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終章  「悪魔の血」



セシル達が不審な集団と戦闘をした数日後・・・

ハイデルベルク騎士団・・
「・・・でっ、やはり間違いないのか・・?」
個室で自分の机の前で唸る副団長オサリバン=ハンハーリ
「ああっ、すでにこのハイデルベルクのどこかに潜んでいるようだな・・」
彼の前に座るはブレイブハーツの一人ジェット・・
「となると・・、他のブレイブハーツの召集をする必要がある、か」
「だが、あいつらが来るまでに町が壊滅してしまうぞ?」
「・・国境沿いに彼等を配置する事自体、考え直さないといけないな」
静かに窓の外を見るオサリバン・・。
窓からは綺麗に整理されている中庭が見える・・・はずなのだが

そこには長い金髪で顔を隠した女性が・・・
顔が髪で完全に隠れておりガラスにへばりついている・・!!

「!!・・・魔物・・か?」
怪訝な顔をするオサリバン

ガッシャァァァン!!!

そんな彼におかまいなくガラスを割って侵入する長髪の不審人物・・ことセシル
「こぉ・・・・・・・んの禿げ親父!!!!
あんな寒いとこに飛ばしやがってぇぇぇぇぇぇ!!!」
いきなりオサリバンに飛びかかり持っていた棒やすりで頭をこする!こする!
「アツっ!やめんか!馬鹿たれ!!」
流石は副団長。しがみつくセシルの足をつかみ地面に叩きつける・・・
「おのれぇぇぇぇ。タイム!セシル!
3人がかりでこの親父を坊主にするわよ!!」
窓に叫びかけるセシル・・・・
「・・・そんなことしにきたわけじゃないでしょう・・・・」
「先輩・・、副団長にそんなこと言うなんて・・」
窓から顔を見せる二人
「お前達・・、どうしたんだ?わざわざ私に復讐をしにきたようだが・・」
「それはセシルだけですよ。ちょっと重要な話がありまして・・」
「・・・そうか、まぁセシルが戻ってきたのは好都合だ
ついでに特別任務を与える。
まずは中に入ってその話とやらを聞かせてくれ、
・・・それとセシル、ガラス代は給料から引いておくぞ」
「なんで!!?」
「当然だろう・・、ちなみにこのガラス、暗殺防止用の強化ガラスだ。・・高いぞ?」
「なんてこったぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
遠くに飛ばされ減給され、哀れな金獅子セシルさん
・・合唱・・・



放心したセシルをよそに
タイム達はノースリヴァーで起こった出来事を報告する・・
「・・・・・なるほど、どうやら俺達と追っているものは一緒か・・」
すみで座り静かに話を聞いていたジェットが呟く
「あの・・、こちらは?」
見知らぬ男がいるのでクリスがセシルに聞く
「・・ああっ、ブレイブハーツの一人、ジェットよ。
そこに立てている青竜刀がそれってわけ」
「「失礼しました!」」
急に態度を変えるタイム&クリス・・
「?どったの?」
「ブレイブハーツを扱う聖騎士よ・・、私達とは位が違うわ・・」
「・・・・・・・・じゃあ私は?」
同じ聖騎士なのに大しておがめられていないセシル・・
「さしずめ、君は特別なようだな・・」
苦笑しながらジェット
「しっつれいな!でも追っているものは一緒ってどういうこと?」
「うむっ、どうもこの街に悪魔が潜んできたようなのだ・・」
オサリバンが深刻そうな顔で報告する
「どうも変死体の数が増えてな。
偶然この街にきていた俺も調査に乗り出したのだよ」
「ふぅん・・、でも悪魔がこの街にいるなんて・・、対処できるの?」
「奴はまだ完全に降臨してないようだ。
でなければこんな街など一たまりもないからな・・。
今ならまだ手の打ち様はある・・」
「・・それで私達に何の任務を・・、やはり・・」
タイムが副団長に聞く・・、が彼女自身答えは十分予測できていた
「悪魔の掃討だ。ブレイブハーツのセシルにジェットがいる。
これだったらどうにかなるかもしれん」
「最悪、他のブレイブハーツを呼び戻すための時間稼ぎにもなるな・・」
腕を組みながらジェット
「わかりました。副団長、では私達はセシル達の援護・・ですね」
「うむ・・、クリス君も頼む・・」
「わかりました!」
元気に敬礼!緊張感のない女性だ・・
「ああっ、その前に・・・禿げ?」
本格的に対悪魔の対策にとりかかる前にオサリバンに暴言・・
「・・・・減給3ヶ月でもいいんだぞ?」
「事実だからしょうがないじゃない。
でっ、あんたのとこで団長さんの素行を調べてくれない?」
「・・その廃墟で見た騎士が団長だったという件か?
・・わかった。あの男のことだ。
そのくらいやりかねんだろう・・」
どうやらオサリバンも団長さんには良い思いを抱いてはいない様子だ
「でも団長はどこにいるんでしょうかね?」
「長期休暇を取るとか言っていたからな。
まぁ、時間はかかるが足取りくらいつかめてみせる。
それよりも今は悪魔のほうが重要だな・・」



彼女等の戦略はこうだ。
効率良く探索するため2つのチームに分ける。
一つはジェットとセシルのブレイブハーツペア もう一方はタイム、クリスペア・・
悪魔をしとめるのはジェット、セシルが適任だ。
下手に分散するわけにもいかなので
いっそのこと二人で行動することにした。
タイム、クリスペアは悪魔に対して有効な白銀の剣を持っているとはいえ、
いささか心もとない。
悪魔と遭遇した際にはセシルを呼ぶことにして戦闘は避けるようにした・・・

「でっ、ほんとにこんな格好でひっかかるの・・・?」
夜の街ハイデルベルク・・、人気もなくひっそりしている中央通りでセシルがぼやく
そのわけは彼女が着ている服装・・、
修道士の黒服を着て頭を黒いフードで隠している
「今まで襲われたのは聖職者の女のみだ。
その格好で街中を歩いていれば引っかかるだろう・・
我等の意図に気付いていようがいまいが・・」
黒マントをはおるジェット。巨大な青竜刀は隠しきれずそのまま担いでいる・・
「でもハイデルベルク騎士団は他にも動かないの?」
「彼等だけでは役者が違うからな・・、一応いつでも動けるように手配はしてある・・。
悪魔相手の装備はしていないがな」
「・・・やっぱり私達でやるしかないわね・・。タイム達も無理しないといいけど・・」
通りを歩きつつ仲間を心配するセシル・・・

一方

「悪魔相手・・、流石にはじめての想定ね」
セシル達のいる地点とは離れた地点、
街の中を流れる川を渡った商業地区を歩くタイム&クリスペア・・
「ほんとですね・・、無理せず逃げろってセシル先輩いってましたけど・・」
「まぁなんせ相手の力量もわからないしこちらの切り札はその白銀剣のみ・・、
どう考えても分が悪いわね」
「この剣、タイム先輩に渡しておいた方がいいでしょうか?」
腰に下げた白銀剣をタイムに渡そうとするクリス、
因みに彼女もセシルと同じように
修道士の格好をしている・・
「いえっ、セシルからもらったのでしょう?これは貴方が持っているべきよ・・」
「先輩・・」
「私には私の愛用品があるしね」
そう言うと腰に下げたロングソードを叩いて見せる・・
騎士団の支給品だけど綺麗に扱われている
「わかりました、ではっこの調子で・・」
クリスが歩き出そうとした瞬間

ガァァァァァァァァァァァ!!

この世のものとは思えない絶叫が響いた!
「・・・・!先輩!!」
「どうやら私達が貧乏くじ引いちゃったようね・・。クリス!
無理せずに中央通りにいるセシル達に合流するわよ!」
「わかりました!!」
一斉に走り出す二人・・
その刹那、通りにあった樽が真っ二つに切断された・・
中にはいざという時の為に潜伏していた騎士が・・・
「先に騎士団の面々を・・!遊んでいるの!?」
走りながら怒りをあらわにするタイム・・
「先輩・・!こうとなっては応戦した方が・・」
「駄目よ!相手の戦力が分からない以上うかつに動けば死が待っているわ・・」
「でも・・」
走る二人のすぐ後ろに迫る見えない『何か』・・
時折その何かの進行を阻止しようと騎士が立ちふさがるが何も出来ず切断されていく・・
「早くセシル先輩に合流しないと被害が・・・きゃあ!!」
セシルと合流することに気をとられ思わずつまずき転んでしまった・・
「クリス!」
急いでクリスを助け起こすタイム・・、しかし・・

ザク・・・


「!!!!!」
肉の裂く音がし、タイムが顔に手を押さえ倒れる・・
タイムの顔の右半分を何かが大きく切り払ったようだ・・
幸い目は無事らしく押さえている手の隙間から苦痛に歪む目が見える
「先輩!!」
「私のことは良いから!早く逃げなさい!!」
おびただしい血が流れつつも後輩に気を配る
・・がこうとなってはもはや彼女に戦闘は無理だ
「嫌です!先輩までを傷つけて・・!許さない!!」
タイムを庇うように立ち白銀剣を手に持つ・・
それに応えるかのように目の前に降り立つ物体・・
それは黒い毛むくじゃらの猿のような姿で手には鋭く尖った巨大爪が生えている・・
目は真紅に光っており無気味にクリスを見ている・・
”・・勇ましいな・・、女”
猿姿の悪魔が落ちついた口調で話す
「!!・・こいつ・・・。なんでこの街で人を襲うの!」
剣をかまえいつでも斬りかかれるように警戒・・
”私の体はまだこの世で動くには不完全でな・・。
清らかな乙女の魂を食らって精をつけているのだよ・・。
もっとも、先程のゴミどもは体力のできを確認する実験台だったがな・・”
「!!!そんな・・」
”心配するな。そこの女と共に魂を食らってやる・・。”
「タイム先輩を・・、傷つけはさせない!!!」
渾身の力で悪魔に斬りかかる・・が・・

ガチッ・・・

白銀剣を爪で受けとめる悪魔・・
”物騒な装備だが・・腕がまるでなってない・・。”
そういうと剣を受けとめつつクリスの胸に腕を突っ込む・・
「あう・・!!」
にぎり出したのは淡く光る光の玉・・
”ふふっ、さすがに綺麗な魂をしている・・”
「クリス!!」
タイムが叫ぶがピクリとも動かない・・
”無駄だ。今この女は魂が分離された状態にある・・、もはや死んだも同然だ・・”
倒れるタイムをあざ笑う悪魔・・
「いたぞ!」
「ちっ、同胞を助ける!一気に行くぞ!!」
悪魔の後方から駆けこむハイデルベルク騎士団員・・
「やめなさい!貴方達では・・!!」
”力量の差というものはしっかりと学んでもらいたいものだな・・”
クリスの魂を持ちつつ爪でなぎ払い、こともなく騎士を殺害する悪魔・・
「・・・こうなっては・・」
”安心しろ、この魂を食らった後貴様の魂も食らってやる・・”

「そうはさせないわ」
突如辺りに響く声・・、静かだが怒りに満ちているようだ
”・・・まだ生き残りがいたか?”
「『神気龍魂』!!」
突如現れる龍の気・・
かなり素早く悪魔に向かうが、悪魔はそれを超える速度で回避する・・
「セシル・・・」
振り向くとそこに立つは修道服を脱ぎ捨て戦闘態勢万全のセシルが・・
「悲鳴が聞こえて急いできたわ・・大丈夫?」
「ええっ、私はいいからクリスが・・」
”ほう、今度は歯ごたえがありそうな連中だな・・”
「・・クリス、全く動かないけど・・、もしかして・・」
剣を振り下ろす姿勢のまま倒れているクリスを見てセシルが言う
「いやっ、魂を抜き取られたようだ。あの猿が持っているのがそうだろう・・」
素早くタイムを解放するジェット・・
”ほぅ、この女の知り合いか・・残念だったな・・”
「クリスを殺させはしない!」
”ふんっ、もう遅い・・!”
そういうと手に持っていた魂を握りつぶす!!
淡く光った玉は粉々になり光の粒と化して静かに消えていった・・・
「!!!!!」
”食らうともりだったが気が変わった。ふむっ、なかなか良い表情をしているな・・”
セシルの表情に笑い出す悪魔・・
しかし・・
セシルの後方より飛び立つ3匹の龍・・!
「参龍魂!いけぃ!!!」
セシルよりも怒りの表情のジェット・・。渾身の一撃を放つ・・
”ふんっ、3匹に増えようと・・”
「・・・!!」
龍魂を回避する悪魔の頭上に突如現れるセシル・・
目に涙をうかべつつ剣を振り上げる・・
”!?なんだと・・!?”
「氷狼・・刹!!!」
氷の嵐を放ちつつ悪魔に斬りかかるセシル・・
”ぐおっ・・!なめるな!!”
まともに嵐を受けながらもセシルを蹴り落とす・・!!
「・・っ・・!!!」
地面に激突しながらもセシルが体勢を立てなおす・・
”・・ふん、良い一撃だがそんな武器では私は倒せまい・・”
多少傷を受けつつも未だに自信たっぷりな悪魔
「・・!・・あれを使えっていうの・・?」
「?セシル・・?誰と・・」
不意に呟くセシルに驚くタイム
「・・・クリスよ。ジェット!龍魂で奴の注意を・・!」
「承知!」
一気に悪魔に突っ込むジェット
”人間ふぜいが・・!”
「俺はブレイブハーツが一人!ジェット!!並の人間と一緒にするな!!」
龍光牙で悪魔を払う!
流石に威力が高いようで受けとめた悪魔がよろめく・・
「・・まだだ!!」
さらに零距離で龍魂を放つ
”ぬ・・ぐううううううううぉぉぉぉぉ!!!!”
流石に回避は不可能、両手で受けとめつつ龍魂に押さえる・・
その背後に・・
立っているのはセシル・・
手には白銀に輝く剣が・・
「・・・仕留める!!!」
悪魔の背後から白銀剣を突き刺す!!
”うがぁ!!”
赤黒い血が勢い良く飛び、セシルにかかる・・
それでも彼女はひるまず氷狼刹をかまえる
「・・消えなさい・・・!外道!!!!」
全力で氷狼刹を振り払う・・
今までで最大規模の嵐が悪魔を直撃する・・!!
”ぐぁ・・、にんげんふぜいが・・、しかし・・・貴様はわが血を浴びた・・・。貴様もいずれ地獄に
落ちる。この勝負引き分けだ・・。ははははははは!!!!”
謎の言葉を残し嵐と共に消滅する悪魔・・
「・・地獄に落ちたなら、もっと貴様を切り刻んであげるわ・・」
・・・悪魔の血にまみれた聖騎士。もはや動く事のない後輩を抱きかかえ
声を出して泣き出した・・・





「それで・・、騎士団を辞めるの・・」
騎士団屋敷の副団長室で顔半分、
包帯を巻いた痛ましい姿のタイムがセシルへ言う・・
タイムのケガは大事には至らなかったが跡は残るようだ・・
「ええっ、一旦騎士団を抜けて改めて騎士というものを見なおしたくなったの・・」
ソファに座るセシル・・制服は着ておらず私服だ
「そうか・・、せっかく昇進したのにな・・」
自席に座るオサリバンが静かに呟く。
今回の事件を解決したセシル、タイム、ジェット、オサリバンの4名は
その功績が王に認められ特別に昇進することになったのだ
「別に昇進は関係ないわ。でも氷狼刹はもらっていくということで・・」
「うむっ、話は聞いている・・。そのくらいは認めよう」
「副団長。いいのですか?」
ブレイブハーツに対する憧れを持つ騎士は多い。
その事情を良く知るタイムは騎士を脱退するセシルに
そのブレイブハーツを持たせることに疑問をもっているようだ
「なにっ、氷狼刹は消失したと伝えれば良い。
それに・・・元々ブレイブハーツは7本あったのだよ」
「・・・!!そうだったのですか・・」
意外な真相を聞き驚くタイム
「それよりも貴方達はどうするの?タイムはまだ復帰できそうにないし・・」
「それなんだが、私とタイムはクリスの意思を継いでルザリアに異動することにした」
「ルザリアに・・?」
「ええっ、あの子はルザリアの発展を夢見ていたわ。
だからせめて私達の手でその夢をかなえてあげたいの・・」
それが亡き者に対する償い。
タイムもクリスを助けられなかった事に気を病んでいるようだ・・
「わかった、がんばって。また落ちついたら貴方のとこに行くわ・・。
 傷・・大丈夫?」
静かに席を立つセシル・・。まだショックから立ち直れていないようだ・・
それでもタイムの顔の傷を気遣う
「もう痛みはないわ・・。跡は残るようだけど・・。髪を伸ばして隠すことにする・・
貴方こそ、悪魔の血を浴びたんでしょう?大丈夫なの・・?」
悪魔の血を浴びると呪われる・・、文献にもそう書かれているのだ
「大丈夫よ、そんな血ごときに負ける私じゃないわ、じゃあ・・元気でね」
寂しそうに笑うセシル・・
静かに部屋を出ていった・・
「副団長・・」
「わかっている。あいつが騎士を辞めたもう一つの理由・・・」
「・・・なら・・」
「私達は目をつぶる。全権を使っても、な・・」


屋敷の廊下を歩くセシル・・
それを待っていたようにジェットが壁に背もたれる・・
「・・・去るのか?」
「・・・ええっ。最後の仕事をして、ね」
「ここにその仕事の助けになるメモを書いた。役立ててくれ」
小さなメモを渡すジェット
「ありがと・・。世話になったわね」
「ふっ、お前がそう言うとはな・・。また機会があれば会う事にしよう・・。
その時まで死ぬなよ?」
「死ぬ気はないわ。また会いましょう」
固く握手をし、彼女は屋敷を後にする・・

ドクン・・

体に感じる違和感に少しずつ気がつきながらも・・





数日後
長期休暇を取っていたハイデルベルク騎士団長が
別荘で変死しているのが見つかった。
腹に大きな風穴が空いており地面には水びたりだった。
本来騎士団の最高責任者の死亡事件として大騒ぎするはずなのだが、
何故か王の命令で捜査はされず、騎士団長の死は
一月もすると人々の心からも忘れ去られた・・・。



犯人は、わからない・・


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