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四章  「結界が解ける時」


「それで・・、君達、丸二日も寝ていたのはいいとして・・この鷹、何?」
自分の肩に居心地良さそうに乗る鋼の鷹を指差しながらシャンが言う。
っと言っても疑問を投げかけているディとリュートは獅子奮迅の勢いで食べている
「んっ!それは・・鷹!」
「それはわかっているわよ!武器改造するって言ってペット作っていたの!?」
両肘をついて問い詰めるシャン、まるで尋問だ
「まっ、待って・・胃に何か入れないと・・」
喉を詰まらせながら説明・・になっていない説明をするリュート・・

酒場にての談笑だが客数はほぼ0・・つまり彼らだけ・・
ディ達が遺跡の異常を伝えて以来活気が失せてしまった。
そのことに対して冒険者や住民達は彼らの事を嫌うモノも少なくない・・
・・いくら説明しても実害に合わなければわからないのだ・・
「はいはい、落ちついて。水でも飲みな」
そんな彼らに理解を示してくれる酒場のおかみさん、
客足が一気に遠のいたのに全然気にせず親切に相手になっている
・・宿も彼女が進んで泊めさせてくれているようだ
「ありがとう、おかみさん・・」
「でもすみません、色々ご迷惑おかけしまして・・」
「いいのよ、村に危険が迫っているんでしょ?
それを避けようと必死になっているのはよくわかるからね」
ガッハッハっと豪快に笑いながらそう言うおかみさん。
見ていてこちらもホッとするような眩しい笑顔だ
「わん 信じる?」
「もちろん、あんた達みたいな目をしているのは嘘なんかいいやしない。
あたしが宿場で働いて学んだことさ。気にせず滞在してくんな!」
そういい空いた皿を片付けて厨房に戻っていく

「・・・ああいう人のためにも負けられないね・・」
「そうですね・・」
「感傷に浸る前に説明しなさいよ!ルナなんて怯えっぱなしよ?
いきなり手を突っつかれたんだから」
「くぅん」 痛かった・・
「・・プライドでもあるのかな。駄目だよ?んな事したら・・」
そういうとリュートが鋼の鷹を撫でようとする・・
しかし

サクッ!

「おおう!僕まで!?・・・・飼い犬に手を噛まれるとはこの事か!!」
「犬人が言わないの・・。それで?」
「ああっ、この鷹は敵地の偵察と攻撃補助を目的とした魔導機の使魔です」
「使い魔・・この鷹が・・」
肩に止まる鋼の鷹を撫でながらシャンがピンっとこない顔で言う
手持ちぶたさに鷹の身体を撫でてやると鷹も気持ち良さそうに目を細める
「そう、あの洞穴内は足場が悪く移動が制限されているし地形も複雑だ。
おまけにヴァリゴラは気体だけあって制空権は握られていると思って間違いないだろう」
「それで狭い洞穴内の様子を把握し、僕達のサポート役になるのがこいつの主な仕事です」
「で・・でもっ、それじゃあこの間のレギオンみたく取りこまれない?」
特注レギオン三体をヴァリゴラに奪われたのだ。
これ以上こちらから戦力を渡すことはシャンも嫌なのだろう

「僕は同じヘマをしませんよ。こいつの装甲は不滅金オリハルコン・破魔銀ミスリル合金を使っており
制御もこちらが完全に握ってますから大丈夫。
さらには制御、思考、循環系を主に僕が造った魔石をふんだんにつかっています。
だから鋼鉄の身体とはいえ動きなどは本当の鷹と全く変わりがないです!!!」

「さらに!背中の羽根部分は鏡面装甲で魔法をはね返したり吸収も可能だ、
おまけに太陽光発電もできる優れもの!」

「それを体内各所の魔石へ供給するのもこれまたすごい、
オリハルコンから僕が作成した光の血(フォトンブラット)が供給を
スムーズなものとし万が一の負傷時には自己修復機能として作用!」

「そして嘴と爪は僕が渾身の力を込めて造った銘刀並の切れ味だ!
嘴はエストック、爪は鎌をイメージして材質もいいから下手な装備よりも強力だよ!」

「「でも夜は基本的に動けられないんだけどね♪」」

・・・・マニア二人による怒涛のセールストーキング
ルナは話が難しすぎるのでダウン、シャンは聞いているのだけど
一般知識が低いので何を言っているのかあまりわからない・・
「要は優秀な鷲って事ね。名前は?
貴方達が寝ている間に私とルナで『フィアラル』って付けたけど・・」
「えっ・・こいつは僕とディ君とで一晩かけて考えた素晴らしい名前が既にあるんだよ!」
「・・リュート、一晩そんなことにつかったの・・」
「そう、名付けてディ&リュート作!『スカイビィクトリーホーク=アサルトウィングα零式』だよ!」
「・・あれ?ディ君『ヴィクトリースカイファルケン=アサルトバスターα百式』じゃなかったっけ?」
丸二日寝ていただけにネーミングを忘れる二人
っというか興奮状態で付けただけに今一つなネーミングだ・・
「単語くっつけただけでしょうし長いわよ!こうなったらこの子自身に決めてもらいましょう?
ねぇ、『フィアラル』と『ヴィクトリー以下略』とどっちがいい?」
「「・・以下略って・・・」」
当の鋼の鷲は首を傾げ問いかけてきたシャンを見る
そして言った事を理解したのかシャンの頭の上に飛び移り翼を広げて見せる
「・・フィアラルに決定ね♪」
「あう・・でも、なんでシャンさんに懐いているんだろうね?
本来ならば造り手を敬うとおもうのですが・・」
「・・ううん、あっ、鳥って産まれてはじめて見た者を親って思う習性があったよね?
それじゃないかな?」
「・・確かに私が卵から変形したこの子と最初に目が合ったけど・・
ルナちゃんもいたわよ?」
何時の間にか机の下で退避しているルナに軽く目をやるシャン。
フィアラルを警戒しているのと専門話に興味がないのと二通りの理由が考えられる
「・・・たぶん、犬が苦手・・なのかな?そんなこと教えてないんだけど・・」
ディがフィアラルの頭を撫でる・・反撃はないようだ
しかし

「ルナ! 狼!!」

ガブッ!!

机の下で静かに聞いていたルナが犬発言に怒りだしディの俗に言う
『弁慶の泣き所』をがぶりと
「いたたたたた!!ル、ルナの事を言っているんじゃないって!」
「ふん!」
フィアラルが発動してからというもの何かと面白くないルナ。
それも手伝っての報復か・・
「フィアラル、リュートはとにかく、ルナには優しくしてあげて・・ね?」
シャンが優しくフィアラルに言う・・っと
頭から飛びルナの処へ着地
「!!」 ひっ・・
手を突っつかれたことを思い出すルナ・・だが・・・

スリスリ

フィアラルは突つきはせずにルナの身体に頬をこすっている
「・・良い子じゃない。ルナ、もう大丈夫よ」
「・・フィアラル?」
恐る恐るフィアラルに触るルナ
フィアラルは暴れるわけでもなく懐いている
「わう! 大丈夫♪」
「・・どうやらシャンさんを主と認めたわけですね」
「主ってことは・・何でも聞くわけ?」
「そりゃあ言う事聞かなかったら困りますからそこらへんは制御してますよ。」
「ふぅん、ファアラル。リュートを襲いなさい♪」
「え゛!!シャン!何を!!?」
「試しよ♪主と造り手。どちらを取るか」
そう言っている間に答えが・・
まっすぐ飛び立ち一直線にリュートの方角へ・・・

「嘘っ!おい!フィアラル!僕は君の肉体を造った恩師だよ!うわっ!突っつかないで!」
「・・従順ですね・・。完璧だ・・」
「そこまで♪リュートにも仲良く・・ね?」
シャンがそう言うとリュートをいじめていたフィアラルはピタッと行為を止めてシ
ャンの方を向きうなづく
「・・完成度が高いのはいいけど・・素直に喜べないよ、僕・・」
「まぁまぁ、ともあれ経過は良好ですね。」
酒場で盛りあがる4人、久々の会話に和やかになるのだが・・

バン!

突然酒場の扉が荒荒しく開けられた
・・まぁそれに驚く4人でもなく、平然の話をしているのだが・・
入ってきたのはボサボサの金髪に不精髭の中年男でいかにも傭兵っと言った服装だ
男はまっすぐディ達のほうへ歩き・・
「てめぇらが大層なことをしてくれたガキ達か?」
「・・・大層な事・・?何でしょうか?」
「ああっ、鍛冶屋さん貸し切ったことだよ」

とぼけているのかわざとなのか、ディとリュートが応える
・・、もはや数日の徹夜で共同作業をしたことで義兄弟のような関係になっている・・・

「とぼけるな!遺跡への立ち入りを禁じた事だ!
結界が邪魔で入れねぇじゃねぇか!どうしてくれんだ!」
「・・貴方、事態がわかっているのですか?説明はしたはずですが・・」
いきりたつ男にディは全く動じず冷静だ
「生憎村を離れていてな、何があったか知らねぇがあの遺跡は俺が見つけたものだ
どうしようが俺の勝手だ!今すぐ結界を解け!」
「・・・・・口で言っても仕方ありませんが〜・・、あの結界をとけばこの村は壊滅しますよ?」
「へっ、騙させねぇぞ!大方ガキのはったりに決まっている!」
聞く耳もたず・・な男
現実的であることは傭兵らしいのだが横暴だ・・
「ただのガキが結界なんて張れると思っているのですか?
稼ぎがなくなるのはわかりますがそうも言っている事態でもありません」
「稼ぎがなくなるのがわかる?何がわかるっていうんだ!
俺はこの村の冒険者の長をやっているんだ!せっかくみんなが潤う事態になったんだぞ!」
「死んでしまったら何もなりません。すでに遺跡に入ったものは生屍となって操り人形です。」
「て・・てめぇ!表に出ろ!」
逆上している冒険者長、こうでもしないと気が収まらないのだろう
「やれやれ・・、わかりました。みなさんどうします?」
「まぁ無関係でもないから見学・・かな?シャンは?」

「別に。見ても仕方ないだろうし。フィアラルの世話をしているわ」

「わん!」 私もそうする!

「わかりました。では行きましょうか、冒険者長さん・・」
「へっ・・!後で泣きついてもゆるさねぇぞ!」
見た目はあまり強そうとも言えないディを見て自分の勝利を疑わない冒険者長・・
本質を見ぬけないのが彼の最大の汚点とでもいうべきか

ともあれ、酒場の外でディと決闘することに・・
冒険者長は意気往々と大ぶりのカトラスを手に持つ
対しディは・・
「飾りのつもりでしたが・・、魔導使うわけにもいきませんしね・・」
っとぼやきながらこしのロングソードを抜く
本職は魔術師ゆえに本当に飾りのようであまり業物とはいえない代物のようだ
「ガキ一人にいきりたつのも大人げねぇ、そっちの獣人も加われ!」
「ぼっ、僕も!?・・・・・おじさん、死んじゃうよ?」
無謀な発言に本気で心配するリュート・・
「いいですよ、リュート君。じゃあ僕達が勝ったら言う通りにしてくれますか?」
「へっ、勝てたら・・な!上せあがったガキ達に現実の厳しさを教えてやる!」
そう言いながらカトラスを振り雄々しく突進する・・が

ドォン!!

以前より格段に丈夫になったリボルバー式大型拳銃『法皇』が火を噴く!
銃声もより大きくなり冒険者長のカトラスを粉々にした!
「こちらの仕上がりも文句なし・・ですね。ご協力感謝します♪」
にこやかに笑い得物がなくなった彼の腹をディはロングソードで軽く叩く
「ぐっ・・あ・・」
気絶こそしないが急所を突かれうずくまってしまった。
周囲は法皇の銃声で見物客が増えてきている・・
「すごいね・・、反動が大きいけど剣を粉砕する威力になるとは・・」
「満足いきましたね、さて、冒険者長さん・・お名前なんですか?」
「・・・・・バンデッドだ・・」
観念したのか悔しそうに呟く
「ありがとうございます、ではバンデッドさん、最初の約束とおり言う事に従ってもらいます」
「・・・・・」
「冒険者を束ねているのなら有事の際、この村の周囲の護衛をお願いします。
僕達の予想が正しければあの遺跡の中のモノは後少しで動き始めますので・・。」
周囲に聞こえるようにわざと大きな声で言うディ
リュートはそれはにやけて見ている
「護衛・・だと?」
「そうです、僕達の目的はあの遺跡に逃げこんだ親玉を仕留めることです。
そのために今度は雑魚に構っていられないでしょう。
この村への進行を阻止するために貴方達の協力が必要なのですよ」
「・・・てめぇら一体・・?」
冷静そのものの少年、見たこともない武器を放つ獣人にバンデッドも訳がわからない様子だ
「それは言わないお約束。とにかくお願いしますよ?」
「・・・・わかった、いいだろう・・」
「ありがとうございます。ああっ、それと、この装飾品をどこかで換金してください。
そうすればこの村に滞在する冒険者達を少しは潤すことができるでしょう、
後は、全てが終わってから遺跡の探索で稼いだらいいことですしね」
そう言うと工房での作業に余った貴金属をバンデッドに渡す・・
少年ながらにして正しく歴戦の勇者の風格を見せているディにバンデッドも唖然としている

・・この日を境に冒険者達は彼らに協力的になった・・
っとはいえ、それでも『一部』・・なのだが・・



冒険者達との連携も多少取れるようになってきたので
4人はそろそろ本腰を上げることに・・

宿の部屋でいつものように囲んで座る4人、しかし表情は全然違う。
時は昼間だが外の人通りはやはりあまりない
「・・本当に大丈夫?どうあれ敵地に一人でいくわけだし」
シャンが心配そうに呟く、いつも肩に止まっているフィアラルはいなく・・
「大丈夫・・ですよ。それだけの性能はありますからね」
「くぅん」 本当?
「大丈夫だよ、ルナ、シャン。そのために造ったんだからさ」
女性陣とは対象的に自信に満ちているリュートとディ・・
「でも結界どうするの?フィアラルが入ったら破れるんじゃない?」
「それは心配ないよ。
鏡面装甲のおかげで結界の力を反射してくれるから結界を潰すことなく中に入れるんだよ」
「・・便利なものねぇ・・」
「ふっふっふ。驚くのはまだ早いですよ!フィアラルにはまだまだ・・」
「ディ うるさい」
どうやらルナは専門用語連発な話は苦手のようだ
「ルナ・・。大事な話なんだから・・ね?」
「がう!」 難しいの嫌!
「まぁまぁ、フィアラルの情報収集の目玉になる機能があるんだよ、それがこれだ!」
取り出したのは金属の眼帯・・
「・・?これが・・?」
「試しにつけてみてよ・・、はい・・」
首をかしげているシャンにリュートが眼帯を付けてあげる

「ああっ!何!?すごいこれ!森が小さく見える・・」
シャンが驚愕!鳥の視点で大地を見下ろしているのだ、感動もすごいものだろう
「フィアラルの視界映像とリンクしているんだよ。
これで僕達もフィアラルの状態がわかるわけだ」
誇らしげに説明してシャンから眼帯を取る
「・・・私、あんな景色はじめて見た・・」
「わん! ルナ 見たい!!」
「まぁまぁ、眼帯は一個だけなんですからね。今回は僕がつけてそれを魔導パネルに展開しましょう」
そう言うとディが眼帯をつけ、目の前に立体の魔導によるパネルを作り出す
そこには先ほどシャンが見た映像が・・
「わう!わん!!」 高い!すごい!
「ううん、予想以上の出来だね。・・あっ、あれがその洞穴だ・・。
フィアラル、眼下に見えるあの大穴が目標ポイントだ・・」
「えっ、言葉が向こうまで届くの?」
「映像がリンクしてますからね・・
っといってもこっちからも言霊として送信しているので魔導の経験がないと無理ですが・・」
ディが言ったことがフィアラルにも伝わったようで段々と高度が下がりまっすぐとあの洞穴へ・・

洞穴付近は力が弱く結界の網からすり抜けられる生屍が何体か外へ出てきていた
「流石に、あの程度の結界だと次第に効果が弱くなりますか・・」
これにはディも予測していたようで大して驚きもせずに画像を見ている
「もう限界ってこと?」
「そのようですね・・。ですが網の目が粗くなっているだけ、網がなくなったわけではありませんよ」
「まぁ破られるのはもうすぐ・・って感じみたいだけど・・。あっ、入ったよ」
見ればフィアラルは洞穴の中へ何の抵抗もなく入れて、
天上があり飛び辛い内部をスイスイ進んでいく・・
中は生屍や躯喰鬼(グール)がうろつき正しくヴァリゴラのアジト・・
よほど度胸と腕がなければこの中に飛び込む勇気はでないだろう
「かなりの戦力なもんですね・・。」
「雑魚 大した事ない!」
パネルの映像を静かに見ていたルナが胸を張りながら言う
「ルナちゃんタフだものね、でも問題はあのレギオンよね?見たところ・・いないわね・・」
「ヴァリゴラにとっても優秀な駒には違いないし・・、近衛かな?」
「もしくは、ヴァリゴラの身体に使われているか・・。
でも映像見るからに霧が全くないですから・・。身体は完成しているのでしょう・・」
苦虫噛み潰したようにディ。まぁその事態も予測していたのだが
それでも自分の失態が許せないようだ
「鋼鉄の身体を持つ屍霧神か・・。あっ、洞穴が途切れた・・?」
次第に細くなっていく洞窟内だが、大人の人が入れるくらいの穴があり、
そこからは神殿のような空間が・・
かなり広いスペースで何かのホールの様に見えるのだが辺りはガレキで通路がふさがれている
「穴はあの冒険者長さんが開けたモノだとして・・。随分と大きいわね・・」
「・・想像ですが造りからして昔の密教の神殿でしょう。
見つからないように地下神殿を造って洞穴からつないでいたのでしょうね。
それが地殻変動などで洞穴も神殿も崩れた・・っと」
「ふぅん、まぁこれだけの規模なら冒険者を呼び寄せて探索させたら色々見つかるだろうね」
「それ 関係ない」
「まぁそうだけどね、あっ、今の!」
広間の奥。教台のようなものに鋼鉄の腕が・・。その周辺は濃い霧が集まっている
「レギオン・・?もしくは・・。フィアラル、近づいて・・」
ディの通信に反応して鏡台に近づこうとする・・が!

!!

「うわっ!急に旋廻した!?」
急に視界がグルグル回る!何かを回避しているようだ・・
そしてその原因を探すフィアラル
「!、狙っているのはアーチャーか!」
フィアラルの視界が定まったと同時にリュートが叫ぶ
そこにはあの特注の弓兵がおり、こちらを狙っている!
「ここでの戦闘は不利だな・・。よし、フィアラル。そのアーチャーを振りきって脱出だ。
行きの躯喰鬼だって今は気付いているだろう・・、無理しないで戻って来い!」
ディが鋭く命令、フィアラルも事態を察知したのか先ほどよりも素早く動き出す!
アーチャーに接近したかと思いきや広間と洞穴を結ぶ穴へ一目散に・・
「・・アーチャーに攻撃してから脱出開始か、良い判断ね。」
「後は振りきれば・・あれ?警報機が・・」
画像に夢中になっていたリュートだが鞄の一部が眩く光っている・・
「・・・・、結界が・・解けた?」
感覚でディも察知する、ルナは太刀を持ち洞穴のほうを睨みつける
「・・フィアラルが破ったとか・・?」
「いえっ、警報機にしろアーチャーに狙われてからです。つまり・・ヴァリゴラの身体は完成されており、様子見にきたフィアラルに気付き一気に動き出した・・・」
「・・・、いよいよ・・かしら?」
得物を持ち立ちあがるシャン・・
「そのようです。しかも直接でなく間接的に結界を破くとは・・。こうしてはいられません。
リュート君、眼帯でフィアラルの動きを見て脱出のサポートを!通信は前に教えた通りです!」
パネルをしまい眼帯をリュートに渡す。
「わ、わかった。ディ君達は!?」
「僕は冒険者長のバンデッドさんに話を言いにいきます。
それまで攻めてくる生屍達の侵攻の阻止を!」
「がう! リュート ついてこい!」
自分の役割を理解しているルナ、誰よりも早く村の外へ駆け出す
「わかった、じゃあ行こう、シャン。ここからが執念場だ!」
「了解、派手にいきましょう!」
各自慌しく酒場から駆け出す。それをカウンターから黙って見ていたおかみさん。
静かにディの後をついていった


・・・・・・・
・・・・・
・・・
・・

外は何時の間にか暗雲が立ち込めており先ほどまでの明るさは失せてしまった
そして村の遺跡側出口に立つ三人の戦士・・
リュートは片目がフィアラルの視点なのであまり援護は期待できないがそれでも
改良を加えた『法皇』『女教皇』を構えている
シャンやルナはすでに得物を抜いておりいつでも斬りかかれる状態だ
「準備運動にはもってこい・・かもね」
「わん!」 私だけで片付けてもいいよ!
気合いは120%の二人・・、対多数に優れる得物だけに心強い
「なんか・・、戦闘しながらフィアラルの視点を見るのも難しいな・・。片目完全に死角だし・・」
「そこは感覚でなんとかしなさい。君は犬人でしょ?」
「それって差別・・、でも気をつけて、躯喰鬼がドンドン出てきている・・。」
「任せろ!」
紅に黒飾縁取な和服が凛々しいルナ、得物の大太刀を抜き・・

斬!!

木々から現れる生屍、躯喰鬼をばっさばっさとなぎ払う
「ルナばかりに良い格好させていられないわね、いくわよ!」
さらにはシャンの魔鎌の大範囲に渡る攻撃が炸裂!
近距離が専門分野な二人は猛烈な勢いでどんどんと骸の山が築かれる

「・・・・、やっぱり眼帯しながら射撃って訓練が必要だね・・・
ともあれ見えている範囲だけでも!」
そう良い後方からも援護射撃!
威力が上がり立ち位置が良ければ数体まとめて撃ち抜ける『新生法皇』
そして魔弾の弾道修正が可能となり
さらにピンポイント射撃ができるようになった『真女教皇』
その弾の嵐に押し寄せる屍達を見事食い止めている
・・・・・・
しばらくしても屍はぞろぞろと現れる・・
すでにフィアラルは洞穴の出口に近づいていたが
その間の映像を見ているリュートは少し引いている
内部にはまだまだいるようだ・・
ともあれ、接近戦ではいまだ有利なシャンとルナだが数で押されて対処しにくくなったら
ブリューナクも魔光弾で一閃・・っという戦法を繰り返している状況が続いている
「・・・準備運動もほどほどにしてもらいたいわね!」
「まだまだ!」
少し息を弾ませるシャンに対しルナはまだまだ元気・・
「だけどこのままだとほんと、消耗戦だよ。ディ君は・・」
冒険者達を呼びにいったわりには時間がかかっているディ、
逃げるなどとはリュートも毛頭考えていないが流石に不安になってくる・・
そこへ・・


「遅れて申し訳ありません!」

ディの凛々しい声とともに光の矢の洗礼が・・
雨のように連続して放たれる矢に押せ押せな屍達は次々消滅していく・・
「ディ! 遅い!」
ルナが怒りながら太刀をブンブン振る
「ごめん、ルナ。急な話だから集まりが悪くて・・」
見れば傭兵姿ではなく蒼に白銀飾縁取の法衣姿で法杖を携える少年・・ディと
その後に冒険者長バンデッドをはじめとし数多くの冒険者が・・
「集まり悪い割には結構な数ね・・」
「酒場のおかみさんが村中の冒険者達のケツひっぱたいてな・・。
なるほど、坊主の言ったことは嘘でないな」
新しくカトラスを持ち屍の山や躯喰鬼の破片を目を細めて見るバンデッド・・
「信じてなかったのですか・・、まぁそれはいいです。今から僕達は遺跡へ行きます!
冒険者の皆さんはこいつらの侵攻阻止を頼みます!
洞穴内はあいつの領域なのでついて来ても魂食われるので、
ここで食いとめることだけお願いしますね!」
「わかっている!野郎ども!ガキ達ばかり良いところ持っていかれたらたまんねぇ!
ここは死んでも食いとめるぞ!でなきゃおかみさんに殺されらぁ!!」
「「「「「「応!!」」」」」」
カトラスを振りかざし士気を高める冒険者達、これで村の防御網は大丈夫・・だろう
「リュート、行きましょう!」
「道 作れ!」
「任せて、フィアラルも今脱出できたようだし・・。行くよ!」
魔槍銃に持ち替え懐から金縁の弾丸を取りだし装弾・・
「ディ&リュート特製魔石!『シルバーブレット』!いっけぇぇぇぇ!!」

轟!!

爆音とともにブリューナクから放たれる銀色の光!!
屍達を飲みこみ洞穴へ一直線に伸びる・・
・・・・・・
光が消えた後、そこには木も何もなく洞穴までの一本道ができあがった
「さぁ、行きましょう!ヴァリゴラを倒しに!」
反撃の狼煙をあげ4人は駆け出した


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