chapter 4 「an invesion」


銃器プラントがある企業なだけにその施設内には試射場が設置されている。

最も、機械ラインで不良がないか確認するための物とオーダーメイドの特注品を確認するための物と二種類あり

ウルムナフは後者の試射場がある別階に移動した。

道中細葉巻を遠慮なく吸いすれ違う職員は軽い会釈をするが基本的にウルムナフは無視・・

それがいつもの光景らしいのだが職員の彼に対する視線は怯えが混ざってこそいるものの尊敬の念が感じ取れる

これだけがさつな男なのにクビにならない理由をライオットは少し垣間見るのであった



・・・・・・・


「さて、ガキんちょ・・リボルバーとオートマ・・どっちがいい?」


試射場につくなり体をほぐすウルムナフ、なまっているらしく深く動かすたびに関節が良い音を奏でた

「え・・ああ・・それじゃ、リボルバータイプで・・」

「ほぉ・・流石はティーゲルの店の従業員ってか・・」

「手間がかかる分ガンナーを裏切らない・・それがリボルバーだからな」

リボルバー愛好家であるティーゲルが自論を唱える、だがライオットは純粋に扱いやすく調整しやすいという理由から・・

「例の連中とドンパチするには良いのがある・・。え〜っと・・あったあった、こいつだ」

厳重に施錠された保管庫に首を突っ込んでウルムナフは一丁の銃を取り出す・・のだがそれを見た瞬間ティーゲルは眉をしかめる

「なんだ・・?その派手なカラーリングは・・?玩具か・・?」

呆れ返った感想・・ウルムナフが取り出したのは大型のマグナムリボルバー、

だがその色合いは金属による美しい銀色ではなくピカピカに輝く金色・・、見る限り派手な銃である

「リボルバーとしちゃポピュラーな38口径マグナムに俺的なチューンをした奴だ・・中々気に入っている。

だからこそ俺のパーソナルカラーの金色に塗装したわけだ」

「金色がお好きなんですか・・」

「百年使えそうだろう?」

「は・・はぁ・・」

今一つわからない感性に頷く事しかできないライオット・・、

それはティーゲルも同様であり彼の趣味に対して必要以上に口を出そうとしない・・

出したらややこしい事になりそうだからだ

「性能は・・見せてやるよ・・」

ニヤリと笑い手早く実弾を装填してレーンに立つ、

その動きは実に手馴れた物で振り向きもせずにイヤープロテクターを二人に投げ渡した

そして・・


ドォン!ドォン!ドォン!ドォン!ドォン!ドォン!


射撃開始のボタンと共にレーン上にオーソドックスな人型のターゲットがランダムに出現する。

ウルムナフの射撃は片手で撃ちながらも実に精密であり全てのターゲットの心臓部を貫通させ満足げに薬莢を床に落とした

「・・うん、いい出来だ。ワンオブサウザントにも引けを取らないな・・」

「いつもながらでたらめな腕だな・・」

「慣れだ。ほれ・・ガキんちょ、撃ってみろ」

自身の射撃の腕前なんぞどうでも良い様でウルムナフは銃を台に置き場所をライオットに譲る・・

「僕・・ですか?」

「お前にくれてやる物だ、だがまずお前がそれを使えなければ意味がないだろう・・。別に弾代請求しねぇから撃ってみな」

「わ、わかりました」

流されるままにマグナムを手に取るライオット・・

ずしりと重い感覚に圧倒されながらもゆっくり両手で構えてみる

「・・マグナムは初めてか?」

「は・・はい・・」

「安心しろ・・俺のチューンに抜かりは無い。

基本的に反動はでかく連射の利かない銃だがそれも軽くしている・・ともかくやってみろ。

台のstartのボタン押したらターゲットが出る、その銃に合わせて6体出るがさっきと同じパターンとは限らねぇぜ?」

「わかりました・・」

気を引き締め、ボタンを押す・・。

それとともにレーン上にはランダムにターゲットが射出される



・・ドォン!ドォン!ドォン!


立て続けに現れるターゲットにライオットは冷静に銃門で照準を合わせトリガーを引く。

ウルムナフが反動は少ないといったがそれでも体に伝わる衝撃はかなりのもので一発毎に彼の体は震える・・


ドォン!ドォン!ドォン!!


手は痺れ照準にブレがあるものの全ターゲットに一応命中はさせ、6発の試射が終わった

「・・ふむ・・」

「まぁ・・マグナムってのは扱いにコツがいるからな。

元々筋が良くないが命中できない事もない・・、まぁマグナムの威力だ。

急所をある程度避けても十分致命傷を負わせれるだろう」

ライオットが命中させたターゲットはどれも急所からやや外れている。それでも外れていないのは評価できるのだが・・

「・・性能に頼るしかないですか・・」

「そうでもない、速射で精密射撃が出来る野郎なんざプロのスイーパーぐらいだ。お前のレベルでも十分平均より上さ。

まぁ・・それ以上正確さを求めるなら・・トリガーの上にある小さなスイッチを入れてみな」

「・・これ・・ですか?」

普通の銃についていない小さなスイッチをスライドさせonにする。すると銃口部分から赤いレーザーが照射された

「超小型のレーザーポインタモジュールだ。内蔵型ってのは中々珍しいもんだろ・・?まぁこれで狙えば急所ぐらい射抜けるだろう」

「お前の銃にレーザーポインタとはな・・」

意外な仕掛けにライオットはおろかティーゲルまで驚きを隠せない

「着弾調整用に軽く付けてみた、元々俺には不要だから暇があればフラッシュライトモジュールに変えようと思ったが・・

ガキんちょにくれてやるんだ。レーザーのままでいいだろう」

「ありがとうございます、あの・・御代は・・?」

元々手持ちが心もとない従業員ライオット・・気難しい相手から如何様な値段を提示されるか、内心気が気でない

「金?いらねぇよ・・。元々プラントラインで出たスクラップ弄って造ったもんだ、俺は自分の銃を持っている事だしな・・」

「いつもながら気前はいいな・・」

「俺もガキんちょを気に入った・・ってところか。まぁ・・金塗装に恥じない射撃をやってみせるんだな」

「ありがとうございます・・。この銃、名称なんてあるんですか?」

派手だが何とも成しに愛着が湧いてきたので聞いてみるライオット、対しウルムナフは腕を組みながら悩み出した

「・・セルフィッシュみたいなのか?・・俺はそういうセンスがないんでな。

とりあえずは『マグナムRi type"s"』って型番でデータを取っている・・別名が欲しければ自分でつけな」

「わかりました・・ありがとうございます」

「・・やれやれ・・、ティーゲルの部下にしちゃ礼儀正しくてやり辛い・・。

用事が済んだらさっさと帰れ・・・俺は仮眠中だったからな・・」

そういうとさっさと尻を掻きながら試射場を立ち去るウルムナフ、やる事が済んだらさっさと出て行く

あくまで自分のペースで物事を進めるタイプらしい

「いつもながら勝手な男だ・・。まぁ良い・・、俺達も貰う物はもらったんだ。そろそろ還るとしよう」

「で、ですがマスター。本当に無償でいいんでしょうか?」

「お前が気に入られた結果もらったんだ、それでいいさ・・。奴が報酬を求めるならまた後日俺のところにくるだろう」

「そういうものですか・・、変わった人ですね」

「腕が良いが気まぐれでな・・まぁその分こんな得物の手入れを出来るのは奴ぐらいだ」

そう言うとセルフィッシュが納められたアタッシェケースを軽く叩いた

「はぁ・・、ではっ、お嬢さんも心配ですし・・そろそろ戻りましょうか」

「ああっ、そのマグナムはズボンにでも突っ込んでおけ。弾もそこらに置いているケースを一つぐらい持って行けばいい」

「はい・・って、いいんですか?」

「ウルムナフの銃だ、少しぐらいいいだろう」

簡単に言ってのけるティーゲルにライオットはグウの音も出なかった



・・・・・・・・・・・・



結局、1ケース弾を貰うのは悪いという事で一握りマグナム弾をジャケットのポケットに詰め込んだままルドラを後にした二人

明らかに重みが増したジャケット姿のライオットなのだが受付は全く気付いた素振りを見せず

彼女に聞こえないぐらい離れたところで「常習なのですか?」と銃弾泥棒について聞いたライオットだが

ティーゲルはニヤリと笑うだけであった・・



二人がルドラ社を出た時にはすでに日は暮れており繁華街には華やかな灯が灯っていた

だがまだ仕事終わりの時間には少し早く大通りを歩く人の数はまだ疎らであり

店舗もこれからの稼ぎ時に備え準備に余念が無い様子だ

そんな中、強力な火器を持っているなど誰も気付かなく自然体で帰路につくティーゲルとライオット

最も、銃社会が当たり前になった世界ではその場で銃を持たぬ者など一人もいないのであろうが・・

「スラム街とは別世界ですね・・」

人数はまだ少ないのだがそれでも眩い光を放つ都市の表部分に感嘆の声が漏れる

「まぁな・・。最も、首都なんかとは違ってここは治安の悪さが一層だ・・、女子供は流石に見かけないか」

ティーゲルが言う通り、治安の悪さのためにここが都市の表部分であっても子供の姿を見ることは稀である

この巨大なビルがそびえる繁華街には殆ど単身赴任者が占めており各企業が厳重に警備された宿舎などを完備しているのだ

それ故に企業の職員は危険意識が少ない、寧ろそこで飲食業等をしている店員達の方が危機意識に優れている。

「そうですね・・、血生臭い事はスラム街だけじゃないみたいですね」

「この街・・いや、この国にいる限りそうした事は隣りあわせだ。近くの田舎都市でも犯罪率は他国の比じゃない」

「・・僕は裏の人間でしたのでわかりませんでしたが・・荒んでいるのですね」

「銃社会なんてそんなものだ。それが犯罪の温床になっているのがわかっていても規制をしない・・

その対応を国民に任せ悪戯に武器を渡した。その結果だ」

銃、それは重要な護身武器でもあり子供でも大人を簡単に殺害できる凶悪な武器にもなる

史上銃の扱いについては規制が付き纏うものなのだがこの国は規制するはずの政治に

銃メーカーの圧力が加えられ長年放置されてきた歴史を持つ・・、そうなってしまっては今更規制ができるはずもない

現に今の政府も利益のみを考えているがためにこの犯罪率には匙を投げる議員も多く

まともに国を良い方向に向かおうと奮闘している人間はいないのだ

「・・ガンショップのマスターが言う台詞とは思えないのですが・・」

「違いない・・だが売っておきながらで何だが銃なんて必要のない社会ってのは良い物である事には違いないだろうさ」

「・・銃のない社会ですか・・。旧世紀のニホンぐらいしか思いつきませんね」

「そう考えるとまた難しい物だな・・」

武器を持たぬが故に滅んだと歴史上笑い者扱いにされている国ニホン、

世界屈指の技術力を持ち、戦争放棄を謳う憲法を持ちながらもそれを上手く活用する事ができず

戦争の巻き添えを食らい滅ぼされてしまった事実はもはや悲劇を通り越して笑い話にすらなっている

これほどまで政治が下手な国は無いとまでされ政治書の悪い例には今でも反面教師として取り上げられる。

現在でも政治評論家の大半は国を良いほうに結びつけるにはニホンが行った事と反対の事をすればいい・・っと口を揃えている

その甲斐あって現社会ではニホン政治腐敗の原因ともあった『二世議員』の存在を禁止、

政治家の子に対してはある程度の保障をし政治に介入する事を取り締まったのだ。

人々はそのはっきりとした結果に二世議員を『死の細胞(デッドセル)』と称し

権力を盾に強引に子供を議員にした権力者もろとも激しいバッシングを行うようになった

その成果は上々、どの国も解決されない問題こそあるが滅亡前のニホンほど手が塞がるような無様さを見せる国はなくなったという

「日系人は・・ニホンの血を受け継いでいる事に嫌悪感を持つ人が多いみたいですしね・・・」

「国家としてあんなにお粗末な最後を迎えたのは類を見ないからな・・。・・それよりも・・わかるな・・?」

チラリとサングラスの中の瞳がライオットを睨む・・

「・・僕もそこまで役立たずじゃないです・・・。後ろに・・5人、前の角にもいますね・・」

「・・市街地で襲うとはな。・・良い都市だ」

「実感できそうです・・」

軽くため息をつくライオット、それとともに彼らを囲むように近寄っていた黒づくめの男達が一斉に銃を抜く

だがそれよりも速くライオットはマグナムを抜き、ティーゲルは一瞬でアタッシェケースを開け銀色のカービンを取り出す!


ドォン!ドォン!・・ガガガガッガガ!!


目で合図を送っていた故に役割ははっきりとしている・・

ティーゲルは振り向き様にセルフィッシュのトリガーを引き繁華街の中でカービンを撃ち放つ

素早い射撃により男達の出鼻を挫かれその手足に弾丸がめり込んだ

対しライオットは前方の角から飛び出て銃を構える男に対し冷静にマグナムで撃ち抜く

咄嗟でレーザーポインタはつけていないものの見事に相手がトリガーを引く前に肩に命中させた

「何者か・・っと言っている暇もないか・・。ライオット、遠慮なく撃て・・だが・・」

「無駄弾は使うな・・ですね?」

「その通りだ。面倒は見切れん・・自力で切り抜けろよ!」

そう言い拡散する二人、突然の銃声に至るところから悲鳴が上がる。

増員する黒尽くめの男達はコートを身に包み帽子を深くかぶってサングラスをしている。

得物は扱いやすいベレッタの22口径・・、だが中にはアサルトライフルであるAK74を持つ者もおり二手に別れ銃口を向ける

「AK・・!?旧ロシア製のライフルなんて・・」

本格的な武装をしている集団にライオットは焦りを覚える、対しティーゲルは全く動ずる事がなくセルフィッシュにて掃射し続ける。

一流遮蔽物を利用しながら確実に相手を仕留め見事な立ち回りと言える

「AKから狙え!他の連中はAK射撃の援護役だ!」


ティーゲルの怒鳴り声・・一斉に撃ってくる男達の射撃を回避しながらもライオットの耳に何とか辿り着いた

「やってみます!」

そう言いながら走り、遮蔽物が多い裏路地に突っ込むライオット・・。

流石に身のこなしには自信があるらしく俊敏な動きにて飛び交う鉛弾をやり過ごし、

ジメっとした裏路地の巨大なゴミ庫の影に隠れて弾を補充する

「・・マスター、この事がわかっていて弾を・・?」

外から聞こえる銃音・・だがティーゲルが負ける事は無いと信じているライオットは冷静に自分の残り弾数を確認する

「ポケットに詰めれるだけ詰めたけど・・、無駄弾は撃てない・・ここは市街地だし・・気を引き締めないと・・」

状況は決して思わしくは無い。だがこのままやられる訳にもいかず覚悟を決めてレーザーポインタをつけた


ガガガガガ・!!!


その瞬間に大通りから黒服が威嚇射撃をしてくる・・ブロックレンガで出来たゴミ庫は銃弾で削れ砂煙を上げる

だが相手の弾にも限りがある・・射撃の止み間を見計らい・・・

「3・・2・・1・・・!!」

タイミングを見計らい銃を構え・・


ドォン!ドォン!


瞬間に男にポインタを合わせトリガーを引く・・、流石は38口径・・

手に伝わる衝撃に顔をしかめるライオットだが狙いは完璧・・、

AKにて射撃してくる男の胸を貫きその援護を行っていた男の脳を吹き飛ばした

「・・やれる・・ポインタの補正があれば照準はまだやりやすい!」

目の前の凄惨な光景に臆するよりも自分でも銃を扱いこなせる事に興奮するライオット

だが・・

パァン!

すかさず次の敵が大通りから銃を撃ってくる、咄嗟にゴミ庫の陰に隠れた瞬間、再びAKを持つ男が現れ

ライオットはそこで足止めをされる形になってしまった

「身動きが取れない・・か。くそ・・弾が持つまでここでやるしかない・・」

持久戦を覚悟でライオットはマグナムのグリップを強く握り締め、鳴り止まぬ銃声の中で応戦し続けた・・


・・・・・・・・・・・


しばらくして

自身の才能のなさに絶望しがちなライオットにしては善戦したと言っていい。

基本通り、素直と呼べばいいのか・・クセがない動きの分敵の弾に当たる確率は少ない。

だが反撃のチャンスも少ないがために焦りが出る戦いだが彼は至って冷静・・少ない弾で何とか切り抜けようと牽制も最小限に抑えている

しかし・・

「・・くそ・・」


頭の上を弾丸が通りぬける中最後のリロード・・残り6発だが銃声は鳴り止まない

「治安部隊はこれだけ経っているのに何でこないんだ・・!?」

市街地・・それも繁華街で派手な銃撃戦が起こっているのだ、

治安を守る者達が急行するのが普通なのだが何故かサイレンすら聞こえてこない

「こうなったら・・」

ジリ貧状態に腹を決める・・、遮蔽物を利用して大通り付近にはまだ3人はこちらを狙っているのがわかり

無駄弾を使わんとばかりに撃ちまくってくる

「・・うおおおおおおお!!!」

銃撃が止んだ一瞬、ライオットは駆ける!

華奢な体格ゆえにその動きは機敏、敵の一瞬の盲点を突き覚悟の上の突撃・・


ドォン!ドォン!ドォン!


多少照準がぶれるも遠慮なく発砲し、急所にマグナム弾をめり込ませる・・

唸り声を上げる男を余所にライオットは滑り込むようにAKを持つ男に飛びかかり、それをもぎ取って男を蹴り飛ばした

「アサルトライフル・・、大丈夫・・使える!」

火器の扱いは知れども実戦経験の乏しいライオット、

初めて手に取ったライフルの箇所を確認しながらもグリップを握り遮蔽物に隠れながら周囲を確認した

激しい銃撃により通りは穴だらけ・・砂煙と硝煙の臭いが立ち込めている

その中・・銃声がしたかと思うとティーゲルがこちらに向けて走ってきた

「・・マスター!」

「無事だったか・・?」

息一つ切らさずセルフィッシュで肩を叩くティーゲル、自分と同等の数を迎え撃ったはずなのだが全然そうは見えない

「な・・何とか・・」

「いきなりの銃撃戦で少々まずいと思ったが・・敵の武器まで奪うとはな・・。意外に資質はあるんじゃないのか?」

「無我夢中です・・、マグナムの弾も切れてしまいましたし・・」

「これだけの数だとな・・。だが・・」

「妙ですね・・治安警察が動いていない・・」

「あぁ、対応が遅すぎる・・。気付いていないはずもないだろうが・・な」

不穏な戦闘にティーゲルも眉をしかめる

「僕達を狙った理由もわかりませんですし・・って・・」

咄嗟にAKを構えるライオット、ティーゲルもセルフィッシュを構え大通りをこちらに向って走ってくる黒い自動車に向けて照準を合わす

「しつこいですね・・」

「数に物を言わせるのが良くある事だが・・な。車を使用されると逃げ切るのは厄介だ」

そうこう言っている内に車のガラスが少し開き銃口が飛び出た

「怯むな!撃て!」

「はい!」


ガガガガガガ!!!


連射性能に優れるライフルを連発し車の側面、ガラスに穴を作る・・

だがそれは良く見ると凹ましているだけで車は怯むことなく突っ込んでくる

ドォン!

お返しとばかりに車内からの発砲、ライオットは言われるまでも無く飛びのきライフルのトリガーを引き続ける

「防弾車両・・?それもかなり強固な・・・!」

「こいつじゃ分が悪いな・・くそ、手榴弾(パイナップル)でも持ってくるべきだったか!」

対人に優れども特殊車両には弱いアサルトライフル、相性の悪い相手にティーゲルも舌打ちをする

「裏路地を駆使してまきますか!?」

「それをさしてくれればな・・・!」

粘り強くセルフィッシュを放ち続けるティーゲル、何とかして車両のガラスを破壊しようとするのだが

くもの巣のような巣は貼れどもビクともしていない

だが・・


ドォォォォン!


不意に車が大爆発を起こす・・、火炎に巻き込まれた車は操作を失い横転した

「・・今のは・・砲撃!?」

一瞬で車に突っ込んだ弾に思わずライオットは呆然とする・・。

そして砲撃があった方向を見ると裏路地にバズーカ砲を持つ男が一人・・

神父が着込むような白い法衣、そして白い布を口元に巻いた若い男。法衣には赤い十字架が刺繍されており宗教関係者のように見える

・・だが手に持つ得物は余りにも異常である

「ご無事ですか!?」

その見た目に良く会う決意に満ちた声で男はティーゲルに近づく

「・・何者だ・・?」

「話は後です、情報だとあの車は後3台こちらに向ってます。同志が迎撃しますのでこちらに・・!」

「・・マスター・・」

いきなり自分は味方とばかりに言ってくる男に警戒するライオット

あの黒男を倒したからと言って味方と限ったわけではない、そうして安心させておいて不意打ちをする事など珍しくもないのだ

「・・いいだろう、信じてみる価値はある。案内してくれ」

「ありがとうございます・・こちらへ・・速く・・!」

走り出す男に続きにライオットとティーゲルは細い裏路地にその姿を消していった・・

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