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四章  「黒幕」



それから数日
セイレーズが帰ってくるまでにあの家に何度か襲撃があったが
ブリューナクの圧倒的な火力とロカルノのセイレーズ直伝の槍術により
たった二人でありながらも見事に撃退してきた

ドォン!!!!

「・・・・これで、何度目?」
庭先でブリューナクを撃つミュンがうんざりしながら言う
「・・15回目ですね・・、よくもまぁ・・」
「全く、いい加減中休みが欲しいとこね〜、弾切れになっちゃうし・・」
ポンポンとブリューナクで肩を叩く・・。
ここ数日は24時間体勢で襲撃があるので流石のミュンも疲れが見えている
「ですが・・、流石は貴族院・・。雇われとはいえここまでの数を雇うなんて・・」
「馬鹿でしょ?戦いは量よりも質・・よ」

”全くだな・・”

不意に林から声が聞こえる
「!!!」
警戒するロカルノ、しかし「戦女」をミュンが押さえる
「貴方にしては結構時間がかかったわね?セイレーズ」
「・・ふっ、まぁ、セキュリティーが高かったもんでな・・」
現れたのはセイレーズ。いつもの仕事着なのだがやや表情が疲れている・・
「でもその様子だと黒幕がわかったの?」
「ああっ・・、まっ、それはお茶でも飲みながら話そうじゃないか。少々疲れているし・・な」
「わかったわ。ともかく、お風呂焚いて一息つけましょうか」
旦那の無事に思わず頬が緩むミュン・・
しばし夫婦の時間が戻った

「ふぅ、やれやれ。このくらいで疲れが出るとは・・年には勝てないか・・」
一風呂浴びて伸びをするセイレーズ
しかし服装は寝巻きではなくまだ仕事着・・
まだ何の解決にもなっていないのだ
「だが俺がいない間よくがんばれたものだな、ロカルノ」
「いえっ、ミュンさんが助けてくれたので・・」
「そう謙遜しないの、結構がんばっていたのよ?この子。
まぁ貴方もそう予測したからこそ一人出ていったのでしょう?」
「ふっ、お前には図星・・か」
言葉ではわからない二人の絆・・。
無言で微笑むセイレーズとミュンであった・・
「それで、どんな感じなのですか?」
改めて本題に入ろうとするロカルノ
「ああっ、そうだな・・・。黒幕はわかった・・」
「「・・・」」
「ロカルノにはわかるだろうが現ダンケルク王国には宰相にテルミドールと言う人間がいる」
「・・・、軍事拡大を主張している人間です。今のダンケルクが過激な事を主張するようになったのも
テルミドールが王へ提言したことが影響しているようですね」

現ダンケルク王国はそれまでの穏健な国柄と違い他国を牽制する軍事国家へと豹変を始めている
尊き存在、貴族こそが民を統べるのに相応しい。
そして厳しい環境で耐えぬく我等こそ貴族の中で一番尊き存在という主張だ。

「ふぅん、じゃあそのテルテルを殺れば少なくともロカルノを襲うことはないのね?」
「まっ、そうなるがまだ因果関係がはっきりしていない」
「そうですね。王とテルミドールは互いに主張は同じ・・、それなら俺を攫う必要はないはず・・」
「王がロカルノと仲直りしたい〜・・・って言うのは?」
お茶請けを一つかじりながら冗談を言うミュン・・。まぁ確実に可能性ゼロだから・・
「それはないな。態々武装したゴロツキを雇ったりはしない。
大方、そのテルミドールと王の間で何か揉め事があったのだろうさ。
それでロカルノを攫って国を転覆、傀儡政治を目論むといったところか」
「・・・・・」
セイレーズのおおよその見解にまたしてもロカルノ、怒りをあらわにする
「おっと、頭に血を昇らせるなよ・・」
「・・はい・・」
「まっ、血気盛んなのは若さゆえってことね♪
もう少し落ちついたらセイレーズ2世名乗っても問題ないのに〜」
「俺の名前は後世に伝える気なんぞないぞ?」
適度にお茶を濁して空気を明るくする。この夫婦の得意とするところだ
「・・では、そのテルミドールを殺しに行くわけですね・・」
流石に今回はそのお茶濁しも通用しないようだ・・
「・・・ああっ。奴はダンケルク近郊のアームテージという街に豪邸を建てている。
国の会議がない時は必ずそこにいるという話だ・・。」
「既に向こうから喧嘩売ってきたわけだから万全な状態でいるんでしょうね〜、
どう?ロカルノ。
3人対大多数・・。行く気はある?」
「・・・・・、本当は、そんな戦力差では足がすくみそうですが・・。行きます。
・・行かなければ俺は前に進めない」
しっかりした口調で、養父母を見つめるロカルノ
「・・ふっ、よく言った。なら・・俺達のやることは一つだな」
「ええっ、殴りこみと洒落こみましょうか♪」
意気往々と席を立つセイレーズ夫妻・・
「あの・・、でもお二人は・・」
「ああっと!ここまで来て『貴方達を危険なことに巻き込めない』とか言わないでね?
乗りかかった船、可愛い息子のためには命の一つは二つ、賭けてよくってよ♪」
「俺も同感だ。それに何も喧嘩を売られているのはお前だけではない
この家を襲撃した時点で俺達にも喧嘩を売ったことになる・・・。そういうことだ」
「セイレーズさん、ミュンさん・・」
「さぁ、いくぞ。お前の第一王子という地位への決別のために・・」
「はい!」
セイレーズ夫妻とロカルノが得物を手に断崖の家を後にした・・



ダンケルク近郊の都市アームテージ
林業が盛んなダンケルクには珍しく、刃物で有名な都市である。
また、他国との貿易との中継地点ともなる
それゆえ宰相、外交官長がこの街に滞在することが国の決まりとされているために
大きな建物も目立つ。
しかしそれらが立ち並ぶのは一般の住民とは完全に隔離されており
「刃物の街アームテージ」はほんとに村のような規模しかない
さらにここ数年輪にかけて傲慢になった官僚に
アームテージ住人は愛想を尽かし近くの山へ移転。
現在街は宰相達の住処のみのゴーストタウンと化していた・・

そんなゴーストタウンの中にある一つの廃墟・・
「まっ、王さんの馬鹿政治が街をここまで腐敗させるなんてね〜」
窓から外を見るミュン
街は荒れ放題で小動物の一匹も見かけられない
「ここは職人の街として有名だったのだがな・・、
ダンケルク王の強引さに職人も愛想を尽かしたのだろう」
「そして、あそこにテルミドールがいるわけですね」
ゴーストタウンの向こう、深い堀、巨大な壁で区切られている地区が見える・・。
規模としてはかなりのものだが、ゲートは閉じられており他に入れそうな場所は見当たらない
「ああっ、ふっ、まるで亀が甲羅の中に入るようにしっかりゲートは閉じられているな・・」
「ま〜ったくね、もっと堂々としているもんだと思ったんだけど・・」
「でもどうするんです?あの壁を登るには骨が折れますし」
「そんなの決まっているじゃない?コ〜レ♪」
ガチャっと重い音で取り出すはブリューナク。
オプションパーツで色々で武装しており何時もの細めの銃身とはかけ離れている
「・・・なんでそんなに色々ついているのですか?」
「う〜んと、対ショックやら弾倉やら・・。まぁブリューナクの最終形態ってやつね♪」
「物騒な事この上なし・・だな。覚悟はいいか?
ロカルノ、これからお前は過去の王子としての自分に決別しなければならない・・」
「いつでもいけます。・・任せてください」
「良い返事だ・・。では・・いくか・・」
荒野を走る3人、既にアームテージには深い夜の闇が支配していた・・



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