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chapter 14 「Arsenal Building」


 

「・・ちっ、こりゃ組織結成以来の大損害だな」

 

忌々しげに呟くヘンドリクセン・・、パイロン達の襲撃後被害状況を確認していたところに彼らが帰ってきた

事態を聞いた途端にアザリアは青ざめ、ヘンドリクセンとティーゲルはフォックスが連れ去られた事に閉口した

襲撃の犠牲となったマーターの工作員は数も深刻であり全体の半数にも及んでいた

現在はエドが主導でその遺体の検証を行っており仲間を失った者の嗚咽が聞こえてくる

メインオーダールームの機器の大半もシャンファによって破壊されたらしくそこはまさにガレキのような状態であった

「すみません・・敵の侵攻を止められないばかりかフォックスさんまで連れ攫われて・・」

「いや、報告を聞く限り仕方がないだろう・・。どうやら夢幻でのトップクラスの奇形者に襲撃されたようだからな」

落ち込むライオットに対しティーゲルは攻めようとはしない、この状況ならば無理もないし

主力部隊が出払っていたのだ・・寧ろ全滅しなかった事を褒めるべきだろう

「ああ・・ライオットも危なかったのだろう?エドが助けに入らなければまずかったって・・」

「・・・ええ・・・」

拳を握りしめて唸るライオット・・その隣には心配そうに見つめるアザリアの姿が・・

「それでも、無事でよかった。まだ全部終わっていないけど殺された皆の様子・・酷いらしいし」

「ああっ、エドの中間報告を受けている。頭蓋骨を粉々に砕かれたり心臓をまるまる貫通されているのも少なくない。

・・一体どんな奴なんだ・・?」

「・・小柄な少女です」

ためらいながらもそう告げる

しかし現状で詳しい事を言っては混乱するためにその少女がアザリアに似ているという点は伏せておいた

「───!」

しかしそれでもライオットの言葉にティーゲルが強張る

この組織にあれだけの損害を与えたのが少女だと言う事が信じられないようだ

「それも特殊な奇形者です・・彼女・・シャンファは奇形者同士の子・・先天的な奇形者と言ってました」

「・・先天・・的・・?」

「なるほどな・・奇形者同士で子を産ませたか。ただのガキじゃないわけだ・・」

「ええっ、さらに夢幻は奇形細胞の加工を進め自然界に存在しない能力まで開発されました・・

シャンファは異常なまでの再生能力に加え・・

僕のマグナムを破壊するほどの威力を持つ肉の触手を生やしました

・・心臓を貫かれて死んだ人はおそらくはそれに・・・」

「・・で、でもライオット・・そんな情報・・どこから・・?」

悔しがる彼の隣に寄り添うアザリア、

初めて被害というものを見るも彼の動揺ぶりの方が心配のようで
その手の握りしめている

ライオットはそんな彼女を見つめる度に何とも言えない表情を浮かべた

「うん、敵はシャンファともう一人いたんだ。それは・・夢幻の頭領、白龍・・僕の・・友達だよ」

「──ライオットの・・?」

「彼は僕を夢幻に招こうとした。だけど・・僕は──・・」

「・・組織との決別は済んでいる事は知っている。

だが・・奴らの狙いは何だ?麗華が援護に入っているのに手を出さなかったのだろう?」

「・・様子見だったようです。本気だったなら僕も殺されていたでしょう

フォックスさんでさえ禄に抵抗できなかったのですから・・」

「──状況はわかった、それに相手は此方の居場所をすでに突き止めているのも問題だ。

早急に対策を練る必要があるな」

とりあえず事態は把握したが故にこれからの事を考えるヘンドリクセン

しかし周りの状況からして見れば体勢の立て直しは容易ではない

中核を襲われ同胞をかなり失っている・・通常ならばもう白旗を上げるしかないのだが・・

「わかりました、それで・・どうしますか?ここがわかっている以上この都市に安全地帯はないと思うのですが・・」

「それだが・・この後ルドラに合流する予定だったんだ。

事態が変わったのだが・・マーター全員ルドラに一時的に厄介になるのがいいだろう」

っとティーゲル。冷静そのものなのだが組んでいる腕が震えている・・

サングラスに隠れた瞳に強い感情が燻っているのが
ライオットにはよくわかった

「──ああっ、社長も話を聞いてわかってくれると思うからな。

とりあえず見逃したのならすぐに襲ってくることはないと思うが・・

必要最小限の事を済ませて速やかにルドラ社に移動する。それでいいな」

 

ヘンドリクセンが真剣な顔つきで周囲に聞こえるように言う、

思わぬ事態に動揺を隠せない面々も行動すべき時と決意を胸に死者の溢れる地下施設から歩を進めるのであった

 

 

────

 

 

ルドラ社にはすでに襲撃の話は行き届いておりマーターの避難を快く引き受けてくれた。

彼らにとっても夢幻の襲撃が警戒していておりマーターと連絡を取り合っていた分すんなりと話が進んだ

とはいえ一般社員などが動揺する事は間違いないのだがそうも言っていられない

施設の機材などは置いてきたもののそのビルは正しく巨大な武器庫、

敵の情報がある程度わかった以上差し引いても好条件の避難場所と言える

日が沈み人の流れも落ち着いた処にマーターは続々と到着しライオット達も固まらずに分散して社内で落ち合った

到着した途端にヘンドリクセンとティーゲルは社長と話をつけに行き

ライオットはウルムナフに呼ばれ彼の研究室まで足を運ぶ事となりアザリアもそれについて行った

ただ一人、麗華だけはビルの窓から見える月をただジッと見続けるだけであり

誰が声をかけようともピクリとも動かなかった・・

 

・・・・・・

 

「・・なんだなんだ?しばらく会わないうちに女を連れるようになったか・・成長したな、ガキんちょ

だが・・もうちょい質を選ぶべきなんじゃねぇのか?」

 

研究室到着と同時に開口一番そう言うウルムナフ

茶化す気満々でデスクに足を乗り出すように座り珈琲を飲んでいる

一帯の荒れ模様に加えてそこの主の態度の悪さに一瞬アザリアは呆気にとられていた

「う・・うるさいわね!ライオット!本当にこいつがあのウルムナフ主任なの!?」

髪の毛ボサボサ、綺麗とは言えない白衣、

鷲のように鋭い目つきは正に暴力団関係者のもぐり医者がごとき見てくれの悪さ

「え・・?アザリアは初めてなの?」

「──そういやそうだな、残念ながら俺がウルムナフだ。ファルガンみたいのを想像していたのか?」

「・・そりゃ・・こんな小汚い男だとは思いもしないでしょう?」

今アザリアのルドラに対する企業イメージは一人の男の姿により脆く崩れ去ったようだ・・

「はっきりと言う、まぁそのくらいのジャジャ馬じゃなきゃ頭にいられないか

・・ってもお前に用があるわけじゃないしそもそも呼んでない。

騒ぎたいんなら製造ラインの見学でもしてきな」

「うるさい!私はライオットといるの!・・ねぇ?」

ギロリと睨みながらも声は妙に甘く、不気味な圧力で彼を制すアザリア、

その様子は相変わらず蛇に睨まれた蛙・・

「う・・うん、まぁ邪魔にならない程度に・・ね?」

「おいおい、奇形者の頭を吹っ飛ばす戦士が乳臭いガキに尻ひかれているのかぁ?・・しょうがねぇなぁ・・

事が終わった俺の処に来い・・風俗遊びを教えてやらぁ」

「え゛っ!いあ!いいですよ!!そんな事・・・!」

必死に拒否するライオット・・なぜなら隣の女性が凄まじい殺気を放ち自分を見ているのがわかるから

目を合わせたら石化するかはたまたロックオンされ飛びかかってくるかもしれな

い・・っと彼はまっすぐ前を見続ける

視界の隅に見える黒い炎を見ないふりをして・・

「相も変わらずつまんねぇ奴だな・・まぁ女の趣味は人それぞれか・・がんばんな。

・・でっ、本題に入るぞ・・

状況は聞いた、・・あのマグナムが壊されるとはな」

「──ええっ、シャンファの触手に貫かれました。・・骸の短剣に皹を与えるほど硬かったのに・・」

「ああっ、あれは俺が開発した合金仕様だからな。

硬さと軽さには自信があったのだが・・化け物相手にゃそれも気休めのようだ」

「はい、回収しましたが・・マスターが言うには使い物にならないと・・すみません」

元々は好意により貰った物、自分の得物として最後まで使うつもりだっただけに彼のショックも大きいが・・

「気にすんな、どんなに個人専用って看板を掲げても所詮武器ってのは消耗品だ

・・それに折良くもっと良い物ができたから・・なぁ」

武器という物を熟知しているウルムナフには彼の考えを軽く笑い飛ばした

「また・・新しい物ですか?」

「開発に終わりはないって爺なら言うだろうな・・、ルドラとしても夢幻を野放しにできない。

俺は俺で奇形者の研究をしてそれ用の兵器を開発した」

「奇形者用の・・ですって!」

「ああ・・ライオットが使用したマグナムも高水準で安定していたが

あくまで『人』との戦闘を前提とした銃だからな。

──だから特化したんだよ、さしずめルドラ社初の対奇形ES者用ハンドガンってか」

「ちょっと待ってよ、奇形者に弱点なんてあるの?それこそ急所を高火力で叩くぐらいしか・・」

「そりゃどんな生物でも一緒だろうさ・・リクセン達にもまだ言っていないんだが・・

麗華の細胞研究から面白い結果が出た」

「・・お嬢さんの・・ですか?」

途端、以前麗華の採血をしていたのを思い出すライオット、

それ以降全く連絡がなかった分失敗したものとばかり思いこんでいたのか呆然としている

「あぁ、そしてそれこそが夢幻が麗華を狙っている証拠だろう」

「ええっ!じゃあ・・真相がわかったの!?」

「・・俺を誰だと思っているんだ?乳ガキ・・。

まぁ今回は流石に骨が折れた、

既存の物を改良する事よりも新しい何かを解明するほうが何倍も労力がいるもんだ」

やれやれと腕を回すウルムナフ、その様子からしてかなり気楽そうなのだが・・

しかもアザリアの事を『乳ガキ』と呼んで睨まれている事にも全く動じていない

ここらがライオットとの格の違いか・・

「それで・・お嬢さんの細胞から何がわかったんですか?」

「・・あぁ、順を追って説明するか。

以前麗華からサンプルを採取してそれを解析していたのだが一つ気になる細胞があった。

所謂未知の細胞・・って奴だ・・しかしそれは何にも反応を示さない。

言えるのは普通の人細胞とほとんど同じって事ぐらいだった」

「普通の細胞が変異した・・っという事ですか?」

「俺もファルガンもそう思っていた、人間ってのはただ生きているだけでも体は常に造り替えられる。

その過程で変異物ができるのはおかしな事じゃない。

しかし俺はそれこそが鍵となるものじゃないかと思い研究を続けた。

そして折り良くも鴨が葱をしょってきやがってな。サンプルを手に入れた」

滅んだ国の格言を使用するウルムナフ、

本人は否定しているのだがやはりニホンという国に特別な感情を持っている事は間違いなさそうだ

「サンプル・・ああっ、ルドラ社襲撃事件ね」

「滅多にない奇形者の細胞だ。

サンプルとして外国にでも売りさばけるのだが〜、物騒な物だから少々頂いて処分した。

その前に皮膚をちょいと失敬した・・・いや結構切ったか・・」

「感染者の皮膚ですか・・。っとなるとやはり奇形細胞の汚染されている物ですね」

「ああっ、試しに麗華の細胞の溶液を奇形者の皮膚に垂らした

・・そうしたら麗華の細胞は見る見る内にES細胞を取り込みそれを死滅させたんだ」

「そ、そんな事が・・」

「結果は出ている、例外もない。つまり・・麗華の中にあるその細胞は奇形ES細胞の天敵となりうる物なのだろう

俺はその細胞を『反ES細胞』として奇形者対策のために活用する事にした。

・・本人にゃまだ伝えていないんだがな」

っとは言え自我のほとんどを失っている彼女に対して

それを説明しても理解してもらえるかは謎だが・・っとぽつりと呟くウルムナフ

それに付いては二人も同感であった・・

「反ES細胞・・じゃあ・・それを使えば・・」

「そう、触れたら奇形者は硬化していき動かなくなりそのまま死滅する・・

それを応用したのが・・こいつだ」

そう言い取り出すは金色にコーティングされた美しい弾丸、何やら細かくローマ字が刻まれており

実用弾のようには見えない・・が、彼が観賞用の物を造るはずがない・・ここはそういうところなのだから

「・・また金色?正直良い趣味とは言い難いんだけど・・」

「人の好きな色にケチをつけるな、乳ガキ。

特別な意味を込めての切り札・・対ES特殊破砕弾”ベリアル”だ

麻酔弾の要領で先端に反ES細胞の溶液が詰めてある。

それを注射するように相手に打ち込むって訳だ。

奇形ES者の中には化け物じみた連中も増えてきている・・

この弾丸事態もスティンガーと同等の貫通性を保持している」

「・・つまり普通の兵器としても優秀だと・・」

「奇形者以外にゃ勿体ないけどな・・。

実験からして威力は保証する・・わかると思うがこいつはスティンガーよりも貴重だ・・

判明して培養し出したのが最近だからな。

──いいか・・切り札だ。むやみに使うな」

「わかりました・・しかし弾があっても銃が・・」

「当たり前だ、とっておきのを用意したぜ・・?こいつだ、コードtype"es"・・ごついが信頼はできるぜ?」

そう言い懐より取り出したのは大型のリボルバー銃、

黄金色の塗装がまぶしいのだが何よりもその銃身に美しさと迫力が込められている

「これは・・44マグナムですか!?」

「ああっ、『大きすぎ、重すぎ、威力がありすぎ』の不名誉な通称を持つ大型回転式銃だ。

対人としては不必要な性能かもしれないが化け物相手ならばふさわしい一品だと思ってな

44マグ型を俺なりに改造してやった。材質はエルトニウム製、そのために重さは通常品に比べてばだいぶマシだ。

頑丈さもある程度は保証するが余り銃身を狙われないようにするべきだな。

装弾種も限られている・・こいつで撃てるのは専用の”スティンガー”と”ベリアル”のみだ」

「・・札束飛ばすようなものですね・・」

スティンガーの貴重さは彼もわかっている、対し貴重中の貴重とも言える新弾までなると

1回の戦闘で彼が生涯に稼ぐ金額以上の出費になるかもしれない

「戦士が金銭気にしちゃ戦えないぜ?何も大陸弾道ミサイルをぶっ放すわけじゃないんだ・・。

まぁ、こいつは奇形者専用、ハンドガンとしては現状を考えるとおそらくは世界一の威力を持つだろう」

「・・・そうです・・ね。44マグの威力に加えてスティンガー、そしてベリアル弾となれば・・」

「勝算は出てくるってわけだ。

まぁ・・夢幻用に備えてスティンガー用の火薬にはストックはある、しかし限りもあるわけだ。

上位の奇形者以外には使わないほうがいいだろう、

これ一丁で戦った方が格好がつくんだが爺にもファルガンにも反対された・・決戦時にでも使ってくれ」

忌々しい、っと葉巻を口に噛むウルムナフ、

相手の事を考えずに自分の美学を貫く男・・それ故に周りが抑えないと至極迷惑な事になる事もある・・

「じゃあ通常時はどうするのよ?あのマグナムの修理をするの?」

「そう簡単に修理できるかよ、硬い物ってのは逆に言えば加工しにくいんだ・・急遽拵えたこいつを使え」

そう言い机の引き出しから取り出したのは黒光りするハンドガン・・

オートマチック型となっており大きさもそれほどはない

「これって・・ベレッタ?」

「ああっ、ベレッタを参考にして適当(・・)に造った『ペンドラゴン』だ。

癖が強すぎるtype"es"を補うために基本性能に忠実にした

ベレッタの特徴である強化プラスチックを使用して部品をエルトニウム使用にしたから軽くて丈夫だ。

試作品の衝撃吸収グリップを使っているために撃った感じとしては反動はほとんどない、

装弾数も多いから撃ちまくるのにはちょうど良いカスタマイズだろうよ」

適当という言葉を強調するウルムナフ・・嫌々造った感が丸出しである

「うわぁ・・本当、軽いわ・・。すごい・・これ、いいわね・・」

ライオット用の銃なのに何故かアザリアが気に入っており勝手に取り出している

軽量な銃を扱う彼女だけにその銃には魅力を感じているらしくさっきまでの不機嫌はどこへやら、

高い関心を寄せている

「・・おい、乳ガキ。お前の物じゃねぇぞ?」

「・・い・・いいじゃないの!これ・・もう一丁ないの?」

「ああっ?試作品含めてもう一丁あるが・・欲しいのか?」

「私も・・専用の銃が欲しいし・・」

「・・・物好きだな。まぁいい・・戦闘に参加するようだし奮発してやるか・・」

「ほんと!?」

「・・ああ、一応はマーターの頭だからな・・。

そのペンドラゴンにちょいとパーツを加えたのをくれてやるよ・・腕は悪そうだしな・・」

「・・やっぱり・・嫌な男・・」

「あ・・ははは・・。それで・・ウルムナフさん、ペンドラゴンの方は使用する弾は通常の物ですか?」

「当たり前だ、そっちは威力よりも安定性を優先している

夢幻は奇形者のみの集団じゃない、下っ端ギャングもいるんだ・・鉛弾でも十分さ」

「なるほど・・わかりました、ありがとうございます!」

「まっ、これで少々張り合いは出ただろう?先天的な化け物が万能じゃないって事を思い知らせてやればいい」

不適に笑うウルムナフだがこれほど心強い物はない、

・・それもそのはず、気付く者はそれほどいないが

今二人の目の前にいる人物はある種シャンファのような純粋な奇形者以上の化け物である・・

現世界に適合こそしているのだがその道を外すとたちまち世界に混沌をもたらす怪物になる事は間違いない

そんな事など露知らず新しい武器の様子を見るライオットとアザリア・・知らぬは仏である

そこへ・・

 

「へぇ・・中々凝った物造ったじゃねぇか」

 

ヘンドリクセンとティーゲルがフラリとやってきた

どうやら用事は済んだらしくどことなく機嫌が良さそうだ

「それだけの事態だって事だからな・・爺の話は終わったか?」

「あぁ、ライオット・・後で社長室まで来い。作戦を発表する・・決戦だ」

「決戦・・ですか」

「ルドラと手を組み夢幻を叩く、それで終わりにする」

ムスっと無愛想にティーゲルが呟く・・余りここの人物と関わることを快く思っていないのか

煙草を取り出し火をつけた

どんなに突出していても所詮は武器会社なのだ、元軍人としては民間人を巻き込む事に抵抗を覚えているのだろう

「マスター・・わかりました。終わりにしましょう」

「そのためにはライオット以外にも良い武器が欲しいんだけどなぁ・・ウル君?」

嫌な笑みで手を出すヘンドリクセンに対しウルムナフは露骨に嫌な顔をした

旧知の仲故に言葉以外で会話をしているらしいのだがライオットにはそれがよくわからなかった

 

「ちっ・・こっちはこっちでおねだりか。用意しているから待っていろ・・」

 

葉巻を机に押しつけ奥の仮眠室に入るウルムナフ

「武器?ルドラの武器を新調するの・・?リクセン」

「そりゃな・・化け物の巣に行くんだ。戦果は薄いかもしれないが気休めにはなるだろう?」

「気休めで・・ですか」

「まぁメンタル面は生死にかかわるもんだ、それに・・無料だしな」

「「・・無料・・」」

会ったことがないルドラ社長の懐の広さを知る二人であった

そうこうしていると仮眠室からウルムナフが姿を見せ、一丁のハンドマシンガンをヘンドリクセンに投げ渡した

「っと、いきなりだな・・。──ふぅん・・」

「反射がなまってねぇか見ただけだ・・とりあえずそいつを30丁ほどラインにかけてある」

彼が手に持つは純白のカラーリングがされた銃身の短いハンドマシンガン、

グリップに紅い十字架が描かれており全体的にコンパクトにまとめられている

「ふぅん〜、まぁお前らしいカラーリングだな」

「へっ、コード名『ガーディアン』・・カラーはマーター仕様って事だ。

白いマシンガンってのも面白いからなぁ・・性能は安心しろ。

ルドラの最新式にも劣らない出来だ、低反動、高連射のバランスを取っているだが・・」

「残弾に注意しろ・・だろ?昔からお前の口癖だな・・」

「・・けっ・・」

「──だが性能の良さは流石だな・・大量生産できるのならば次世代主力兵器として一儲けできるんじゃないか?」

「そうなりゃてめぇの店にも並ばせてやるぜ?ティーゲル」

「・・・ふん、襲撃で半壊しているし俺の店はハンドガン専門だ」

何気に自分の店の確認をしていたティーゲル、顔には出さなかったのだがXYZ相手にフォックス達が籠城しただけに

それはそれはすごい状態だったとか・・

「よし、後で支給しよう。エドの奴が手ほどきを教えたらそれで全員使いこなせるだろう」

「少々コツがいるがな・・、でっ、次はお前達か」

新しく葉巻を咥えジッと見つめるウルムナフ、途端にヘンドリクセンから笑みが消えた

「・・聞いていると思うが・・フォックスが攫われた」

「ああっ、精鋭”GUN OF WEASEL”の恥さらしだな」

「きついなぁ・・ウル・・」

「わかっているだろう?だからこそ・・同じウィーズル出身の俺達で落とし前をつける・・違うか?」

「無論そのつもりだ、部隊は解散しても俺達はまだ生きている限りウィーズルは消えない」

「その通りだぜ、ティーゲル。そこでだ・・懐かしいのを用意した・・」

そう言い仮眠室から持ってくるのは銀色のジュラルミンケース

ドサッと台に乗せておもむろに開き中の銃を覗かせた

そこにあるのは・・・

「・・セルフィッシュか・・、思い切ったな」

紛れもなくティーゲルと同系型のマルチプルカービン『セルフィッシュ』

細かなところは彼が持っている物と違うのだが大まかな特徴は同じで鈍い銀光を放っている

「ティーゲルのは昔の奴をそのまま使っているからな。

こいつは俺なりに改良を加えておいた・・・リクセンに合わせているぜ?」

「そいつはありがたい、俺はティーゲルみたいに器用じゃないからなぁ」

「放っておけ、それで・・相違点はどこなんだ?」

「ああっ、まずは基本的な構造をさっきのガーディアンを流用している・・

元祖に比べて射撃性能は向上しているだろう

セルフィッシュの最大の利点であり欠点である換装についてはお前の癖を考慮して二種類のみにした。

基本はフラッシュグレネード用、後は・・ティーゲルの時に説明すらぁ」

「フラッシュグレネードか・・確かにリクセンらしいな。強行突破したがる性格が現れている」

「うるせぇ・・つまりは見た目はセルフィッシュだが性能としては豪華なガーディアンってところか?」

「──そんなところだ、まぁ後どう使うかはお前次第だな・・」

「へへっ、まぁ突撃銃らしい使い方になりそうだ」

ニヤリと笑い軽く構えるヘンドリクセン、精鋭部隊出身の身のこなしは俊敏であり

その体さばき一つで撃ち合いでは適わないとライオットは思い知った

「・・やれやれ、後はティーゲルだな。

セルフィッシュ用の既存サブアタックユニットを全て揃えた

・・用途に応じて携帯すればいい、後は・・こいつだ」

ゴトッと鈍い音を立てて置かれるは長身の投擲器、

以前使用したアローグレネードよりも大型で換装パーツながら威圧感がある

「これは・・」

「『高反動バーストグレネードユニット』、カービンで発射可能な最大火力・・ってところか」

「おいおい・・」

愉快そうに笑うウルムナフに対しヘンドリクセンもティーゲルも露骨に嫌そうな顔を浮かべる

普段見ない二人の表情にアザリアも呆然としていたり・・

「お前らがよぉぉぉ〜っく知っている通り高反動バーストグレネード「eclipse」を使用する。

名の通り骨を折りかねない強い反動を持ち扱いにくさは言わずもかな・・だがハンドバズーカよりも威力は高い」

「ええっ!?バズーカよりもですか!?」

ウルムナフの言葉にライオットが目を丸くして驚く

携帯兵器として一番の火力を持つバズーカよりも優秀と言われたらそれも無理はない

「そうだ、「eclipse」・・まぁやばいグレネードとして有名だったからな。

元々は対戦車用の装甲弾として開発されたんだが

重機とドンパチする機会ってのは中々なかったからな・・

拠点制圧用として調整されたんだ・・

結果、一発で民家一つぐらいなら軽く吹き飛ばすぐらいやばい兵器になったってわけだ」

「・・なにそれ・・ミサイルと同じじゃない・・」

「あぁ・・ミサイル用の火薬が使われているって噂されてたな・・。でも弾については謎に包まれている・・

まぁ反動はすごい・・俺もティーゲルも反動で骨を折った。

別名『ボーンブレイカー』って言われて有名なんだ・・」

「だが今回の作戦にゃふさわしい武器になりそうだろう?

ティーゲルとリクセン用に用意した・・お前のセルフィッシュに換装できる。

弾もちょっと変えてあるぜ♪eclipse改ってところか」

「・・俺に再びこれを撃てってのか!?おまけに火薬馬鹿の改良を加えた明らかにやばいのを!!」

「おいおい、紅一点だったフォックスを助けるんだろう?

それにお前も超精鋭のウィーズルの一人だったんだ。同じヘマして骨を折るわけはないよなぁ?」

「・・ちっ、苦手だが仕方がねぇ・・」

「そうそう、素直に諦めな。流石に今回は分が悪い・・戦争するつもりで仕掛けなければ負けるぜ?」

「言われるまでもない・・。俺達はそのつもりで戦う」

「へっ、流石はティーゲルってところか?

まぁ・・ウィーズルでも有名な突撃兵二人が殺る気なんだ・・何とかなるか」

「簡単に言ってくれて・・まぁ失敗は許さないんだ・・気合いを入れておくか」

軽く言うヘンドリクセンだがその瞳には確かな殺気が篭もっているのをライオットは見逃さず

連れ去られたフォックス奪還に向けて意欲を見せるのであった



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