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番外2  「鉄薔薇、再び」


その日、セシルは非常に不愉快だった
その不機嫌さは正しく一触即発・・、故に仲間は全くに声をかけずに知らん顔をしている
何故、不機嫌かと言うと・・
「・・今頃・・ロカルノはハイデルベルクかしら・・」
ゴゴゴゴゴ・・っと異様な気配を出しながらティーカップをかじる
「そ・・そうですね・・」
それにつき合わされているキルケ・・皆さんご愁傷さまと同情の目を向けている
「きっと、フレイアの奴、酔い潰してでも襲いかかるはずよ・・」
事の発端は先日フレイアが館に来て彼を誘ったのだ
大抵の事ならばセシルが強引に拒否して追っ払うのだが彼女が言い出したのは・・

・・・・・・

「ねぇ、お兄さん。今度ハイデルベルクの催し物にお兄さんが見たい催しがあるんだけど一緒に行こうよ!」
「・・何馬鹿な事言っているのよ、ロカルノがあんたなんかと一緒に出かけるわけないでしょ!」
館に入ってくるなり誘惑するフレイアにセシルはもう不機嫌になりつつ・・
「まぁ待て。ハイデルベルクでの催しか・・私は無趣味な方なのだが・・絵画か何かなのか?」
「ちょっと!乗り気なの!!」
フレイアの誘いに耳を傾けるだけでもセシルにとっては不届き千万・・後ろからチョークスリーパーをかける!
・・のだが、すでに何千回とかけた技だけにロカルノはあっさりと振りほどく
「そ、れ、が〜♪これ!」
ジャーンっとチラシを見せるは・・『万国仮面展示会』とタイトルが書かれた物
余りにもマニアックなのだがロカルノの反応は・・
「むぅ!これは・・」
かなり興味があるらしい・・、食い入るようにその内容に目を通している
「何でもハイデルベルク仮面愛好会が長年に渡って暖めてきた計画らしいの、大道芸人達も協力して大道芸通りに仮設会場まで
開いているんだって!」
「ハイデルベルク仮面愛好会・・彼らか。なるほどな・・」
「・・・ロカルノさん、その怪しげな人達と交友があるのですか・・?」
端で聞いていて思わず首をかしげるキルケ・・
「ああっ、仮面を愛し常に仮面をつけている者達の集いだ。ハイデルベルク国民ならば誰でも参加資格はあるが・・残念だが私は国を持たぬ者だからな・・」
・・つまり、参加資格があったなら真っ先に参加していたと・・
「でっ、どうする?お兄さん?」
「知ってしまった以上・・参加しないわけにもいかない・・」
「行くの!?じゃあ私も・・」
「あんたが行ったら大騒ぎになるでしょう?有名人の金獅子さん♪」
勝ち誇るフレイア・・全ては・・計算済み・・
「ぐぅ・・!だったら!私も仮面を被って!!」
「・・セシル、私はゆっくりと観覧をしたい・・留守番をしていろ」
「・・ロ・・ロカルノ!!?」
「そうそう、お兄さんはゆっくりと見たいのよ♪じゃあお兄さん、私が案内してあげる!・・いいでしょ?」
ここぞとばかりにロカルノに擦り寄るフレイア・・それにセシルは殺気全開・・
「そうだな、ハイデルベルクも何かと変化が多い。そこで働いているフレイアならば案内を任せてもいいだろう」
「ありがとう♪お兄さん大好き!」
嬉しさに任せてロカルノに抱きつくフレイア・・そして彼には見えないようにセシルに勝ち誇った笑みを向ける
「・・・!お・・おのれぇ!!!こうなったら・・」
「無理に同行するな、セシル。たまには大人しくしておけ」
釘を刺されるセシル・・もはや不機嫌の絶頂になり・・
今日を迎えたのだ

「ちぃ・・これで・・・もしフレイアが孕んだら・・一気に形勢逆転になっちゃう・・まずいわよ!」
イライラしながら唸るセシル、こう見えて嫉妬深いのが難儀なところ
「ロカルノさんは仮面の催しを見に行ったのですから・・そこまではないですよ〜?」
「絶対!?絶対そう言えるの!?ねぇ!?絶対!?」
なだめるキルケの胸ぐら掴み、セシルが魂の咆哮を放つ!!
「ふぇぇん・・ごめんなさぁぁぁい・・」
ケダモノの本気の叫びにキルケはなすすべもなくベソをかいてしまう・・
ダレカタスケテ・・っと
しかし、救いの手は突如やってくる

バン!

急に開かれる談笑室の窓・・そして
「セシル様覚悟!」
矢の如く飛び込んでくる人物・・正確無比に素早く踏み込む!
「へっ・・?」

ガァァン!!

後頭部に重たい一撃を受け・・
「はら・・ほろ・・ひれ・・はれぇ・・」
セシルさんバタンキュウ・・
そして一礼するはスーツを着た有翼人女性、紺の長髪が大人の雰囲気をかもしだしている・・のだが・・
「あ・・あの〜・・どちらさまで?」
「失礼、私はソシエ様の屋敷でお世話になっているメイド長のウィンクと申します」
キビキビと礼をするウィンク。セシルを気絶させた棍棒を持ったままだ・・
「あ・・そう言われてみれば確かにその服装はソシエさんの屋敷のですね」
ソシエ、セシルの母親にして最強の女戦士・・獣人女性のみを自分の屋敷のメイドとして雇い私設艦隊まで持っている
猛者でもある
「はい、特命を受けましてセシル様をつれてくるように・・っと言われました」
「で・・でもセシルさんの裏を突いて気絶させるなんて・・」
「セシル様のクセはソシエ様より教わりました。確実に成功させるために何度もシュミレートしましたので・・」
完全なるプロ・・、とはいえシュミレーションを重ねたとはいえセシルから一本取ること自体容易ではない・・
「では、私はこれよりセシル様を運搬します・・数日したら開放されると思いますので・・失礼します」
一礼してセシルを担ぎ大空に飛び立つウィンク
その光景にキルケは呆然として・・
「あ・・いってらっしゃい・・」
っと応えるのであった

・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・


「う・・・・ったたた・・・」
後頭部を叩かれた事を思い出しセシルは頭をさすりながら起き上がる
彼女がいたのは絢爛豪華ともいえる洋室。立派なベットの上に寝かされ家具もどれも白を基調とした特注品
そして窓から見える景色は正しく絶景、青い海を一望でき小高い丘に建てられたのがわかるのだが
「・・こ・・ここは!!?」
美しい光景を見て逆にセシルは震え出す・・
この屋敷こそ彼女が最も恐れる人物が住む場所・・
「に・・逃げないと!!殺されるわ!!」
何とか逃げ出そうと窓に向かって突進するも・・

ガァァン!!

脆そうな装飾窓は傷一つ付かずに逆にセシルが跳ね飛ばされた
「な・・!?魔導強化ガラス!?こうなったら!」
今度はドアに体当たりしてぶち破ろうとする。・・窓の造りからして鍵がかかっているのは明白
力任せに突破するしかないと思い突進したのだが・・
コンコン

「セシル様起きてますか〜?失礼・・うみゅ!?」
「へっ?」

不意に扉が開かれ、兎の耳をつけた獣人が入ってきた・・しかしすでにセシルはぶち破りの3秒前・・
人は急には止まれなく・・

ドォン!!

「きゃああああ!!」
真っ向から兎人メイドを吹き飛ばしてしまった・・
もうそれは見事なほどに・・
「あ・・ら・・、大丈夫?ねぇ?・・」
「はら・・ほろ・・ひれ・・はれ〜」
目がグルグル回っている兎人メイド、完全に気を失っている
「駄目ね。まぁノックもしなかった罰・・悪く思わないでね」
しっかりやってましたが助走をつけていたセシルには聞こえなかったようで合唱して彼女の冥福を祈り
「よし、じゃあこんなところに用はないわ!ハイデルベルクでフレイアの身包み剥がしたる!!」
そう言うと出口に向かい走り出す、が

ドォン!

「うわっ!ちょっと!気をつけなさいよ!!・・って・・」

バッコォォォン!!

誰かにぶつかったかと思いきや次の瞬間に体が一回転して床へと倒れこんだ
「・・うちのメイドに怪我させておいて逃げる気かい・・?馬鹿娘」
声の主は屋敷の主・・ソシエ、白いスーツを着込んだキャリアレディ・・なのだが堂々と倒れたセシルにストンピングをしていたり・・
「むぎゅ!・・軟禁する方が悪いわよ!」
「軟禁?馬鹿言ってんじゃないわよ・・鍵なんてかかってなかったでしょう?」
「窓はかかっていた!それに強化ガラスじゃない!」
「あのねぇ・・防犯のためのガラスなんだから当然でしょう?全く落ち着きのない娘だね」
「う・・うるさい!大体なんで私はここにいるのよ!?」
館から記憶はプッツリ・・気が付けば悪の巣な状態
「ああっ、うちのメイドが迎えに行かせてね。貴方、いつもそんなだらしない格好しているの?」
お臍丸出しな短い白シャツに腿がよく見える短パン、良家のお嬢さんには見えない服装のセシルに
ソシエは凝視する
「う・・そうよ、動きやすいんだからいいじゃない!」
「はぁ・・、部屋にドレスがあるから・・着替えて居間まできなさい。話はそれからだよ」
「・・へ〜い・・」
ようやく踏みつけられた足を解放し自由になるセシルだが・・、逃げることはかなわず。
ソシエに睨まれたら流石のセシルでもどうしようもない
しかたなく言われた通りにするしかなく貴族が好んで着るような見事なドレスを着て居間へと向かった

・・・・・・・・

居間ではソシエが優雅にお茶を楽しんでいて隣には先ほど気絶させた兎人メイドと犬人メイドが傍に立ち、
セシルを拉致したメイド長ウィンクもそこにおりソシエのお茶を注いでいる
「さぁ、来たわよ。何の用?」
白いドレスを着た綺麗な令嬢姿のセシル、見た目は正しく貴族の娘だが口調がそれを台無しにしている
「まぁ落ち着きなさい、ハーブティーにする?それともカムイの茶もあるけど・・?」
「いきなり拉致したのはお茶会のため!!?」
「落ち着きなさい・・、ったく貴方もいい歳なんだから少しは大人にならないとロカルノ君に嫌われるわよ」
「・・ぐ・・、おのれ・・」
黙って座るセシル・・何だかんだ言いつつもソシエには適わず・・
「お茶はどうしますか?セシル様・・」
棍棒でぶん殴ったくせに冷静に接するウィンク・・対しセシルは彼女が襲ってきたとは思わず
「ああっ、・・ハーブティーにして。」
「かしこまりました。少々お待ちください・・」
てきぱきと動くウィンク・・メイド長の肩書きは伊達ではないようだ
「・・ああっ、貴方・・さっきはごめんなさいね」
オデコを押さえている兎人メイドに声をかけるセシル・・まだ痛いらしく堪えている
「い・・いえ・・私もいけない・・」
「ウサミミ、全てセシルが悪いんだから謝らなくてもいいわよ」
「・・ご主人様・・あの・・いいんですか?」
「ああっ、いいとも。それよりも挨拶しな」
「あ・・はい、セシル様、私はソシエ様の身辺のお世話をさせて頂いているウサミミと申します!」
ペコリとお辞儀をするウサミミ・・かなりの美女だがどことなく愛玩動物を連想させる
桃色の流し髪に眺めの兎耳、プラスメイド服ということで・・そちら系の人にはたまらない女性だ
「ウサミミって・・まんまなネーミングねぇ」
「ご主人様に頂きました♪」
本人は至って満足らしいそして次は犬耳の獣人女性メイド・・
「はじめましてセシル様!僕はご主人様の家に仕えているポチと言います!!」
短めの茶髪で犬耳がピョコピョコ動いているのが愛くるしく活発そうな女性・・
しかしネーミングがまたしても・・
「・・ママ、やっぱりこの娘も・・」
「私が命名した。元々は獣人の人身売買の現場を押さえた時にいた子達だからね」
この屋敷のメイド達は全て獣人女性、そのほとんどが現代社会での獣人の地位の低さによりその身を玩具として扱われた者達ばかり
ソシエはそんな彼女達に救いの手を伸ばし全員まとめて面倒を見ているのだ
「・・だ・・だからって・・」
「何だい?ポチにしろウサミミにしろ・・可愛がりがあるだろう?」
そう言うとソシエはポチの首根っこを軽くつまみ自分に引き寄せ耳に息を吹きかける
ポチは身体を震わせ小さく「・・あん・・」っとつぶやきつつも主人からの寵愛に期待を寄せ目をつぶっている
「う・・うらやましいことを・・」
結局は親子なだけに趣味も同じ・・セシルは本性丸出しな母を呆れて見ていた
そこへ
「セシル様、ハーブティーです。精神安定の薬膳も配合しておりますので・・少しは気が静まるかと・・」
黄味ががったお茶がはいっている綺麗なアンティークカップを差し出すウィンク・・
「でっ、この子はハネツキ・・ってところ?」
「・・紹介が遅れました。メイド長のウィンクです・・セシル様」
ウサミミやポチとは違いまさしくメイドな礼をするウィンク、そのお堅い雰囲気にセシルもやや圧され気味・・
「ウィンクは一番の古株だからね、残念ながら私は名付け親じゃないよ。」
「左様で・・」
「ふぅん・・、結構長いのね。・・それで、私に何か用?」
お茶をすすりながら尋ねるセシル・・ウィンクが言ったように爽やかな香りのするお茶は心をやすらいでくれる
「ああっ、また派手にやったそうじゃないか。シュッツバルケルと喧嘩だって?」
「・・どこまで知っているのよ?」
よもやソシエに知られているとは思っていなかったセシルだけに驚きは隠せない
そもそもその一件はシュッツバルケルのミネルバが極秘裏に進めていただけに周りに知られていることはほとんどない
一番現場に近い町ラオスでも山火事があった程度にしか知らされていないのだ
「これでも、耳はよくてね・・。うまく収めたそうじゃないか」
「どうやら異常な良さっぽいようね。それがどうしたの?」
「まぁ、貴方もそこそこ大きな戦いをこなすようになったと思ってね。・・これを渡すわ」
ウィンクに合図を送り彼女は大事に締まっている木箱をセシルの前に置く
「・・・・・・、何?開けたら爆発するんじゃないでしょうね?」
「そんな事したらウィンクが怪我するだろう?馬鹿な事言ってないでさっさと開けな」
娘よりもメイドの心配をするソシエ・・っうか例えそこで大爆発が起ころうとセシルならたぶん大丈夫・・
ブーたれながら箱を開ける・・そこには綺麗に置かれた蒼銀のガントレットが・・
薄い蒼色が光るしっかりしたそれは手の甲の部分に蒼い狼の姿が刻まれている
見ているだけで吸い込まれるほどの装飾、しかし良く使い込まれており手入れも完璧だ
「何・・これ?」
「ハイデルベルクが誇る天才騎士クレイゼン=ブランシュタインが使用した蒼銀ガントレット『蒼き狼』よ」
「・・パパの・・?」
「そう、あの人の使用した武防具は全て手入れをして所有しているわ。もちろん、あの人が使っていただけに貴方が付けている
支給品に手を加えたような代物とはかけ離れている・・」
テーブルに肘をつきながらニヤリと笑うソシエ・・
「パパの武防具・・、じゃあ他に鎧とかマントとか剣とかもあるの?」
「まぁね。剣は・・すでに貴方が持っているでしょう?」
「・・・へっ?」
「五聖剣の一本『氷狼刹』はかつてあの人が振るっていた聖剣なんだよ」
「ええ〜!!!そうだったの!!?」
「やっぱり知らないか・・まぁまだ貴方が幼い頃の話だからね。ったく、少しは父親の武勇伝も知りな。あの人の事は確かタイムちゃんから
聞いて知ったんだろう?」
「・・え・・ええ、その事もタイムに言われたわね。そうだったの・・」
「まっ、氷狼刹はすぐに手放したんだけどね。・・それは貴方に上げます。使いこなして見せなさい」
「・・あ・・ありがとう・・ママ」
意外な母親の気遣いにセシルも唖然とするのだが・・
「よし、じゃあ久々に鍛えてやるよ。それと防具をつけてきな。ウィンク、訓練場への案内を」
「かしこまりました」
「って!!ママ!本気で訓練するつもりなの!?」
「貴方の力量を試してあげるわ・・真剣勝負よ・・」
ニヤリと笑うソシエ・・それにセシルは顔を青ざめながらも半分ウィンクに連行されながら奥へ消えていった

・・・・・・

ソシエの大豪邸内、その中でも地下に建造されたのだ訓練場でその広さはかなりのモノ。
それだけ動き回れる施設で同様に扱う武器、防具も専用の部屋まで用意され
セシルは扱い慣れている騎士剣、胸板金鎧に父の防具「蒼き狼」を装備し準備運動をじっくり丁寧にこなす
ユトレヒト隊での生活ではほとんどやらない準備体操・・そうまで念入りにするのは相手が本来のスタイルに戻るから
「用意はいいかしら・・?」
対し堂々と立つは白いスーツ姿のままのソシエ、しかし量産型のガントレットと実戦用のレイピア・・
セシルの持つ騎士剣とは比べ物にならないほど華奢な細さで、得物のみでの勝負はセシル、圧倒的に有利
「もちろん・・、手加減は・・してくれないみたいね」
「当たり前よ。まぁ八分殺し程度に抑えておいてあげるよ」
そう言うと軽くレイピアを構えるソシエ・・無造作にゆっくりと切っ先をセシルに合わせる
「く・・もう!こうなったらヤケよ!!絶対勝ってやるんだから!」
先制にとセシルが突っ込み騎士剣をソシエにぶつける!
力任せ・・しかし確実な一撃で防具をほとんどつけていないソシエにとっては致命傷になりかねないのだが・・
「・・下品・・」

キィン!!

ソシエの手が動いたかと思うと鋭い金音が響く・・
見てばソシエのレイピアの切っ先でセシルの騎士剣を受け止めている。切っ先と切っ先・・
研ぎ澄まされたほんの僅かなな平面をぶつけ尚且つセシルの力を受け止めたのだ
「・・嘘ぉ!!」
非常識なまでの超高等テクニックにセシルは言葉を失う・・
「隙有りだよ!!」
そのまま騎士剣を払いのけ軽やかに連続で突きを放つ!
「ひぃ!!うわわわわわわ!!!」
セシルも我を失っているが何とか捌いている・・・のだが、
「スピードを上げるよ!!」
「な・・なんなのよぉ!!」
ソシエの手が幾つにも重なって見えるほどの突き・・この時点でロカルノの神速の突き技『霧雨連天砲』に匹敵している
流石のセシルも捌き切れなくなり距離をあけはじめる
それでもまだ無傷なのは彼女の実力なのだが・・
「腰が引けている!!!」
逃げ腰になりかけるセシルにソシエがはじめて踏み込みをし深い突きを放つ!!
「!!?」

パァン!!

咄嗟に騎士剣を盾代わりするが・・ソシエのレイピアは騎士剣の腹を突き砕きセシルの首元でピタリと止まった・・
「ったく・・ちょっとは腕が上がったかと思ったけど・・まだまだ見たいだね」
「レイピアで武器を破壊させるなんて非常識よ!!」
「貴方の常識なんかで物事を判断しない!」

バキ!

「ヘブッ!」
レイピアを引き神速のフックがセシルの頬に入りきりもみ状態で倒れた
「さぁ、次の得物を取りな!そのガントレットを扱うに相応しい騎士にしてあげるよ!」
「ママ〜・・」
「大体、前に私の家に来て以来金庫のお金がみょ〜に少なくなってねぇ・・」
「!(ギク!!)」
「メイド達がそんな手癖の悪い事をするわけじゃないし、他の面々はそうとも思えなぁい・・となると・・」
「う・・あ・・あれは!お小遣いでしょ♪」

バキ!

「親の財布から勝手に取るのがどこが小遣いだよ!何に使ったんだい!」
「・・・、館の改築に♪」
先日の館の改築に気前良く自分から財布を出したセシル・・その出所に面々は不審な目を向けていたり
「なぁるほど・・ようし!訓練を続けようじゃないか・・」
「こんな時に持ち出すなんてぇ・・」
まだまだ地獄は終わりそうにない・・、勝ち目のない戦いにセシルは半ばヤケになりながらも剣を取り母親に挑んでいった

・・・・結果訓練場にあった騎士剣が全てソシエに砕かれた時、ようやく地獄が終わりセシルはボコボコになりながら気絶していたとか

・・
・・・・
・・・・・・

「う・・ん・・」
次にセシルが目を醒ました処は最初軟禁されたかと思い込んだあの部屋・・
「あっ!目が醒めましたか?セシル様?」
彼女の様子を見ていた犬人メイド、ポチが心配そうに覗き込む
「え・・ええ、全く・・ママったら本気を出して・・」
頬をさすりながら起き上がるセシル、見ればすでに日は暮れており相当気絶していたのがわかる
しかし嫌というほど殴られ刺されたのだが傷は綺麗さっぱり治っていた
「ソシエ様もセシル様が早く立派になってもらいたいと思っているみたいですので・・」
余り悪く言ってほしくない・・っと顔に出ているポチ
それほどまでに主を敬愛している
「わかっているわよ・・、ったく、ママに心配されなくても私は自分の思い描く騎士になってみせるわ
そしていつかママをひれ伏してやる!!」
化け物相手にいつか勝つという宣言!相手は本物の化け物・・内心結構ビビっていたり
「がんばってください!ソシエ様にはそのように報告しておきますね♪」
・・それにポチも応援しながら何か物騒な事を言う
「待って!・・それをチクられるともっとしごかれるから止めてちょうだい」
「え・・?でもセシル様の言動は全て報告しないとウィンク様に怒られちゃいます」
「・・あのメイド長・・私の監視でもする気かい・・」
「そうですよ♪前回セシル様を屋敷に招いた後もウィンク様はセシル様達の後を付いて居場所を確認しておりましたし♪」
前回ユトレヒト隊がソシエ邸に招かれた時、メイド長であるはずのウィンクは姿を見せなかったのだ
因みにポチもウサミミもその時は彼らにご馳走するためにずっと厨房で料理をしていたとか・・
「う・・だから私の居場所がわかったのね・・」
「ウィンク様はすごい人ですから♪」
「でも!今さっき私が言ったことは報告させないわよ!」
「だ・・ダメですよ、僕が怒られちゃいます」
「言わなかった事にすればいいのよ・・」
ソシエの娘なだけに異様な気配を出すセシル・・それにポチの愛らしい耳がダランと下がり怯えモード
「だ・・ダメですぅ、僕は嘘がつけないんですよ・・」
「なら忘れさせてあげる!!」
そう言うとセシルさんも強行モード突入でポチを自分のベットに抱き寄せる!

ガバッ!

「きゃあ!!」
セシルの上にモロに倒れるポチ、もがこうにもセシルの驚くべき速さについていけずあっという間に腕をとられ・・
「うふふ・・、報告しないって約束しないと悪戯しちゃうわよ?貴方結構胸大きいし・・楽しめそうよぉ・・」
「や・・止めてください〜、僕はソシエ様だけです〜」
「やっぱり、ここのメイドは皆ママの相手をしているようね・・ったく、たまには他の人間とも相手すべきよ・・」
そう言うと軽く特徴的な犬耳をセシルは軽く噛み付きポチの腿に足を入れ広げさせる
「ひっ・・セシル様〜、勘弁してくださいぃ〜」
「だ〜め♪最近ツいてないんだから・・存分に相手してもらうわよぉ」
「ああん〜、ソシエ様〜」
「幾らママでもそんなか弱い助けなんて・・・えっ?」
ふと気付き周りを見るセシル・・扉の隙間からは幾つも目が・・さらには窓にも数人こそこそ見ている
全員監視するというよりかは・・楽しんでいるかのような感じだ
「ひゃっ!皆が見ているぅ〜!」
ヨヨヨ・・っと泣き出すポチ、しかしセシルはそれどころじゃなく
「冗談じゃないわ!この中に誰かがママに・・」
その言葉が言い終わる前に扉が勢い良く開かれたかと思うと刹那、彼女の意識はもぎ取られた

・・・・

翌日
爽やかな晴天の中ノびまくったおかげで少しけだるくなったセシルが不機嫌そうに朝食を取っている
当然その前にはきちんと行儀良く食事を取っているソシエの姿が・・
「なんだか気絶してばっかりじゃない・・ママは私がオチやすい女に仕立てあげようとしているの?」
「何言ってるんだい。私の一撃を耐えられないようじゃ一人前の騎士にはなれないよ」
シレッとウィンクの入れた紅茶を啜りながら応える
「ママの一撃耐えられたなら超人よ・・」
「ば〜か、なよっちいわね。・・そうそう、あんたを連れてきた本当の訳をそろそろ言うわ」
「・・へっ?シバきたかっただけじゃないの?」
「そんなわけないでしょう。今度大規模な海賊退治とトレジャーハンティングをする予定でね。
ちょいとそのための人手が足らないのよ。そんな訳で協力しなさい」
「・・なんで私が・・」
「拒否すれば二度と日の光を浴びれなくするわよ?」
二コリと母親の笑みで言うのだがたぶんマジ・・
「・・うう・・わかったわよ!もう!」
「よしよし、それじゃロカルノ君と一緒に来なさい。詳しいことは追って連絡するわ」
「・・ちょっと、ロカルノに手を出すんじゃないでしょうね!!」
以前ロカルノの寝込みを襲ったソシエさん。未遂に終わって悔しがっているのをセシルは知っている・・
「ば〜か、きちんとこんなゴクツブシ娘を貰ってもらえる男に謝罪しなきゃねぇ」
「・・絶対守ったる・・ロカルノのモノは私専用なのよ!!」
「そう・・そんなにがんばるとなると楽しみねぇ」
挑発的なソシエさん・・仕事よりもロカルノ防衛のほうに力を入れないといけないとセシルは固く誓った

結局それ以降は何の問題もなく昼過ぎには保釈(?)
一目散にプラハまで帰ったのだがそこで待っていたのは・・
「ねぇねぇ♪兄さんとおそろいね!」
「・・ふっ、東国の仮面というのも興味深いな」
おそろいの仮面を持ったロカルノとフレイア・・東国の劇に使われる能面と言われる物でロカルノはすごく満足している
「あんた達!!私がいない間にぃぃぃぃ!!」
・・セシルリミットブレイク・・
散々暴れまわったのだが・・結局はその倍返しのオシオキを食らうはめに・・
日ごろの行いが悪い分天罰とでも言うべきか・・


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