止められない。
「・・・それで、如何するんだい?」
「この際、出し惜しみせず一気に蹴散らし突破するのみっ!!」
 「がうっ!!」 おうっ!!
「はぁ、それだと幾ら弾があっても足りないね」
 「・・・・・・(疲」
「いえ、合図にシルバーブレット一発撃って頂けたら十分。ルナ、お二人を頼みます」
ディの意図することなど分からず首を傾げる二人の前、放つ閃光にルナはその姿を銀狼へ。
姿は獣であれ、身につけている衣装,紅のリボンから銀狼は粉う無くルナであった。
 「ガウッ!!!」 任せろっ!!!
「「・・・・・・はい?」」
振り向き更に絶句。其処には背より3対の燐翼を生やしたディ。
フィアラルは仲間〜〜と片翼を振って喜んでいるが・・・
 「ディって、天使だったんだ・・・」
「いたって人間ですよ。おせいじでも、普通ではありませんけど。
さっ、時間もないのでルナの背に。僕の合図でお願いします。
その後でルナ、特大のを・・・」
前を見据え構える銀狼に、燐翼の少年も翼羽ばたかせ、
一対が燐羽根へと散り洞穴へ広がっていく。 
其処へ撃ちこまれた魔銀弾は燐羽根へ吸収され吹き荒れるのは
破邪の嵐。 生屍と躯喰鬼は成す術もなくボロボロと土塊へ還るのみ。
更に、
 「呀っ!!!」
と、邪が清められた処にルナの破魔咆哮で魔は鎮めら、
侵され穢れていた空間は清浄に屍霧神の支配より解放された。 
殆ど密閉空間だけに威力はとてつもない。
鋼の鷹を案内に、狂戦鬼の大太刀を咥え二人を乗せたまま疾駆する銀狼と
四の燐翼にて翔駆する少年 一体と四人の行く手を遮るものは何もなかった・・・
・・・・・・・・・・・・
地下神殿がある広い空間、跳び込んだ四人+αを出迎えるのは無数の魔矢
!!?
勢い止らぬ銀狼より飛降りたリュートとシャンは、魔槍銃の拡散破壊光弾で凌ぐ。
荷を降ろしたルナは疾駆しながら銀狼から少女へ変身に女侍さながら大太刀を揮い
止る事無く矢雨を駆け抜け、ただ前へ。
空かさず横転に回避するディは腰に携えた晶槍を抜き放ち展開した光刃を盾に
勢い止めず翔び抜け、退く事無く前へ。
その二人に立塞がるのは剣兵,槍兵の魔導騎兵。姿は元の鎧騎士を思わせる形と異なり
禍々しいまでの肉感で目抜から覗くモノアイは爛々と殺気を。
もはやソレはディの魔導騎兵ではなく屍霧神の眷属 邪導魔兵。
ディたちの技を持つ最凶の敵。
 「ディっ!!!」
「如何攻めてくるか分かりません。 皆、気をつけて!!」
つまりディの忠告無に各個撃破しろと。
魔導士ディの相手は『聖嬢騎姫』『勇雄騎将』がモデルであった魔導騎兵
・・・今は、邪導魔兵。
剣技,体術ともに格上ではあるが、製作者がディだけに全てを把握しているので
負ける相手ではなかった。 元の魔導騎兵のままであったならば・・・
剣闘士ルナの相手は『甲装騎将』がモデルであった斧槍の邪導魔兵。
移動速度は遅いものの、堅い装甲に巧みで射程の広い得物は容易に近づかせない。
元の魔導騎兵であったなら
 「呀っ!!! ・・・!!?」
ルナならば破魔咆哮で魔導構造が揺らいだ隙に懐へ飛び込み核粉砕も可能だったのだが
今は『肉』のせいで阻まれ、ソレすら許す気配はない。
そして、魔銃使いリュート・魔鎌使いシャンの相手は影に潜み姿現さぬ弓の邪導魔兵。
両腕が物質化した矢を射る弩だけに遠距離専門だが、
勿論容易に接近を許すようには造っていない。
敏捷性もさることながら連射性も人には及びも。
 「フィアラル、索敵っ!!!」
もちろん矢は空舞う格好の的を狙うが、
其処は弾道修正に精密射撃の『真女教皇』が漏らさず撃ち抜く。
二人を狙う分は前に立つシャンが揮う鎌が斬裂く。
と、眼帯より飛び込んでくる映像は物陰に隠れ移動しながら射掛ける弓の邪導魔兵。
こちらも同様に、おぞましい外見にもはや完全な敵役でしかない。
「そこっ!! 当たれっ!! 当たれっ!!! 当たれぇっ!!!!」
『新生法皇』は遮蔽物を撃砕きつつ弓の邪導魔兵へ命中。
『真女教皇』は弾道を曲げ、フィアラルを反射に標的へ。
しかし、弾丸は弓の邪導魔兵を仰け反らせ動きを封じはするが直撃が無い分
満足なダメージを与えるに到っていない。 
だが、それで十分。
!!?
 「遅いっ!!!」
体勢崩した弓の邪導魔兵へ死神の如く鎌振り被りシャン奇襲。
振り下ろす先は首に頭が飛ぶ
 「っ!!?」
事無く鎌の切先を受け止めるのは、そのままに双頭剣であった弓。
硬直したシャンに、開いた腕の狙いは少女の腹へ。そして矢が飛び出し・・・
「シャァー――ンっ!!!」
吹っ飛び地に伏す少女へ駆け寄る犬少年を狙うは、体勢立て直した邪の狂矢。
動揺に対応しきれない処へ撃込まれ・・・・・・・る事はなかった。
腹に矢を受けたと思われた少女が揮った鎌が、その腕を刎ね飛ばし
地には真ん中から折られた矢が気化していた。
瞬間、飛び込んだフィアラルがシャンを突き飛ばし矢をへし折ったなどとは
神の身でなければ分からぬ事だが、シャンが無事となればもはや問題無。
「うおおおおおっ!!!」
突撃に両手の魔拳銃の銃口から噴く火で邪導魔兵は木偶人形の如く踊る踊る。
しかし、それも引く引金にカチカチと弾切れに終わり、
邪導魔兵の狙いは再装填に動きが止まりフィアラルが駆け付けるリュートへ。
 「させないっ!!」
それは復帰のシャンが許すはずがない。 片腕にボロボロでも得物が双頭剣だけに
シャンも容易に刃を届かせることなど出来ないが鎌を揮い、ままの勢いに石突で殴り、
ルナと遊び もとい手合した事で更に上達した格闘戦闘術で追い詰める。
「シャン、退いてっ!!」
と横に退いた魔鎌の少女の向こうには再び銃口向けるリュート。
その咆哮に、邪導魔兵はもはや抵抗を許されず再び木偶踊りを。
弾切れまでその身体は持ちはしない と思われた瞬間、邪導魔兵の弾ける胸甲に
胸腔ギッシリ埋まっていたのは矢、矢、矢の矢先の剣山。
それが発射体勢であることは察するに十分であり、シャン,リュート共に回避不可。
凍りついた時の中、嘶きと共に飛び込んできたのは鋼の鷹フィアラルだった。
造られた存在であるとはいえフィアラルにも意志はある。 
主を護るという。必要ならば進化してまで。
ブランクの魔石内臓に、それが創造主に許されているとなれば尚更。
今の武器、嘴や爪では殲滅の雨の前に邪導魔兵を蹴散らす真似などは出来ない。
最終兵器を発動させるには残存エネルギー量も足りなかった。
だから、もう一方の創造主の技を真似に羽ばたかせる翼から舞うのは燐羽根。
嘶きに、それは矢となり邪導魔兵を貫く
ほど都合はよくない。精々、唖然とした感の邪導魔兵の周囲をヒラヒラ舞う程度。
ダメージを与えるには及ばず・・・しかし、一瞬隙を生み出した事には代わらず
「滅びろぉっ!!!」
リュートは背に携えていた魔槍銃ブリューナクを構え、その威力も忘れて
燐羽根に包まれた邪導魔兵へ放たれるのは破壊光魔弾。
「「あっ・・・」」
共に気付いた時には、真直ぐに伸びた閃光は邪導魔兵を貫いた後で
閃光はそのまま伸び壁へ向かうことなくその前に拡散。否、燐羽根に反射から反射へ
其処に生まれるのは破滅の光球。
暫し輝きを保っていたそれも燐羽根が散ると共に薄れ
「・・・・・・」
 「・・・・・・」
「・・・・・・」
 「・・・ねぇ、あれ何?」
「多分、フィアラルはディ君の真似をしたかったんじゃないのかな。
でも、魔導って見ただけで真似出来るものじゃないから自身の鏡面装甲の
魔導構造をコピーした羽、鏡羽根をばら撒く結果になったんじゃないかと。
効果は見ての通り。攻撃力皆無だけど、領域に入ったエネルギーを逃さない」
 「・・・へぇ。・・・そうなの?」
シャンが何処まで理解でしたかはさて置き、
定位置で必要ない毛繕いをしている処を見ると図星 なのか?
その返事は、丸く穿たれた地面に転げ落ちた魔石がパキッと砕け散る音。

以上に剣技巧みで攻撃力があろうと魔導騎兵相手ならば、末席であるとはいえ
一騎当千であり勇者,英雄と称えられる一団の二人なら苦戦する相手ではなかった。
しかし、良くも悪くも殺気という生物の要素をえた以上、それは本物と代わらぬ勢いで
「ぐっ・・・くぅっ!!!」
凶剣を、ディは魔光刃の大剣状とした晶槍で受止めるも横殴りの盾に弾飛ばされ
空で急制動に魔法の矢を叩き込むが・・・
モデルだけに必要最小限の動きで避け避けきれないもののみ剣で斬り盾で防ぐ。
その動き、一切の迷いなし。
罠に『地氷雷』を地面に仕込んで、見透かされ揮う剣に破られる始末。
「いやはや、流石流石・・・モノホン並に強くなりましたね。
でも、本物には成りえないっ!!!」
 「ガウっ!!!」
瞬間 猛転の銀円鋸強襲に、邪導魔兵は剣と盾両方用いた防御で完全に止る動き。
「何故なら、仲間を思う気持ちがないから・・・」
斬!!
そして背から胸へ完全に抜ける刃。邪導魔兵の背後へ回り込んだディによって。
回転止まった銀円鋸は、狂戦鬼の大太刀を咥えた銀狼のルナ。閃光と共に娘姿へ。
で、斧槍の邪導魔兵は如何したかというと、モデルだけに欠点である鈍足も
受け継いでいるので、暫し完全に放置でも無問題。攻撃力と防御力は侮れないが。
後は、ディ・ルナともに剣と盾の邪導魔兵に一切構わず背を向けるのみ。
しかし、一撃程度で邪導魔兵が倒れるわけもなく剣を振り被り・・・瞬後、霧散。
残り堕ちた魔石は地にぶつかると当時に真っ二つ。 さらに木っ端微塵。
例えどんなに強かろうと元が魔導騎兵である以上、
ディならば核へ『接続』(アクセス)出来れば自滅(アポトーシス)の
『命令』(プログラム)を書き込み結果はごらんの通り。
もっとも、魔光刃で貫いた際に核の魔石も両断していたが。
ディとルナは弓の邪導魔兵を倒したリュートとシャン合流に、立ち向かうのは
如何なる攻撃も受けないある意味最強である斧槍の邪導魔兵。
「銃はきかないし・・・」
 「危なくて近づけない・・・」
「本来、コレの対処は『戦略的撤退』が正解なんですけどね」
 「・・・(クアアアア」
哀しいかな、鈍足なので。 しかし、倒さなければラスボスもまた・・・
積極的に攻めにこない四人に、斧槍の邪導魔兵も攻めあぐねる状態だった。
「・・・はぁ、折角なのでフィアラルの新能力をお借りしましょうか。 フィアラル!!」
ディは呼びかけに投げるのは魔石。フィアラルはそれをパクッとキャッチにゴクリ。
「それは?」
「こんな事もあろうかと持って来た魔力の・・・まぁ、バッテリーです。
これで完全充電は出来たはず。後は先ほどの鏡羽根でアレを包囲し・・・」
 「・・・、一斉砲火?」
「なるほど(ニヤリ」
 「・・・(掻きカキかき」
・・・・・・(汗
強固な装甲に覆われていようと、装甲自体は兎も角内部構造が耐えられるものではない。
哀れ斧槍の邪導魔兵は袋叩きに破壊光球に覆われ消滅。 合唱。
もはや生屍や躯喰鬼はものの数ではなく、最強の眷属たる邪導魔兵も技の結晶であり
その源であるディの魔石がなければ以上のモノを作ることなど不可能。
だから残りは屍霧神ヴァリゴラ
のみなのだが、辺りを警戒する四人+αにその気配は感じられない。
「・・・、そう言えば此処は密教の神殿だったんですよね」
「それが如何かしたのかい?」
「・・・いえ、密教の修行には即身仏という断食で生きたままミイラになる修行が
あったことを思い出したものですから。それに、神像に武器な法具も豊富・・・」
 「「・・・・・・(睨」」
「・・・そ、それで、何が言いたいんだい?」
「いや〜〜、ちょっと誤っちゃかも(汗。
僕の今の考えが正しいなら、創り上げた体は・・・」
フゥと呆れ大半の溜息のルナに、リュートとシャンの背に流れるのは嫌な冷汗。
そして
ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴっ!!!
激震にパラバラと崩れ始める空間。
「これはっ・・・ここで倒したかったけどっ」
「そんな事言ってる場合かい!! こうなったら」
「「「「戦略的撤退っ!!!」」」」
皆、入ってきた時以上の勢いで退却したのは言うまでもない。


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