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chapter 16「gun rain」


そして決戦の夜が訪れた

雨は日が沈むとともに止みどんよりとした曇り空が一面に広がっている

殴り込みにはちょうどいい具合で繁華街には人一人いなくなった

カンパニー関連企業が支配している都市故にこの不自然さも夢幻からの挑戦状のようにも思えた

 

「装甲車両組はもう出発したみたいだ・・後は僕達だけだね」

 

ルドラ社ビル前でライオットが静かに言い、塔を見上げる

その性格や体躯に似合わない大型自動二輪にまたがる彼、決戦と言えどもその服装は相も変わらず

しかしファルガンからの助言で最軽量のプロテクターを装備しておりそれはシャツの下に仕込んでいた

暗殺者たるモノ常に心がけるのは一撃必殺、

不要な交戦は避けるべきであり当然の事ながら相手から攻撃を受ける事などあってはならない

それ故に全てを目標殺害に全てを向けるがために防具などを装備しないのは至極当然である

だが今回限りはそのプライドも置いておく必要がある

なんせ相手は人ではないのだ

敵は自分達よりも感覚が鋭いが故に一撃必殺など不可能だ

 

「まぁなんと言いますか・・趣を大切にする社長ですから・・」

 

彼の隣で苦笑いを浮かべるのはファルガン、襲撃と言えどもいつもと変わらない様子であり

ライオットが乗っている物と同型の大型バイクにまたがっている

優男そうに見えてもいかつい車体にまたがる姿は中々様になっている

「車があるから別によかったじゃないの?」

ライオットの後ろの座席に座りながら軽く言うはアザリア、一時の情事も今は夢・・

ポリシーと化しているゴスロリドレスを着つつ得物の確認をしている

彼女に渡されたのはライオットと同じペンドラゴン、

ウルムナフのカスタマイズで試作品を嫌々造り直された物であり

専用スコープと衝撃吸収用のグリップなどがつけらており
それを大事そうにサイドパックに詰め込んだ

「ライオット君達の無駄弾を少なくしようとしているんですよ。

僕も銃器を使わないから後発組になりましたしね・・」

前哨戦は主にXYZのギャング、しかし使役者の登場十分想定できる

拠点迎撃ともなればそれは間違いなくガンタイプ・・、大抵の数ならばもろともしないファルガンだが

流石に大多数で待ちかまえられ一斉掃射されては接近する事も難しい。

それ故にこの作戦の要であるライオットと共に時間差での出陣となり

ある程度敵地で自軍の足場が固まったところで行動を開始する
事になったのだ

「そうですね・・敵の具体的な数がわからないですし

マスター達みたいなカービン装備じゃない分携帯弾数に気を配らないと・・」

「でも・・、ファルガン主任。ここって・・普通の武器会社じゃないわよね?絶対・・」

「僕も〜・・そう思います」

「ははは・・まぁそう思って貰っても差し支えはないかな」

二人がそう思うのも無理はない。ファルガンでさえ苦笑いを浮かべている

先行部隊がどこからか持ち出したのは現在の大国陸軍でも採用されている装甲軽四駆、

それもマーターの工作員全員が搭乗できるだけの台数を確保できておりしっかりとルドラ社のエンブレムが刻まれていた

そして極めつけがこれもまたどこからか持ってきて社長が秘書に操縦させ乗っていった

重戦装(ガンシ)ヘリ(ップ)

ハインドDの流れを持つ最新型だと豪快に笑って説明する社長を前に

ライオットとアザリアはどう応えて良いのか全くわからなかった

その後に自分達が使用する大型バイクが登場しようやく安堵の息を漏らしたのだ

こちらは一般市場にも流れている物・・、それでもかなり高価な物であり新品同様、

このためだけに用意したかのようであり
金持ちの気前の良さというものが垣間見える

「正しく戦争ね・・」

「そうだね、まぁそれはXYZ用かな・・

流石に社長でもあれだけ高価そうなヘリを突っ込ませて道を造るつもりもないだろうし」

「・・・・・・・、そうだといいのですがね」

苦い顔で呟くファルガン、当人の事を考えれば採算二の次で突っ込ます事に躊躇いなどまずない。

あの社長は人命を最優先する・・味方のためながらガンシップだろうが装甲車だろうがとまどいなく突っ込ませる

彼は社長のそう言うところを呆れもし認めもしていた

 

「・・・・・・・」

 

「・・おや、話に華を咲かせている内に準備ができたようですね」

 

軽い話をしている中でゆっくりと麗華がビルから姿を見せた

今まで借りていた衣装ではなく、漆黒のチャイナドレスに身を包んだ見目麗しい姿の彼女

やや袖が短く機動性を重視しており彼女の蒼髪に実に合っている

腰には小太刀のような短剣を下げており毅然とした様子で三人に近寄ってきた

「お嬢さん・・やはり・・行かれるのですか・・」

「・・・・」

コクっと頷く麗華、しかしその表情には変化があり怒っているように見える

「彼女の行動については完全に自由が認められています、

どう動くかは彼女次第・・でも任せても大丈夫だということは君が一番知っている・・違うかな?」

「・・ええっ、少なくとも僕なんかよりも頼りになります。けど・・その短剣は・・」

「翁が残していった刀を弄った物だよ。

刀鍛冶がいない以上再生させるには知識がなくてね・・折れた剣先に専用の握りを拵えたんだ」

翁と呼ばれる老剣士、その過去を聞かされた時にファルガンは折れた一振りの刀を麗華のために使おうと決め

それを加工したのだ、半分は彼が生きた証として、半分は彼が見守ってきたであろう女性の刃として・・

折れた刃を加工する技術など彼は有していなかったのだがその刃は彼の意志に応えるように形を変え

短剣として蘇った・・本来ならば一振りの剣として蘇らせたほうがよかったのだろうが

彼女はアサシン、此方の方がその属性にあっていると判断した・・

「そう・・ですか。ならば問題ありませんね、お嬢さん・・ご武運を・・」

決意を固めた麗華に対し笑顔でそう言うライオット・・

しかし麗華はそれに応える事なく彼に接近する

「お・・お嬢さん・・?──っ!?」

 

「・・・」

 

何用かと思った瞬間、何の躊躇もなく麗華の唇が彼の唇に重なった

両手を彼の首に回し、唇でその温もりを移すかのように・・

ライオットは何が起こったのか理解できず目を白黒させながらも肌を撫でる麗華の息に心拍数が上がる

「!!!!」

正に唐突、彼女がそんな事をするなどとは誰も想像していなかったが故に

傍で見ていたアザリアも反応できず呆然と見つめている

「・・お、お嬢さん・・?」

スッと唇が離れ大慌てのライオット、しかし麗華は全く動じず彼の首元に手を添える

そこにあるのは小さな痣・・、アザリアの唇によって付けられた夢の名残・・

麗華は無言のままそれを軽く指で撫で回し・・

「っ!」

ピッ!っと爪で軽く払う、痣を切り裂くように小さな赤い線がライオットの首に走るもののそれは極々浅い

そう、そのマークのみを切り裂くように・・

「れ・・麗華!?どういうつもり!?」

ようやく怒り出すアザリア、決戦前なのだがこのまま黙っていられるほど彼女は成長していない

何せ自分が愛する男につけたキスマークを裂かれたのだ、それは侮辱を超えて正しく宣戦布告・・

そんなアザリアに麗華は振り向き、眩しいばかりの笑顔でニコリと笑った・・

「お嬢・・さん・・?」

彼女が壊れて以来初めて見せる明確な感情の変化・・、

それは天使のように眩しい笑顔なのだが・・一言もしゃべらず行動で示したが故に怖い、かなり怖い。

おまけに何事も言わずに麗華はそのままファルガンのバイクの後部席に座り出す

その頃にはいつもの彼女に戻っていた・・、さっきの笑顔は夢か幻か、再び感情を感じさせない瞳で空を見上げている

「・・では、出発ですね。道は教えた通りですが僕が先頭を行きましょう。麗華・・しっかりと掴まってくださいね」

三人の愛憎劇など知ってか知らずか、ファルガンはそのままバイクを走られ夜の街を駆けだした

 

「・・・お嬢さん・・かなり・・怒っている・・」

 

「自我が・・ないくせに・・すごい迫力が・・」

 

残された二人は麗華の行動に呆気を取られながらもファルガンの後についていくべくバイクのエンジンをフル回転させた

自我が失われてから初めて感情を見せた麗華、

しかしライオットに取っては非情に複雑な心境であった事は間違いない

 

 

────

 

決戦場所であるセンタービル、通称『塔』はこの都市のシンボル的な建造物でありその規模は大きい

ビル自体の高さもこの都市一番で円柱形をしているのが特徴でその高さと風貌からして塔という名がつけられた

加えてその周辺一帯が広大な公園となっている事もその通称の所以ともなっている

平面の駐車場を数多く所有しているのだがそれと同等の大きさを持つ公園は言ってみればカンパニー私設の庭園

関係者以外立ち入り禁止の塀の中に人口池や花壇、ベンチなどを数多く揃えた都会のオアシス的な設備が整っているのだ

社員のためとは言え豪華過ぎるのだが現在はその整えられた庭園をゆっくりと見つめる物はいない

何故なら塔の入り口で派手な銃撃戦が行われているから・・

予想通りXYZのギャングと思われる勢力が塔の入り口を塞ぐようにバリケートを張り外の塀にも二陣として

装甲車両でせき止めつつも迎撃に回っていた。

──しかし、彼らの情勢は非常に悪い・・何故なら・・

 

「パンツァーファウスト3・・少々やり過ぎでは?」

 

空からの砲撃があるから・・、広大な敷地内では見晴らしが良い。

夜間とは言えども照明はふんだんに使われている分ヘリが空域を確保するには十二分

それ故に空より登場するはギャング真っ青な重戦装ヘリ・・

相当な巨体を低空でホバリングしており障害物はなけれども気は抜けない状況

しかし中の搭乗者達は顔色一つ変えない

 

「──連中は装甲車は戦車並と聞く、ならば対戦車用のロケット砲ぐらい用意しなければ無礼に値する」

 

そう言い笑うルドラ社長ゲンジロウ

眼下には平地であったろう庭園が穴だらけとなりXYZの装甲車が何台も横転している

それは空からの強襲、急降下とともに操縦者はヘリのガンポットを作動させ凶悪な牽制を始める

それと同時に社長が窓から援護射撃、

500マグナムと強烈な貫通性を持つ弾丸は精密な角度で装甲車を貫通し爆破させる

極めつけは後部座席で待機していた女性秘書が持つロケット砲

地味なスーツに華奢な体のキャリアレディかと思われたのだが異常と思えるほど

重火器の扱いになれており手早く狙いを定めて吹き飛ばす

上空からの猛攻に対しXYZは対処できるはずもなく流れ弾が寂しく空を切る中

ロケットの着弾とともに轟く爆音、ガトリングがそこら中にめり込む音、

そして凶悪なリボルバーによりエンジン部を直撃されて爆破する轟音が入り交じる

その結果、敷地を区切る門付近の部隊は全滅、人間バリケードなビル前のギャング達も

必死な悲鳴とともに乱射をするがヘリに当たったとしても軽い音が上がるだけで・・

「──援護のつもりだったがこのままロケットをぶっ放し続けるのも悪くないかもな・・。

ほれ、塔をダルマ落としみたいに順番に♪」

「建築構造上あり得ません・・。このまま根元から倒壊させる案には賛成ですが・・」

無表情のままヘリを運転する若い男性秘書が素っ気なく言う

「てっとりばやいが・・それは認められんな。

これだけでかいとなるとどの方向に倒しても下敷きになる被害者の数は甚大だ

それに・・ビルが崩壊した程度でくたばるほど可愛い相手じゃないだろうからな」

「・・なるほど・・、カンパニー勢力を削ぐ機会だと思って張り切っていたのですが・・そうもいかないようですね」

ため息混じりの女性秘書、知的そうに見えて意外に好戦的なようで

何の躊躇もなく敵が固まった地点にロケットを撃ち込む

「経済戦略はお前達に一任しているからな・・物理的に削げるならそうも思うか」

「左様です、流石は世界有数のコングロマリット・・

合法、非合法問わない手法には我々も幾分苦戦を強いられていますので」

無表情のまま操縦桿を握る男性秘書、巧みにヘリを操りつつも掃射を行う

「当然だろうな・・世の仕組みからして成功者というのはそのほとんどが犯罪者だ。

まぁここら一帯はカンパニー企業しかない。多少『狙いが反れても』仕方がないだろう・・戦争に被害はつきものだからな」

「そうですね、仕方ありませんね。悲しいですがこれは戦争です」

そう言い装弾したロケットを放つ・・がそれは塔とは全く関係のない敷地外のビル・・

いきなりの凶行に遠慮なくそこに着弾して大爆発を起こした

「あそこは確か・・、食品関連の事務を行うビルでしたか・・。

爆発の規模からして翌日の営業は不可能、損害金額は・・」

「全体を通せば微々たる物、しかし・・気が晴れるというものです。

では・・カンパニー以外のビルには被害は出ないようにはしましょうか」

全く冷静な秘書二人、それを見て社長も苦笑いを浮かべるしかなく・・・

「全くもって、恐ろしいものだな。おっと、我が軍も到着したようだ」

見れば車道を爆走する装甲車の数々・・灯りはつけずに全力疾走で塔に向かっている

「・・同時に敵も援軍のようです」

「・・ほう・・」

男性秘書が呟くように言うとともに聞こえる爆音、夜空にヘリが数機こちらを見下ろす形で飛来してきた

っとは言えどもそれらはガンシップとは言えない輸送専用の物で座席からは使役者が銃を構えているのが見える

「流石はカンパニーか・・、任せていいか?」

「もちろん、社長はご自分のお仕事を。せっかくです・・あのヘリもカンパニー系のビルに向かって撃墜しましょう」

「残弾が残れば周囲一帯に攻撃を開始します・・社長、ご武運を・・」

どこまでも冷静な秘書達、二人の中ではいかにカンパニーの戦力と財力を削ぐか、それが頭の中を駆けめぐっているらしい

最初からそれもたくらんでいたのか座席には重火器がたくさん置かれていて

女性秘書はパンツァーファウストを捨てて
MSG90を手に狙撃の準備に入る・・

これでヘリの操縦者をたたき落とすつもりだ

「やれやれ・・まぁ、任せる。」

 

そう言うとヘリは急降下、地上を掃射しながら着地スレスレと高度まで落としそこから社長が華麗に飛び降りる

年齢を考えない行為だが全く問題なし、華麗に戦場に着地するとともに愛銃を構え遠慮なく撃ちまくる!

その様子を確認した後ヘリは急上昇して空域確保とカンパニーへの損害を与えるために迎撃に向かった

対し地上にはすでに装甲車をバリケードとして陣地を作り陣形を整えるマーター陣

その車両の一つから意気揚々と飛び出すは黄金の二丁拳銃を持つ銃士

「爺、また派手にやりやがったな!」

毎度の事ながら白衣姿で銃を撃つ異様な男ウルムナフ

「はっ!これは戦争だ!遠慮する必要など微塵もあるまい!さっさと突っ込むぞ!」

「適度にほぐしておくか!リクセン!」

「おうよ!一斉掃射だ!トーチカはほとんど無効化されている、遠慮すんな!」

ヘンドリクセンの合図とともに降り注ぐ弾丸の嵐、対トーチカを想定した重火器が一斉に火を噴き

鼓膜が破れんばかりの爆音を奏で戦力を削がれたXYZのギャング達を一斉に排除した

十二分な迎撃態勢を取っていたXYZであったが予想を上回るルドラの猛攻に耐えきれず無惨に倒れきった

 

「ふん、意外にもろいものだな・・」

 

つまらなさそうに言うはティーゲル、

完全武装で手にはセルフィッシュを持ち服装もかつて使用していた灰色の軍服を着用している

それはヘンドリクセンも同様でこの二人はかつての精鋭部隊として切り込むつもりのようだ

そのためなのかいつもよりもこの二人からは鋭い殺気が放たれている

「まぁ当然だ、重戦ヘリを所有しているとは流石に思っていなかっただろうからな・・。

こいつらの死顔もどれも信じられないって言っているみたいだぜ」

「使い捨てには相応しい負けっぷりだな、同情の余地もないんだが・・」

「一応情けはかけておいた、ミサイルではなくロケットで勘弁しておいたのだからな」

「・・・、どっちもかわんなくねぇか?」

「それよりも次の段階に入るぞ、ウルムナフ・・ついてこい」

「へいへい・・そんじゃリクセン。ファルガン達が到着するまでゆっくりしていてくれ」

そう言い社長とウルムナフは銃を構えたまま走り、

塔の入り口の自動ドアに向けて豪快に飛び蹴りを放ちガラスをまき散らしながら中に侵入した

正に殴り込み、惚れ惚れするぐらい喧嘩腰で入っていく二人の奇人にかける心配などなく・・

 

「殴り込みかけるにしちゃ待機なんて性に合わないんだが・・仕方ないか」

 

「そうだな、もう少し手間がかかるかと思ったが・・。相当優秀な兵による奇襲だったのだろう」

そう言い上空を見やるティーゲル

塔を中心にそこにはルドラのガンシップと奇形者を操る輸送ヘリとが戦闘中

奇形者達の狙いはガンシップのみ執拗に追い回し銃撃を仕掛けるのだがガンシップは

冷静にやり過ごしここぞと言う時に座席より火が噴かれる

それと同時にヘリは姿勢を崩し付近のビルに突っ込み爆発する

後はそれの繰り返し・・追いかけ回されているというよりかは

目的のポイントまで誘導したところで狙撃して墜落させているように見える

「ふん、良い腕だ・・巧みに相手を誘い込んで確実に狙いを仕留めている」

「・・あの様子じゃ落とす位置を狙って狙撃しているな、どれもカンパニー系のビルに突っ込ませている」

「・・・・、あり得るな。中の人間の被害など考えていない・・多少の被害に目を瞑りながら自己の利益を優先する。

・・元軍属かもしれん」

「──まっ、あの分じゃ携帯SAMを用意する必要もないか。

よし、そんじゃライオット達が到着するまでに作戦を確認させておくぞ!」

ヘンドリクセンのかけ声とともに編成を組むマーター工作員達

決戦に向けて最後のブリーフィング、一同はこれからの死闘に向けて腹をくくるのであった

 

─────

 

一方、塔内部ではすでに激しい銃撃戦が開始されていた

1Fから5Fまで広大な吹き抜けとなっており各階ロビーに向けて銃を構える使役者が数十人

万全の迎撃態勢、中にはバズーカまで持っている者もおり人間は一人としていない

それに迎え撃つは計四丁の銃、

放たれる弾丸の嵐に対してその体を豹の如く駆けさせて両手から飛び出す弾丸で確実に相手を滅ぼす

防弾性に優れた銃の使役者・・通常ならば銃器のダメージは軽減されるものの二人が装備しているのは

それをも撃ち貫くスティンガー弾、特注弾で限りがある以上無駄弾が撃てない上に相手のこの配置を予測していた

それ故に化け物二人が突破口を開くという事で勢い良く死地に突っ込んだのだ

 

「いい!実にいい!この緊張感!あの頃を思い出すわ!」

 

超大型リボルバー『スーパーイーグル』を軽く扱い次々と使役者を仕留めていくゲンジロウ

その体躯とは違い動きの俊敏さと狙いの正確さはズバ抜けておりスティンガーの性能も合わさって次々と敵を倒していく

 

「へっ!こりゃちょうどいい射的だな!」

 

対しスーパーイーグルに比べてみれば頼りない外見であるゴールドルガーを振り縦横無尽に打ちまくるウルムナフ

スーパーイーグルに対して連射に優れておりその様子はまるで踊っているかのように華麗に立ち振る舞い敵を射抜く

ゲンジロウが威力に優れ一発で数匹の使役者を射抜くのに対しウルムナフは素早く動き片っ端から撃ち抜く

得物の違いにより攻撃の質こそちがうもののその二丁から放たれる火は正に無敵・・

秒単位でガレキが積まれていくロビーの中で遮蔽物を巧みに使い戦う事数分、

いつしか使役者の数は少なくなり
それも瞬く間に撃ち倒れた

「・・まぁ、こんなものか。ウルムナフ・・弾の消費が多いな?」

「うっせぇ・・ルガーとレイジングブルを比べるな」

「はっはっは!お前もそろそろ扱いやすいだけで銃を選ぶのを止める時期かもなぁ!マグナムはいいぞぉ?

ブラックホークから入門するか?」

「趣味じゃねぇ・・。っと、ちょうどいい・・来たか」

遠くから大きな爆走音が響く、それは徐々に大きくなり・・

「時間的にはピッタシじゃな・・ファルガンめ、この状況を読んだな」

それが言い終わる前に銃撃でほとんどなくなったガラスを止めと言わんばかりに破砕しながら飛び込んでくる大型バイク2台

一方はガレキを避けながら華麗なハンドル捌きでターンして二人の前に止まる

もう一方は速度を余り出さなかったらしく普通に停車・・あまり運転が得意ではなさそうである

 

「ちょうどを狙っていたのですが・・遅かったですか?」

 

派手なハンドル捌きを見せたバイクに乗るはファルガンと麗華、何事もなかったように笑いかけるのだが

麗華の表情がいつになく引き締まっているのをウルムナフは見逃さなかった

「まぁ、概ねちょうどだな。ライオット君も・・こいつの運転に付き合わされて大変だったろう?」

「い・・え・・、あの、ファルガンさん・・ハンドル握ると人格変わるとか・・そう言う病気ですか?」

「??いえ・・特には・・」

「素であんな運転していたの・・、何度引き離されると思ったことか・・」

彼の後ろに走っていたライオットとアザリア、突入前から何気に疲れが見えている

「ご苦労なこった、優男に見えてやる時はやるもんだからな・・

ともあれ、お出迎えの第一段階は済んだ・・おい!リクセン!いいぞ!」

 

「おうよ!ライオット!アザリア!いよいよだ!全員気を引き締めろ!まずは内部制圧から行動開始だ!」

 

ヘンドリクセンの叫びとともに一斉になだれ込むマーターの工作員

迎撃していた使役者がいなくなった以上それを止める者はいないのだが

まだ商業ビルとして使われていたこのエリアが安全と決まったわけでもなく

注意深く、かつ迅速に散開し塔攻略が開始されるのであった・・


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