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参章  「鋼の鷹」


夜中にも関らず、行き成り余所者の冒険者に広場に集められては
冒険者のお零れに預かっている村人達と言えど機嫌が良いはずがない。
しかも、前の高台に立つのは4人の子供・・・若者ならばなおさら。

「皆さん、聞いてください。今、其処の遺跡に生屍が大量発生しているのを
確認してきました。今まで遺跡に行った者は全てそうなったと思ってもいいでしょう」
金髪の少年 ディの発言に、その遺跡が目的の冒険者達はあざけり笑ったり
村人達はそんな事は冒険者達の問題で自分達には関係ないと怒るもの半分。
「生屍が出てこないよう遺跡の出入口は封印しましたので、解決まで立入らぬように。
それと、冒険者の方々は既にうろついている生屍から村を護るようにお願いします。」
流石に堪忍袋の尾が切れたか、集った村人,冒険者から罵詈憎言のみならず、投石まで。
その内いくつかは何処ぞの冒険者が投げたのが、必殺の勢いを持ってディに迫る が

斬っ!!!

 「がぁっ!!!」ゴルァ!!!
微動だにしないディの前、跳出したルナの斬撃に飛礫をまとめて数個両断。
「まぁ、十分予想出来た反応ではありますが・・・
リュートさん、ブリューナクを一発、上に撃って頂けますか?」
「えっ? う、うん、いいけど」
ディの行動力に唖然と後ろから見守っていた犬少年、話を振られ慌てながらも前に
そしてディの意志を察してその通りに人々に見付けつつ魔槍銃を天に向け構え、一発。

轟っ!!!

夜天貫く閃光に、今度こそ人々は押し黙ってしまった。
「・・・・・・。 村を捨てて逃げる事も結構でしょう。誰も責める事はできません。
でも、これだけの力を持つ僕達がオズオズ逃げ帰って来たわけを良く考えてください」
その姿、少年にも関らず歴戦の風格を漂わせる戦士そのもの。
ショックに唖然とする人々を残して去るディに三人も着いていった。今後を対策する為。
とりあえず本拠地 宿の一室へ帰った一同は、身体の清めを早々に円陣組んで座り込む。
「君たちの正体を聞きたいのは山々だけど、以上に・・・」
「あの妖魔、ヴァリゴラの事ですね」
頷くリュートにシャン。懸命な二人なら今まであった事とディの行動から
ヴァリゴラを倒さなければ生き残るのは無理と承知してる。
否、4人だけなら逃げ切るのは無理ではないだろう。正し、その後は・・・
「ヴァリゴラ。僕達が立寄ったある田舎村の側の遺跡に封印されていたのですが
どうやら村人がワケも分らず封印を解いてしまったらしく、着いた時には既に・・・。
遺跡の碑文には・・・そのモノ、纏わらぬ無形にて生けとし生けるモノの命を喰らう。
退治すること適わず、数多の犠牲を揮いココに封印せし・・・ と。
解かる範囲では元々気体であるアレは肉体を求めて生物を喰らい暴れ、
そこをそれこそ英雄な方々数人ががりで倒し、封印したようです」
 「封印? そんな物騒なモノなら退治してしまえば今の問題もなかったのに・・・」
と怒るシャン。昔の英雄のつけを何で自分達が払わなければならないのか と。
「退治、出来ないんですよ。本体が気体だけに炎も氷も雷も致命傷になりえません。
攻撃では精々散らしてしまうだけで、返って厄介な事になりかないので。
だから前は一度アレに肉体を与え纏め、
その上で結界の中で倒し圧縮凍結を・・・命と引き換えに。
・・・そういう意味ではヴァリゴラは妖魔などではなく、神。屍霧神・・・末神ですが」
ある意味、最悪の情報に押し黙ってしまう二人。
銀狼少女はどうしてるかというと
深刻な事態にもかかわらず既にウッつらウッつらと船こぎ始めていたり。
端より頭を使うことは苦手に、作戦はディが如何にかしろ と。
「悪い情報がもう一つ。アレには言語を解するようなモノではなかったはずですが
・・・如何やら人ばかりを喰べたせいで変な知恵をつけてしまったようです。
でなけれな魔導機兵(レギオン)が乗っ取られるなんてありえませんから(苦笑」
多分、今この事態に直面している者達の中で最も最強といえるのは
鍛冶士リュート,元暗殺者シャン,魔導士ディ,剣闘士ルナの4人であろう。
ディ達の故郷に戻れば即解決できる面々もいるが、今の状況では・・・
 「・・・・・・、その割りには余り悲観的じゃないわね、ディ君?」
「まぁ、悲観的になっても仕方ありませんからね。今、自分達が出来る事をしないと。
それに手がないわけじゃありません。 弱い生屍、躯喰鬼(グール)は兎も角
ヴァリゴラそのものはそれなりの躯を手に入れて封印を破らなければ遺跡から
出てこれませんから、その前に万全の準備を整えコチラから・・・・・・
何処まで出来るかわかりませんけど」
ぐっと拳を握り締め決意新たに闘気みなぎらせる一見柔な金髪少年。
しかし、その芯には確固たる強さがあった。勇者と呼ばれるにふさわしい・・・
「・・・・・・。それでディ君、万全の準備というのは何を?」

「先ずは、リュートさんの銃は共に改造が必要です。今のままではこの戦い・・・」
「っ!!?」
一転、如何いうことかと目を見開く犬少年。見習いとはいえリュートにも
鍛冶士の誇りがある。知り合って間も無く認めた者にそんな事を言われるとは・・・
「銃が廃れた別の理由、ご存知ですか?」
「???」
「戦争、要は兵数の兵力のみではなく一騎当千の英雄,勇者な将達にもありました。
一騎当千の英雄,勇者は同等な者同士としか戦いませんが、
将の決着が着けば即それは士気、戦況に跳ね返ってきます。」
「それが銃とどんな関係が?」
「銃というのは万人が使える一方で、並の者が撃っても一騎当千の者達に
有効な攻撃となりえなかったんですよ。
 その身に纏う気 故に威力を軽減されてしまって・・・」
「確かにそれは・・・」
かつて金髪悪魔に撃った弾を握り潰されたので、哀しきかな納得。
「勿論、一騎当千な者が銃を使えば有効な攻撃手段となりますが、
結局は己の攻撃手段を用いた方が手っ取り早いですからね。
 もしくは弓矢。あれならタメがある分に気がのる
余地があり、まだ貫く可能性が高いですから。 
だから銃は、切磋琢磨せぬ愚者がより弱者に対して最もよく使われていました。
故に殺戮兵器に・・・」
「・・・・・・」
流石に頭要の魔導士が論じているだけあって、ここまでくるともうグゥの音すらでない。
そもそも、ディ達は戦いの中で生きる身。その辺りはリュートとは余りにも違い・・・
「しかしリュートさん、貴方とその銃ならば一撃必殺の武器になりえるっ!!
貴方の匠の技と僕の魔導知識をもってすればっ!!!」
「おおうっ!!!」
「そして・・・新たな魔導機を創り上げます!!」
「!!?」
「僕の魔導機兵では如何しても魔導構成剥き出しに。
もうヴァリゴラに乗っ取られてしまうのは目に見えていますから。
そうならぬよう身体を創り魔導回路を組込みます。
遺跡の中を手取り早く偵察してもらう為にも。本来ならそう出来る事ではありませんが」
ディに創造意欲を掻き立てられたか、リュートは身震いに
「それにしても材料は? そこいらの素材じゃ思うようなものは出来ないと思うけど?」
「その点なら大丈夫。
ヴァリゴラが封印されていた遺跡に色々イイモノがあったので持って来てました。
自分達だけでは使道はなかったのですが、
幸い今ここに並じゃない鍛冶士もいることですし・・・」
と、ディが持っていたズタ袋を開けてみせると、輝く光に・・・
「こ、これは・・・コレだけの材料なら鍛冶士冥利に尽きる」
「勿論、僕もありったけの魔石を提供し持てる知識の全てを駆使して協力します。」
オタク もとい、少年達は己の描く想像に目を輝かせて完全に別世界突入。
そして完全に取り残されて 私は如何すればいいの?と唖然なシャン。
ルナなんぞ理解不能な異次元の話で、当の昔に床転がって高イビキ。

「と、言うわけで暫く此処の工房をおかりします」
「行き成りワケ解からんぞ、貴様等っ!!!」
まぁ普通なら、礼儀正しくとも乱入されれば誰でも怒るわな。
「職人のクセにうるさいですね。黙っていて下さい、コレで」
ビシッ
「ぐふぉあっ!!?」 ゴロゴロゴロ〜〜〜〜_○_
額へ一発 可也の稼ぎに値する宝石の飛礫を喰らい、転げ出て行く其処の鍛冶士。
これで邪魔者はいなくなった。 
 後は準備早々に、二人して話し合いに設計し
「この銃ですが・・・」
「法皇?」
「実弾式なので砲身に魔導回路を刻み込み、気合で弾丸を加速するようには?
差し当たって威力は比で2〜3,4倍ぐらいまでなら」
「うん、いいね、それ。威力に耐えられるよう強度を上げるとしても・・・」
・・・・・・
「それで、その銃ですが・・・
「女教皇。魔導回路が組み込んである破壊光弾式」
「ヘタに弄るより魔導回路を追加し、撃った破壊光弾が
撃手の意志に反応して精密射撃が可能なようにしましょう」
「それだけじゃ勿体無い。どうせグリップを触るなら一装填辺りの弾数を・・・」
・・・・・・
鎚を揮い部品毎に金属を鍛え上げながら新たに魔導回路を組み織り込み
法皇と女教皇の改造は出来上がった。否、寧ろ新生法皇,女教皇完成と言うべきか。
新生法皇はリボルバ式のまま弾数は変わらぬものの、より頑丈になった砲身は
刃物を受止めても全く大丈夫な上に構造刻み込まれた
加速の魔導回路が従来の弾を用いても以上の威力へ。
連射は出来ないが、それでも十二分に・・・
新生女教皇は弾自体の威力は代わらぬものの薬室,弾倉,握りの魔導回路を追加増設に
連射で撃ち出された弾丸は弾速の及ぶ範囲で撃手の意志通りに精密射撃が可能に。
無論、弾数は大幅にUP。
これですら、もはや今の修羅場モードで燃え上がっている二人にとっては
手慣らしのウォーミングアップに過ぎず、これからこそが本番。
今、二人の机の上にあるのは新生法皇,女教皇とは別に
ディが遺跡から持ってきたミスリルの武器とオリハルコンの装飾品。
そして、ディ自身が創り上げ携えていた各種魔石。
魔導機兵用からバッテリー、未用途のブランクまで計数十個。
「本当に使っちゃってもいいのかい? 特にミスリルのなんて・・・」
リュートは流石に鍛冶士だけあって、やはり業物のミスリルの得物に怖気ずく。
「いいんですよ、この程度。僕達は既に専用の得物がありますから使えませんし。
そこらの冒険者か傭兵に渡した処で何処まで役に立つものなのやら・・・
それならば僕らで有意義に使った方がイイに決まってますっ!!!」
「うん、それは確かに。 ・・・でも、この量で造れるモノとなれば」
「如何頑張った処でレギオンみたいな図体のモノは造れませんね。 しかし
今僕らが必要としているのは攻撃力あるモノより迅速に動き補佐してくれるもの。
となれば、求めるのは人型より獣か小動物・・・」
「やはり鳥、かな? 大空を舞い、高度からでも目で得物を捉え
急滑降で切迫し、鋭い爪と嘴で捕獲する・・・」
目のみで意志を確認した二人は早朝から作業し続けて時、既に深夜にもかかわらず
新たな作業を開始した・・・

完全に工房へ引き篭もる事となったオタク少年二人組みに対し
身体資本の少女二人組みは時折少年二人の様子見以外特にする事もなく・・・
異常事態に周囲を完全に封鎖されてしまおうと生活の営みを止めるわけにはいかず
村は物々しい雰囲気が漂うなかにもかわらず、行われる日常生活があった。
そして、ルナは朝夜の散歩 もとい巡回以外することは無く
開けっ放しの窓から心地よい風そよぐ宿の部屋で、我が物顔で大の字に寝ていた。
その銀狼少女にかかる影。その手がゆっくりと伸び・・・
ゆっさゆっさゆっさ
 「寝てばっかりいると太っちゃうよ、ルナ〜〜」
 「わぅ?  わぅ〜〜〜〜」
シャンに揺さ振られ、寝惚け眼でも仕方ないと獣の如く四這いでお尻高く伸び一発。
更に立上ると、腕を上に伸ばしノビノビと伸びしたり。 
見てるシャンも思わず
 「ルナって、犬 獣みたい」
 「がぅ? ルナ、狼。犬、違う」
漏らした一言に、聞き捨てならぬと即食って掛かってくる狼少女。
流石に吠え噛み付くことなどしないが、余り愛想良くない憮然な顔。
 「わ、私、犬と狼の区別が余りわからないから・・・」
 「わう!! 狼、家族大事、群れも大事。仲間絶対護るっ(フンっ!!!」
と、成長始め程良いサイズの儚胸を一杯に張って自慢する。丸で子供。
 「そ、そうなんだ。 ルナにとってディ君、大事だもんね」
 「ディ? 舎弟、護って当然(ふっ」
 「護って当然なんだ・・・(汗」
ディを思い出してかある意味嘲笑のルナに、「この二人の関係って・・・」と思う。
 「がう。もっともっともっと、シエル,ライ,リオ・・・大事っ!! 
でも、皆、ルナより強い(苦笑」
シエル,ライ,リオ・・・と言うのは家族のことなのだろう。
語る姿は子供が家族の自慢をしているようで本当に微笑ましく、
拙い言葉使いでも相手していて飽きる事はなかった。
 「処で、シャン、如何した?」
 「えっ? 弾も十分に用意出来たし、今することが無くなっちゃったから」
 「わぅ。」へぇ〜〜
ルナ、寝起は御機嫌ヨロシクなかったが今は家族自慢できたせいが御機嫌そのもの。
女の子らしくなく無防備に胡坐を組んだまま、それは困ったと腕組んで悩む。
ルナとて昼寝は好きだが、寝てもばっかりいられない。 当然
 「シャン、ルナと遊ぶ、わんっ!!!」
 「・・・遊ぶの?」
ある意味、同世代の同性との付き合いがなかった元暗殺者少女にとって
ルナとの付き合いは新鮮であると同時に驚かされることばかり。
二人連れ立って何処にでもある村外れの広場へ。
白肌に黒髪・黒衣装のシャンと 白肌に銀髪・黒縁紅衣装のルナの
対な器量良い二人組少女に、村人や冒険者,傭兵も何事か物見にきたりしていた。
そんなこと御構い無く、少女達の手にその得物。
 「遊ぶって、手合わせのことなんだ・・・」
 「わんっ!!」 うんっ!!
不釣合いに大きい大太刀を抜き放つルナに、シャンも手に持つ棒より生み出される鎌。
あえて省略に、物見の冒険者,傭兵から卑猥で知性を感じさせない下品な野次が飛ぶ が
それも二人の動きを見た瞬間に呆然と開いた口が塞がらぬ状態。
一転に顔を凛々しく引き締まると大太刀を肩担ぎに銀の疾風の如く駆けるルナ。
対しシャンも鎌を振り被って構え、居合いに入った瞬間に振り薙ぐっ!!!
が、剣闘士少女の急制動にそれは空振り、隙が出来た脇腹に斬撃の峰。それも
透かさず元暗殺者 魔鎌少女のバックステップに空振るも、ルナの勢い生かして
踏み込み足払いに体勢崩すシャンはままに地に片手をつけ側転に距離取り・・・
剣闘士のルナは戦士だけあって、その怪力を存分に揮い戦獣の勢いで迫る。
元暗殺者のシャンは端より正面衝突を得意とはしないが、それでも身軽さを活かし
ルナの剛刃を巧みに受け流しつつも鋭刃を繰り出していった・・・・・・
そうして戦い続けること暫し、経験の差か先に息が上がり始めたシャンに対し
ルナはまだまだ余裕。 この辺りは種族云々以上に冒険者と戦人の差。
 「シャン、お疲れ。 止める?」
 「ええ、ホント疲れちゃった・・・ルナ、強いわね」
 「わん!!」
激戦の中、十分に距離が取れたのを機にルナはあっさり大太刀を収めるとテッテッテッと
シャンの処へ。それに安堵して気が抜け、シャンも得物を落としつつ座り込んでしまった。
まぁ、ルナのペースで戦えば先に力尽きてしまうのはシャンであるのは必然。しかし
これも闇に紛れ森など障害物の多いところで戦うとなれば、軍配が上がるのはシャン。
更に言うなら、シャンは表だって戦うより戦う味方の影から奇襲してこそ活かせる。
兎も角、勝手に手合わせを終らせ一転に和気藹々な雰囲気となってしまった少女二人に
観客は完全に置いてきぼりに、仲良く去る二人を見送る事しかなかった・・・・・・
そんな最強に近い二人であるから、傭兵や冒険者であろうと容易に襲う事など
出来るはずもなく夜に歩き回っていようと野放し。
数日目の夜、そんな二人が連日連夜引篭もりオタク少年たちの所へ
その命を繋ぐ夜食を持って行くと
 「リュート!!?」
 「ディ!!?」
丸でその命を象徴しているかのように風前の灯火な鍛冶の炎に照らされ
悲惨なまでに汚れきった少年二人が地に伏せていた。二人の脳裏によぎる最悪の事態。
当然、駆け寄り抱き上げ
「「z〜〜〜、z〜〜〜、z〜〜〜、z〜〜〜」」
 「「・・・・・・」」
「「z〜〜〜、z〜〜〜、z〜〜〜、z〜〜〜」」
 「「・・・・・・」」
マヌケ面から零れるイビキとその臭さに、二人とも思わずポイッと
「「!!? ・・・・・・・・・」」
変に静かになってしまったが、このまま放っておいても死ぬことはなしー。
「・・・・・・男って、子供でバカね。」
「がう。」
一目に目的に達成で力尽きてしまった事は察する事が出来た。
机の上には姿も新たに生まれ変わった「法皇」「女教皇」と、それに付随するパーツ。
そして、一抱えもある・・・・・・金属の卵?
 「わぅ・・・・・・、卵?」
 「違うんだろうけど・・・私もそう見える」
と、シャンはソレを抱え持ってみた。見た目と違い随分と軽く・・・中空?
片手で持ち直し、コンコンとノックしてみるが、鈍い音に良くわからない。
 「わん!!? シャン、力持ちっ!!」
 「違うの。コレ、見た目より全然軽いのよ」
 「???」
首傾げる銀狼少女に、シャンも実際に持てば解かるだろうと差し出す。
ルナはそれを両手で受け取り・・・
 「わん!!!」 軽い!!!
思わず驚嘆の声を上げ、更にお手玉して見せたり。
シャンは慌てそれを止めようと、その前に金属の卵を抱ったまま硬直するルナ。
 「ど、如何したの?」
 「わぅ、これ、ルナの気、食べる」
 「・・・はい?」
二人が創ったものである。触っただけで危険なものであるはずがない。
もしそうなら、「危険」となり張紙は・・・すらする余裕もなかったのか?
 「くぅ〜〜ん、くぅ〜〜ん」
 「ああっ、如何すれば、如何すればっ!!」
泣きべそルナに、シャンも如何しようも無い。二人を叩起こすのが間に合うはずも・・・
そうこうしているうちに、ブゥンと金属の卵の内から響く音に表面に無数に走る線。
 「っ!!!」
理解不能な出来事に完全に硬直してしまったルナの手の中、ゆっくりと姿を変え
卵から羽を休めた鷹の姿へ。鋼色ではあるものの生物見まごうばかりの完全な。
そして鋼色の鷹はパッチリと目を開け、シャンとばっちり瞳があってしまった。
 「・・・・・・えっと」
「・・・・・・」
対処に困り首傾げるシャンに合わせ、鋼の鷹も首を傾げる。敵意は感じられない。
てか、完全にシャンの真似っこに懐いているかのようで・・・
 「シャン! シャン!!」
 「あっ、ゴメン。」
失念に完全にルナの事を忘れていたシャンは、鋼の鷹をゆっくりと
抵抗する気配も全くないので両手持ち、テーブルの上へ止らせる。
ルナは幸いに平然と、気を喰われた後遺症は全く無いよう。スタミナ底抜けだけはある。
 「これって・・・やっぱり二人が創ったモノよね?」
 「くぅ〜ん」 ルナ、わかんない。
「・・・・・・」
当の鋼の鷹は言葉を喋る気配など一切なく、シャンの動きにあわせて翼広げたり
嘴パクパクしたり、片脚立ちにバランス崩し翼バタつかせたり・・・
製作者達は今までのリバウンドで完全爆睡に丸一日どころか丸二日以上寝ていそう。
困り果てたシャンと対象に、ルナは興味深げに鋼の鷹を眺め・・・
まるで幼子が未知のものに対するように手を出し、瞬間。
サクッ!!?
 「あっ・・・」
 「!!? きゃいん、きゃいん、きゃいん」
その手に刺さる鋭い嘴。翼バタつかせ威嚇する鋼の鷹に、一騎当千な銀狼少女は
逃げてシャンの影に隠れる始末。如何やらこの鋼の鷹、ルナの事が好かないらしい。
目覚めの為のエネルギーを頂いたくせに。
そして、その出来事からキッカリ二日目の朝にディとリュートが目覚めるまで
ルナはシャンの肩を定位置とした鋼の鷹に怯えたとか・・・・・・


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