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chapter 13 「creature of toy」


かつてこの世界は崩壊寸前までに追いやられていた

第三次世界大戦、核保有国同士の戦術核の撃ち合いによる大戦・・

ぶっつけ本番の核弾頭が故の予想を上回る放射線被害を相手に与える、当然の事ながらそれは国境など気にしてはくれない

他国まで放射線の被害は広がりそれまで溜められた他国への敵対心は限界に達し新たな参戦を果たす

こうなってはもはや抑えが効かない、撃つにしても撃たないにしても

核兵器というカードがなければ国は守れない状況に陥った

核弾頭の悪循環、かつての条約によりその数を減らした最凶の武器は一気に溢れかえり人を溶かし大地を焼いた・・

戦後、その惨状はまさに壮絶の一言であった・・。

世界規模で深刻化する放射能汚染、森林が急激に失われたために温暖化は進みその世界は正に地獄のようでもあった

その状況から立ち直るために生き残った国は叡智を結集させるのであった

 

『RJ計画』

 

戦時中に絶滅したニホン人の復活・・

それもヒトゲノムを加工した物を埋め込み人工天才を作り世界危機の解決に当たらせようとした計画

ニホンは政治系統は世界的に有数なほど無能であったのだが技術は別格、

世界最高水準の技術開発能力を有した民族であり
ニホン滅亡とともに優秀な技術者もまた滅亡し、

現実まであと少しまで進んでいた技術も核の炎とともに消えていった

生き残った者達はニホン人のその研究能力に目をつけその能力を高めた人造人間を造ろうと思い立った

核戦争の後、モラルなどはすでに崩壊しており人々は放射能の恐怖と温暖化による

生態系の変化による疫病に恐れていたのだが
そんな状況でも人道を問う者はいる、

否そんな状況だからこそ神にすがる者がいるのだ

そのために計画は極秘裏に進められ海外移住ニホン人の精子、卵子の提供、ヒトゲノム調整などが勧められ

国際的な復興計画の中それは最優先に進められた

数十年後・・その成果は目に見えるほど現れた。

表向きの復興は順調に進むが放射能汚染地域での開発は禁じられていたのが

ある一定の期間においてみんな開放されたのだ

過去原子力発電の事故などからしてもその汚染を取り除く事は容易ではない。

人々の生活基準は上がったが生活範囲はそれにより制限されてきた、

政府のその発表によっても最初は余り寄りつかなかったものなのだが

それも束の間、人は元の大地を取り戻し生活圏を大きく伸ばした

 

さらに技術革新は続く、植林による温暖化阻止を助ける段通りが行われ世界的な温度上昇は瀬戸際で元に戻った

その進歩に人々は喜び、それらのシステムを誰が作り上げたなど誰も疑問に思わなかった

そんな中で生み出されたのだが「ES細胞」

かつての放射能汚染被害による奇形児や、

戦術が変わった世界でもまだ最悪の代名詞となってる兵器、地雷による障害者の救済などが行われる

神の細胞・・自分の細胞を好きな部位に変異させられるそれは

内臓疾患から身体障害など様々な分野にて切り札的存在となった

 

そして・・世界の生活水準が高まった時、RJ計画は静かに幕を下ろした

 

過ぎた技術は身を滅ぼす、後はそこに住む者達全員で対処すればいい・・

RJ計画最高責任者ゲンジロウ=リクドウがそう言いRJの新生ニホン人は全員それに従った

役目を終えた新生人は各国政府の保護の元その生活が保障された。

軟禁などではない、その能力を狙う輩もいると言うことでの保護・・

それは彼らも承知しており役割を終えた彼らは第二の人生として各々の道を歩き出す

そんな中、ES細胞の変異として奇形ES細胞が現れた事を新生人達は知る。そして不審な戦争が勃発・・

それ以降奇形細胞の話は水面下に潜ったのだがRJの産物として現れた奇形ES細胞・・

それによる対策は新生人の誰もが考えなければいけない問題として今再びRJの力が必要となってきたのだ

 

─────

 

 

「・・っとまぁそう言う訳で今の世界になったってわけね。わかった?」

軽い口調で言うフォックス、いつもながらの黒いスーツ姿なのだがサングラスは外している

美しい細身の金髪嬢でその瞳は優しさに満ちている・・これが本職が有名な暗殺者だとは思えないだろう

「はい、わかりました・・ですが・・RJ計画について良く知っていましたね?」

そんなフォックスの説明に感心しながら頷くライオット・・

事の発端は珍しく拠点に顔を出したフォックスに話をしようとして彼女の自室に訪れた事に始まる

他の面々は別行動中、いつも彼にべったりついているアザリアも今日はヘンドリクセン達と行動を共にしており

ライオットは久々に一人の時間を過ごしていたのだ

意外にその点の知識に詳しいフォックス、

世界が崩壊してから立ち直るまでの経緯を優しく説明してあげライオットも納得がいったように頷く

因みにフォックスに与えられた部屋はライオット以上に何もない。

っというのも単独で情報収集を行うのを専らとしているだけにこの部屋を利用した事自体数えるほどしかないのだ

そんな訳で軽いベットぐらいしかない中フォックスがベットに座り

ライオットが備え付けの椅子に座り会話する事になった

「表立っての歴史じゃRJの事はわかるはずもないしね・・

実際この世界でRJ計画を知っている人はほとんどいないわよ」

「そうですよね・・そんな天才集団・・色々と目の敵になりそうですし・・。

でも・・じゃあフォックスさんはその情報をどこから・・?」

「んっ?それは簡単・・ウルムナフからよ」

「ウルムナフさんが・・?やはり情報通ですね・・」

「情報通って訳でもなさそうだけど・・、だいたい・・彼もRJの新生ニホン人よ?」

「えっ!?ウルムナフさんがですか!!?」

「そう、ウルムナフって言うのも偽名・・本名は・・何だっけ?忘れたわ」

「は・・はぁ・・、でも逆に納得ですね。あれだけの武器開発を行えるわけですね」

「そうねぇ・・因みにルドラ社長がさっき言ったRJ計画最高責任者のゲンジロウ=リクドウよ」

「・・・・え・・?」

「RJ計画を終了させた後に万が一RJの技術が世界に牙を向けた時に対処できるように

銃器メーカーを設立したの・・それがルドラインダストリー。

だからこそルドラはマーターに武器や資金提供をしているのよ・・奇形ES細胞もRJが産み出した副産物だからね」

「なるほど・・疑問に思っていた事がスッキリしました」

「どういたしまして、それで今度は私が貴方に質問があるんだけど・・」

「はい?何ですか?」

「何、難しい事じゃないのよ。・・麗華とアザリア・・どっちを取るの?」

「───は?」

「だから、麗華とアザリア、どっちを取るのかって聞いているの」

「・・あの、取ると言うことは・・仕事のパートナーの事ですか?」

真面目なライオットにはフォックスの趣旨がまるで理解できていないようで?マークが乱舞している

「・・はぁ?全く・・プライベートに決まっているでしょう?コンテナ事件を気にアザリアの貴方を見る目は変わったわ・・

対し麗華はライオットのみかすかに感情を表している・・ぶっちゃけた話、二人とも貴方の気があるのよ」

「──え・・・・ええええええええ!?ぼ、僕にですか!?」

「・・はぁ、やっぱり気づいていない・・。異性の視線はもっとちゃんと感じるべきよ?」

大げさに呆れるフォックスだが彼がそこまで器用ではない事はよく知っている

だからこそからかい甲斐がある・・っという事で・・

「ですが、フォックスさん・・・お嬢さんは僕が守る人ですしアザリアはパートナーです。

それにいつ死ぬかわからないですしもはやお嬢さんの命を

お守りする事しか残されていない僕が・・女性とおつきあいするなんて・・」

「──ライオット、その考えは自分を否定しているだけよ。

それにこんな活動をしているからと言って恋人を作ってはいけないなんて事はないわ。

第一守るべき存在があれば生存率が高くなるのは旧世紀からの証明された事実よ?」

「でも・・、お嬢さんとアザリア・・が・・」

「自分を好いてくれているなんて信じられない?

貴方は謙虚すぎるのよ・・、二人のために無茶して命落としそうでちょっと怖いのよね」

「・・すみません・・」

「まぁ、これも良い機会よ。

女の私の言うことなんだから二人が貴方に気があるのは間違いないわ・・どちらを取るか・・一度考えてみるといいわ」

「ぼ・・僕が・・」

「何?意外だった?」

「そりゃそうですよ・・僕なんて何もできない無能なんですから・・」

「だから自分で自分を否定しないの、無能だったらここ4ヶ月の戦いの中で死んでいたわよ。

今まで生き残れたのは紛れもなく貴方の実力・・その中であの二人は貴方に見初められた訳よ」

「・・・え・・え・あ・・」

顔が真っ赤になって硬直寸前なライオット、この姿・・母性本能をくすぐるのだろうが

生憎とフォックスはその手の感性がないためにやや呆れていた

「ほんと・・貴方って変わっているわね」

「これも育った環境というものなのでしょうかね・・」

ライオットが照れ隠しに苦笑いをした瞬間・・

 

ドォ・・・・・ン!

 

不意に遠くから爆音とともに衝撃は走る・・それと共に部屋の明かりが消えてしまい真っ暗になるのだがそれも数秒・・

薄暗いオレンジの明かりが静かにともった

「・・メイン電源から予備に変わった・・、それにさっきのは爆音・・」

「敵襲ですか!?」

「そうね・・行きましょう!」

瞬時に状況確認をした二人は肌身離さず持っている得物を手に

ライオットとフォックスは周囲を警戒しながら通路へと飛び出るのであった

 

 

────

 

 

 

そこは一言で言えば地獄であった・・

ガレキが散乱するマーターのメインオーダールーム、壁には大穴が空いておりその周辺に倒れるマーターの工作員達・・

どれも絶命しているのが目に見えており信じられない表情で倒れていた

「よわっちい♪パパ〜、こんな感じでいいのぉ?」

その中、場違いとしか言いようがないほど明るい声を上げる少女が一人・・

黒いチャイナ服姿で黒みがかった銀髪をしている

そしてその右腕は血が滴っており彼女がこの惨状を作り上げたのは一目でわかる

「上出来だよ・・流石はシャンファだ」

そんな彼女を褒めるは若い男・・白スーツにやや長めの黒髪、目が線のように細い青年で物腰の穏やかさに溢れている

「やった♪じゃあじゃあ!このままみ〜んな殺していい!?」

「あぁ、がんばるんだ・・だが、その前にやらなきゃいけないことを忘れたらダメだよ?」

「うん!シャンファがんばるね!」

ニコリと笑う少女・・シャンファ・・しかしその表情がどこか空恐ろしくそんな少女が暴れているのに

表情一つ変えない青年も不気味さを漂わしている

そこへ・・

「皆・・!くっ・・遅かったか!」

扉を開けて銃を構えるライオット、援護するようにフォックスも南部式を抜いて構えた

「あれ〜?まだいる!パパ〜・・いい?」

無邪気に笑うシャンファ・・しかしその姿にライオットは目を丸くして驚く

「ア・・ザリア・・?」

そう、口調や着ている物こそ違えども彼女の顔はアザリアに瓜二つなのだ

「・・シャオロン・・久しいな・・」

驚くライオットに対し男は懐かしげに声をかけ、ライオットはその男が誰なのかに気づき顔をさらにこわばらせる

「パイロン・・。君・・なのか・・?」

「ああっ、そうだよシャオロン・・。君がこの組織に厄介になっている事は良く知っている、

イーフーすら仕留めた処昔の君よりも成長したようだね」

爽やかに笑う男、パイロン・・シャンファと同じく敵意は全く感じられない

「・・知り合いなの・?」

「僕の、友達です・・フォックスさん」

苦虫をかみつぶしたような表情のライオット、しかし友人と言えども構えた銃を下ろそうとはしない

意外な事態に驚き気づきにくかったのだがメインオーダールーム内にマーター工作員の死体がゴロゴロ転がっているのだ

「そうだよ・・、良く一緒に遊んだものだ」

何の屈託もなく笑うパイロン、その声は紛れもなく友人に送る暖かい物・・

それ故にこの場との不釣り合いさがむき出しになり不気味さを感じされる

「ああっ、それで・・君も夢幻の刺客なのかい?」

ライオットは懐かしむ事もなく銃を構える、友人との再会とは言えどう見ても相手は敵・・

私情を捨てて活路を見いだそうとする気だ

「刺客・・?ああっ、なるほど・・イーフーは何も言わずに逝ったのか。

確かに少し不安定になっていたからそれも無理はないかな」

「・・どういう事だ?」

「ふふふっ、ではシャオロン。改めて紹介しよう・・私は新生夢幻の頭領・・パイロンだ

そしてこの子がシャンファ・・私の娘・・ッと言ったところかな」

「よろしくね!お兄ちゃん♪」

ニコリと挨拶するシャンファとそのシャンファを慈しむように見るパイロン

しかしそれに目をやる事もできずライオットは体を震わせる

「・・君が・・夢幻を・・・」

「あぁ、そうだよ。神の細胞とともに夢幻は新しい一歩を踏み出した・・成果はわかるだろう?」

「確かに・・戦闘能力では昔の夢幻とは比べものにならない。だけど・・何で・・」

「私は君とは違い野心があった、組織の頭になるという・・ね。

そして頭領は暴走し麗華を嬲る事にしか執着しなくなり組織は崩壊していった

ああなった状態で立て直すには奇形ES細胞というのは非常に都合の良いものだった・・。元より行き場所のない集団だ・・

頭領に変わり強力な力を誇示すれば自ずと体制は建て直った・・。

まぁ、細胞の事が表沙汰にならないように地の潜まなければならなかったけどね」

「・・・・、君は・・」

「戦力は整った、シャオロン・・敵ならば容赦しないのだが・・君は友達だ。

無粋な真似はしたくはない・・・私の元にこい」

優しい声で説得するパイロン・・

「・・・・、断る。僕はもうシャオロンじゃない」

「──シャオロン、君がどう言おうとも君はシャオロンだ。暗殺者に似合わない、優しい・・ね」

「僕はライオットだ・・。お嬢さんを守る・・それだけの存在」

「それが無能と言われ続けた末に果たそうとする目的かい?」

「・・そうだ、僕はお嬢さんを守る。そしてお嬢さんの命を狙う・・夢幻を倒す」

銃を再び握りしめる・・動揺こそしたがもはや迷いはない

「シャオロン・・残念だ。シャンファ・・行きなさい」

「いいの?パパ」

「ああっ、ああ見えて彼は頑固でね・・そういうところは変わっていない」

「ふぅん・・まっいいや♪じゃあ殺しちゃうね!」

戯れるような笑みを浮かべシャンファが前に出る

小柄な何でもない少女・・のはずだがそれに向かい合うライオットとフォックスは言いしれぬ悪寒に襲われる

体が知らせているのだ、この少女は危険だと・・

「ライオット!援護するから決めなさいよ!」

敵意を見せるシャンファを睨みつけフォックスが南部式のトリガーを引く!

狙撃兵であった彼女の狙いは俊敏にして完璧、シャンファの眉間に弾丸は吸い寄せられるように駆ける

 

しかし

 

「お姉ちゃん、面白い玩具だね♪」

ニコリと笑った瞬間、シャンファの姿が消える・・

すると次の瞬間にフォックスの目の前に黒い少女の姿が・・

「──っ!」

目を見開くフォックス、目の前で起きた異常を脳で処理する前に体を動かす

その瞬間にシャンファの腕がまるで蛇のようにフォックスのいた地点を駆けた

まさに間一髪、転がり回って体勢を整えるフォックスの表情は強ばりきっていた

「あ〜、すご〜い!避けられちゃった♪」

「・・今の動き・・『豹』」

超人的な身のこなし、それはかつての奇形者イーフーをも凌駕していた

「なんだ・・今の動き・・」

「もう〜、目を丸くして面白くないの。さっさと死んじゃえ♪」

そう言うと今度はライオットの方に瞬時に移動してその腕を振るう!

しかしそのデタラメな動きを知ったライオットはシャンファが自分に狙いを定めた瞬間に飛びのき

タイミングよく回避できた

「あれぇ?」

「・・この!」

飛び退きながら当たらなかったことを不思議そうに首をかしげているシャンファに対し銃口を向ける

 

ドォン!

 

重い銃声が響くとともにシャンファの右肩が吹き飛んだ

肉が飛び散り血が吹き出る・・しかし彼女は何事もないかのようにライオットを見つめる

「すご〜い!私に怪我させたのってパパ以外初めてだよ!」

心底驚いているシャンファ・・見た限り痛覚というものは欠如されているようだ

「流石にタフそうだ・・って・・」

言葉を失う・・

吹き飛ばされたシャンファの肩はみるみる蘇生されていき元通りの少女の白い肌に戻った

「・・何よ、この再生力・・。奇形者の回復力は元の体型に左右されるはず・・少女に細胞を移植したのなら・・」

「あそこまでの再生能力を発揮できない、加えて豹の変異細胞を使用している

・・総合的にはイーフー・・いや骸よりも脆いはずなのに・・」

得体の知れない少女に警戒する二人だがその少女はいやに上機嫌

自分に傷をつけられた事を心から喜んでいるかのようだ

「シャオロン、その考えは間違いではない・・後天的な奇形者ではな」

「・・どういう事だ?パイロン・・」

「この子は先天的な奇形ES者・・奇形者同士で産まれた子だ」

「「!!!!!」」

「奇形ES者としての新たな可能性だ。身のこなしは見ての通り・・君に切り抜けるかい?」

「・・パイロン・・・!!」

「ふふふっ、まぁ今日は顔見せと言ったところだ。ここの代表達は留守のようだからね・・だが」

ニヤリと笑った瞬間に彼の姿が消え・・

 

パン!

 

「──なっ!」

衝撃とともにフォックスの手から南部式がたたき落とされる

見れば彼女のすぐ前にパイロンの姿が・・

「土産の一つも欲しいところかな」

「ぐっ・・あ・・!」

呆然とするフォックスの首筋を手刀で叩き気絶させる、

プロの殺し屋である彼女はその異常な身体能力に為す術もなく意識を失いその体を軽々と肩に担がれてしまった

「フォックスさん!・・・パイロン!どういうつもりだ!?」

「中々良い素材だと思ってね・・、頂いていくよ」

「そうはさせない!」

友に向けて銃を向けてトリガーを引く!

しかしそれよりも素早くパイロンは姿を消し爆音だけが響いた

「シャンファ」

「は〜い♪」

どこからともなく響くパイロンの声にシャンファは快く応え・・

 

疾!

 

彼女の手が『伸びた』

それはまるで鋭い槍のように空を駆け撃ち終わり衝撃で動きの遅れるライオットを突き刺そうとする!

「・・・こ・・の!」

現実味のない凶器、しかし体は危機を知らせ無理な体勢ながらとっさに飛び退く

並のものならば禄に反応できず串刺しとなったであろう

・・が・・

 

トス・・

 

ライオットが飛び退いた瞬間に槍は軌道を変えて彼のマグナムを貫通させた

体を転がせ体勢を整えたライオットはその光景に唖然とした

「なんだ・・これは・・」

少女の手のひらから伸びるは肉の槍、

人の体にはあり得ない赤黒い触手のようなそれはライオットのマグナムを簡単に貫いていた

「えへへ♪すごいでしょう〜?」

何でもないように振る舞うシャンファ・・

その無邪気さは寒気を覚えさせる物がありライオットを戦慄させた

「避けるとは流石だ、シャオロン・・しかし自慢の得物を壊されてはどうしようもあるまい」

スッとシャンファの隣に姿を見せるパイロン、

肩に気を失ったフォックスを乗せ何事もないかのようにライオットを見つめている

「なんだ・・それは・・。そんな物を持った動物の細胞なんて・・!」

「シャオロン、君は勘違いをしている。奇形ES細胞は必ずしも自然上に存在する生物の力を得る物ではない。

それは初期の物だ・・私はそれをさらに加工し地上には存在しない生物を作り出す事に成功したんだ」

「・・・な・・」

「ふふふ、細胞のサンプルを使っての品種改良だよ。曰く『神の冒涜』・・っと言ったところかな」

「パイロン・・君は・・」

「実際こうなってみると悪くはないものなのだが・・君の目にはそうは映っていないようだ。シャンファ・・」

「は〜い♪それじゃあね♪お兄ちゃん!」

シュッとマグナムから触手を引っ込めライオットの額に狙いを定める・・

「安らかに眠ってくれ・・我が友シャオロン・・、できれば昔のように語りたかったよ・・」

軽く手を十字に切るパイロン、それとともに肉の触手は蠍の尾のようにしなりながらライオットの眉間へと走る

その瞬間!

 

斬!

 

風のように走る銀閃、飛び散る肉の槍

「・・間に合ったようですね」

静かに笑い彼の前に立つは・・

「エドさん・・」

スッと立つエド、手にはコンバットナイフを手にしておりこれでシャンファの触手を切り払ったようだ

「・・こちらの裏をかかれるとは思ってもみなかったけど・・この事態を把握するには時間が要りそうだ」

「エド・・ああっ、あのご高名なエリートか。なるほど・・一筋縄でいかなかったわけだ」

援軍にニヤリと笑うパイロン、隣のシャンファも体の一部が切り裂かれたのに何事もなかったように触手を引っ込めた

「御大と見受ける・・が、どうやらうかつに手を出せないようだね」

「ふふふふ・・っ!?」

愉快そうに笑うパイロン、だがその笑顔が瞬時に凍り付く

その刹那に彼の目の前に姿を見せる蒼髪の影、風のように駆け抜けそれと同時にパイロンの姿が消える

「え・・あれ・・?」

それについていけなかったシャンファ、唖然としていたら彼女の肩から腹にかけてまでパックリと裂けていた

「・・・・・・」

その様子を無表情に見つめる影の主、麗華・・

だがそれも一瞬で姿を消したパイロンを目で追い手に持つナイフを彼の方に向けて突きだした

「お嬢さん・・」

「・・久しぶりだね、麗華」

「・・・・・」

爽やかに声をかけるパイロン・・、娘が血しぶきを上げて人形のように動かなくなったのに全く気にもとめていない

それもそのはず致命傷のはずの攻撃を受けたシャンファの体は瞬く間に元の姿へと戻っていくのだ・・

「壊れたようだけど、体に染みついた人の殺し方までは忘れなかったようだね」

「・・・・・」

「ふふふっ、かつての婚約者と再会しても声を出さないかい?まぁいい・・今日は君とやり合うつもりはないよ・・

シャンファ、帰ろう」

「うん、パパ・・」

軽く声をかけるパイロンと同時に麗華の姿が消える

尋常ではない踏み込みでパイロンに襲いかかるのだがそれよりも早くパイロンとシャンファの姿が消えた

 

『ふふふ・・また会おう・・友よ・・』

 

不気味に響くパイロンの声、それっきりメインルームを支配していた不気味な空気は消え去った

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