第0節 「豪華な洋室にて・・」



「なんですって!?」

豪華な洋室の中、「いかにも貴族」といった容姿の女性が叫ぶ
部屋は少女趣味で色んなぬいぐるみが置かれている・・
ベットも豪華そのもので天井つき・・・女性は化粧台に座っている
見た目は若く20代前半・・か。銀色の髪の毛をなびかせ、
見目麗しいのだがどういうわけか表情が険しい・・
「・・・・本当ですの?」
「はっ、ヤスパール王は今回の話は少し待って欲しい・・と」
白髪の執事が落ち着いて話す
「・・・このわたくしを待たせるとは、・・・・・良い度胸ですわね・・・・」
「国務に忙しいと言っておられましたが・・」
「ふぅん、じゃあ直接詰め寄っても会ってくれなさそうね?」
渋い顔をする女性・・、表情豊かだ・・
「その様です、ですがヤスパール王には兄がいるらしいので
彼に協力してもらえばなんとか会ってくれるかと・・」
「ヤスパールに兄が?初耳ね・・・・」
「前王も愚息ということであまり世間に話しておりませんでした」
「でっ、その兄の名前は?」
「ローディス王子です」
「今、いる場所はわかって?」
「はい、かなり前に王位継承権を放棄し、身分を隠しロカルノと名乗っています。
 現在は冒険者として『ユトレヒト隊』というチームに所属してます」
「王位を放棄して冒険者〜?
 高貴な位の人間なのに随分と酔狂な方ですのね・・・」
呆れ口調で呟く・・
「変わり者との噂があります・・、いかがなさいましょう?」
そんな女性にあくまで冷静に応対する執事・・
「・・・仕方ありませんわ、彼に会うとしましょう。馬車の用意をして!」
女性は思い立ったら吉日、の如くさっさと用意し始めた・・・
「ローディス王子・・、いやっ、ロカルノですか。
簡単に協力してくれるとは思いませんね・・」
女性のいなくなった部屋で静かに執事が呟く。
やがて彼も馬車の用意をしだした・・・


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